人工内耳友の会−東海−
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2001年7月1日(日)人工内耳友の会−東海−第2回勉強会

コクレア人工内耳の最新情報
鞄本コクレア 副社長 渡 辺 真 一



1.日本コクレアの渡辺と申します。本日は、耳かけ型スピーチプロセッサをESPrit22を中心にお話ししたいと思います。お願いいたします。雑音大丈夫ですか?聞こえますか?



2.耳かけ型スピーチプロセッサESPrit22の利点はこのような物です。ケーブルからの解放、スマートなデザイン、スポーツに便利、豊富なアクセサリ、最新の技術、こういった物が特徴です。



3.今日お話しする内容はそういうスピーチプロセッサのご紹介、あと、電池に関して少しお話をさせていただきます。それから、オーストラリアで行われた臨床試験の結果もお話しします。装用までのお話し、よくいただく質問に関して話します。



4.耳かけ型スピーチプロセッサには、現在2種類があります。ひとつはニュークレアス24用の元祖ESPrit、他方はミニシステム22用のESPrit22です。N24用のESPritは世界で5000人、日本でも350人が使っています。ESPrit22は使い始めたばかりですが、日本でも人気で、今200人の方が使われています。



5.ESPritには中にICのチップが組み込まれていますけど、それはどんなものかというと・・です。Babel22では、BabelにCI24というインプラントで作動します。その他、こういう特徴があります。パワーコントロールというのはこのときありませんでした。今回ESPrit22に使われているのはBabel22というものですけど、これは22でも24でも両方で動くように設計されています。ですから、いろいろコード化法の手順がありますがこれも両方で作動するように作られています。それから、今回、新しい技術としてパワーコントロールというものが組み込まれています。それから、刺激レートは9キロヘルツという上限がございます。それから、スペクトラ携帯型のスピーチプロセッサですが、それの1/5の消費電力を実現しています。



7.次に、電池について少しお話ししたいと思います。この表は空気電池の温度と湿度の影響を見たものです。上の図は、温度とそれから電圧の関係を示しています。それから横軸は流れる電流です。そうしますと丁度真ん中が21度の時です。右上の方は、温度が高いとき40度の時のグラフです。これはどういうことを表しているかというと電流を流しても、そんなに電圧は落ちないということを表しています。しかしながら、0度・・一番左の短いグラフですけど、これは0度を表していますが、これだけ温度が低いとあっという間に電圧が下がって電池が使えなくなると言うことがおわかりかと思います。それから、下の図は湿度です。同じように、電圧・・・縦軸が電圧、横軸は日数ですね。寿命と考えてください。そうすると湿度が60%、このときの寿命が一番長くて、その次が30%、一番寿命が短いのは90%の湿度ということになります。ですから、これからいえるのは電池にとって温度は高いほどいい。湿度は60%ぐらいがいいということになります。



8.次に、電圧と、それから出力電流の関係を見てみたいと思います。このグラフは電池電圧と出力電流との関係を表しています。もし電池電圧が1.075Vでこの辺のところ・・電源が切れるようになっていると12mAの電流しか利用できませんが、1Vまで許せると仮定すると17mAの電流が、使えます。0.9Vまでとすると25mAの電流がそれぞれ利用できます。ですから低い電流、電圧までOKということになればそれだけ多くの電流が流せると言うことになる。ちょっと難しいですね。



9.それから次は、このグラフでは電流と刺激レートの関係を表しています。SPEAKコード化法のだいたい1500ヘルツ、このくらいの刺激レートを使っています。そうしますと使う電流は5mAということになります。それが、もし15000という刺激レートを使うと30ミリの電流が必要という事になります。これ、将来的に新しいコード化法を使うときはこのように電流がたくさん必要だと言うことがおわかりだと思います。



10.それで、実際に電池の電力というのはどこで使われているのかというのがこのグラフです。実際には高い刺激レートでの消費電力を表していますけど、見ておわかりのようにコイルに送るところですね。



11.電磁誘導送信のために使われる電力が全体の7割を占めている。ということになります。それから、装置に使われているもの、電流、電力ですね。その辺は残りそれぞれだいたい10%ずつということになります。それから、どういうところで電力消費が変わるかと言うこともちょっと見てみたいと思います。まず、先ほどわかったように送信するところですね。そこに電力を消費しますので、皮弁の厚さ、中のインプラントと皮膚の厚さですね。これが影響します。それから、刺激レート、刺激の速さ、頻度、そういった物が影響します。それから、皆さんのマップのPCレベル、TCレベル、それから、刺激のパルスの幅ですね、それも影響します。それから、周囲の音環境、うるさいところでは、消費電力が沢山必要になります。



また、電池の、空気電池の話に少し戻ります。空気電池には2種類あります。普通のPR44というものと、高出力型のPR44Pという2種類があります。一般の空気電池PR44の方がこのように青いグラフで示しているようにパワーが大きいように見えます。こっちが高出力型PR44Pですね。



ところが、ESPritのようにですね、ハイパワー。パワーを要するものですと、この特性がまるきり逆になります。これは大電流を流す特質をみたものですが、高出力型のPR44Pでは、高出力で24時間もつのに対して、この一般の物では4時間も持ちません。あっという間になくなってしまいます。ということから、一般の空気電池ではなくて高出力型のPR44Pというものを必ず使ってください。



それから、空気電池の特性としてシールをはがしてしばらくおいてから使うように注意がされていると思うんですが、それを表したのがこの図です。シールをはがしてからの低下時間を下に、横軸に表しています。これを見ますと、一分二分ではまだ正常の電圧に達していません。定常に達するのはだいたい5分かかるということがこの図からおわかりかと思います。ですからテープをはがしてすぐに使うと、音切れなどを起こす可能性があることにご注意下さい。



12.これが、アクセサリですが、このお話しは後から桜井の方から詳しくお話をしますので、ここでは省略します。



これは、一般の付属品にはないものですが、人工内耳スタビライザーというものが用意されています。これは少し、高いですけどもちゃんと耳型をとって固定しますので、非常に安全に安定して使うことが可能です。必要な方はコクレア社、あるいはあるいは、ダナジャパンで扱っています。



13.次に、臨床試験の結果を少しお話しします。対象者はこのような方々です。



14.これが、単語テストの結果です。装用者によって差はありますが、ESPritがスペクトラに比して結果が悪くないと言うことがおわかりかと思います。同等、それ以上ということがおわかりだと思います。



15.これは雑音下での文章のテストですが、同様の結果がえられています。



16.携帯電話の使用に関して・・これでは10名全員携帯電話が可能でした。ただし、オーストラリアの携帯電話なので日本のシステムと少し違いますので、日本では、少し違う結果になるかも知れません。



17.総合結果としてはこれらがいわゆる、良かった点ですね、プラス面の結果です。読んでいただくとわかると思いますが、最後のところに書いてあるようにスペクトラからESPrit22への変換時間は1時間以内でほとんどのかたは可能であったと出ております。



18.これがマイナス面です。思わずつけたのを忘れてしまうと言うことでそのままシャワーとか風呂に入ってしまう。ということが見られました。ESPrit22を使われた方は、何かをする時には耳を触って確認した上でプール、シャワーに入るようにしていただきたいと思います。



19.これが、つけた方の感想です。読んでいただけばおわかりと思います。少し聞こえは違うと思いますが、聞き取りの成績は同じだろうと、大体同じということです。それから、電池寿命が思ったよりも長いと言うことが言われています。それから、おそらく、つけておられる方はそうだと思うんですが、2番目のプログラムに自動感度設定をしていると思うんですが、これは、大変有効でしたということですね。



20.それでは最後にESPrit22の装用まで・・最後というか、質問があるんですが、装用までのお話しを少しさせていただきます。マップの変換というものが必要になります。スペクトラからESPrit22へ変換する場合ですが、先ほど申し上げたようにだいたい1時間以内で可能です。こういう意見もあったということですね。それから、MSPを使っておられる方、またはMSPのマップからこの方がESPrit22に変換する場合はコード化法が変わりますので、その切り替えに数週間かかる場合があります。私どもでは、MSPからいったんスペクトラに変換して慣れていただくと言うことをおすすめしています。その上で切り替えるという方法をとっていただきます。



21.それから、結果的な事なんですが、10%程度の装用者の方はマップパラメーターの問題等によりESPrit22の装用ができないという問題があります。この理由としてはひとつは皮弁の厚さ、先ほど申し上げた、送信の問題ですね、これによって、電力に限界がある場合、ESPrit22の装用ができない可能性があります。それから、マップに問題がある場合。これは、非常にマップの値が高くて、電流をたくさん必要とする場合、その場合に供給電力の限界に達してしまう可能性があります。これは、オーストラリアの結果なんですが、日本では皮弁が薄いので、もう少しこの数は低いと思います。



次にパワーコントロールに付いてお話ししたいと思います。パワーコントロールは皮弁の厚さに合わせて必要なエネルギーを最適化する物です。皮弁の厚い人は最初から設定を高くすると・・薄い人は最初から低い設定でエネルギーを出すということをおこないます。それから、次に刺激レート。これは、電池の電圧が一定以下になると、すぐには電源が切れずに、刺激レートを下げて省エネをはかるということで寿命を延ばします。ただしこの場合、音質は若干悪くなります。これはN24のときにはありませんでした。ですから、N24の耳かけのスピーチプロセッサは電源がすぐ切れると言うことがありました。ですが、ESPrit22はそういう場合には少し寿命を延ばすためにむしろレートを下げるわけですね。



22.最後に質問と回答について少し述べたいと思います。まず、音質の問題ですが、先ほど申し上げたように聞こえはほとんど変わりません。しかし、多少音質が違うという場合があります。値段はおいくらか・・というご質問ですが、このようにサンキュウ価格ということで39万円を設定させていただいています。ちなみに、ニュークレアス24の場合54万円となっています。それから分割払いも可能です。健康保険の適用は?という質問に関しては、残念ながらなりません。



23.電池ですが、補聴器用の高出力空気電池を2個使用します。定価で6個入り1500円です。補聴器屋さんでも扱ってると思います。少し安く手に入れることも可能かと思います。試用できるかという質問ですが、これは、そういうシステムがございませんが、一ヶ月以内でしたら、返品が可能。ですから、一端購入していただくと言うことをお願いをしているわけですが、もし、万が一うまくいかなかったと言う場合には返品は可能です。MSPの方には少しお時間を必要とさせていただきます。その場合、スペクトラを貸し出しいたします。



24.発売ですがこれはもう皆様に案内状を発送済みです。受注を開始しています。保証期間ですが、3年間です。消耗品は含まれません。それからよく問題になる音切れですけど、これは、このような時に起きます。極端に騒がしいところ、それから、コイルがはずれかかった時。で、こんなときにはいったんはずしてつけなおして電源も入れ直していただけば直ると思います。それから、次に電池がなくなりかけた時にも起きます。しかし、音が悪くなったりと言うことで寿命を延ばす機能があります。



25.ということで、ご静聴ありがとうございました。また、後ほどご質問をお受けしたいと思います。(拍手)



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