人工内耳友の会−東海−
筆談ホステスこと「斉藤里恵さんの特集部分」

2010年8月

【文字版】TBSテレビ「ひるおび!」内


【文字版】 制作&配信 ☆宮下あけみ☆
【協 力】 人工内耳友の会 [ACITA(アシタ)]


■皆さまへ■

2010年8月12日(木)TBS系列全国ネット「ひるおび!」の中で放送されました、筆談ホステスこと「斉藤里恵さんの特集部分」(0:56〜1:07の11分間)の【文字版】を作成いたしました。

「聞こえてくるもの」を「文字化」させていただきましたので、会話もそのままです。また、聞き取りにくい声や音は、自分に聞こえたまま打たせていただきました。不明な点は、「+++」と記しております。

【制作・著作権】は、【TBS】様です。
聴覚障害者の方々がこの番組を視聴なさる時は、ご活用下さいませ。

この文字版は、私、宮下が個人的に作成し、掲載していただいているものです。

最後になりましたが、【文字版】として文字化する事に対しご相談に応じてくださった【TBS】様、情報をいただきました【光文社】様に、心から御礼申し上げます。本当に、ありがとうございました。

尚、【文字版】に対するお問合せ、ご意見、ご感想がございましたなら、宮下まで、直接ご連絡下さいませ。
今後とも、宜しくお願い申し上げます。


≪新刊著書(光文社)≫
「筆談ホステス 母になる ハワイより61の愛言葉とともに…」
斉藤里恵/著
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334976248


<文字版制作&配信> ☆宮下あけみ☆
【E-mail】 akemizo@beige.ocn.ne.jp



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2010年8月12日(木)TBS系列全国ネット「ひるおび!」内
「筆談ホステスこと斉藤里恵さんの特集部分」(0:56〜1:07の11分間)
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<0:56>

ナレーション/
まだ慣れない様子で我が子をあやしている女性。
斉藤里恵(さいとう・りえ)さん、26歳。
彼女は両耳が全く聞こえない聴覚障害者でありながら、筆談というコミュニケーションで銀座でナンバーワンにまで上り詰めた売れっ子ホステス。

著書「筆談ホステス」をはじめとするシリーズは、累計で39万部以上を売り上げるベストセラーに。
今年1月には、北川景子さん主演で彼女の半生がドラマ化。

耳の聞こえない彼女が妊娠。
ハワイでの出産。
さらに、出産後はじめての里帰り。その時、お母さんは…。
「母(良子さん)/おめでとう」

シングルマザーとして子どもを育てる決断をしたわけ。
「ひるおび!」のカメラにだけ語ってくれました。

彼女の両耳は全く聞き取ることができません。
そのためインタビューはノートに質問を書き、それを里恵さんに渡す形で行います。

スタッフ/名前を教えてもらえますか?

里恵/栄万(えま)と言います。

ナ/里恵さんは出産を迎えるにあたって、障害者対するケアが整っているというハワイで産むことを決めました。

里恵/不安もありましたが、なによりチャレンジしてみようという気持ちが強かったです。

ナ/そして6月24日(現地時間)、2645gの元気な女の子、栄万ちゃんを出産。
保育器の中の栄万ちゃんを、優しい表情で見つめる里恵さん。
「里恵/栄万!」

(テロップ:栄万ちゃんが生まれた時は?)
里恵/すごく胸がいっぱいになり、すごく心が温かくなりました。
これからは一人でなく、この子と楽しい人生を送ろう、
「これからよろしくね」って、心から伝えました。

ナ/筆談でのインタビューの途中、突然泣き出してしまった栄万ちゃん。
ところが里恵さんは耳が聞こえないため、気づくことができません。
それをスタッフが伝えると…。

スタッフ/里恵さん、(赤ちゃん)“ギャー”。
(身振りで泣いている様子を伝える)
(里恵さんが軽く乳母車を動かすと、栄万ちゃんは泣きやむ)

ナ/里恵さんはどのようにして、普段、栄万ちゃんの泣き声に気づいているのでしょうか?
その秘密は、里恵さんの腕についている、この時計のようなものにありました。
栄万ちゃんが泣くと、時計には『コール』の文字が。
栄万ちゃんの脇にある機械が、泣き声を振動として里恵さんに伝えていたのです。

スタッフ/この子を絶対に産もうと心に誓ったのは、どんな時でした?

里恵/妊娠がわかったその時からです。
妊娠が分かったとき不安もあったけれど、私を助けに産まれてくる天使のように思ったからです。
生きる希望がわいてきました。

ナ/そんな彼女の半生とは、どのようなものだったのでしょうか?

1984年、青森市に生まれた里恵さん。
1歳10ヶ月のころ髄膜炎(ずいまくえん)にかかり、生死の境をさまよったという里恵さんは、この時、両耳の聴力を失いました。
両親は、耳が聞こえない分、いろんなことができるようにと、厳しく習い事をさせました。
その反発から思春期には非行に走り、“青森一の不良娘”と呼ばれるほどに。

やがて、地元青森でホステスになった里恵さん。
そして、東京に憧れ銀座のホステスに。

里恵さんの接客は筆談。
相手が話しているときは口の動きを読みながら、内容を理解しているのです。
彼女が銀座でナンバーワンになれたのは、この筆談のおかげでした。

|(2009年11月の映像)
|お客/あ〜、クイズか。
|里恵/筆談クイズを出しても良いですか?
|   愛とは何を受けるでしょう?

ナ/問題。「愛とは何を受けるでしょう?」
皆さんは、おわかりになりますか?

|(2009年11月の映像)
|お客/**
|里恵/あたり!
|別のお客/あぁ、さすが! これはスゴイ!

ナ/答えは、「心を受ける」と書いて“愛”。
この絶妙(ぜつみょう)な言葉遊びを織り交ぜる筆談での接客が、彼女の魅力なのです。

栄万ちゃんの父親との出会いは数年前。
里恵さんの障害を含め、全てを受け入れてくれた男性だったと言います。
自信の著書の中で、このように話しています。

|『筆談ホステス 母になる』から
|彼が私に言ってくれた言葉は、今でも忘れられません。
|「僕が里恵の耳になる』

ナ/交際は順調に進んでいました。
そして去年、里恵さんは自叙伝『筆談ホステス』を出版。
すると一躍(いちやく)、時の人に。
多忙な日々が続き、彼とはすれ違いに。

|『筆談ホステス 母になる』から
|彼と電話をしていると思しき女性を見るだけでうらやましく、
|悔(くや)しくてたまりません。
|もしかしたら彼も、「里恵を電話できたら…」と
|思っているかも知れないと思うと、
|申し訳ない気持ちでいっぱいでした…
|「健常者なら…」
|「私の耳が聞こえたら…」

ナ/結局、交際していた男性とは破局を迎えることに…。
その後ほどなくして、妊娠が発覚したのです。
妊娠したことを男性に伝えると、
「一緒に暮らそう」と言ってくれました。
でも、彼女の選んだ道は、シングルマザーでした。

里恵/妊娠がわかったとき、既に別れていましたし。
よりを戻すことも考えなかったからです。
それに、相手の方にも迷惑をかけたくないという思いから
シングルマザーになることを決断しました。

スタッフ/シングルマザーとなることに、不安はありませんでしたか?

里恵/勿論、いろいろな不安がありました。
父親もいなくて、その上、母親の耳が聞こえない。
言葉をどのように教えていこうかなど。
でも今まで、耳が聞こえないから無理だと言われても出来たように、私なりの子育てもあるはずだと思いました。

ナ/しかし里恵さんの母親は、娘の妊娠を素直に喜ぶことはできなかったと言います。

里恵/母は、「耳が聞こえないのに、一人でどうやって育てるの?」と、子どもができた喜びよりも、私のことや子どものことのほうが心配だったのだと思います。

ナ/そんなとき、里恵さんを大きく後押しする素敵なことがおきました。
それは…。

里恵/最初のときは1回ぐらい、“ポン!”という感じだった。

ナ/里恵さんのお腹の中にある新たな命。
胎動(たいどう)。耳が聞こえない里恵さんに、確かに聞こえたのです。
これは里恵さんがはじめて感じた“音”でした。
改めてお腹の子の存在を強く実感させられた瞬間でした。

そして昨日、母親となってはじめて故郷の青森に帰ってきた里恵さん。

スタッフ/誰に会わせたい?

里恵/おかあさん、おとうさん、おばあちゃん、おにいちゃん

ナ/すると…

(海辺の公園。乳母車の中で泣く栄万ちゃん)

母/おめでとう

ナ/里恵さんのお母さんにとって、栄万ちゃんは初孫。
栄万ちゃんとは初対面でした。

|母/しっかり見てるよ。
|祖母/しっかり見てるね。

|母/大変だった? お産。 お産、大変だった?
|里恵/安産だった。
|母/安産、良かった。お母さん、安産。

母/かわいいですね、良かったです、無事に産まれてくれて。

スタッフ/子どもが産まれて、自分の中で変化したものはありますか?

里恵/今まで一人で育てるとか、そういった意志よりも、まわりの愛情を受け入れながら育てたいと言うふうに、考え方も心も持ちようも柔らかくなったかなぁと思います。

スタッフ/里恵さんにとって、子どもを育てるというのはどういうことですか?

里恵/育児=育自(いくじ)。自分を育てることでもあると思います。
子どもに鍛えられていると思います。

<1:07>

・・(ここまで)・・


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【文字版】制作 ☆宮下あけみ☆  akemizo@beige.ocn.ne.jp
      協力 人工内耳友の会 [ACITA](アシタ)
      掲載 人工内耳友の会「東海支部」
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