人工内耳友の会−東海−
あったらイイナ!「ケータイ」字幕の試み

2009.06
■ITBC自宅常時接続PCで入力
  →auケータイEZweb(ブラウザ)へ■
〜あったらいいナ!
        「ケータイ字幕」の試み〜


こんにちは。☆みやしたあけみ☆ akemizo@beige.ocn.ne.jp です。

2007年11月。東京&埼玉のインプラキッズ達に実験に協力してもらい、杉並区立杉並第十小学校の6年生の前ではじめてお披露目された、ITBCとIPtalkを使ったPSP字幕クン
その後、宝塚を観劇したり(もう3回も!)、いろんな学校の入学式や卒業式に行ったり、各地で使われるようになりました。小さなPSP字幕クン、大活躍です。

ソフトとしてのITBCとIPtalkはホップ・ステップ・ジャンプ!と急成長。
大学や企業と協力して、本格的な遠隔通訳が可能になりました。

そんな中、ちっちゃい希望だけど、大きな期待。
「自宅の常時接続のパソコンから入力した文字が、ケータイの定額プランのブラウザで見れたらなぁ…」

お〜っと! 願いは通じるモノです!
方法や機種は制限されますが、家の常時接続のパソコンからITBCを通してケータイ電話のブラウザに字幕が送れるようになっていました!

【2009.05.16(土) ITBC→ケータイ字幕】



【こんなときに、どう? ケータイ字幕】

@テレビの緊急ニュースや緊急記者会見で、リアルタイム字幕が付いていないとき
利用者が「誰かテレビ見てる?」と発信。
自宅にいる入力者がテレビを見ながら、ITBCで入力→ケータイへ配信。

A事前に通訳を依頼するほどではない、買い物中でのちょっとした説明や、タクシーの運転手さんとの会話
お店に買い物に行ったとき。店員さんは1つ1つの商品を物凄く詳しく説明してくれますが、それを「書いて下さい」とはなかなか言い出しにくいモノ。
そんなとき、店員さんの声を家にいる入力者に送り、入力者は自宅でITBCで入力→利用者のケータイへ字幕を送る。
※字幕が表示されるケータイとは別に、入力者に店員さんの声を送る方法・電話等が必要です
※自分の話は自分で伝えていただく形になります

B聞こえない両親のお子様が、真夜中の急な発熱で病院へ。
病院への個人派遣はもちろん行われています。
しかし、子どもの急な発熱などは、いつ何時おこるか分かりません。
もちろん、お医者様も看護師さんも、聞こえないご両親にわかるように絵を描いたり筆談したりと、丁寧に対応して下さるのですが、念のため、ケータイ字幕でも表示。
※字幕が表示されるケータイとは別に、入力者に医師・薬剤師等の声を送る方法・電話等が必要です
※自分の話は自分で伝えていただく形になります
※現在、病院内では、決められたエリア以外でのケータイ電話の使用は禁止されています

C通訳者への感染が心配される、病院での通訳。
どんな場合にも、通訳は利用できるもの。
しかし、利用者として、「通訳者へうつしてしまうのでは…」と心配するのは、とっても気が重いものです。
かといって、感染のおそれがある病気では、医師も看護師もマスクをしているので、口の形が読みとれない…。
そんなとき、医師の説明を在宅入力者に文字化してもらえたら…。
※字幕が表示されるケータイとは別に、入力者に医師・薬剤師等の声を送る方法・電話等が必要です
※自分の話は自分で伝えていただく形になります
※現在、病院内では、決められたエリア以外でのケータイ電話の使用は禁止されています

D電車の事故や乗り継ぎ連絡等の車内放送
電車が止まったことは分かる。でも、その理由やその後の乗り換え連絡が聞こえない。
振り替え情報がトレインビジョンに表示され巣までは時間がかかる…。
そんなとき、車内放送を入力者に送って、内容をケータイに表示してもらえたら…。
※字幕が表示されるケータイとは別に、入力者に車内アナウンス音声を送る方法・電話等が必要です


【ケータイ字幕を見た感想と期待】

5〜6月にかけて「ケータイ字幕・実証実験」にご協力いただいた方々の声をまとめました。

@宇都宮からの新幹線できちんと見られましたよ〜 o(^▽^)o
すごいですよね、これ!
できることなら、例えば電車に乗っている時など、「今放送があるのはわかるけど内容はわからない!」というときに、私の携帯から入力者さんに電話発信して放送を聞いてもらい、リアルタイムで字幕を送ってもらえるようになると、もっといいですね!

Aタクシーの運転手さんとの会話で使えたらいいナ
●タクシー乗車時の運転手さんとの会話を通訳してほしいな〜なんて思います!
仕事で出かけるとき、会場までタクシーを用意されることも多いのですが、聞こえる人は運転手さんからいろんな情報をもらえますよね。観光地やオススメのお土産やおいしいお酒やら。
友人はいつもそうやって、「土地の情報はタクシー運転手さんから」教えてもらっているとか。
そういう話を聞くと、往復タクシーに乗っているのに、なんだかもったいないと思うんですよね。

●タクシーに乗ると、運転手さんがいろいろ話しかけてくれますよね。
話しかけてくれていることはわかるのですが、何を言っているかはわからないので、「私、耳が聞こえないんです」と言うしかなくて…。
運転手さんに「書いて下さい」とは言えないですしね。
運転手さんはどんな話をしてくれているのか、いつも聞きたいと思っていました。

B字幕を保存して読み返せるといいね。
ちょっとした説明(の文字通訳)だからこそ、立ったままだったりと、ケータイ字幕を見ながらではメモがとれないもの。
ケータイに表示された字幕がそのまま保存でき、あとで読み返せるといいですね。

C移動可能なのが、うれしい!
●数時間のうちに利用者が移動していても、音さえ送れば、いつでも字幕を送ってもらえるという安心感がいいと思います。
また、移動中は通訳が不要の時も多いので、「ポイントポイントで10分ずつ」みたいな時にも、通訳者さんを長時間拘束することないケータイ字幕はいいなと思います。

バス旅行では、移動中のバスの中のガイドさんの説明も聞きたい!
でも揺れるバスの中で書いたりパソコンを打ったりしてもらうと、協力者さんが乗り物酔いをしてしまうかも…。
そんなとき、離れたところで文字にしてもらえると、私も安心です。

D飲み会で、協力者に気兼ねしないで飲める!
講演会のあとは、「飲み会」や「交流会」があったりすることが多いです。
講演会には情報保障がありますが、「飲み会」では、そこに参加している仲間や隣に座った人が書いてくれたり。
そのおかげで私も楽しめるのですが、話が盛り上がれば盛り上がるほど、書いてくれている人に、「面倒をかけて申し訳ないなぁ…」と思ってしまいます。
でも、ケータイ字幕であれば、入力者はその場にいないので、入力してくれている人に感謝はしても「申し訳ない」という気持ちは持たないので済むのではないでしょうか。

私は手話が使えないのですが、「飲み会」でも手話を使う人へ手話通訳している聴者は、みんなと一緒に笑ったり、時には自らも冗句を言ったりしながら“一緒に楽しんでいる”という雰囲気があります。
しかし私のように「書いてもらっている」と、書いてくれている人は黙々と下を向いて、「私のためにひたすら書いてくれている」という感じで…。
その人だって、自分自身が交流したいと思って、飲み会に参加しているわけだし。
書いてくれている人の気持ちはとてもありがたいのですが、やはり、みんなも私も気兼ねなく「飲み会」で盛り上がりたいですよね。

Eコンサートで、大好きなアーティストのトークを聞きたい!
大好きなアーティストのコンサートに行っても、トークを聞くことはできません。
そんなときケータイ字幕があったら、もっともっと楽しめると思います!

 by Haruka.S


【話者が固定されている場合の通話用マイクに、「インコア」】

5月下旬、docomo手話サークルの飲み会に参加したKDDI手話サークルの方から、「インコア」というイヤホンマイクを使って私のケータイに音声を送ってもらい、それを自宅で聞きながらケータイ字幕の実証実験を行いました。

私は運転中の通話に使っている普通のイヤホンマイクで声を聞きながら入力していたのですが、この「インコア」からの聞こえは、とても聞き取りやすかったです。

【インコア】 http://www.incore.jp/products/index.html (概要紹介「3」より)
「伝えたいことだけを伝えられる インコアの高性能防音マイク機能」
|内蔵されたマイクで「耳の中の音」だけを集音。
|周囲の騒音は伝えないので、小さい声でも相手にはっきり伝わります。
|また、骨伝導とは違い、振動などの不要な音は伝えないので、明瞭度が上がり、
|すべての言葉をはっきりと相手に伝えることができます。

「飲み会」ですから、周りはとてもにぎやか。
でも、インコアから聞こえてくる音声は、「えっ? 周りがうるさくて、聞こえないよー!」とはなりませんでした。
もちろん、大きな笑い声とか、騒がしいところなんだな…というのは聞こえてきますが、話者の声はとてもクリアに聞こえてきます。

続けて、インコアを使わないで話してもらったところ、「あ、こんなににぎやかだったんだ。そりゃ、そーだよなー。飲み会だもん。(^_-)-☆」と実感したぐらいです。

今、授業でFMを使っている場合。
先生はヘッドセットマイクやピンマイクをつけて下さっていますよね。
これと、「耳にインコア(イヤホンマイク)(→ケータイ電話はポケットへ)」を併用して下さると、難聴児へはFMで音が、別の場所にいる入力者にはインコア→電話(通話)で音声が、それぞれにクリアに送っていただけるんじゃないかな…と思いました。

また、家電量販店など、店内で常に大きな音量で、宣伝や音楽が流れている中での「店員さんの説明」を入力者に伝えるときにも、インコアは便利だと思いました。

「インコア:騒音環境下での音声サンプル」
http://www.incore.jp/products/sample.html
|A:インコア  B:一般イヤホンマイク  C:騒音環境
|録音場所→パチンコ店店内(87dB) 印刷工場内(90dB) 高架下(100dB)


【ソフト「ITBC」と、ケータイ(画面・照明時間・バッテリー等)】

ITBC http://www2.wbs.ne.jp/~condle/Home.html



ITBCを開くと一番最初に、入力や配信先等を聞かれます。
その中の「その他への配信『携帯電話へ』」(6/17現在)をクリック。



すると「設定の問い合わせ」が出てきます。
デフォルトでは、「1行の文字数」は「9文字」になっています。

これで“とりあえず”のケータイ電話に送るためのフォーマットはできているので、あとはITBCの「入力W」を出し、「通信ON」で入力→送信が始まります。
しかし、ケータイ字幕を見ていただく人(ケータイ字幕受信者)を限定したいので、その場合は、ITBC右側の「設定→ネットワーク→簡易セキュリティー」で、【ユーザー名】と【パスワード】等を設定してください。

●一方、受信するケータイ側は、ITBC入力者から指定されたURLをクリックし、必要に応じて、指定された「ユーザー名+パスワード」を入れて、「OK」を押すだけ。
パソコンで入力された文字が、そのままケータイに字幕として出てきます。



利用者が一人の場合は、その方のケータイ画面に合わせて、ITBCのほうで「1行の文字数・文字の大きさ・1画面に表示する行数」などを設定するとよいと思います。




@1行に表示できる文字数は個々のケータイにより違う。
個人へのケータイ字幕であれば、その人のケータイ画面に合わせればよいのですが、「テレビの緊急ニュース」のように複数の方々(ケータイ)に配信する場合は、単語毎に表出するより、「ある程度まとまった状態(文・長さ)で表出するほうが、見やすい」というご意見が多かったです。

Aケータイの照明時間とバッテリーの消耗
最後にケータイのボタンを押してから、ケータイ画面(ディスプレイ)の明るい状態が続くのは、個々の設定により違います。
ケータイ字幕を受信するだけであれば、「微灯」で十分見ることはできますが、この「微灯設定」も私のケータイ・W61CAでは最長で「120秒」。(機種により違います)

バッテリーを長く持たせるために、照明時間(微灯時間を含む)を短く設定している人も多いと思うので、「見ているうちに画面が暗くなる・画面が真っ黒になって消える」という人も多いと思います。
しかし、画面が暗くなっても字幕は出続けている(自動更新されている)ので、「暗くなった」と気づいたら何かのボタンを押していただければ、また明るくなって、字幕を読むことが出来ます。

ただ、「常に自動更新」している状態なので、バッテリーの消耗はかなり早いです。
バッテリー自体消耗品なので、買ってからの年数や、日常どの程度使っているかにより「持ち時間」は違いますが、あまり長時間続く講演会などよりも、今の状態であれば、ちょっとした通訳や、緊急時に使うほうが、適していると思います。

なお、画面全体を更新していますが、画像や音楽と違い文字情報だけなので、思ったよりも少ない通信量だそうです。(更新の頻度や個々の契約方法により、パケット代等は違ってきます)


【これからに期待して o(^_^)o】

我が家のケータイは、みんなau。(W61CA・W53CA ・W52CA・W52H)
ITBC作者の森さんのケータイもau。
その後も試しに見てもらっていた人達も、たまたまauで。
「おぉ〜、めでたし。めでたし!o(^_^)o」と思っていたら…。

2009.05.20(水)に行った、入力者仲間への実証実験で、
docomoなんだけど、自動更新しないよ(自動的には新しい字幕は出てこないよ)」って。

へ? そうなの? (@o@)

その後、いろんなメーカーや機種のケータイで見てもらったところ、docomoは自動更新せず、auやSoftBankでも新しい機種では自動更新しないことが分かりました。
(その後、改善されたものもあります)

「自動更新する」ということは、リアルタイム入力の字幕が、通常のパソコン文字通訳同様、見ているだけで新しい字幕が出てくるというものです。
これは、何もしなくても新しい字幕(情報)がどんどん出てくる状態→ケータイが自動的に常に新しい情報を読み込んでいる→パケット代が上がっていく…ということなのです。

ケータイ電話の契約をするとき、「定額制」にしていれば、ある程度のパケット数になると頭打ちになり、「定額」以上の料金を請求されることはありませんが、必ずしもケータイ電話の利用者が全員「定額制」にしているとは限りませんよね。

よって、見ているだけでパケット代が上がることを防ぐために、機種やメーカーによっては、この「自動更新」を“しない”状態にしてあるそうです。
特に最近の機種は、この手が多いとのこと。我が家のケータイは、買い換えて1〜2年なのですが、運良く(?)“最新機種”ではなかったので、みんな見ることができたようなんです。
ケータイ電話はどんどん新機種が出てくるので、1年でも経てばもう“古い機種”になってしまう…。(ToT)

かといって、「PCサイトビュアー」で見るには、別料金がかかってしまう…。(>_<)
(PCサイトビュアーも定額見放題にするには、別契約が必要)

自宅の常時接続のパソコンから「全てのケータイ電話のブラウザ」に字幕が送れるようになるには、乗り越えなくてはならない問題がいくつもあり、まだまだ時間がかかるのかもしれません。
しかし、「“今のところ(2009.06現在)”、こんなことができるんだよ」というのを知っていただけると、いろんな方から次へのアイディアがいただけるんじゃないかな?o(^_^)oと思って、今回、掲載させていただくことにしました。

|このレポートを作っている間にITBCはまたまた成長して
|「期待」してたことが「できる」ようになったものもあります。


災害時、避難するときに持って行くものとして上位に「ケータイ電話」が入っていました。
避難所にはテレビが設置されても、字幕が付いていないことがあるかもしれません。
テレビ番組の入力であれば、離れた地域の被害に遭っていない人が、落ち着いて入力することができます。

「自宅の常時接続のパソコンから入力した文字が、ケータイの定額プランのブラウザで見れたらなぁ…」
なんとかならないかなぁ… なんとかなるよね!! 期待してます!(^_-)-☆

ご協力いただきました皆さま、本当にありがとうございました。
KDDI且陂bサークル様 階DDI研究所様 docomo手話サークル様 インプラキッズ&ママ PC文字通訳者の皆さま 成人難聴者の皆さま auユーザーのお友だちo(^_^)o Haruka.S様

☆★☆ みやしたあけみ☆ akemizo@beige.ocn.ne.jp ☆★☆


各種情報メニューへ