人工内耳友の会−東海−
「着ぐるみ劇」での字幕・文字表示

2004.1


幼児〜小学校低学年向け
【「着ぐるみ劇」での字幕・文字表示】
●スクリーン表示●
『それいけ!アンパンマンショー』



記/☆宮下あけみ☆ akemizo@beige.ocn.ne.jp

みなさま、こんにちは。☆宮下あけみ☆です。
今回は、「幼児〜小学校低学年向け」の【「着ぐるみ劇での」字幕・文字表示】について、2つ、記させていただきたいと思います。
1つめは「スクリーン表示」。
2つめは「ノートパソコン表示」です。

小さなお子様も、お父様・お母様方も一緒に劇が楽しめたらいいナ…。
宜しければ、お目を通してみてくださいね。

********************************************

【「着ぐるみ劇」とは】

劇団の方々が「着ぐるみ」を着て(かぶって)、演技をおこなうものです。
対象年齢が、幼児〜小学校低学年という「お子様対象」のものですので、演技・身振りも大きく、ストーリーも、聴こえる者にとっては分かりやすく作られています。

しかし、「着ぐるみ」をかぶってしまいますので、例え一番前に座って舞台を見ても、難聴の聴覚活用をされているお子様にとっては、「口形」を見ることができず、「今、何て言ったのか」、正確に把握することはできません。
これは、「お面をかぶっての劇」や「人形劇」も、同じことが言えると思います。

********************************************

【1/舞台スクリーン表示の例】
『それいけ! アンパンマンショー』ヽ(^o^)丿



主催/行政
参加費/無料
座席/全席自由
スクリーン位置/舞台上(うえ)、上手(かみて)側

主催者様(行政)より、はじめから「スクリーン表示で」とのご依頼でした。
劇団のかたには、主催者様から「スクリーンに字幕を出す」旨、ご了解を取っていただきましたので、この点はとてもスムースに話が進みました。

<字幕の「文字表記」>

実は、最初にお話をいただいたときは、『アンパンマン』ではなく、別の出し物でした。
テレビで放映されているものでしたので、まず、「テレビ字幕」を見て、テレビで使用している字幕(=漢字・ひらがな・フリガナの具合)を参考にしていました。
ところが、少しして出し物が変更になり、『アンパンマン』になったのです。

『アンパンマン』にもテレビに字幕が付いておりましたので、参考にしたく、「字幕付き」で番組を見ました。
すると、テレビ字幕は「すべて ひらがな」ヽ(^o^)丿。
ホームページを見てみると、こちらも「すべて ひらがな」ヽ(^o^)丿。

あぁ、本当に小さなお子様向けの番組なんだなぁ…と思い、「着ぐるみ劇」の時の字幕も、「ふりがなを付ける」ではなく、「すべて ひらがな」でおこなうことを決め、主催者様にご了解を得ました。

<「色」「話者の絵」/セリフの「文字」の出し方>

実際に、何歳のお子様から、「テレビ字幕」を「利用」できるようになるのかは分かりませんが、『アンパンマンのテレビ字幕』は、キャラクターによって字幕の色が「色分け」されていましたので、それと同様にすることにしました。
もし、テレビ字幕を付けて番組をご覧になっている難聴のお子様がいらっしゃったら、「同じ色」のほうが、わかりやすい…というか、親しみやすいと思ったからです。

|・アンパンマン=黄色
|・ばいきんまん=黄緑色
|・ドキンちゃん=白
|・メロンパンナちゃん=ピンク
|・ゲスト=水色

通常、パソコン文字通訳の場合は、「話者名/こんにちは。」と、「名前」と「ことば」を
「/(スラッシュ)」で区切っています。
しかし、今回は対象年齢が低いのと、キャラクターものでしたので、
「アンパンマン/みんな、げんきかい?」ではなく、
「(アンパンマンの絵) みんな、げんきかい?」と、
すべて、その時セリフを言うキャラクターの「絵(顔)」を入れました。

この「話者名を絵にする」方法は、「映画字幕」と違い、「話者がアップにならない舞台劇」で、「誰のセリフか?」がハッキリ分かり、とても見やすかったと思います。

また、数箇所ですが、「おねえさんの声による、ナレーション」がありました。
これには「キャラクターの絵」がもともとないのですが、「お子様画伯(^_-)-☆」としてお世話になっているSちゃんにお願いして、『おねえさんとマイクの絵』を描いていただき、それを使用しました。

そして、この『おねえさんとマイク』の絵は、その後の別の現場でも、「会場アナウンス」「影マイク」等があるときには、使用させていただいております。

以下に『ナレーション時の字幕』を添付させていただきますが、「アンパンマンたちのセリフ」も同様の形で、「(アンパンマンの絵) せりふ」で表示しました。




<会場アナウンス>

ごくごく普通の「影アナ」。
|「ご来場のお客様にご案内申し上げます。
| 間もなく、『それいけ!アンパンマンショー』がはじまります。
| …携帯電話は電源をお切りになって…。…喫煙は…。」
というもの。

携帯電話や喫煙はお子様には関係ありませんが、「聴こえているもの」には違いないので、それは1枚にして、主催者様と相談の上、「アナウンスする言葉」を事前にいただき、『お子様向けの表示』として加工。それを表示させていただきました。



『表示した文』↑
|もうすぐ 「アンパンマン ショー」が はじまるよ!!
|  〜みんなで まもろうね!!〜

|「せき」は じゆうです。
|まえのほうには くるまいすの おともだちが すわります。
|ここでは ジュースやおかしは たべられません。
|ショーのあいだは カメラやビデオさつえいは できません。
|「けいたいでんわ」は きってくださいね。
|  (マナーモードでも おとは きこえるんだ。)

|『アンパンマンの絵』(吹き出しで)「すわって まっててね。」

<歌>

劇の中で、歌がありました。
|登場キャラクターごとの歌
|テーマソング
|アンパンマン「サンサンたいそう」

歌は「1番」や「区切りのいい節」を先に1枚のスクリーン上に出し、「カラオケ」のように、「これから歌うところ」を、ほんの少し前に色を変えて行くようにしました。

<聴こえるお子様を持つ、聴覚障害のある保護者のかたも一緒に>

今回は行政主催のイベントで、はじめから「字幕を付ける」ことが決まっておりましたので、このイベントの「ご案内」は、『字幕付き』とチラシに掲載。
地域の保育園、幼稚園、小学校、聾学校、聴覚障害者関係のM.L.などにお知らせがされておりました。

「着ぐるみ劇」自体は、「お子様対象」ですが、『字幕付き』でしたので、「聴こえるお子様を持つ、聴覚障害のある保護者の方々」も、お子様と一緒に、劇を楽しんでくださいました。

<主催者様のご協力>

今回は、主催者様がはじめから、「字幕を付ける」ことをお決めになり、ご依頼を下さいました。
よって、「劇団へのお話」もスムースに進み、事前の「劇団・主催者・会場・字幕者」等での打合せのときから、快く、お話をさせていただくことができました。

また、今回はじめてですが、「主催者の担当者様」が、「台本の事前入力」をしてくださいました。
本当に本当に感謝しています。
ありがとうございました。m(__)m

<劇団のかた>

快く、事前に、台本と「声テープ」を送ってくださいました。
(お子様には、ナイショだよ。(^_-)-☆)
そして、「どうぞ、やりやすいようにおこなってください。わからないことがあったら、いつでも聞いてくださいね。」と、笑顔でおっしゃってくださいました。
実際、いろいろとお伺いしたことがあったのですが、全てきちんとお答えいただき、とても助かりました。
ありがとうございました。

<「テレビ番組のキャラクターもの」の字幕>

「テレビ番組のキャラクターもの」は、「プロの声優さん」が「声」を担当していらっしゃるので、「声テープ」も事前に作成され、「当日の変更・アドリブ」というものが“全く”ありません。

また、当日、演劇のあと、キャラクターと「おねえさん(司会者)」との、簡単な「掛け合い(お喋り)」があるのですが、ここでは「アンパンマンたち」は「とぉ〜っても分かりやすい身振り」だけで一切声を出さず、すべて、お姉さんがお話してくださいます。

|おねえさん /ねぇ、アンパンマン。
|       きょうの おともだちは、すっごく、げんきが いいですね!
|アンパンマン/(大きく うなづく)
|ばいきんまん/ばいきんまんは、ちゃーんと、○○、してるかな?
|ばいきんまん/(頭をかかえて、しゃがみこむ)
|おねえさん /あぁー、ばいきんまんは、○○、してないのかな?

これが、「事前に字幕を作るもの」としては、とってもラッキー!(^o^)V でした。

<聴こえる保護者の方々の声>

終了後、何気に、ロビーや駐車場で、小さなお子様を連れている保護者の方々に、
「字幕スクリーン、いかがでした? 邪魔じゃありませんでしたか?」
と、お伺いしてみました。
全体的に、とても好意的なお答えをいただくことができました。(^o^)V

|「絵も可愛かったし、チョット聞き取りにくい部分もあったので助かりましたよ。」
|「え? 聴こえない方のためだったのですか?
| 雰囲気があっていたので、気になりませんでした。」
|「『歌』なんか、字幕があって、私たちも良く分かりました。」
|「手話でお話しているお母様が見えましたので、良かったんじゃないですか?」
|「あーゆーのがあると、聴こえない人も楽しめるんですね。はじめて知りました。」

<聴覚障害のある保護者の方々の声>

聴覚障害のあるお母様方から、お声をかけていただきました。
みなさん、とても楽しんでくださったようで、嬉しかったです。(^o^)丿

|「楽しかったです。ありがとうございました。」
|「字幕、見やすかったです。」
|「子どもは聴こえるんですが、一緒に楽しめました。」

<『アンパンマンショー』の字幕を担当して…>

お話をいただいたときから、既にワクワク。(^_-)-☆
番組を「字幕付き」で見たり、難聴のお子様を持つお母様がたにご意見・アドバイスをいただくなど、「事前作業」がとっても楽しかったです。
アドバイスをいただきました保護者の皆様、『おねえさんとマイクの絵』を描いてくださったSちゃん。
本当にありがとうございました。

「事前作業」は、自分が納得するまで手間をかければきりがないのですが、アンパンマンショーは、「自分自身も楽しみながらできる」という、とても楽しいご依頼でした。
このような楽しい現場の機会を与えてくださった主催者様に、心から感謝いたします。
ありがとうございました。

また、今回、現場をお手伝いくださった、T友さん、T田さん、K田さん。
「予習してくださいネ!(^_-)」と、番組を録画して見ていただくよう、お願いしたり、事前の細かい連絡メールにおつきあいいただき、誠にありがとうございました。
ありがとうございました。
今後とも、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。m(__)m

実は…。
私、「ばいきんまん」と、握手しちゃったー!ヽ(^o^)丿

********************************************

【「イベント字幕」の共通点】

●場所の確保●

「消防法」「火災予防条例」などにより、そのホール・会場ごとに、通路に机などを設置してはいけない場所があります。これは守らなくてはなりません。
また、「車椅子使用者とその家族(付き添い)」の方々のための「平らなスペース」がありますが、そこは、そこしか利用できない方がスムースにご利用いただくために、あけておいたほうが良いと思います。

この「車椅子使用者とその家族(付き添い)」の方々のためのスペースを使わせていただく場合には、事前に主催者、会場関係者の方々と、よく、打合せをして下さい。

●座席をつぶす●

イベント等の場合、よく、「1階席中央より後ろ部分」の座席をつぶして、いろいろな機材をおいて、作業をしているスタッフを見かけることがあると思います。
主催者が自分の出し物のためにおこなっているのは予定の計画通りなのですが、イベント発表後に、こちらから「字幕を付けたいので…。付けてほしいので…。」とお願いする場合、チケットが「有料」であれば、それなりに興行主様もお気にされます。

そのためのきちんとした説明と、「聴覚障害のあるかたも、一緒に、このイベントを楽しみにしているんです。そのためには、情報保障が必要なのです。」ということをご理解いただけるよう、利用者の方々とともに、努めて行きたいと思っております。

●何処にでも自由に座れるように…●

「ノートP.C.表示」、もしくは、「磁気ループが決められた範囲でだけしか効果が得られない場合」は、それらを利用する人のための「指定席・優先席」が設けられることは、仕方がないと思います。

しかし、「会場全体に磁気ループが設置されている・準備がない」、
そして「スクリーン表示」の場合は、スクリーンの位置を決め、文字の大きさを調整する時点で、「できる限り、どこからでも文字が読めるように」セッティングしています。

今回、ここに記させていただきました2つの事例は、ともに、「小さなお子様向けの、着ぐるみ劇」でしたが、今後、もう少し大きくなったら、子供同士で、演劇や映画を見に行かれる日がくるでしょう。
そのときの友だちが、「聴こえる友だち」であれば、多少、自分が「聴こえにくい、不自由な思い」をしても、「聴こえる友だちと一緒の席」に座りたいと思うと思います。

スクリーン表示であれば、ある程度、何処に座っても文字が見えます。
また、無線LANが設定してあり、バッテリーがきいたノートP.C.を自分で持っていれば、自分の好きな場所に座ることができます。
(実際には「台」がないと、「ずぅ〜っと手で持っている」っていうのは、かなりキツイとは思いますが。)

勿論、主催者様や会場で「字幕」を準備し、アメリカの劇場や映画館のような、「座席の後ろに字幕を出す装置」を設置してくださるようになれば、こういう悩みもなくなると思うのですが、今は、そこに向かうまでの過渡期として、ボランティアとして「普通のパソコン」でもできる範囲で記させていただいております。

●文字表記●

事前に台本がいただける場合は、その「台本に沿った、文字使い、文字表記」をおこなっております。
ただし、対象となる年齢にあわせて、「ひらがな」にしたり、「ふりがな」を付けたりしております。

また、「読んで内容を把握する」ために、画面上、文字数を少し少なくするために、言葉・文字数を調節させていただく場合があります。

「ノート表示」の場合は、利用者との打合せだけで済むのですが、「スクリーン表示」の場合は、劇団の方にできるだけ事前に、確認していただくようにしております。
そのために、リハーサルやゲネプロ(本番同様の、衣装・お化粧・音・照明でおこなうリハーサル)があるときには必ずお伺いし、こちらも実際に表示して、チェックしていただいております。

●絵・写真など、画像の表示●

「お子様のイベント」だけでなく、「イベント」の場合、素人の私でも、いろいろなソフトを利用して、聴こえるお客様も一緒に楽しめる、共有できる表示をさせていただく場合が多いです。
勿論、素人のボランティアですからできる範囲は決まっていますし、プロの映像技師の方々には足元にも及びませんが、「楽しいね。」「おもしろいね。」「きれいだね。」と言う感じのものを表示することができます。

その時使用する、「絵・写真」などは、作っているこちらで考えて選び、表示するものですので、やはり、「リハーサル」等で実際に投影し、チェックしていただいております。
勿論、「照明」との兼ね合いも大切な事前確認です。

だいたい、こちらで作っていったものでOKが出るのですが、今まで、以下の4つでペンディングがかかり、作り直した経験があります。

|(1)軽い視覚障害者も来ると思うので、「色」は使用しないでほしい。
|   →全体を通して、「背景色:紺系統」、「文字:白or黄色」に統一。
|   →これは、「歌」も「リアルタイム字幕」も通しておこなう。
|   →リアルタイム=P.C.要約筆記ソフト、歌=パワーポーイント使用。

|(2)「歌」字幕。「フォント」のイメージが違うので、変えてほしい。
|   →その場で出演者に選んでいただき、変更。

|(3)この「ロゴ」は表示しないでほしい。
|   →その場で削除。

|(4)この「絵」は使わないでほしい。こっちならOK。
|   →速やかに変更。

●「照明」との兼ね合い●

いくら「情報保障のため」とは言えども、会場が「暗転」し、全く「会話・セリフ・発言」がない場合は、表示も暗くしたいものです。
パソコン画面を「黒一色」にすれば、スクリーンは、「黒」ではありますが、ノートP.C.表示の場合、液晶画面は薄ぼんやりと光っています。

「気になる・気にならない」は、個人の差がありますが、特に表示用がノートP.C.の場合、それを見る「利用者の目」にも優しい設定が必要になると感じました。

また、「会場の照明の明るさ」に負けて、スクリーン画面が見えにくくなってしまう場合があるので、事前に「字幕や画像」を作っていく場合には、リハーサルでの試写投影が大切だと思っています。

●安全第一●

いつでもそうですが、不特定多数の方々が行き来される会場では、歩行者の妨げにならないよう、「ケーブル類の固定」には、万全を期しています。
これは、学校でもホールでも、何処の会場でも言われることです。

会場で、「コードを隠すゴムマット・鉄板」を貸してくださるところもありますが、「個人依頼」の場合は、「会場には必要以上のお願いはしにくいので、こちらでおこないます。」と言うことで、いつもの、“新聞紙&布ガムテープ”で固定することが多いです。

その場合、ただ単に、「固定する」のではなく、「歩行の妨げにならないように」、できるだけ、「壁沿い」「会場に平行」「イスの下を通す」など、「直線距離」よりは長めになりますので、ケーブルや延長コードなども、長めのものを持参しています。

ある会場では、「美しく隠すように」と、リクエストされたこともありました。(^^ゞ

********************************************

いろんな字幕の表出・表示方法があると思います。
その時々のニーズに合わせて、利用者の希望が、できるだけ受入れられるように…。
聴こえる方にとっても、違和感なく受入れられ、楽しんでいただけるように…。

そして、「今、何て言ったのかな?」と思ったとき、「そこに文字があるんだ。」という安心感につながれば…と、思っております。

今後とも、皆様方のご指導、アドバイスなどをいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

♪今夜、ジョン君は“ハクサイ”を食べたんだよ。ヽ(^o^)丿♪

☆みやしたあけみ☆ akemizo@beige.ocn.ne.jp

☆★☆(^^)/~~~☆★☆





メールはこちらへ

各種情報メニューへ