人工内耳友の会−東海−
授業での情報保障

平成15年8月24日
人工内耳友の会−東海−第2回勉強会 小児分科会講演
(ウィルあいち1階セミナールーム1、2)

無線LANを利用した
パソコン要約筆記による
授業での情報保障


手話通訳士・パソコン要約筆記  宮 下 あ け み


皆様、こんにちは。宮下あけみと申します。今日は貴重なお時間を有り難うございました。北野先生の後にお話しできてうれしく思っております。さきほどのお話しの中に都内の中学でのお話しがありましたが、そこで一番最初にパソコン要約筆記をつけたときの資料が、今日の資料の「生徒会選挙」に書いてあります。北野先生のお話は授業についてでしたが、その前の話が載っていますので、お時間ございましたら、お読みください。

では、「無線LANを使った情報保障の体験談」等を、お話しさせていただきます。まず最初に、無線LANとか有線LANということ、お分かりになりますでしょうか?パソコン要約筆記自体はこちらにスクリーンで出ています。これをPC要約筆記、或いはPC文字通訳といいます。スクリーンに出すのは公を対象にするものですが、これからお話しするのはノートパソコンに表示する、個人を対象とするものです。

例えば、スクリーンやTVのモニター等に表示すれば、利用者がどこに座っても、文字情報を見る事ができますが、そうすると仕掛けが大がかりになってしまう。一クラスで一人の難聴のお子様のために、狭い小学校の教室で、それだけの機材を準備する、スペースを確保するのは、現実的には難しいです。ですから、お子様の席の前に、一台、ノートパソコンを置かせていただく方法を取っております。入力者が入力用のノートパソコンで打ったもの、「文字(文字データ)」を、お子様の目の前に置いてある表示用のノートパソコンに飛ばすのですが、そのとき、「有線ケーブル」(実物を見せる)を使用し、2つのパソコンをつないでいる様子が見える形で、私のパソコンからお子様のパソコンに文字を飛ばすという方法が一つあります。ただ、これはお子様の場合、席を移動したり、いろいろと危なかったりするので、目に見えるケーブルの代わりに「無線」という方法で行っています…ということのお話です。

1/最初のお願い
基本的に無線LANを使うと決めた時点で、入力者席と、利用するお子様の席は離れています。ですから、例えば、先生が、「テキスト、3ページの何行目です。」とおっしゃっても、指で、その箇所を指せる距離ではありません。また、先生が、「ここが大事だから。」といって、黒板の板書をぐるぐると強調したり、「赤線でアンダーラインを引きましょう。」とおっしゃったところに、手を伸ばして、線を引いてあげるというような、直接的なサポートはできません。言葉はちょっと悪いですが、一方的に文字を送り続けるだけになってしまいます。その点をあらかじめご理解していただけたらと思います。

2/「良い点・必要性」と、「デメリット」=相反するものがある。
では、2点目。良い点、必要な点、デメリットに関してお話ししたいと思います。まず、良い点はお子様がいつもの席で授業が受けられるということです。ノートパソコンをお子様の席に一台置くだけですだけですので、特別な移動は不要です。しかし、小学校の机は小さく、そこにお子様は、教科書、ノート、筆箱など、いろいろ置いていますから、そこにノートパソコンも置かせて頂くのは現実的に無理です。ですから、お子様の席の前にもう1つ、机を置かせていただいております。そうすれば、例えばお子様が、ノートを取りながら消しゴムで消し、「パンパン!」とカスをはらったとしても、ノートパソコンに手がぶつかることもないですし、わりと安全です。良い点の二つ目は、お子様がいつもの席で授業を受けているときに、体の大きな大人が、真ん中の席とか前の方の席に入らなくてすむことです。普段の授業の様子と、さほど違いなく、そんなに違和感なく、そのままの状況で続けることができます。

それから、これは大きなメリットだと思うのですが、最近は、「教えて、教える、覚えさせる。」という授業ではなく、小学校のうちからみんなで意見を出しながら進めていく「ディスカッション方式」という授業が増えてきました。その際に、先ほど北野先生からのお話にもあったように、情報が入ってこないということが多いのですね。小学校くらいですと私が住んでいる関東地方の場合、担任の先生がFMとかマイクつけて下さっている方がほとんどですので、授業によって担当の先生がかわっても、マイクをその先生がつけてくださいますので、“先生の声”はお子様に入っているようです。ただ、他の生徒さんの声がダイレクトには入りづらい、入ってこないということが多いそうです。そういう状況で「ディスカッション方式」で授業をすすめ、「意見をグループごとにまとめて発表しましょう。」という授業の場合、なかなか、お子様が参加できないことがあるのです。これは、わからないから意見が言えないのではなく、「聞こえないから参加が出来ない。よって、発言ができない。」という状況になってしまうそうです。これは小学校だけではなく、高校、大学、いろんなところでも同じです。みんなで意見を出し合ってグループで何か発表をしようという授業は最近、とても多くなっています。大学でも多いです。

また、普段は先生がマイクを通して、別の生徒さんの意見を復唱してくだいますので、それだけが、難聴のお子様の耳に入って来る、「他の生徒さんの意見」です。しかし、パソコン入力者がついた場合、その「先生の声として入ってくる、他の生徒さんの意見」だけではなく、いわゆる、「普通に聞こえてくるもの」も、私たち入力者に聞こえれば、入力し、表示することが出来ます。そして難聴のお子様はそれを見ることができます。お友達の授業中のおしゃべり、冗談。大きな声でチャチャを入れるお子様もいます。ただ、すべてを入力してしまうと、文字として出て来るときは、多少は、びっくりマーク「!」を付けるなどして、雰囲気は伝えられますが、通常、「文字」として出てくるものは平坦ですから、何がメインの話で、何がチャチャなのか、お子様が判断するのが難しいことがあります。その辺は私たちもすごく考えるところです。高校生以上は、「とにかく全部入れて欲しい。」というリクエストが多いのですが、お子様の場合には始まる前に、お子様とご両親に相談しています。

3/お子様の気持ち
次にお子様の気持ちです。北野先生も何度かおっしゃって下さいましたが、とにかく、「授業にPC要約筆記をつけてみよう」と思われた場合は、必ずお子様の気持ちを確認して下さい。私の場合は、ご両親とお子様と学校の方での話し合いが終わり、決まった時点で、お子様にFAXを送っています。始まる前にですね。実際に学校に伺う前に、「よろしくね。(^o^)丿」というように、ご挨拶をしています。

関東の場合は、子供の行事にもパソコン要約筆記がつくことが多くなりました。イベントとして楽しんでもらう。絵を入れたり、写真を入れたり、いろんな操作ができるので、その中でパソコン要約筆記のスクリーンを見たことがあるお子様は、とても多くなりました。そのスクリーンがノートパソコンになるだけなのですが、お子様にとっては、「普段は難聴児の行事だから、みんなが一緒に見てる。でも、この日だけは自分だけにノートパソコンがつく…。」ということに抵抗を感じたり、恥ずかしがったりするお子さんもいらっしゃるので、事前に、お話をさせていただいています。

また、普段先生がマイクを使って下さっている場合。お子様自身が、「自分は聞こえている」と思っている子どもに対して、パソコンでいろんな言葉を文字にして出してしまうと、「本当はこんなに言葉があったの?自分はこんなに聞こえてないの?」というのを、目の当たりにしてしまう…。この悲しみというか、ショックの大きさというのは、正直いって私にはわかりません。すごく悲しいこともあるでしょうし…。でも、「お友達の話がわかってよかった。」といってくださるお子様もいらっしゃいます。もちろん、大学、高校生以上になれば「始めて授業を受けたという実感が味わえた。」と言ってくださる方もいます。でも今日は、あえて、「お子様の」ということでリクエストをいただいておりますので、その辺は「お子様の気持ち」というのを、考えてさしあげてください。「気持ち」というのは人それぞれですので、なかなかわかりませんが、難聴の先輩方、成人のかたなど、方々にお話しを伺う機会を持ってみて頂けたら…と思います。

それから、わたしの高校生以上の場合は授業の通訳をするときに、年間を通して授業の通訳をすることになった場合、年間を通す前に一度、「お試し」として、実際の授業に、パソコン要約筆記としてお伺いさせていただいております。単発の場合はその場でやるしかないのですが、年間を通じてとなりますと、常にその授業にはその情報保障がつきますので担任の先生も気になるかも知れない、他の生徒さんも気になるかもしれない。本人も嫌になるかも知れない。いろんな事が考えられるので、まず1回、「お試し」として授業に行きます。そして、お子様ご自身からFAXでお返事をもらっています。

私の場合、「授業の通訳」としては、学校依頼でお伺いしたことはありません。全て、本人か保護者からリクエストですので、お子様が、「不要だ。」いったら、もう行かないです。お子様にしてみれば、自分の意思で、断ることができます。しかし、学校がつけたものに対して、子どもから、「いらない。」とは、とても言いにくいものらしいです。通訳や情報保障の、要・不要は、時々、お子様にお伺いしていただけたら…と思います。

4/必要機材・漢字変換ソフト等
では、実際に必要な機材、私が使っているものについてお話ししたいと思います。まずノートパソコン2台。一台は、私が打ちます。もう1台はお子様にの机の前に置きます。そのパソコン同士を繋ぐのが、先ほど申し上げたLANというシステムです。無線を使っておりますので、このようなカードをお互いのノートパソコンに差し込みます。こんな感じです。(…と、例としてCE機で見せる。)これはノートパソコンではありません。CE機というもので、ちょっとシステムが違います。今のノートパソコンには無線LANが内蔵されているものも多いので、特に無線LANカードを買う必要がないものも多いです。また、USBタイプといって、100円ライターくらいの大きさのものもあります。

この無線LANを使用していれば、それだけでデータの送受信ができます。また、パソコン自体のバッテリーがきちんと使えて、充電されていれば、ノートパソコン単体をお子様のところに置いておくだけで、一切コードはいりません。ただ、まれにあるのですが、お子様が移動するときに担任の先生が、よかれと思って、そのノートパソコンを持って行かれることがあります。そうすると、あまり2台のノートパソコンの位置が離れると無線が切れるてしまうことがあります。そのときに、無線LANカードだけで通信をしていると、復旧する(さがす)のがちょっと大変です。ですから、私はアクセスポイントを使っています。(実物を見せる。)このアクセスポイントがあれば、ノートパソコンの無線LANが途切れてしまって、お互いのパソコンがつながらなくなってしまっても、探すのが簡単で、私にもすぐに復旧することができます。

「お子様の表示用パソコン=アクセスポイント=入力用パソコン」と、2台のパソコンの中間にアクセスポイントを置けば、かなりの距離があっても使用できます。経験上40mくらいは大丈夫でした。(それ以上、離れた位置での経験は、まだない。)

それから、パソコン要約筆記をするときのソフトについてです。隣に座って自分が打ったたものを見てもらうだけであれば、ワードや一太郎など、普通のものでよいと思います。しかし、離れた位置での情報保障の場合、文字データを飛ばさなければなりませんので、私たちはパソコン要約筆記のソフトを使っています。これは、ボランティアの方が無料で作って下さっており、無料でダウンロードができます。ただ、地域によって、使っているソフトが異なる事があります。例えば、私は普段2つのソフトを、その場に応じて通訳か分けているのですが、今日、こちらの会場で使用されているソフトは使っていないんですね。そのように地域で違う場合がありますので、自分でも練習してみようと思った場合は、地域のパソコンのグループの方、難聴協会、ろう協などを通してお話を聞いてみてください。

それから漢字変換に関して。パソコンには、いろんな機能がありますが、普通に買ってきただけのパソコンでは、学年別に漢字を変換することはできません。大人向けか平仮名です。今までの経験で言うと、お子様が小学校2年生ぐらいまであれば、「全て平仮名で打ってください。」と言われています。「全部ひらがなで打つ」というのは、簡単なようですが、変換の癖がついていますので、時々失敗することがあります。その場合にはあえて「無変換」という設定にしています。これは買ってきたパソコンでそのまま設定できます。もし、癖で変換キーを打ってしまっても、平仮名で文字が確定されるか、スペースが一つ空くだけという、とても便利なものです。ただ、無変換にしてしまうと、全く文字変換ができないので、前もって2年生なら知っているであろう、「先生」、「男子」、「女子」、それから「/」(=スラッシュ)という斜めのマークを予め登録しておきます。この「/」は、発言者と内容を区切るものです。「/」の前に話者の名前が入り、「/」の後に、その人が発言した言葉が続きます。
(例)先生/みなさん、おはようございます。
このことは、最初の「ご挨拶」のFAXの中で、事前にお子様にお伝えしておきます。

また、市販の漢字変換ソフトもあります。私が使っているのは、「一太郎スマイル」です。これは2学年ごとに漢字変換レベルを変えることが出来ます。今朝もホームページで確認しましたが、今日のホームページでも、「全国の小中学校で一番使われているソフト」だそうです。お子様の小学校でも使っていらっしゃるところがあるかもしれません。本日お配りした資料の中に記載されている、「市販のソフト」というのは、この「一太郎スマイル」のことです。いろいろな機能があって結構楽しいです。

5/保護者の協力
保護者の方にものすごく協力をいただいております。小学校から高校生ぐらいまでは、やはり学校や先生との直接の話し合いは、保護者の方がされています。大学生以上になると本人が学校と話し合っています。もちろん「本人」といっても、保護者も相談に乗ってくれますが、ほとんど本人と学校との話し合いが多いです。また、本人も一人だけではなく、仲間がいますし、聴覚障害児者に対する支援グループもありますのでそういう人達から、いろいろと意見や情報を得て、学校に提案、提言しています。ほとんど本人あるいは保護者の方と学校の方にコンタクトをとってもらっています。その後、必要に応じて、私達が行く前に学校に連絡を取ります。

私立の学校や、年間を通しての情報保障の場合、時々、実際の様子を事前に見せるよう、先に言われることがあります。そういうとき初めてお伺いします。そして、利用者を通して学校からリクエストを受け、説明をしたり、「こんな事例もある、あんな事例もある」と、資料提供をするようにしています。また小学生の場合には特に、お子様がコードなどに引っかかる心配が高いので、は必ず、たった一時間の通訳でも、コードをガムテープで床にはらせていただいています。

6/入力者として、私が気をつけていること
少しまとめます。パソコン要約筆記・文字通訳は、お子様(利用者)が文字を見ないことには話が伝わりません。理想としては、お子様(利用者)が、授業中、ノートを取り、パッと顔をあげてパソコンを見た瞬間に文字を出してあげるのが良いのかな…とも思うのですが、なかなかうまくいきません。ディスカッション形式の授業ですと、常に発言がありますし、話はどんどん進んで行きます。また、学年の低いお子様ですと、まとまった文章を、一気に出されても読み切れないこともあります。まだまだ試行錯誤の状態ですが、できるだけ、お子様が読みやすい、利用しやすい情報保障ができるよう、考えていきたいと思っております。

また、今日のパソコン要約筆記はスクリーン表示ですので、一番後ろの席から見ても文字が見えるように、縦に7行、横に14文字で入っていますが、一人だけのノートパソコン表示であれば、利用者が自分の好きな文字の大きさに変えることができます。お子様の場合ですと、お子様にお伺いしてからですが、だいたい今日の倍くらいの文字を入れることもあります。文字の色、背景、大きさは自由に変更できますので、その人、その人にあわせています。大学生くらいになると、今日配った資料と同じくらいの大きさで出してほしいと言うかたもいらっしゃいます。そうすれば、パソコン画面1ページに残る文字情報が多いので、先生を見て、資料を見て、パワーポイントを見て…。その間に文字はたまっていきますが、自分で区切りのついた時にパソコン画面を見て、パーっと見ていくこともできます。しかしお子様にはそれができませんので、開始前にある程度の大きさを示して、「これでどう?」ってお伺いします。すると、「もっと小さく」とか、「大きく」とか言って下さいます。あとお子様は必ず、「絵文字を出して。」リクエストされますね。

それから、気をつけていることでもう一つあるのが、授業中の「小テスト」のときです。授業は40分とか、大きくなれば、90分とかありますけど、その普通の授業の中で「5分間の漢字テスト・10分間の英単語のテストをしましょう。」という言うときがあります。テストですので、生徒さんがテストを受けている間、通訳者は何もしません。しかし、小テストですと、あまり堅苦しくない感じで、先生が歩きながら生徒さんの様子を見て、生徒さんのペンがとまっていると、「ほらほら、そこはこの間やっただろう。」とか、逆に生徒から、「この質問の意味がわからないよ。」とかいうと、先生が説明することがあります。他の聞こえる生徒さんであれば、自分が質問していなくてもそれを聞いて「あ、そうか。ラッキー!」ということもあるし、「自分はわかっているから関係ない。」と、聞き流すいう生徒さんもいます。しかし、難聴のお子様には、その過程すらわからないのです。そのとき、通訳者(入力者)がとしては、「みんなには聞こえている。ヒントになるかもしれないし、出してあげたい…。」と思うのですが、常に文字を画面に出し続けてしまうと、逆に、難聴の生徒さんがテストに集中できなくなってしまいます。その辺の割合が難しいです。

高校生以上のお子様に、「このような時、どうしたら良いか?」をお伺いした時、「通訳者として覚えている範囲でよいので、1回出た質問だったらもう入力しなくていい。要するに、その質問内容が『1回目』のものであれば、それは出してほしい。しかし、また、同じ内容出別の人が質問してたら、それは不要。」とリクエストを受けたことがあります。

また、何の発言もなければ文字は打ちませんから、生徒さんのパソコンの文字も動かないです。しかし、入力者(通訳者)が生徒さんの視界の中に入っているとき。そういう場合、ちょっとでも入力者の手が動くと、「何か打つのかな?」と察したり、気になさる生徒さんもいらっしゃいます。ですからテストなどで先生が発言していない時は、できるだけ私達も手は膝の上というか、動かないようにしています。できるだけお、お子様が気が散るのを防いであげたいと思っています。

基本的に無線LANを使用し、離れているところから情報保障していますが、時々近く、隣に座って…ということもあります。そのとき、お子様が居眠りしても起こしません。いびきが聞こえてきたら、つんつん、と、音が出ていることを気づかせてあげることはありますが、私は、「一般の生徒さん同様、眠たければ寝るだろうし、さぼりたければさぼるだろう。」というスタンスで伺っており、生徒さんの行動については何も言いません。

それから、守秘義務という点ですが、授業内容や状態(宿題や授業中の態度、行事などの連絡等)に関して、私から直接は保護者の方にお伝えはしていません。学校と保護者との必要な連絡事項は、普段通り、「お子様から保護者へ」或いは、学校と保護者との「連絡帳」で話し合っていただいております。また、依頼時、直接、メールや電話を下さるのは確かに保護者ですが、実際の利用者はお子様、生徒さん自身です。ですから、情報保障の「要・不要」の判断は、お子様にお任せしております。

学校の授業やゼミだけでなく、お子様には、夏期・冬休み講習会や予備校など、いろいろと勉強する機会があるのですが、お子様も生徒さんも、さぼりたい時にはさぼります。普通のお子様だって朝5時に起きて運動部の朝練に行って、10時から夕方の5時まで夏期講習という日々が続くと、疲れも出てきます。しかし、「通訳が来ているから行かなくちゃいけない。」と、他の生徒さんにはないプレッシャーが出てしまうのが、一番申し訳なく思っています。情報保障を利用している難聴のお子様や生徒さんも、一般の生徒さんと同じ気持ちで勉強ができたらよいなぁ…と思っております。

今ひととおり学校の様子ということで、「学校での体験談+α」をお話しさせていただきました。
しかし、「学校」というのは、授業の内容や、先生がしゃべっている内容が文字としてわかればそれでいいのか?といえば、それだけではないと思います。「学校生活」というのの中では、お子様・生徒さん同士、時にはケンカもするでしょうし、お互いにかばい合ったりもすると思います。そういう中で、お互いのコミュニケーションが生まれ、はぐくまれていくものだと思います。その中で私たち通訳者・入力者ができるのが、たまたま「授業の通訳」であって、「文字による情報保障」です。本当に小さなことだけです。ですから、皆様もお子様が充実した学校生活を送れるよう、学校の先生方と相談しながらお子様の気持ちや生活を考え、情報保障を選んで頂けたらと思っております。

では、この辺で終わりにしたいと思います。
今日は、どうもありがとうございました。

※これは、人工内耳友の会東海支部様より、「会報への掲載原稿下書き」として送っていただいたものを、「読んでいただくための文章」として、補記させていただいたものです。
       ☆宮下あけみ☆





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