人工内耳友の会−東海−
三田パソコン要約筆記勉強会

平成14年9月21日  


三田パソコン要約筆記勉強会「三田フレンズ」9月
<ケース発表&意見交換>

【1 / 発語の困難な方の発表の、入力と表示。】
【2 / 小学生への、文字情報保障。】



記/☆みやしたあけみ☆

♪連休初日にもかかわらず、多くの方々にお越しいただき、誠にありがとうございました。♪

日 時 / 平成14年9月21日(土)
場 所 / 東京都障害者福祉会館内 
進め方 / 今回は、「ご本人の発表」の所は、参加者全員で発表を聞きながら入力練習。その後の「インタビュー」や「意見交換」の時は、情報保障は担当者(スクリーン表示)に任せ、参加者の皆様は手を休めていただき、一緒に考え、意見を発表していただきました。


<ケース発表&意見交換>

【1 / 発語の困難な方の発表の、入力と表示。】

【ゲストとスピーチ内容】
@Hさん=「失語症」について、スピーチ。
・ご本人が“失語症(しつごしょう)”なので、原稿がないと“話し続ける事”はなかなか難しいのですが、今回はかなり細かく、話す事を予め紙に書いて来て下さったので、いつもよりとてもスムースに発表して下さったと思います。しかしとても緊張したらしく、物凄く汗をかかれ、発表中は、足がガタガタ、震えていました。
・尚、「失語症大会」など、失語症の方が集まる時にも、「文字情報保障」は付きます。これは、「聞こえのため」ではなく、「文字・漢字による、内容確認」のためです。いわゆる「要約筆記」ではありません。失語症の方々は「漢字」を「形」で覚えている事が多いので、あえて、要点だけを漢字で短く書き、互いに発言内容を確認していきます。この場合の情報保障は、「要約筆記者」ではなく、「S.T.(言語聴覚士)」が行います。
    
ATさん=「ピアカウンセリング」について、スピーチ。
・破傷風による四肢体幹障害のかたで、ストレッチャーに乗って、三田まで来て下さいました。
・往復の送迎は、Iさんのボランティアさんが、地下鉄を利用して行って下さいました。


【発語の困難な方の発表の、入力と表示で悩んでいた事】
通常、入力に際して聞き取りにくい時、「音環境」が悪ければ、『マイクを!!』とか、『入力者席に小さなスピーカーを準備して下さい。』とリクエストができますし、「健常者」の声が小さければ、『もう少し大きな声でお願いします。』とリクエストができます。リクエスト先は、「本人」であったり、「主催者」「司会者」「スタッフ」等、その時々の状況によります。勿論、リクエストできない事も、多々、あります。

しかし、『発語の困難なかた』が発表されている時、どのように入力したら良いのか、また、聞き取れないとき、『***』とか『(不明)』『(聞き取れません。)』と表示してしまったら、本人はどのように感じるだろう…と思い悩む事があり、今回、テーマとして、あげさせていただきました。


【今日のお二人からは、以下のようにご意見をいただきました。】
@自分の発言が聞き取れなかった場合、「***」と表示されても、仕方がないと思うし、気にならない。
A時間があれば、聞きなおしてくれて構わない。
Bでも、言い直しているうちに、何を言っていたのか、忘れてしまうかもしれない。(笑)


【入力の感想=担当者&参加者と、利用者(聴覚障害者)】
<Hさんのスピーチ>
◆入力者◆
@声としてははっきり聞こえていた。
Aゆっくり話していたので、入力しようと思えば打ててしまうが、話し出してすぐに言い換えをする事があり、そうすると結果として違った意味になる事があった。ゆっくり話しているのだからこそ、きちんと聞いて、要約する事が大切だと思った。
B失語症など、発語の困難な方の発言の経験は何回かある。集中力を必要とすると思う。
●利用者●
@途中で言い換えがあった場合、その言い換えを最初から入力するのか、まとめて入力するのか、2通りあると思う。自分の場合、「読む側」から言えば、ある程度聞き溜めて、入力してくれたほうが読みやすい。

<Tさんのスピーチ>
◆入力者◆
@声は聞こえた。
A「サ行」が聞き取りにくかった。
●利用者●
@「あのぉ…」とか「えー…」と言う言葉が、「文字」としてあまり入りすぎると、なかなか内容としてつかみにくくなる時がある。


【「***」について】
今回は、勉強会が始まる前に、情報保障のスクリーンに、<表示について:情報保障者が聞き取れなかったことばは、「***」と表示されます。>と表示していただきました。これについての質問です。
◆Q/入力者◆
聞き取れなかった時、「***」を表示する事はよくある。しかし、その時聞こえなくても、後になって、「あぁ、こういう意味の、こういう言葉だったんだ。」と、わかる時がある。その場合、どうしたら良いか。既にその時表示した「***」はスクロールされて、画面上にはない。
●A/利用者●
内容によるが、その言葉が話の中で重要でなければ追記する必要はない。しかし、その言葉がなければ、それに続くあとの話がわからないようであれば、出したほうが良いと思う。


【2 / 小学生への、文字情報保障。】

♪お子様ご本人が、楽しんで参加し、発表して下さり、積極的にインタビューにも答えて下さったのが、とても嬉しかったです。♪

【お子チャマゲストと、スピーチ&インタビュー内容】
♪二人とも、小学5年生。スクリーン表示の「パソコン要約筆記利用経験」があります。♪
@Mくん(人工内耳装用)=「ひまわり会」の紹介
AKちゃん(補聴器使用)=「ひまわり会夏合宿」についてお話

Q1/パソコン要約筆記を利用した時の感想は?
A1/もっと、漢字があってもよかった。絵文字(^o^)丿をたくさん入れて欲しい。

Q2/漢字は、どう?
A2/普通に読めるから大丈夫。(^_-)(小学5年生です。)

Q3/テレビを見る時は、字幕を出したり、機械(補聴システムのアクセサリ)を使ったりするの?
A3/文字を出す。
A3/家族に聞く。

A4/学校での授業は、どうしてる?
Q4/先生にマイク(FM)を付けてもらっている。

Q5/プールの時は?
A5/先生を良く見て、確認している。

●今日のお子様は、二人とも小学校の高学年でしたが、補聴システム(一人は補聴器、もう一人は人工内耳)を利用しての聴覚活用も、かなり良い効果が出ているお子様達だったので、インタビューは、口話で行いました。
●また、お子様の発言(発語)も、さほど、聞き取りに支障はなかったと思いますが、これは、私がこの二人との会話に慣れていて、一番近くで会話をしていたからかもしれません。
●スクリーン表示された文字に、チョットした入力ミス(平仮名1文字)があった時、大人は前後の文脈で意味がわかるので、そのまま受け止めていましたが、お子様が、「そこ、間違ってるよ。」と、“ポン!!”と発言されました。小学生と言えども、もう高学年になると、「スクロールしている文字」でも、かなり的確に読めるんだなぁ〜…と、実感しました。(勿論、個人差はあると思います。)
●今回のお子様は二人とも小学5年生。スクロールして行く文字を見る事に、不便さはないようでした。


【保護者へのインタビュー内容】
宮 下/仮に授業にノートテイクを付ける事ができたら、何かリクエストは?
保護者/文字だけが表示されていても、本人に意味が通じていないと思われる時、その意味を本人に「こういうことだよ。」と言っていただく事はできるのか?
参加者/経験として、1対1で中学生に対して、そう言う事をした事がある。小学生に対してはやった事がないのでわからないが、中学1年生に比較的近いかもしれないと思う。入力者は1名で、学生2名が見ている場合。二人の教科書を一度に、「ココ」と指さしはできないので、困る時はある。学校の情報保障はずっと打ち続ける必要はないと思う。ずっと打ち続けたら、生徒は文字を見続けなくてはならず、他の事ができなくなる。故に、それを考えながら、「打たない時は打たない。」、と考えて行う必要がある。
宮 下/お子様の学校、或いは、お知り合いの中で、「介護者」「支援員」を付けている人はいますか?
保護者/自分達は付けていないが、「支援員」を付けている人を知っている。それは、「難聴児だから」と言うのではなく、「体の不自由な子へ」という事で、今年はたまたま「難聴児」に付いたようだ。


【お子様への情報保障の注意点・感想】
@漢字変換。漢字の使用。
A改行、空マス、カッコ書きで(ふりがな)の挿入など、「見やすく、読みやすい画面」になるように。
Bひらがなだけを使用する場合、変換モードを「無変換」に設定する。万が一、クセで変換キー(スペースキーをおしても、「空マス」があくだけで済む。また、「無変換」に設定すると全く変換できなくなるので、「先生(せんせい)/」「/」「(^o^)丿」等は、「Fキー」登録しておき、変換しなくて済むようにしておく。
C絵文字を出したりすると、小さいお子さんがいる会場だと、その場で、歓声があがったり、「この漢字なんて読むの?」とか、そのつど感想が出るので、入力者としてはやりやすいが、逆にその会場には聞こえる兄弟の方もきていたので、文字を見て聞こえるお子さんと読みがなをみているお子さんと、差が出ないのかなと思った。
D「楽しい行事」の場合は、入力者も一緒に楽しませてもらう。しかし、情報保障は真剣に行う。
E漢字を「見て」、イメージで意味がわかる子供は多いが、実際に声に出して読ませてみると、意外と、間違った読み方をする場合がある。学校で習う漢字は決まっていても、「知っている漢字の数」は学年や子供一人一人により違うものである。

●「小学生への情報保障の体験談」URL●
http://www2u.biglobe.ne.jp/~momo1/sub1/akemizo2.htm
@小学1年生へのパソコンノートテイク【観劇鑑賞会:体育館】
A言葉の教室終了式【広い視聴覚室】
B小学生(難聴児)クリスマス会【広い会議室】


【3/参加者の感想(時間内に発表して下さったものです。)】

@滅多にないテーマだったので、とても勉強になった。
A子供に対する情報保障と言うのがイメージがつかめなかったが、参考になった。
B発語の困難な方の聞き取り入力など、迷った事もあったので、今回、参加できてよかった。
Cスピーチの内容にとても興味を持った。
D自分の地域にも「聞こえの教室」があると聞いている。
E現場は大変だと思うばかりではなく、一緒に楽しむ事も考えてよいと思った。
F「聞き取れない言葉」が出た時の参考になった。
G「情報保障」と言うと、大人の場合ばかりを考えていたが、子供にとっても必要性があることを改めて感じた。
H日頃、障害者とのつきあいがないので、いろいろな事が勉強になった。
I友達の中では、難聴で「親」になっていて、「子供が学校に通っている。」という事で、いろいろ悩みを持っている人もいる。今日とは逆の立場かと思う。学校が悩みを受け入れてくれる場所がない。ある所とない所もある。これから関わっていく中で、頑張りたいと思う。


【4/「9月」を担当した反省と、感想。】

♪今回、私自身は、「失語症」や「ピアカウンセリング」を知っていたので、「発語の困難な方が話す時の“入力練習のテーマ”」として、上記2つの話を、ゲストにお願いしていました。しかし、参加者の中には、この2つをご存じなく、この「スピーチの内容」に、とても興味を持ってくださった方が思いのほか多かった事に驚きました。

♪これを機に、「失語症」や「ピアカウンセリング」、「お子様への情報保障」についても考えたり、協力してくださる方が増えてくださったら、嬉しいと思います。

♪参加し、意見を述べてくださった皆様、わざわざお越しくださったゲストの方々。本当にありがとうございました。お陰様で有意義な勉強会ができたと思います。今後とも、アドバイスをいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

☆みやしたあけみ☆ akemizo@beige.ocn.ne.jp





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