人工内耳友の会−東海−
各種情報

人工内耳新製品"ニュークレアス24システム"

鞄本コクレア
石 黒  裕 康

「人工内耳友の会―東海」の皆様、明けましておめでとうございます。鞄本コクレアの技術部・石黒でございます。いつもお世話になっております。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
さて、私のパートは人工内耳の最新情報ということでございますが、ちょうどコクレア社はこの1月から、人工内耳の新製品を発売させていただきました。そこで今日はその新製品につきまして、お話をさせていただきたいと存じます。

新製品は「ニュークレアス24(N24)」と申します。昨年の7月末、厚生省より輸入承認を受けることができまして、同じく昨年12月末に保険適用を受けることができました。それによりまして、今年より、すでに人工内耳の手術をお受けになられました皆様と同じように、健康保険で手術が受けられるようになりました。

それでは、新製品・ニュークレアス24のいくつかの特徴について、お話をさせていただきます。まずはなんと言ってもその大きな特徴は、この世界初、耳かけ型スピーチプロセッサ「エスプリ(ESPrit)」ができたことです。
(スライド)
これは補聴器と同じくらいの、耳にかけられるほどの小さなボディに、マイクも音声処理装置も内蔵しています。ですから、いままでのように耳かけマイクからスピーチプロセッサまでのケーブルが不要になり、装用者の方々は煩わしさから解放されました。また、これにより装用者の方々に、より自由なライフスタイルを提供することができるようになりました。さらにマップを2種類までメモリすることができますので、例えば通常使用するマップと騒がしいところ用マップを、メモリしておいて、使い分けたりすることができます。また海外では、特に女性に、髪の毛でこのスピーチプロセッサが全部隠れてしまうので、ファッション的にも人気があるそうです。

次に、パワフルな携帯型のスピーチプロセッサ「スプリント(SPrint)」です。 (スライド) 特徴と致しましては、マップを4種類までメモリすることができます。また、電池ボックスが2種類ありまして、電池1本収納用と2本収納用があります。使用時間によって使い分けることができます。また、液晶パネルが装備されまして、現在のマップを表示できるようになり、使いやすくなりました。

これはインプラントの写真です。
(スライド)
インプラントも変わりました。その前に、ニュークレアス24の名前の由来ですが、今までのニュークレアス22 の22個の電極に加え1個のボール電極とインプラント本体に敷設された電極の2種類が追加され、つまり22+2=24となったところから、名付けられました。ではその特徴ですが、まず、このボール電極を不関電極にしてモノポーラ(単極)刺激が行えます。モノポーラ刺激は消費電力を少なく押さえることができ、省エネができます。また、厚さがN22インプラントに比べ、一番厚い部分でN24は3分の1になりました。また、少々湾曲しております。これは側頭骨へ、よりフィットしやすくするためで、これにより小児への手術がしやすくなりました。またさらに、将来的に三つの音声処理法(コード化法)が使えるようになります。現在、皆様が使用されていらしゃいますSPERK法に加えまして、CISコード化法、ACEコード化法使えるようになります。ご使用される装用者の方に合った、一番聴こえの良いコード化法を選択することができます。まだまだ他にもたくさんの特徴を持った、ニュークレアス24でございます。

さて、ニュークレアス24のお話ばかりをさせていただきましたので、皆様の中には少々ご不満をお持ちの方もいらっしゃるかと存じます。そこでN22をお使いの方々への最新情報をお話させていただきたいと存じます。話させていただきます内容は、「N22用耳掛け型スピーチプロセッサ」でございます。オーストラリア本社の開発チームからの情報によりますと、ずっとN22用の耳掛け型スピーチプロセッサを開発してまいりましたが、この数ヶ月で飛躍的な進歩を遂げたとのことでございます。耳掛け型スピーチプロセッサに使用しますチップという電子部品の初期動作の確認がとれ、N22用の耳掛け型スピーチプロセッサとN22インプラントが、相互に通信できることが保証されました。オーストラリア国内でN22の装用者5名の方々にテストをご依頼し、スペクトラと比較していただきましたところ、控えめに申しましても満足のいく結果であることが分かりました。あるテストを引き受けてくださった装用者の方は「私のスペクトラとほとんど全く同じに聞こえる」と報告していらしゃいます。コクレア社の開発チームは現在、完全な製品にする最終段階に入っております。N22用耳掛け型スピーチプロセッサが日本に登場する日もそう遠くなくなってまいりました。
以上でございます。

最後に装用者数をお知らせ致します。現在までに日本で手術を受けられた方は、およそ1500名、世界では2万人を越える方々が、人工内耳によりまして音を取り戻されております。

私たち、コクレア社はこれからもより良い製品の開発・販売、そして皆様へのアフターサービスの充実に努めて参りたいと存じます。どうぞ皆様、ご声援下さいませ。




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