人工内耳友の会−東海−
ひまわり会ニュースより

平成14年10月

「ひまわり会ニュース Vol.121」 より
【三田パソコン要約筆記勉強会の様子】と、
【一般的なパソコン要約筆記Q&A(学校関係中心)】


● 以下は、帝京大学病院難聴児親の会「ひまわり会」のニュース(紙媒体)に掲載された、「パソコン要約筆記」に関する部分です。それを、ここ、「人工内耳友の会:東海」のホームページにも掲載させていただくご了解をいただきました。宜しければ、お目を通してみて下さい。
● 「ひまわり会」の皆様、ありがとうございました。

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【三田のパソコン要約筆記勉強会】9月21日(土)午後2:00〜5:00
東京都障害者福祉会館で、三田パソコン要約筆記勉強会】(『三田フレンズ』)が行われました。(毎月1回、第3土曜日に行われています。) 
スタッフ【10名中、8】名、ほか参加者【約40】名と、大勢の参加がありました。
会員名簿や会費がなく、1回だけでも自由に参加できるので、<常連さん>だけでなく、毎回、参加者の顔ぶれが違うそうです。

今回の見学させていただいた講習会の内容は、スペシャル企画で、
@ 発語の困難な方の発表の、入力と表示
A 小学生への、文字情報保障
B 手話教室
という、プログラムで行われました。

@発語の困難な方の発表の、入力と表示という事で、2人の『発語の困難な方』の発表を入力し、聞き取りにくい時の対応など、勉強されていました。 また、ご本人にも、自分の発言が文字表示された時の感想や入力者に対するリクエストを伺っていました。
(例)
A/自分の発言が聞き取れなかった場合、「***」と表示されても、仕方がないと思うし、気にならない。
B/時間があれば、聞きなおしてくれて構わない。でも、言い直しているうちに、何を言っていたのか、忘れてしまうかもしれない。(笑)

A小学生への情報保障という事で、子供に分かりやすい入力の仕方( 漢字とひらがなの割合) 等を勉強していらっしゃいました。

参加者の中には、もうすでに現場に出られてパソコン要約筆記をされている方も何人かいらっしゃいましたが、小・中学生への情報保障の経験者は、数が少なかったようです。
その中でも、中学校でパソコン要約筆記を経験された方から、「授業中、パソコン要約筆記の文字だけを追っていても、周りの様子がわからなくなる事があるので、時にはパソコンから手を離して、その場に合わせるように促して下さることもある。」と聞き、とても有り難く、心強く思いまた。

今回は、残念ながら、スペシャル企画であった為、実技指導を見る事ができずに帰ってきました。またの機会がありましたら、取材させて頂きたいと思います。

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実際に、学校や教育部門等でも、パソコン要約筆記を経験されている宮下あけみさんに、その経験をもとに、いくつか質問に答えていただきました。

Q1 パソコン要約筆記者として、各方面に出て行ける様になるまでのプロセスは?

A1 「プロセス」について。
(過程)・いろいろな方法があります。
@ 各地で「パソコン要約筆記」の「勉強会」、「サークル」があるので、そこに参加して、仲間や先輩方からアドバイスをいただきながら、徐々に現場に出て行く。
A「修了式のある講習会」に参加した場合は、修了時に、それなりの指示がある。 

Q2 学校や教育部門でのパソコン要約筆記の利用で、よく起こる(起こりやすい)トラブルや、注意する点は何ですか?
 ↓
A2 「トラブル」というのは、私の経験ではありません。ただ、教育現場に「入る前」に、学校からよく質問される事を、書いてみます。
【授業】に関して。
@ キーを叩く音はうるさくないですか?
→ 静かに打つよう、努力します。
 
A 他の聞こえる生徒にとって、どの程度、迷惑になるのか?
→ 大学生以上であれば、本人から学校( 或いは会社) に対し、【情報保障】や【聞こえない生徒が授業を受ける権利】について、自分で説明していただきます。学校から、「質問」等、「待った」がかかった場合は、本人を通して入力者も経験談や、機材説明をしますが、実際の入力に関しては、本人と学校との話し合い終了後、即、【本番】になります。
しかし、高校生以下の場合は、まず、<お試し>と言う事で、一度、実際に授業に出て、実際に入力させていただいています。
「百聞は一見にしかず」これは、学校への説明を意味する事もありますが、高校生以下の場合、ご本人が実際にパソコン要約筆記による個人ノートテイクを受けてみて、「イメージと違った。」、「友達の視線が…。」など、本人の意思を確認する意味でも、大切な事だと思います。小さなお子様なら、周りの目が気になるでしょうし、思春期の生徒さんなら、それなりに思う所があるかもしれません。親・入力者・学校がOKしても、本人が欲しない限り、お伺いする事はできませんので、必ず、ご本人の意思を尊重します。
結果として、今まで、<お試し>をして、その後の情報保障に関し、学校から断られた所はありません。

【学校行事】に関して。
@ キーを叩く音はうるさくないですか?
→ 静かに打つよう、努力します。

A 演劇などで会場を暗くする時、パソコン画面の液晶は、明るくて目立ったりしませんか? 
→ 暗くなっても目立たないように、色を調節しておきます。

B 聞こえない生徒への情報保障としてだけでなく、聞こえる生徒へも還元できる方法はありませんか?
→ 文字だけでなく、写真なども組み込むことはできます。ただ、これは、お伺いする入力者の技術、受ける範囲により、全く違いますので、あくまでも、「文字情報保障だけ」を考えたほうが良いと思います。
→ ちなみに、「聞こえる生徒へも還元できる方法はありませんか?」と言った学校は、結果として、「スクリーン表示による情報保障」をご了解いただけませんでした。パソコンを数台持参し、学校にも行き、説明をしたのですが…。結果として「ダメ」と言われた場合、勿論、私から学校に対し、「情報保障」について、再度のお願いやコメントをする事はできます。

しかし、あくまでも、聴覚障害がある生徒さんの意思が大事ですし、その生徒さんと親御さんが、その後、学校との間にわだかまりを持たれても申し訳ないので、「学校からはダメと言われましたが、いかがいたしましょうか?」と、お伝えし、その後の対応など、全てお任せしました。

C 学校へお伺いする時は、それなりの服装でお伺いしています。

Q3 宮下さん達が感じる、情報保障の現状は?
(問題点、努力目標、アプローチ手段、行政の流れ等)
 ↓
A3
@ 個々の依頼者のリクエストにあわせた情報保障ができているか。
A 行政など「主催者の責任」と、「ボランティア」で行う事の住み分け。
B 慢性的な入力者数の不足。
 
Q4 小中高生に情報保障をしていて感じることは何ですか?
(学校側の受け止め方、子どもの様子:情報保障されている側の態度や周りの子どもたちの受け止め方の様子)
 ↓
A4 私個人の経験では、「お子様同士」「生徒同士」は、今のところ、問題は出ていません。
むしろ、協力的だと思います。

(例/小学校)
聞こえる学校に通う、小学1年生の子供へ、個人ノートテイク。
体育館での行事だったので、本人の周りに児童がいる。ノートパソコンを見て、「○○クンは、これを見るんだね。」と言って、自然にしている。1年生なのに、誰一人としてパソコンをいじったり、触ったりしなかった。

(例/中学校)
聞こえる学校内にある、難聴学級の生徒さんへ。
普段は別々のクラスなのに、情報保障が必要だからという理由で、1つの所に集められてしまうのは良いのかどうかは、私にはわかりません。ただ、「たった一人よりは、「複数」のほうが、本人同士は心強いそうです。スクリーン表示であれば、そのような問題はありません。

(例/高校)
聞こえる学校に通う、難聴の生徒さんへの授業の情報保障。
高校生くらいになると、本人さえ受け入れれば、他の生徒さんは、とやかく言いません。

Q5 今まで、どんな行事の時に情報保障をされましたか?
 ↓
A5 【行事】ですね?
全て、体育館や、学校内の大きな教室(講堂)です。
・入学式、卒業式、閉校式、演劇観賞会、修了式、クリスマス会、生徒会選挙

Q6 パソコン要約筆記をお願いするにあたって、パソコン要約筆記を知っていても、実際に自分がお願いするなんてと思いがちなんですが、どんな時にどのようにお願いしていったらよいか教えて下さい。
 ↓
A6「どんな時に」
=基本的には、本人が欲した時ですよね。しかし、「小学生」だと、どの程度、本人が【必要】としているのかもわからないし、つけたとしても、どの程度、【役に立っているのか】も、正直、わかりません。ただ、「体育館での行事」であれば、スクリーン表示で、全体へ表示できますので、“本人だけの”という状況だけはさけられ、本人の精神的な負担も少なく、設置できると思います。

「どのように」
=地域の難聴協会・聴覚障害者協会(ろう協)、パソコン要約筆記のグループ等に、問い合わせてみてください。勿論、【三田パソコン要約筆記勉強会:三田フレンズ】には、いろいろな地域の入力者が参加していますので、直接、お越しいただいて、「募集」していただいても構いません。

Q7 いつもはどの様にパソコン要約筆記の講習会を進めているのですか? 
(実技指導が中心でしょうか?今回のように毎回ゲストを呼んで進めていらっしゃるのでしょうか?)

A7 「普段」(実際には、1コマごとに、休憩が入ります。)
2:00〜3:00 入力練習その1=一人入力、二人連携入力
3:00〜4:00 入力練習その2=ビデオをみながら・登録方法など・要約について
4:00〜4:45 手話・はじめての人が手話を知るきっかけになるように…。

☆宮下あけみ☆
【E-mail】 akemizo@beige.ocn.ne.jp





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