人工内耳友の会−東海−
レバー1本で広がる世界

平成16年1月

【文字版】NPO法人日本バリアフリー協会(ストリーミングビデオ映像)
【ジョイスティック車での初の新規免許取得までのみちのり】

【文字版】 制作&配信 ☆宮下あけみ☆ akemizo@beige.ocn.ne.jp
【協 力】 人工内耳友の会 [ACITA(アシタ)]


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【皆さまへ。】
こんにちは。☆宮下あけみ☆です。

「NPO法人 日本バリアフリー協会」のホームページ内にあります、【ジョイスティック車での初の新規免許取得までのみちのり】の【文字版】を作成いたしました。

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「日本バリアフリー協会H.P.」→上:一番左「ジョイスティック車」
→【ジョイスティック車で初の新規免許取得までのみちのり】
●URL● http://www5.ocn.ne.jp/%7Enpojba/index2.html
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「聞こえてくる限りのもの」を「文字化」させていただきましたので、会話もそのままです。
また、聞き取りにくい声や音は、自分に聞こえたまま打たせていただきました。
不明な点は、「+++」と記しております。

聴覚障害者の方々がこの番組を視聴なさる時は、ご活用下さいませ。

この文字版は、私、宮下が個人的に作成し、掲載していただいているものです。

最後になりましたが、【文字版】として文字化し、掲載する事に対し、快くご了解くださった【NPO法人 日本バリアフリー協会】様に、心から御礼申し上げます。
本当に、ありがとうございました。

尚、【文字版】に対するお問合せ、ご意見、ご感想がございましたなら、宮下まで、直接ご連絡下さいませ。

また、インターネットによる【文字版】の転送転記はできませんので、こちらのURLをご紹介するという形でお伝えくださいませ。

今後とも、宜しくお願い申し上げます。

    <文字版制作&配信> ☆宮下あけみ☆
      【E-mail】    akemizo@beige.ocn.ne.jp




2001年5月放送

【ジョイスティックカー(車)で、初の運転免許取得までのみちのり】
(ストリーミングビデオ映像)

(7:44 スタジオアナウンサー)
ア男/「土曜特集」です。

(映像)
ナ/貝谷 嘉洋(かいや よしひろ)さん。30歳。
全身の筋肉が衰(おとろ)えていく難病をかかえています。
その貝谷さんが、運転免許に挑戦しました。
免許の取得を可能にしたのが、レバー1本で運転できる車です。

貝谷さん(かいや)/もうすぐできるというか。
それがやっぱり、嬉しいですね。

ナ/貝谷さんの免許取得までの日々を追いました。

【タイトル:土曜特集「
レバー1本で広がる世界」】

(スタジオ)
ア男/今朝は、今ご紹介した、「貝谷 嘉洋(かいや よしひろ)さんの挑戦」についてお伝えします。

ア女/貝谷さんは成長と共に全身の筋肉が衰える、「進行性 筋(きん)ジストロフィー」という難病をかかえています。

ア男/貝谷さんのように、指先だけで操作できるという運転装置で、新たに免許を取るのは、国内でははじめてのケースです。
その「挑戦」の様子を、ご覧下さい。

(映像)
ナ/貝谷 嘉洋(かいや よしひろ)さん、30歳。
14歳のときから、車椅子の生活を送っています。
先月、自動車運転免許の取得に挑(いど)みました。

教官/いいですよ。そのまま「停止線」のところまで行きまして…。
で…、「右」に行きましょう。
(映像:ジョイスティック部分のアップ)

ナ/車椅子の生活となってから、貝谷さんは、自分に運転免許が取れるとは思っていませんでした。

貝谷さん/完全にあきらめていたことが、もうすぐできるというか。それがやっぱり嬉しいですね。

ナ/(東京都千代田区)貝谷さんは都内のマンションで一人暮らしをしています。
体で自由に動かすことができるのは、首から上と、指先だけです。
そのため、生活全般にわたって、介助が必要です。
東京都の「介助制度」を利用して、「1日11時間の介助(※1)」を受けています。

ナ/(写真1984年:貝谷 嘉洋さん14歳)病状は子供の頃から少しずつ進行し、14歳のときから車椅子の生活が始まりました。

(映像:昨年:アメリカ)そんな貝谷さんの人生を変えたのは、福祉の町として知られる、アメリカ「バークレー」での留学生活でした。
貝谷さんは「レバー1本で運転できる車」と出会ったのです。
仮免許を取り、友人と「アメリカ一週の旅」も経験しました。

貝谷さん/楽しいですね! 「ずっと運転していたい!」って感じ。(笑顔)

ナ/自分の意思で運転できる車との出会いで、貝谷さんの世界は大きく広がりました。
アメリカで出会ったこの車(色:ワインレッド)を、貝谷さんは去年9月(※2)、日本に持ち込みました。

車は助手席側にある、わずか10センチほどの、小さなレバーで運転できます。
手前に引くと「アクセル」、前に倒すと「ブレーキ」、左右でハンドルを切ることができ、レバーの動きは隣のハンドルに連動する仕組みになっています。

しかし、この車を「車検登録」するのに4ヶ月もの時間がかかりました。
このような特殊な車は日本には、まだ、ないためです。
貝谷さんは、何度も陸運局に足を運び、車の機能や安全性について説明しなくてはなりませんでした。

去年の夏、貝谷さんはアメリカから帰国しました。
留学中に学んだ福祉行政の知識をいかし、日本のバリアフリーを進める活動を開始しました。
ホームページ(※3)では、バリアフリーに向けた活動について紹介しています。
その中で、「免許を取得するまでの経緯」も掲載しました。

貝谷さんのもとには、障害を持つ人たちが相談に訪れるようになりました。

|来客/++。
|貝谷さん/1週間ぶりでしたね。

ナ/その相談の多くが、「どうしたら運転免許が取れるか?」というものです。
貝谷さんは自分の経験をいかして、アドバイスをしています。

|貝谷さん/車を買うところから、はじめるんですよね。

ナ/貝谷さんは、「自分で車を運転したい」という障害者のニーズの高まりを感じています。

貝谷さん/自分の意思で、その、長い距離を移動できる。そういう「自由」ってものを、やっぱり、他の障害者の人たちも「欲しい」と思っていると思うんですね。
そういったものを、やっぱり、実現できるようになればいいなぁと思います。

(スタジオ)
ア男/貝谷さんが免許を取得することができるかどうか、貝谷さん自身にとって、大きな一歩になるということなんですが、これは、障害を持つ人々にとっても、はげみになりますよね。
ア女/そうですよね。

ア男/ところで、障害のある人が免許を取る際に必要なのが、この「特殊車両」そのものなんですが、車を買うための資金、「補助金制度」というのもあるんですが、日本とアメリカでは大きな違いがあるんです。

ア女/こちらをご覧いただきましょう。
(フリップ)
|「補助金の日米比較」
|車体価格=約1,000万円
|米カリフォルニア州=約750万円(補助金)
|東京都 =約13万円(補助金)

ア女/まず、この車の価格ですが、総額がおそよ1,000万円します。
貝谷さんが留学していた、アメリカのカリフォルニア州では、改造にかかる費用の全て、およそ750万円が、国と州の補助金でまかなうことができます。
これに対しまして、東京都では、国と都からの補助金をあわせても、13万円あまりに過ぎません。

ア男/貝谷さんの場合は、知人たちの寄付などで車を購入することができたんですけれども、ま、価格が安くなったり、あるいは、補助金の制度が充実しなくては、こうした車の普及も、なかなか進まないと言えますよね。

ア女/そうですね。
さて、いよいよ、貝谷さんの運転免許の検定試験の日が近づいてきました。

(映像:教習所)
ナ/先月下旬、運転教習が山場を迎えていました。

|教官/注意を「右」に持って行きましょう。

ナ/貝谷さんは、「車庫入れ」や「方向転換」が苦手です。
車が通常の検定車両より大きく、なかなかコツがつかめません。

|教官/前に行くときに、気持ちが焦るのかな。早いんですね。
|貝谷さん/あ、早いのかな…。(苦笑い…)
|教官/ハンドルが追いつかないんですね。
|貝谷さん/なるほどねぇ〜。ハァ〜…。(ため息…)
|教官/お疲れ様でした。

ナ/(映像:埼玉県志木市)
貝谷さんには、これまではげましあってきた、大切な友人がいます。
埼玉県に暮らす、筋ジストロフィー患者、上 浩司(かみ こうじ)さんです。
上さんは、10年ほど前から自力呼吸ができなくなり、「人工呼吸器」を使っています。
寝たきりとなった上さんは、免許を取ろうとしている貝谷さんの存在が支えになっています。

|上さん(通訳:母 りえ子さん)
|/貝谷君みたいなね、一生懸命やってるから、頑張れるのね。僕もね。
| だから、会いたかったの。パワー、もらってんのね。
|貝谷さん/パワーもらってるのは、僕のほうですよ。
|上さん(通訳:母 りえ子さん)/僕も、「何かできる」ってね。

ナ/この日、二人は、貝谷さんが免許を取ったら、一緒にドライブに行く約束をしました。

(映像:府中運転免許試験場)
ナ/4月25日。検定試験の日です。
アメリカで「自分の力で運転できる車」に出会ってから3年半。
貝谷さんが待ち続けた日です。

「この検定に受かれば、運転をあきらめていた人たちにも、道はひらかれる。」
そう信じて、レバーを握りました。

|試験官/疲れたでしょう?
|貝谷さん/疲れました。
|試験官/だいぶ緊張してたでしょう。大丈夫ですよ。合格予定ですから。
|貝谷さん/あ、そうですか! ありがとうございます。

貝谷さん/あぁ〜… やっと、取れた…。
長かったです。すごい…。ふぅ〜…。(ため息)
何でもあきらめずに、いろんなことに挑戦。
自分も含めて、これからの自分も含めてだけれども、挑戦して、どんどん、社会参加しやすくなってったらいいなぁ〜ってふうに、思いますけどね。

ナ/「頑張れば、道は 拓(ひら)ける。」
貝谷さんが、障害を持つ人々に一番伝えたいことです。

(埼玉県蓮田市:筋ジストロフィー黒浜訓練センター)
ナ/この日、貝谷さんは講演を行いました。
集まったのは、筋ジストロフィーの患者やその家族、およそ150人でした。
運転することで広がった世界の魅力について、およそ30分かけて、話しました。

講演のあと、貝谷さんの車には、多くの人が集まってきました。
貝谷さんは、車に触れてもらうことで、「自分にも運転できる」と感じて欲しいと言います。

|男の子/僕もこの車に乗って、いろんな所に行ってみたいなぁ〜と。
|男性/自分で可能性を制限してはいけないんだなぁ…と。
|   そういうことに、気づかされた気がします。

ナ/何事にも挑戦する勇気を、多くの仲間と分かち合いたい。
車の運転を通して、貝谷さんが感じたことです。

貝谷さん/部屋の中にいて、絶対、何があるか、インターネットもありますけども、やっぱり、「目で見てやる」というのは非常に大切なことで。
こう、「大きな可能性」が、あると思うんですよね。そういう意味ではね。
これ、だから、「何か?」とは言えませんけども、「広がり」が絶対にあると思うんですよね。
車を運転できる。
自分の意思で(運転)できる、ということについて言いますとね。うん。

ナ/運転で広がる大きな世界。
その魅力を伝えたい。
貝谷さんは小さなレバーを握り締め、仲間のもとへと走ります。

【レバー1本で広がる世界】

(スタジオ)
ア女/可能性をあきらめない貝谷さんの姿勢からは、障害のあるなしにかかわらず、こう、励まされるような気がしますよね。

ア男/日本で免許を取って、これから、貝谷さんの行動範囲、どんどん、どんどん、広がっていくことと思います。
そして貝谷さんの姿にですね、勇気付けられたり、運転に限らず、いろんなことに挑戦するきっかけになったり、そんな人々の輪も、これから広がってくるといいですよね。

そして、ひょっとするとですね、「貝谷さんには負けないぞ!」と、貝谷さんを上回るような新たなチャレンジャーが出てくるかもしれません。
それも楽しみです。

ア女/以上、「土曜特集」でした。【おはよう日本】

(※1)2003年現在では、「1日15時間」です。
(※2)「去年9月」=「2000年」のことです。
(※3)NPO法人日本バリアフリー協会ホームページURL【http://www.npojba.org/index2.html


2001年5月放送、2003年【文字版】作成、2004年掲載。
【文字版】NPO法人日本バリアフリー協会(ストリーミングビデオ映像)
【ジョイスティック車での初の新規免許取得までのみちのり】

<文字版制作&配信> ☆宮下あけみ☆
 【E-mail】 akemizo@beige.ocn.ne.jp




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