人工内耳友の会−東海−
パソコン要約筆記 急募 ボランティア

平成13年9月29日(土)朝日新聞

難聴者向けに音声ほぼ同時に文字化

パソコン要約筆記 急募 ボランティア

需要増 担い手不足

 耳の不自由な人のために、音声をリアルタイムで文字に変換して表示させる「パソコン要約筆記」。手書きの要約筆記より速く、人気を集めているが、都内では担い手となるボランティアが不足して需要に追いつかない状態だ。聴覚障害者たちは「公的制度も含めて普及に力を貸してほしい」と訴える。

葛飾のグループ「公的助成あれば…」

 パソコン要約筆記は、講演会などの発言内容をその場でパソコンで入力して文字化し、パソコンに接続したディスプレーやプロジェクターで会場に映し出す。パソコンだと速い人で、手書きの倍近い1分間で百数十字を文字化できる。パソコン通信で送信し、離れた場所で同時に見ることもできる。中途失聴者や高齢者など手話を覚えるのが大変な障害者にとっても便利だ。
 そのため、パソコン要約筆記のバランティアは、講演会や学校行事で、いまや引っ張りだこになっている。
 豊島区で障害者向けの書道教室を開く宮下あけみさんはパソコン要約筆記を始めて2年。月に4、5回はさまざまな行事に招かれ、ノートパソコン2台とケーブル類などを持ってかけつける。それでも依頼に応じきれないという。ボランティアだから40万円以上した機材一式はすべて自弁。交通費も出せない行事に呼ばれることもある。
 パソコン要約筆記が現れて5年ほどだが、都内のボランティアはまだ20〜30人だという。
 宮下さんに要約筆記を依頼している、葛飾区の聴覚障害者グループ「人工内耳友の会・東京」の事務局長・吉田宥之さんは「手話通訳などに認められている公的助成がパソコン要約筆記にはないことが大きな問題。ぜひ対象に含めてほしい」と訴える。
 宮下さんは昨年8月から、聴覚障害者からのリクエストでテレビ番組の音声をパソコンで文字化し、ホームページ(
http://www2u.biglobe.ne.jp/~momo1/
)で公開している。
 著作権の問題から放送局の了承を得て文字化するが、断られることもある。それでもこれまでに23本を文字化した。
 「まだ認知されていない、と感じることは多い。ボランティアがもっと増えれば違ってくるのでしょうか」と宮下さん。
 11月に都内で初めて、都障害者福祉会館(港区芝5丁目)で一般向けのパソコン要約筆記のボランティア養成講座が開講する。問い合わせは都中途失聴・難聴者協会(電話:03−5919−2421)へ。

(写真)
パソコンで要約筆記をする宮下さん。文字化された情報がパソコンの画面上に表示される。




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