人工内耳友の会−東海−
言葉の教室:修了式

平成14年4月

【ことばの教室:修了式】

以下は、平成14年3月に、ある「聞える小学校」の中にある、「ことばの教室」の「修了式」で、P.C.要約筆記による情報保障を行った後、「入力者側の反省・感想」「学校側の意見」「児童」「保護者」のご意見を伺い、再度、「学校&保護者」にお送りさせていただいた文書です。
ここの小学校の「ことばの教室」には、地域のいくつかの小学校からの「通級生」もいらっしゃいます。

長くてまとまりが悪いのですが、宜しければお目を通してみてください。
そして、皆様方のご意見、ご感想、或いは、「私の子供の小学校では、こんな形を取っている。」など、お教えいただけたら嬉しく思います。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
☆宮下あけみ☆  【E-mail】 akemizo@beige.ocn.ne.jp

***************************************

「ことばの教室」関係者の皆様へ。

こんにちは。「ことばの教室:修了式」で情報保障(パソコン要約筆記)を担当させていただきました、☆宮下あけみ☆です。2002年3月○日の情報保障は、私達4名(K・H・M・M)にとっても、とても緊張しつつも、素晴らしい経験をさせていただきました「修了式」でした。
本当にありがとうございました。

3月○日に「入力者としてのまとめ」を送信させていただきましたが、その後、「学校側」と「保護者の方」、「保護者を通しての、お子様からのご意見」、「入力者個人の意見」をいただきましたので、再度、「まとめ」として提出させていただきます。

皆様方のご協力、アドバイス等、ありがとうございました。
今後の私共の勉強に、活用させていただきたいと思っております。
 今後とも、よろしくお願い申し上げます。      
             ☆☆☆

***************************************

平成14年4月


☆ パ ソ コ ン 要 約 筆 記 ☆
「 こ と ば の 教 室  修 了 式 」


【事前打合せ=2月○日】

場 所 / 学校にて。 会場も拝見させていただく。
参加者 / 「ことばの教室」先生方、保護者会代表数名、宮下。
内 容 / 
・今までの様子のお伺い。 
・パソコンにかわった時の進行の予想。 文字の見え具合。
・実際にパソコンを開き、見ていただき、システムをご説明。
・進行内容、表示位置、文字、漢字の使い方、「聞き取りフォロー」等について話し合う。


「事前打合せ」の感想 

まず保護者より、「修了式にパソコン要約筆記をつけたいのですが。」とご相談をいただく。
その後、2月○日、保護者の方々と学校へ。

今までの様子のお話をお伺いする中で、私が一番心配した事。
「先生方は、お子様に対する、一番良い情報保障の方法をご存知で、常に実践されている。
保護者の皆様方は、毎日の生活の中で、お子様に接し、何が良い方法かおわかりになっている。その両者である学校の先生方と保護者の皆様が、今まで、お互いの信頼関係のもと、力をあわせ、情報保障をされていた。その中に、私共、外部のものが、方法も新たに入り込む事によって、支障はないのだろうか?お子様への情報保障は、今まで同様に“使えるもの”になるのだろうか?」

しかし、諸先生方のご理解と、保護者の皆様のご協力のもと、「パソコン要約筆記を取り入れる。」とご回答をいただき、本番に望む。


【修了式当日=3月○日 リハーサル→児童練習→本番】

場 所 / 視聴覚室
参加者 / 児童、教師、保護者、来賓。


修了式当日の、感想と反省 /

・ 学校側より多くの事前資料の提示、電話やメールでの、詳細な連絡。
・ 当日は、午前中のリハーサルに同席。
・ 「会場」にて、事前チェック、打ち込み等の作業、発言者の声の速さ、大きさ等の確認等ができた。


【漢字&(ふりがな)の付け方】
・事前原稿がいただけたものに関しては、「漢字(かんじ)」と表記。
・この場合、フリガナのカッコは、半角小かっこ。( )

【(ふりがな)を付ける時と、平仮名にした所】
 ・「リアルタイム入力」と「前ロールで短く単語ごとに表出していく場合」は、ソフトの関係上、「漢字の上にルビ」をつて、言葉を次々につなげて表出する事ができない。 
そのため、<同(おな)じ 行(ぎょう)で、このような形(かたち)で 表出(ひょうしゅつ)されます。>。
しかし、あまり、(ふりがな)が多くなると、目障りで、かえって読みにくくなる所もあるので、こちらの判断で、いくつか、「ひらがなだけ」にさせていただいた所が、かなりあった。
また、それに伴い、「ひらがな」が多くなる。すると、さらに読みにくくなる時もあるので、区切りのよい所で、「句点(、)」とは別に、「半角スペース」を入れた。 

・「半角スペース」を入れたのは「事前原稿」に対してだけで、「リアルタイム入力」では、「全角スペース」で対応。

(例)原 稿 / 同じ行に、このような形で表出されます。
加工後 / おなじ行(ぎょう)に、このような形(かたち)で 表出(ひょうしゅつ)されます。
          ↑思い切って「平仮名」に。 ↑「半角スペース」をあける。


【フォント(字の形)について】
・今回は、「丸ゴシック:太字」を利用。
学校の式典なので普通の「MSゴシック」にしようか悩んだが、対象はお子様であり、やわらかく、文字表示に親しんでいただきたいと思い、「丸ゴシック」で表出。


***********************************************
【全体を通しての、反省と感想】
 
今回、「ことばの教室:修了式」に、パソコン要約筆記をご利用いただき、誠にありがとうございました。保護者のかたよりご相談をいただきました時、小学生への情報保障の機会というのは数が少ないため、私共も勉強させて頂きたいと思い、「是非、お伺いさせていただきたい。」と、喜んで、お受けさせていただく旨、お返事させていただきました。
その結果、学校側としても、パソコン要約筆記を受け入れてくださいました事、とても感謝しております。ありがとうございました。

2月の打合せの時から直前まで、諸先生方、保護者の方々の皆様にご協力いただき、密に連絡を取り合って下さいました事は、本当に助かりました。

 今回、利用されるお子様の学年が1〜6年生と、とても範囲が広い事は事前にわかっておりましたので、「とにかく、漢字の表示方法と表示文字数に気をつけよう!」と、入力者全員に事前に連絡を取りました。「漢字表示方法」は、「平仮名を多め(学年別漢字配当表3年生程度)」、「リアルタイム入力では、文字数に、わかりやすい要約を心がける」というものでした。
 …と、心積もりはあったものの、先生方からご覧になって、もどかしい所もあったかと思います。
何卒、ご了承くださいませ。

 「漢字(かんじ)」と言う振り仮名と、リアルタイム入力時の平仮名の多さには、先生方も、「読みにくいんじゃないかしら…。」と思われた面もあったかと思います。 しかし、以前、ご利用いただいた難聴児の保護者のかたが、
 「わかる事が大切なので、平仮名だけでも良い。」
と言って頂けた事をありがたく受け止め、リアルタイム入力では、「平仮名多め」で、表出させていただいております。


 私が当初、気にかけておりました、
「今まで、学校の先生方と保護者の皆様が、お互いの信頼関係のもと、力をあわせ、情報保障をされていた。保護者からの依頼とは言え、その中に、外部のものが、方法も新たに入り込む事によって支障はないのだろうか?」
という点。 これは、全くの私の思い過ごしであった事がわかりました。 
そして、常日頃の、皆様の信頼と連携が、今までも修了式を作り上げてきたんだな…と、改めて感じました。


 また、他の入力者より、反省や意見も出ております。
【入力者より】
・「お子様の言葉を、先にスクリーン表示」した事について=「あらかじめ文字が出ているものを読む」しかも「ひとりずつの文章が全部出ている」というのは、発表する小さなお子さん達のストレス軽減に役立つばかりでなく、大人も何度もそのお子さんの発表を文字の上でも味わえるという副産物もあって、とてもよかったと思います。
・大人が話しはじめると、どうしても速度的なものと、用語的なものから漢字の多用が多くなってしまいました。「ひらがな」を多く打ち出すのは、思いのほか、時間がかかる。 平仮名が続くと読みにくくなるため、所々「スペース(空マス)」を入れたのだが、入れるタイミングを間違えると、漢字に変換してしまうからである。
・将来、情報保障を担ってくれるお子さまがいらっしゃいますように…。

 以上、感想と反省等を記させていただきました。


パソコンで表示されたものは、聴覚障害児・者だけのものではありません。 その場にいる多くのかたが一緒に共有できる情報保障だと思います。 利用者・入力者のみなで、より良い情報保障が作り上げられたら素敵だと思います。 そして、お子様達も、もう少し大きくなったら、このような「パソコン要約筆記」「情報保障」があった事を思い出し、気軽に利用していただけるといいなぁ〜…と。

お子様へのパソコン要約筆記情報保障は、単にその場の通訳としての情報保障だけでなく、「こういう文字情報、情報保障の方法もあるんだ。」という事を、体験していただく機会であるとも思っております。 
将来、自分が高校・大学・社会人となった時に、「そういえば、パソコンで文字を出す方法を見た事があったなぁ…。」と思い出していただき、自ら利用する、或いは、自分達で私たち入力者を育ててくださる…。そう言うお考えを持って下さったら、嬉しいと思います。

 最後に、終了後、私から質問させていただいた内容に対する学校側のお答えと、利用してくださった児童・保護者の方からのご意見を抜粋させていただきたいと思います。

 学校として、今回の「修了式」をきっかけに、「文字情報保障」と言うものについて改めてお考えいただき、その後の「式典」や「学校行事」等に、教職員による「手書きorワープロ等での文字情報保障」が付く事になった事は、私たちにとっても、この上ない喜びの1つであります。

********************************************************
本当に、素晴らしい機会を与えて下さり、ありがとうございました。
私達も、とってもとっても楽しかったです。
*******************************************************

☆宮下あけみ☆ 【E-mail】 akemizo@beige.ocn.ne.jp


【学校側より】

@ 難聴児童ばかりでなく、出席者全員にとっても、情報が確実になった。
A 低学年の児童も、よく読んでいた。
B 児童が前を向いて、顔を上げて発声できるよう、児童の発表(数行の言葉)を先にスクリーン全文表示し、それを読み上げる方法を取った。(学校依頼による。)それにより児童は、落ち着いて話していたが、心持ち早めに原稿が出ても良かったかもしれない。
C 書体(丸ゴシック)や大きさも妥当だったと思う。
D 式前の教師の言葉や、子どもの声も打ち出してくれて、良かった。
E P.C.要約筆記をはじめて取り入れたせいか、スクリーンに注目ばかりして、聞こえる子も、話者を見ていない子が多かった。
F 今後、「学校全体への働きかけ」と、「自分達で行える情報保障を更に実践して行こう」と、改めて思った。


【子どもの感想】
 ※この「ことばの教室修了式」に参加した児童は、1年生〜6年生まで、約50人でしたが、その中で、難聴児童は4年生〜6年生。 その難聴児童の感想と、保護者の方々からのご意見等です。

<4年生>
・文字が前に映っていたけれど、字が小さくて見にくかった。聴き取れない時に文字があって良かった。
・絵文字を出してくれたらもっと良かったと思います。文字が出たから分りやすかった。
・文字が出たから分りやすかった。話が良く分かった。読みやすかった。コンピューターとつながってい
て凄いと思った。
・私は分からない所が沢山あったけど、パソコンのお陰で分かりました。でも、私は絵文字も出してくれ
たら良かったと思います。<^0^>。
・漢字があって良かった所もありますが平仮名が沢山まじっていて、ちょっと読みにくい所もありました。

<5年生>
・とても分かりやすかった。パソコンの字の方が手書きより良かった。少し動きが速かったので目が疲れた。漢字もふりがながあって読みやすかった。(もう少し漢字が入っても良かったかな。)前の人の背が高くて見えない所があった。
・文字の動きが速かった、もう少しゆっくりなら良かった。
・自分は聞いていても分かるけど、耳の悪い人は聴きにくいから画面に文字が映っていた方が良いと思う。どうやったらあんなに速く打てるの?

<6年生>
・修了式の時、分かりやすくパソコンを打って下さってありがとうございます。そんな方を見て頑張っているなあと思い私ももっと頑張らなくてはと思いました。ずっとこの仕事を頑張って下さい。教えてくれてありがとう。


【保護者の感想】

・今後も是非続けて行きたいと思います。別の機会でもお願いできるといいと思いながら見ていました。   
・画期的でした。特に先生方や来賓の方に見て頂いた事が、今後の活動に役に立つと思います。事前に機械や流れを見せて頂けたら良かったです。
・パソコン要約筆記導入は本当に画期的でした。来賓の方々、参加して下さった先生方にも「パソコン要約筆記」や難聴児にとっての文字表記の必要性、大切さが少しでも解って頂けたのではないかとも思います。
・PC要約筆記というものがあることを知る、このような情報保障があることを知る、望んで良いことを知るという意味でも大きかったと思う。
・パソコン要約筆記による情報保障はとても良かったと思います。難聴の子にはもとより、聞こえる人にとっても情報が流されずきちっと受け止められたように感じました。
・リアルタイムに要約筆記されているのに感動しました。活字で読みやすく、子供に向けての漢字、読み仮名も配慮されていて良かったと思います。全校で行われる朝会等でも情報保障があると良いなと感じました。
・難聴の子供たちだけでなく、健聴の子供たちもとても興味を持ってくれてよくスクリーンを見ていた。
・パソコン要約筆記は、リハーサルで合わせる時まで少し大変だと思いましたが、難聴の子にとって、こんなに100%に近い状態で理解して参加できると言う事は、他の場ではないと思うので(いつも聴こえないからと諦めている部分が多いので)とても良かったと思います。とても見やすかったです。
・これから、大人になるに向けて、いろんな手段があるし、聴こえないからと諦めずに(高校、大学でもパソコンのノートテイクなどもあるようなので)知ってもらう意味でも良かったと思います。
・要約筆記は画期的でした。ことばのクリスマス会や全体交流会などでもこういうふうに出来るといいのですが。通常学級の授業もこうやって通訳してあげたいです。
・話しを聞きながら要約筆記する所を見ていませんでしたので分かりませんが、パソコンで打ち込んで行くのは見やすくてきれいでした。私が実際やらせて頂いた時は、それはとても難しくて子供達に正確に伝える事ができませんでした。大切な修了式の場面だっただけに、今も心に残念さが残っています。ただ、原稿が出来上がっているのであれば従来どおりお母さんたちで、やっていけると思うのですが…。
・式などは聴こえる私でも話が長くなるとボーッとしてきて何を話しているのか聞いてなかったりしますが、目で見る事で話の内容も良く分かります。
・親がPC要約を見て満足というよりも、子供たちが見て、内容がよくわかった、満足ということが何よりも大事だと思う。
・娘は○年生なので平仮名が多く読みにくさを感じていたようです。
・子供の感想の中に目が疲れたと言う言葉が幾つかあり、目と耳で追っている私達より目が疲れるのですね。改めて認識させられました。
・個人的にはゴシック文字に慣れていないせいか、読みにくいと言うより、慣れてないかな?…と言う感じでした。
・式終了後、中学校の先生、教育委員会の方々との歓談の席で要約筆記のことが話題になり皆様、初めて目にするとの事でした。改めて、聴こえないと言うことをお考えになって下さっているようでした。今後の情報保障の普及に良き提示となったと思います。
−以上−



メールはこちらへ

各種情報メニューへ