人工内耳友の会−東海−
小学校「卒業を祝う会」

2004.9.
小学校「卒業を祝う会」
〜ひとりの難聴児への字幕から“みんな”の字幕へ〜

こんにちは。☆宮下あけみ☆ akemizo@beige.ocn.ne.jp です。

“3月”と言えば、卒業シーズンですね。ヽ(^o^)丿
今回のお話は、2004年3月、「卒業式(卒業所授与式)」の少し前、“卒業生の保護者手作り”による、『卒業生・保護者・学校の先生方』の『卒業を祝う会』の様子です。

卒業生の中で「たった一人の難聴児のため」に付ける予定だった字幕が、結果として、「みんなの字幕」になった…という、嬉しいお話です。

このご報告は、今回、利用してくださったA子ちゃんとママさんから、
「あとに続くお子様たちのためにも、お役に立つのであればお伝えして下さい。」
とご了解をいただき、「人工内耳友の会:東海支部」のホームページに掲載していただいているものです。
A子ちゃん、ママさん、本当にありがとうございます。


【きっかけは『演劇鑑賞会』】

A子ちゃんは、その小学校で、たった一人の難聴児。
一番最初にお伺いしたのは、その年の秋(2003.9)の「演劇鑑賞会」。
学校にとっても、A子ちゃんにとっても初めてのパソコン要約筆記でした。

学校への相談(お願い)は、全てママが行ってくださいました。
ママご自身は、今までの「体験談」、メーリング、他の保護者のかたからの情報等で様子はご存知でしたが、学校にとっては初めてのことでしたので、この「人工内耳友の会:東海支部」のH.P.に掲載していただいている体験談の中で、「写真」等が写っている、いくつかの式典・演劇など、『お子様への字幕』に関するページを印刷し、「こんな感じで。」とお話していただきました。

私は、「説明を求められたとき」だけ、ママを通してお答え。
ママ→学校→劇団と連絡を取ってくださり、台本も事前に入手。
おかげで、「字幕用加工」もできました。
A子ちゃんには、ママからお話をしておいていただき、その後、faxとメールで、ご挨拶させていただきました。(^_-)-☆

当日は、ノートP.C.表示で、A子ちゃんだけに文字表示。
私(入力者)は一番後ろ。
ママには私の隣へ。
作業の様子を見たり、時々、A子ちゃんの様子を見に行っていただいたり…。

A子ちゃんは、以前にも私がお伺いした「お子様行事」の時に来て下さっていたようで、スクリーン表示のパソコン要約筆記のことは知っていました。
しかし、「A子ちゃんだけへのノートP.C.表示」は初めて(勿論、他の聞こえる児童も先生方も、初めて見る)でしたので、
|「『自分だけっていうのは、やだな…。』って思ったら、
| スグに片付けるから、言ってね。」
とお伝えしていたのですが、A子ちゃんは、私とパソコンを快く受け入れてくれました。

帰りに、教室に戻ったA子ちゃんが、校舎の3階の窓から、
「バイバ〜〜〜イ!ヽ(^o^)丿」
と、お友達と一緒に、大きな声で手を振ってくれた
ことは、今でも忘れません。
本当に嬉しかったです。


【『卒業を祝う会』へ】
 
その次が、『卒業を祝う会』です。
今回も、学校との相談はママが担当して下さいました。
「表示方法」については、いろいろな「出し物」が盛り込まれていたので、私が提案し、ママから学校に伝えていただきました。

【配置等】





【全体】

≪役割が違う、3ヶ所の文字表示≫
|1)左のバスケットゴールの隣に、「全体へのスクリーン表示」
|2)左手前の机の上に、「A子ちゃんへの、リアルタイムノートP.C.表示」
|3)右手女性が立っている所の後ろ(壁沿い)に、
|  A子ちゃんが舞台に立ったときのための「スクリーン表示」

≪配置≫
|左バスケットゴール隣=思い出写真、歌詞【左ピンク:長方形】
|手前A子机=卒業生の席。(その後イスが並びました)【ピンク:丸】
|正面=保護者席【オレンジ】
|右女性の後ろ=舞台に立った時に見るスクリーン【右ピンク:長方形】
|右側=先生、来賓【茶色】
|中央の床=ダンスや演劇を披露するところ
|入力者=右端の黒いバッグあたり【黄色】


【思い出写真】





≪メッセージは写真と一緒にスクリーンへ…≫

【思い出写真】、卒業生が「小学1年生のときの」写真です。
(写真は準備中のもの。本番はプロジェクタの台も綺麗にカバー。)

当初、「演劇鑑賞会」同様、「ノートP.C.表示」を想定していたのですが、
ママから『祝う会』の中で、『写真をスクリーン表示する』という話を伺い、私から、
「だったら、そこに、一緒に、文字を入れちゃいましょうよ。
| 写真はスクリーンで、文字だけ机の上のノート表示なんて、さみしいもん。
| A子ちゃんもみんなと一緒に、スクリーンを見ながら笑いましょ!」
と提案。
事前に作る場合の、結婚披露宴での『生い立ち写真』と同じ感じです。

結果として、「OK」が出たのですが、それまでの、
亜子ちゃんママの“がんばり”には、本当に頭が下がります。
とにかく、たった一人の難聴児。文字のスクリーン表示も、はじめて。

そして、今まで、「読み上げるだけのメッセージ」だったものを、「事前に写真と文字を合成して、作り上げてしまう」のですから、「事前に」、保護者からメッセージを提出してもらう。
それら全ての「対:学校関係」の作業、「保護者&学校への説明、説明写真集め、メッセージ集め」を、ママがやってくださいました。
 
2月中旬には、全児童の写真とメッセージを郵送していただきました。
メッセージはママが入力。
写真をいただいた私は、全て、自宅のスキャナーでパソコンに取り込み、それに、「フリガナつき」で、「文字=名前+メッセージ」を入れていきました。

途中でママより、
|「どういう風に表示されるのか、保護者が心配しているので、
| 説明してほしい。写真を送ってほしい。」
と連絡があったので、サンプルをお送りして、説明しました。

≪表示する順番≫

@ ナレーション役の保護者が名前を言うのと同時に『名前のみ』表示
A 心の中で2秒ほど数えてから、こちらが『写真+メッセージ』を表示
B 表示されたメッセージを、保護者が読み上げる。


【聞こえる児童の保護者より、「歌詞表示」のリクエスト】



@ 左=歌詞の表紙→歌詞表示へ
(タイトルの上に「指文字」でのルビを入れちゃいました。(^_^;))
A 右=普通のスクリーン画面
※ プロジェクタにつなぐ表示用P.C.です。
※ スクリーンに写った写真は撮っていませんでした。<m(__)m>

そんなこんなで、作業を進めているうちに、他の保護者より、
「会の中で、保護者と先生が歌を歌うところがあります。
| 例年は歌詞カードを持って歌っているんですけど、
| 今回は、パソコンで、歌詞を表示してもらえませんか?」
と、逆に、「聴こえる保護者から」リクエストをいただくようになりました。
勿論、“快諾ヽ(^o^)丿”。
そして「どこを歌っていくのか分かるように」、カラオケのように色を変えていきました。
これは、「“思い出写真”と同じスクリーンへの表示」になりました。

難聴児のA子ちゃんだけでなく、聴こえるオトナにとっても
「文字があっても、違和感なく、楽しみながら使える文字表示」になったわけです。(^o^)V


【舞台に立ったときの、「A子ちゃん専用」スクリーン】



「思い出写真」を表示するスクリーンの下に、「木箱を重ねた舞台」があります。
卒業生は、「合唱・呼びかけ・合奏」を、その舞台の上で行いました。
その時、A子ちゃんが見るためのスクリーンです。


【終了後の、聴こえる方々からの感想…】

■【思い出写真】■
当日は、以下のように表示しました。ナレーションは、保護者が担当しました。

|1/保護者が、児童の名前を言うので、それにあわせて同時で、
|  まず、「名前部分だけ」を表示。
|  みんな、スクリーンを見ています。
|     ↓
|2/宮下が心の中で「2秒」数えて、【写真&メッセージ】を表示。
|  ナレーションは、「写真が表示されたのを見て」

|3/ナレーター(保護者)が書かれているメッセージを読み上げる。

当日の朝、保護者とともに、綿密な打ち&練習、全体を通してのリハーサルを2回、行いました。

そして本番。
みんな、「1」で既にスクリーンに注目していて、
次に「バーン!」って、「2」【写真&メッセージ】が表示されるので、
そのまま、懐かしんだり、爆笑したり。ヽ(^o^)丿

そうそう。
このとき、A子ちゃんママは、「ピアノの生演奏」で♪B.G.M.…。
「思い出写真」、「笑いあり、でも、時折、涙をそそるナレーション」、
そしてA子ちゃんママの奏でるピアノの演奏…。
とてもステキな時間を過ごさせていただきました。


■【学校の先生方、保護者の皆様からの感想】■

|「写真のとき、みんなが『ドッ!』とウケけた後など、
| メッセージが聞えにくかったのですが、
| 文字があって、私達にも分かりやすかったです。」

「短いメッセージでも、文字があると、
| よりしみじみと心に伝わってきますね。」

「文字で表示されると、そのメッセージが、
| より深く、心に印象に残りますね。」


【「スクリーン」と「ノートP.C.」を使い分けた方法】

(T)全員が共有する「事前作成」のものは、高い所の「スクリーン表示」
(U)スピーチでのリアルタイムは、A子ちゃんへの「ノートP.C.表示」

最初のほうに掲載した写真を見ていただければ分かりますが、会場の都合上、スクリーンが「とても高いところ」にありました。

スピーチされるかたは、『コの字型』の席に座ったままや、中央に立たれるなど、場所が色々だったので、「普通の先生のお話の文字通訳」は、別途ノートP.C.をA子ちゃんの机に置き、そこにリアルタイムでの文字を表示しました。
「ノートP.C.表示」にしたことにより、A子ちゃんの“視線”も、自然なものになったと思います。

リアルタイム入力をしてくださった、“O川さん”、“K森さん”
ありがとうございました。ヽ(^o^)丿




【最後に…】

♪いつもいつも、ママさんには、本当に助けられています。
学校との連絡、下準備、その他の保護者への説明…。
本当にありがとうございます。

♪この『卒業を祝う会』に入力に来てくださったO川さんとK森さんは、その後のA子ちゃんの学校の『卒業式』も、担当してくださいました。
私は『卒業式』の日には、他の小学校にお伺いしてしまったのでA子ちゃんの小学校には行けなかったのですが、「祝う会」にお二人が来てくださっていたので、先生とも事前に顔合わせができ、ママさんもA子ちゃんも、安心して卒業式を迎えることができました。
ありがとうございました。

♪A子ちゃんの小学校の難聴学級の先生も、担任の先生も、保護者の皆様も、みんなみんな、協力してくださいました。
とても嬉しかったです。

♪ずっと一緒に小学校生活を送ってきた卒業生の皆さんも、A子ちゃんの「聞こえ」を理解し、かわいくサポートしてくれたり、気を遣ってくれたり。
とってもほほえましい光景でした。
“お友達”って、いいですよね。ヽ(^o^)丿

♪最初はA子ちゃんだけへの情報保障を…と考えていたものが、「思い出写真のスクリーン表示」→「そこにメッセージも文字で入れちゃう」→「聴こえる保護者から『歌詞表示』のリクエスト」…と、『みんなの字幕へ』と、自然な形で進めていただくことができました。
“文字はみんなに優しいんだよね。”(^.^)

♪今はA子ちゃんも、中学生。
とっても元気に中学生生活を送っているとのこと。
A子ちゃん。
また時々、携帯メール、くださいね。(^_-)-☆

☆★☆(^^)/~~~☆★☆ ☆みやしたあけみ☆ ☆★☆(^^)/~~~☆★☆




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