IPtalk seで字幕をつけた動画の例 | |
2004.11
皆様、こんにちは。☆宮下あけみ☆です。 パソコン要約筆記での活動をしている方々の多くが使用されている、 IPtalk(アイ・ピー・トーク)の【se(スライドエディタ)】に、2004年9月29日、 「時間指定をしたスライド前ロールをSAMI形式に保存できる機能」が付きました。 これによりWindowsに標準でついているメディアプレイヤー(動画)に、 字幕をつけて、見ることが出来るようになりました。 今回は、そのサンプルCDを作成し、約50名の方々に見ていただいた、「使い勝手・字幕を出すまでの操作」等の「感想」と、サンプルCDを作成する過程で改めて学んだ「著作権」に関するお話です。 このレポートは多くの方々のご協力を得て、この「人工内耳友の会:東海支部」のホームページに掲載していただいているものです。 皆様、本当にありがとうございました。 -------------------------- ■モニターとして「字幕を付けたサンプルCD」を試視聴していただいた方々■ ※2004.11.15現在 ※「字幕を出すまで」の使い勝手を見ていただき、説明書き等を変えていきました。 |難聴児(小学生)の親子=13組(保護者・兄弟が操作) |成人聴覚障害者=10名(本人が操作) |パソコン要約筆記ボランティア=15名(本人が操作) |その他の聴こえるかた=10名 ■字幕を付けたサンプルCD/手話かみしばい「かぐやひめ」「ももたろう」■ 今回、サンプルCDとして作らせていただいた「元のビデオテープ(VHS)」は、 ≪社会福祉法人 聴力障害者情報文化センター≫様に提供していただきました、 「手話かみしばい 【かぐやひめ】【ももたろう】(1話15分×2話)」です。 そのビデオテープをパソコンに録画し、字幕を付けて、CDに焼付けました。 |字幕を作る過程は、テレビ番組・ビデオテープ・DVD等、どれでも |いったん、パソコンに録画しなおしてから作成します。 |(この時点で使用するソフトは、市販のもの・P.C.内臓のものを使いました。) 動画にあわせて文字を付けたものは、映像の何処で止めても、先に進めても戻しても、 その場面に合った字幕が出てきます。 このサンプルCDに関しましては、聴力障害者情報文化センター様より、 「モニター(試視聴)のための複製、及び配布」のご了解をいただくことが出来ました。 本当にありがとうございました。 ≪サンプルCDの写真≫ ■ウインドウズ メディアプレイヤーでの「字幕の出し方・手順」■ |※バージョンにより違います。 |※一度「字幕を出す」ように設定したら、 | 一旦メディアプレイヤーを閉じ再度立ち上げなおすか、 | パソコン自体を落として再起動させると、反映されます。 その1【(メニューバーの)ツール→オプション→セキュリティー】 その2【(メニューバーの)再生→キャプションと字幕→Japanese】 ↓ (その後) 【(メニューバーの)再生→キャプションと字幕→「既定値」】 |(その「規定値」の中の) |「規定値の言語の設定」の「真ん中」の「キャプションと字幕」の右の【▽】で |【クローズドキャプション】を選択 その3【(メニューバーの)表示→プレイビューツール→キャプション】 ■「字幕を付けたサンプルCD」を試視聴していただいた方々の感想■ ※字幕の出し方の「手順の書き方」も、皆様にアドバイスをいただきながら変えた。 ※今回は「字幕を出すまでの手順」「作業は面倒ではなかったか?」を中心に質問。 ※動画の大きさ・文字の大きさ・出す位置などは、利用者が自由に変更可能。 ※今回の動画は、将来的にインターネット上に動画をアップし、それをダウンロードすることを考え、光ファイバーではない常時接続で、「1分の動画であれば1分でダウンロードできるぐらいの大きさ(解像度)」にして録画。 ※これは「15分ものなら15分間でダウンロード」というもの。 ※「今、スグ、字幕付で見る」のではなく、食事をしている間にダウンロードしておき、「あとでゆっくり見る」ことを想定しています。 ≪自分のパソコン画面に字幕を「出すまで」の操作について≫ |※「字幕の出し方(手順)の書き方」が、固まってきた“後”の回答です。 |・「手順」の通りにやって、字幕が出せました。 |・主人に教わりながらもやってみました。 | それほど難しくもなく出来たので、慣れれば一人でも出来るかな、と思います。 |・私(難聴児の母)にも出来たので、娘(難聴児)でも出来ると思いました。 |・操作はいたって簡単でした。 |・難聴児の親でも自宅でこのように作れるようになると嬉しいです。 ≪自主的に「字幕を作る・付けること」について≫ |・見たい番組が字幕付きで入手できるというのは確保したいことです。 |・難聴児の親だけでは、「字幕を作る過程の全て」に対応することは出来ないので、 | ボランティアのかたにも一緒に作業をしていただけるような | 法律になるといいと思いました。 |・1回作った字幕を何らかの形でまとめて「ライブラリー」として | 皆で共有できたら素晴らしいと思いました。 ■将来的な目的・使いかたの例■ 今回はサンプルですので「CD」に落とし、それを焼き増しして配布させていただきましたが、将来的な“夢”は、以下の通りです。 【A:字幕のない教育ビデオを、字幕を付けて見る】 |1/“許諾がいただけた”字幕のない教育ビデオテープを | wmv形式で保存し、インターネット上にアップ |2/IPtalkで作った「SAMI字幕」を同じインターネット上にアップ |3/上記2つを各自のパソコンにダウンロードし、「字幕付きビデオ」として見る | ↓ |※これは、ビデオ製作会社様の許諾がいただければ合法です。 【B:聴覚障害児・者がいる家庭で、字幕のないテレビ番組に字幕を付けて見る】 |1/聴覚障害児・者がいらっしゃるご家庭で、 | 字幕のないテレビ番組をパソコンに録画 |2/そのご家庭内の聴こえる家族が「文字おこし(聞きおこし)」をし、 | IPtalk se で、「SAMI字幕」を作る |3/上記2つを1つのフォルダに入れ、「字幕付きビデオ」として見る | ↓ |※これは、今(2004.11)現在でも合法です。 | |イ/聴覚障害児・者がいらっしゃる“各ご家庭”が、 | 字幕のないテレビ番組をパソコンに録画 |ロ/そのご家庭内の聴こえる家族が「文字おこし」をし、 | IPtalk se で、「SAMI字幕」を作り、 |ハ/その「SAMI字幕=文字データ」をWeb上にアップ。 |ニ/字幕が必要な聴覚障害児・者がいる“各ご家庭”は、 | その「文字データ(SAMI字幕)」のみをダウンロードして、 | 自宅でパソコンに録画しておいたテレビ番組とあわせて、「字幕付き」で見る。 | ↓ |※「ハ・ニ」は、今(2004.11)現在、合法ではありません。 |※個々に許諾が得られたものは別ですが、 | 「テレビ番組」に関しては、「文字データのみ」に限ったとしても、 | 今は限りなく不可能(許諾がいただけない)に近いです。 ■「送信可能可権」と「最低限の文化的生活権」■ 今回、「サンプルCD」を作成するにあたり、 改めて「著作権」に関するいろいろなことを学ばせていただきました。 例えば、上記【B:ハ・ニ】。 「文字データをアップし、自由にダウンロードできるようにする」。 これは、「送信可能可権(そうしん・かのう・か・けん)=いつでも誰でも自由に見に行ける、ダウンロードできる状態にしておく権利」であり、この許諾を得るのは、非常に難しいそうです。 たとえ、そこにアクセスできる人を、「聴覚障害者である・手帳を持っている・会員制登録制にする」等と「限定する」としても、「第三者」であることには変わらないので、「送信可能可権」は、重要視されるわけです。 これは、「文字データ」も「動画(テレビ番組やビデオ作品)においても、同じ扱いです。 しかし、聴覚障害児・者が字幕付きの動画を見ることは、憲法に規定する「最低限の文化的生活権」の一環として当然に保障されるべきものでなくてはいけません。 勿論、その作品を作った・関わった・関係する人々(会社)の権利を守る「著作権」も、とても大切なことです。 よって、全ての権利を守りつつ、合法的に字幕を作る・付けるボランティアの底辺を増やすとき、合法的にそれが行える人々を、「聴覚障害児・者がいる家族」に限らず、「一緒に運動や活動を続けている仲間達」にまで広げるには、どうしたらよいか…。 「日本映画に日本語字幕を付けて映画・番組上映会」のように、決められた場所に行かなくては「字幕付きで作品を見ることができない」というのではなく、聞こえない方々も、合法的にもっと気軽に、字幕のないテレビ番組やビデオ作品を、自宅で字幕を付けて見ることができるようにはならないものか…。 今後も、難聴児・者、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全日本聾唖連盟、放送関係者の皆様、聞こえる仲間達と共に、考え続けていきたいと思っております。 ≪参考URL≫ ****************************************************** NHK「テレビ番組と著作権」 http://www3.nhk.or.jp/toppage/nhk_info/copyright.html 財団法人著作権情報センター http://www.cric.or.jp/index.html 障害者放送協議会 著作権委員会 http://www.normanet.ne.jp/~housou/ ****************************************************** ■許諾が得られたらいいなぁ… という内容■ テレビ番組では難しかったのですが、「学校で使用する、教育ビデオ(DVD等を含む)」であれば、そのビデオを製作した会社が許諾をしてくだされば、『字幕データ』をアップし、「送信可能可」の状態にしておくことは、可能かと思われます。(勿論、製作会社が自ら作ってくださればベストですけどね。) ビデオ自体は、製作会社にwmv形式に録画していただくか、こちらで録画をしなくてはなりませんが、その『wmv形式にした動画』を、例えば、聴力障害者情報文化センターや、ビデオ製作会社様のH.P.など、多くの方が見やすく、管理・更新がしっかりしているホームページに、『字幕データ』と一緒にアップし、『目録』のようなものを作っておきます。 ある地域の難聴児が、字幕のない教材ビデオを見ることになったとして。 インターネットで『目録』のページを見に行き、そのビデオの字幕があれば、それをダウンロードし、パソコンで、「字幕付きビデオ」として見ることが出来る…。 まさに、「字幕ライブラリー」ですね。 ■思い出ばなし…■ 5年ほど前でしょうか…。 日本IBMにアメリカ本社から社員の方々いらして、「SAMIの字幕」の説明会を開いてくださいました。 その会場には聴覚障害者の方々も参加されており、私は手話通訳を担当、パソコン要約筆記での情報保障も付いておりました。 そのときは、「便利なものができたのだ。」「ゆくゆくは、みんなで使えるようになるといいね。」と、私自身、半ば、夢のようなものに思えていたのですが、今、IPtalkに「SAMI形式で保存」の機能が付いたことにより、「パソコンに録画した動画に字幕を付ける」という作業が、より簡単に、より身近に感じられるようになりました。 また、パソコン自体の進化・開発も激しいもので、今では各家庭で所有されるパソコンも、かなりのスペックになり、パソコンで作業をすることも、複数のソフトを同時に立ち上げることも「特別なこと」ではなくなりました。 字幕を作る場合、最終的に「SAMI形式でデータを保存」することは、時間調整も必要なので、普段、IPtalkを使い慣れているもの(入力ボランティア)が行ったほうが良いかもしれませんが、その“前”の段階、「文字おこし・台本の入力(そのまま)」などは、時間がある方であれば、ゆっくり・少しずつ、誰でもできることだと思います。 実際、私がお伺いさせていただいている「小学校の演劇鑑賞会や学芸会」での「台本入力(台本そのままに入力)」も、難聴児の保護者の方々が自ら手分けして、入力してくださっています。 「紙媒体での台本」であれば、聴覚障害のあるかたでも、一緒に作業ができます。 「字幕の作り方」は、「IPtalk se」の中に、詳しく書いてあります。 ≪IPtalkホームページ≫ http://iptalk.hp.infoseek.co.jp/ このように、いろいろな方々が、それぞれにあった形でボランティア活動ができ、且つ、難聴児者の教材になるものかと思います。 ■潟xネッセコーポレーション様の対応■ 【こどもちゃれんじ】(掲載のご了解済み) 【チャレンジ1年生】(掲載のご了解済み) 聴覚障害のあるかたで「通信教育」を受けられている方々も多くいらっしゃいます。 「通信教育」であれば、定期的に送られてくる教材や添削で、自分で学習ができるのですが、最近では、「ビデオ・CD・カセットテープでの教材」が送られてくることが多くなりました。 その「文字おこし」も、全国のボランティアで行っているのが現状です。 しかし、「聴覚障害者のかたの声・ご要望」を聞いて、会社が自ら、別途、「字幕付きビデオテープ」を作成し、希望者にはそれをお送りしてくださっている会社がありました。 それが、「株式会社ベネッセコーポレーション」様の『こどもちゃれんじ』『チャレンジ1〜6年生(小学講座)』です。 上記写真の【チャレンジ1年生】はVHSビデオテープ。今後も同じ形式で表示。 H17から積極対応していくDVDには、1タイプの中に字幕チャンネルを用意されるそうです。 大学や通常の通信教育とは内容も対象年齢も違いますが、「こういう対応をしてくれていた会社がある」ということを記させていただきたいと思います。 【「こどもちゃれんじ」ってなあに?】(H.P.より・引用のご了解済み) |<こどもちゃれんじ>は0歳〜6歳のお子さまの全人格支援を目的として、 |発達段階やお子さまの取り巻く環境の変化に合わせて |そのときどきにふさわしい遊びやサービスをお届けしています。 当初は、本や教材(親子で作ったり遊んだりするもの)と一緒に、「字幕のない一般的なビデオテープ」を販売(通信販売)されていたそうですが、4〜5年前、「聴覚障害のある保護者」より、 |「聴覚に障害のある保護者からの要望」 | 親の自分が耳が聞こえない。 | 子どもが楽しんでいるビデオで、“しまじろう”たちが何を言っているのか | 知ることができないか? というお問い合わせがあったのをきっかけに、ビデオテープに、「字幕入り・ナシ」の2種類を作成し、購入者の希望にあわせて、必要なほうを選んでいただくようにしたそうです。 【「こどもちゃれんじ」お申し込みフォーム】(H.P.より・引用のご了解済み) |<こどもちゃれんじ>では、 |お子さまあるいはおうちのかたに聴覚障害がおありの場合でも使っていただけるように |聴覚障害がおありの方向けの資料や字幕付き映像教材ををご用意しております。 |ご希望のかたは下記の□にチェックをしてください。 | |※毎月郵送されているビデオテープのパッケージにも、その旨記載してあります。 |※「歌・音声のみのCD」の場合には、「印刷したもの」を送って下さいます。 内容自体、「お子様向け」なので、字幕も、【しまじろうの絵/セリフ】【全てひらがな表示】ですが、これにより、「お子さま、或いはご家族の方」で聴覚障害のあるかたがいらっしゃっても、字幕を付けて、みんなでビデオ等映像教材を楽しめるようにして下さいました。 こういう会社が増えてくれると、嬉しいですよね。 ≪参考URL≫ ****************************************************** 株式会社ベネッセコーポレーション http://www.benesse.co.jp/ 「こどもちゃれんじ」 http://www.shimajiro.co.jp/index.html ****************************************************** --------------- ■さいごに…■ 実は1年半ほど前、「IPtalkで、字幕のないストリーミングに字幕を付けて見る」というのを作って、やはり「お試し」として、いろんなかたに見ていただいたんですね。 |※これもストリーミングを作った会社にご了解をいただきながら行いました。 | |※「ストリーミング」というのは、インターネット上で見ることができる動画で、 | アクセスすると、その都度データを受信、 | 動画を見る(再生する)ことができる…というものです。 でも これは、「ストリーミングを開き一旦止める→IPtalkをダウンロードし文字データを入れる→ストリーミングをスタートさせ、『目で見て分かるタイミング』を予め伝えておき→IPtalk字幕をスタートさせる』…という、字幕付きで見ることができる状態にするまでの手順・操作が数過程あり、不評だったんです…。 また、ストリーミングと字幕は「別モノ」だったので、どっちかをとめると、もう片方はそのまま進んでしまったり、自分でスタートさせるので、最初の「字幕スタートのタイミング」に“緊張”が必要でした。 しかし、今回は、「IPtalk/時間指定をしたスライド前ロールをSAMI形式に保存できる機能」により、メディアプレイヤー(動画)と字幕が同期していますので、動画を何処で止めても、先に進めても戻しても、常にその場面に合った字幕が出てきます。 利用者としては使いやすい。 字幕を作るボランティアは、自宅で時間をかけて作れる。 難聴児の保護者、聴覚障害者本人、パソコン要約筆記練習中の方々など、いろんな人が自分に合った形で参加できるボランティアの形が想定できます。 「聴覚障害者の情報バリアフリー」という言葉が生まれてから、何年になるでしょうか… 字幕活動に携わるボランティアの底辺が広がり、字幕を使う・使わないが、自由に選択できるようになりますように…。 ☆みやしたあけみ☆ 【E-mail】 akemizo@beige.ocn.ne.jp ☆★☆“しまじろう”と握手したいな。ヽ(^o^)丿☆★☆ |
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