人工内耳友の会−東海−
聴覚障害者対象IT講習会2

平成13年9月25日作成

【少人数5名以下】
聴覚障害者対象IT講習会:パソコン要約筆記

<記>宮下あけみ

日  時   / 平成13年9月 3時間×4回=12時間
内  容   / IT講習会 聴覚障害者向け 
入 力 者   / 2名(2名で連続4回)
利 用 者   / 5名
ソ フ ト   / IPtalk
文 字 等  / 背景色:黒  文字:黄  書体:MSPゴシック  45文字  2行
資  料   / 事前:なし  当日:あり 
表示方法   / 個人のデスクトップ画面 上部に4行
※2コース目以降は受講生が減ったため、聴覚障害者の隣にあいているP.C.を置き、そのデスクトップ画面に、「全面文字表示」。
文字情報   / P.C.文字情報 個人に手話通訳
補聴システム / なし

配 置 図  / 
                通訳       通訳
                Deaf       Deaf
               
                通訳       通訳
                Deaf       Deaf

                通訳
                Deaf      
                    メイン講師
                           入力者
                           入力者


【資料】
・事前資料はなし。現場にて、当日配布資料をもらう。

【表示方法】
・個人のデスクトップP.C.の上部に、1行45文字の4行表示。
・各自、文字の大きさ、色を確認してもらう。
・「お喋り」、「他人への指導」など、不要な場合は、隠すよう、講師に個人で伝えてもらう。

【設定】
・「IPアドレスを自動設定にする」。 事前に行う。
・ 終了後、「聴覚障害者用」として、表示方法を含め、設定していただいた。

【事前打合せ】
・初日は時間をかけて。2回目からも、毎日全員で、必ず行った。
・情報保障者全員で行う事が、顔合わせを兼ねて、大切だと思う。
 
<初日>
・まず、セッティングをしながら、講師、アシスタント講師、主催者と話す。
・午後1:00頃、手話通訳者、到着。自己紹介だけして、事前ミーティングは、講師とともに行う予定であったが、IPアドレスの設定で、講師が参加できなかったため、講師に了解をいただき、情報保障者の手話&P.C.通訳のみで、まず、単語などの表示方法について、確認する。この時は、講師に意見してもらえるように、講師にも聞こえるよう、少し、大き目の声で話す。

<2日目以降>
・初日にセッティングは終わっていたので、2回目以降は、必ず、講師、サブ講師、手話通訳者、パソコン要約筆記者で行った。


【入力注意点】
・語り風の説明は、そのまま打ったが、解説の時は、文字数を省略するためにも、「言い切りの形」にするよう、二人で申し合わせ、利用者に伝える。 
(例)講師/「ドラッグ」と言います。→「ドラッグ」と言う。

・通常は、そのまま入力していたのだが、時折、作業が進む課程は、パートナーが講師の話し通り打ち込み、表出。 その間、宮下が、手順、 【スタート→プログラム→アクセサリー→メモ帳→クリック】 を打ち、区切りがついた所で出してみた。これは、数回、行った。

・事前に、文字表示について、受講生の皆様に、【[Enter](エンター)】=英語+カタカナ、 【[Enter]】=英語のみ、【エンター】=カタカナのみの、どれが良いか伺った所、「今日、明日あたりは、英語とカタカナの両方。家で覚えて、来週あたりから、英語だけで良いと思うが、また、改めて伝えたい。」と、意見がいただけたので、今日は、英語と日本語の両方を記した(登録)。しかし、結局、4回目まで、全て、「英語+カタカナ」を表示した。
      ↓
※講師が「Enter」と言っても、手話通訳者は、指文字か空所で表現する。しかし、キーボードには、「Enter」しか、書かれていないので、このように、表記した。
  
・タイピングや変換練習の時に、「四字熟語」があった。 事前打合せで、講師より、それがある事は聞いていたので、表示についても確認。 リクエストもあり、必要に応じて、漢字と読み仮名を表記した。    (例) 【順風満帆】「じゅんぷうまんぱん」

【入力者反省点】
・とにかく初日には、途中途中で、利用者に、文字の大きさ、太さなどを確認し、気をつけた。
・文字がスクロールすると、気が散って邪魔な人は、講師に隠してもらうよう、お伝えした。

【利用者へ終了後の確認】
・初日、講師にお願いして、講義終了後、皆さんには、着席されたままで文字表示について、以下の点を利用者に伺う。

Q1/今日(=初日)は、お喋りや、他人への個人説明も入力した。それは、他人が質問する事で、自分でも気づかなかった点に気がつくと思い、入力し続けたが、不要な人?

A1/@個人的な質問や、それに対する答えは、参考になるので、入力して欲しい。お喋りも。A文字が動くと気になるので、「お喋り」は、いらない。
          ↓
結果/このグループでは、初日同様、「お喋り」も、「個人説明」も、キャプショナーに聞こえたものは入力する。そして、利用者が、「自分には不要である。」と感じた時には、各自、講師に、文字表示をかくしてもらうよう、発言する。

結果/「お喋り」を隠したままだと、大切な話に切り替わった事がわからないので、講師に、「ここからは大切です。」と、言ってもらう。それを手話通訳者が通訳し、改めて文字表示が必要な人は、講師に頼んで、文字表示を再開してもらう事に決めた。

【利用者より】
・確認の意味でも、文字表示があると、わかりやすい。
・パソコン用語など、わかりやすい。

                *******************************

【以下、個人的に、宮下より。】

<手話通訳者>
・手話通訳者は、利用者1名に対し、1名が付く。この通訳者は、毎回かわる。
・かわる事は、利用者は承知している。
・手話通訳者自身も、手話通訳後、文字表示を指さし、「これ。」と文字表示を利用。

<利用者>
・ほとんどが、はじめて。
・受講生は、通常、手話を使っている方々であったが、それでも、「文字表示があるとわかりやすい。」との事。

<講師>
・メイン講師1名と、サブ講師1名。
・とてもわかりやすく話を進めて下さった。
・聴覚障害者の情報保障に対し、理解を示してくださり、初日には、終了後に、文字表示に対する、意見、確認もさせていただけてとても助かった。

<P.C.配置>
・講師が、受講生の画面を、一度に見る限りでは、やりやすいのかもしれないが、受講生は、講師の顔を見る事ができないため、お互いのコミュニケーションとしてはどうか、講師も、少し、この点を気にかけていた。しかし、講師から個人受講生への問いかけ、自らのコミュニケーションの工夫などにより、数日でクリアーされたようである。

<P.C.スクリーン上の文字表示>
・結果としては、良かったと思う。
私自身、このような形ははじめてだった。
マンツーマンで手話通訳者がつき、自分のスクリーン上に文字が表示されたことにより、視線をそれほど、動かさなくて済んだのではないかと思う。

・手話通訳者も、直接、文字表示を指さす事もでき、受講生も、自分にあわせて、利用できた。

・難点は、画面を変えると、IPtalkの文字表示が隠れてしまう事だった。
しかし、2日目以降は、【隠れた文字表示を、自分で出す方法】、【他の表示位置を、ドラッグさせて、動かす方法】を、講師より受講生に教え、その都度、受講生自身で調節していた。
上手くいかない時は、講師に伝えれば、その都度、教えてくれた。

・2コース目以降は、聴覚障害者の隣にあいているP.C.を置き、そのデスクトップ画面全体に文字を表示したので、この心配はなくなった。

・P.C.の配置より、正面へのスクリーン表示はできない。
しかし、欲を言えば、個人のデスクトップ・スクリーンへの文字表示と、大きな全体へのスクリーン表示の両方があれば、便利だったのではないかと思う。

【その他】
・情報保障者として、手話通訳者、パソコン要約筆記者、そして講師との打合せは、とても大切なものだと思う。
特に、このような、少人数の時は、手話&パソコン通訳者同士の連携が大切であると実感した。

・そして何よりも、必要に応じて、利用者に確認しながら進められたのが、本当に良かったと思う。
                                      
                                           −以上−



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