人工内耳友の会−東海−
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小児の人工内耳手術とその後の経過について

大津赤十字病院
中 竹  美 津 子

前回に話をしました6才で人工内耳の手術を行った現在7才になる子供です。耳 の形が普通でなく手術しても良い結果がでるかどうか、また言葉がわかるように なるのかどうか難しい面のある子供でした。幸い電極はすべて使うことができ問 題もなく順調に経過しています。現在、音が入りましてから、1年5ヶ月になり ます。昨年4月に普通小学校の難聴学級に入学しました。周りの変化に腹痛をお こしたり、発熱するなど敏感に反応する子供でしたので、入学当初、母親が頻繁 に学校を休むことになると心配しました。しかも、安定してきてはいましたが、 音入れから、まだ6ヶ月でした。聞えとしては、玄関のベルがなると出ていく。 名前を呼ぶと振り向くなど、音の違いが分かり始めていました。入学後は心配す ることなく、表情は生き生きとし、行動が機敏になり驚くほど元気です。それに は音が聞えるようになったのは言うまでもありませんが聾学校からの友達がいっ しょであることの安心感と学校の先生方の、環境作りにもあると思います。入学 当初のころは難聴学級のクラスの中では、先生の話を聞取って発表することがで きますが、難聴学級全体では視線がそれていることがめだち、交流している学級 では、思い違いや、流れから遅れることが多かったようです。そのころ、人工内 耳のみで単語の聞取り(50問中です)12%、口形を見ると28%でした。そ の3ヶ月後には42%、口形を見ると86%と伸びています。検査結果は良くて も実際の場面で応用できにくいこともありました。音入れ後1年には日常的な2 文節の文が分かり始めました。現在、毎日テーマを決めての1分のスピーチの聞 取りは一回で聞き取れるようになっています。これは口形を見てです。日常会話 は口形を見なくても分かることがあります。入学後、発音指導については母音の 発音をもう1度やり直すことになり訓練の時間に単音から始まりました。母音の 聞取りの方は100%分かるのですが。単語がほぼきれいに出せたら、現在の段 階ですが、子音の発音へと進みます。 遊びなど体験からの新しい言葉の出会い。集団の中での行動や言葉の理解を伸ば すための工夫がされて、授業の中に組まれています。また、家族の方には実際に なるだけ沢山なことを、体験させてあげてください。また、朗読も必要で、学校 から帰ってから、童話を読むこともできる限りやって下さい。話をする時、区切 って話すように注意してあげて下さい。ゆったりと会話できる時間を持つように して下さいなどと話をしてます。また、学校の中では大勢の子供たちの言葉を、 遊びの中でも常に聞いてますので実践、体験が言葉を獲得していくのに、何にも まして効果のあるものと思います。また、遊びの輪の中に入っていけたなど、言 葉が伸びるためには精神面での成長も必要です。そのような全体の成長のために も普通学級クラスとの交流の時などは、難聴学級の先生が必ず、フォローされて います。まだまだ、理解されている単語数が少ないのですが、さらに伸びていく ものと思います。そんな中で現在、言葉を意味としてや、文として聞こうとする 態度がでてきています。話をする時、表情を見ながら聞き、終わったら自分が話 をするという自然な形ができつつあります。聞くことに比べて、自分で話をする 時は、単語だけだったりもしますが。コミニケーションがたいへん取り易くなり ました。発音についても、特にこの2ヶ月は、単語が、自然に出ていて驚かされます。聞いたことが分からないと、もう一度と言うようにもなりました。今後も 1つ1つを積み重ねて行くことになります。周りはあせらず長い目でみていくこ とが大切です。マップの状態は聴力レベル40dB〜45dBで安定しておりま す。この様に、初めから、それほど大きな問題もなく経過して、驚くほどの進歩 を見せています。家族の方はかなり悩んでの手術でした。何にもまして困難な手術が成功したのが大きいと思いますが、これまでの指導や周りの協力も良かった ものと思っています。私が特に良いと思うのは、本人が伸び伸びと学んでいるこ とです。以上です。




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