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いんぷらきっずのQ&A
〜人工内耳装用児のパパ、ママ達の知恵袋〜


<2−4.おすすめの訓練方法は?>

Q2401(推奨のリハビリ、訓練)
術後どんなリハビリをしていけばよいでしょうか?

A2401(体験A1)
まずは難聴児である我が子のことをよく知る事です。悲しい時、悔しい時、恥ずかしい時などの表情や表現を理解し、言葉に出せない心の言葉をできる限り読みとってあげます。それを知ったうえで、「あめとむち」を上手く使い分けること。愛する敵も、こちらの心を非常に上手く読み取ります。
例えば、聴覚口話でマッチングができるようになり、理解語彙が増えてきたら、視覚情報を与えずに(手で口元を隠すなどして)絵カードや絵日記、おもちゃや実物など色々な物を使って、聴覚訓練をしていく。間違えた時やわからない時は、必ず正解を教えるなど。(その子の理解できる情報で)これは、訓練の時だけの話で、日常生活では理解させてあげること、楽しく話すことが第1だと思います。(これが、なかなか私には難しかった)
次は、言葉を言わせる事、話させる事が大切だと思います。発音が悪いのには、口や舌が上手く動かないという理由もあると思います。自分の言葉をフィードバックすることで、正しい発音と誤った発音に気づいてきます。数多く発する言葉ほど正確さが増します(例えば、名前)。必ず言わせる事です。言葉にだんだん慣れてきたら、色々な言いまわしをしてあげると良いと思います。「どうせ話しても解らないだろう」と諦めず、表情を豊かに言葉で説明してあげます。一字一句理解することはできなくとも、その場の状況や相手の表情、それに知っている語彙を併せれば、理解できることも多いものです。

A2401(体験A2)
通っている学校の指導で、語彙表をつけていました。語彙表に付けていくのは獲得した語彙です。子供自身が使う言葉です。親の言うことを模倣して言うだけでは獲得したとは言えません。最初は模倣から始りますが、そのうち自発的に使うようになり、そうして初めて獲得したと言えます。まず、語彙表を集計するために、言葉を分類します。
・名詞(代名詞、固有名詞、人名などなど)
・動詞(具体的表現、抽象的表現など)具体的表現とは「走る」「笑う」「転ぶ」など。抽象的表現とは「あきれる」「教える」「あわてる」「考える」など。
・形容詞は「きれい」「楽しい」「悲しい」「騒がしい」など「い」で終わる言葉。
・副詞は「うっかり」「まっぴら」「たっぷり」「そわそわ」「うきうき」など。
・助詞(〜を、〜で、〜の、〜が、〜になど)
・接続詞(だから、それで、でも、それでは、など)
・連体詞(あの、これ、それ、など)
・助動詞(れる、られる、など)
・感動詞(ああ、おや、はい、いいえ、など)
・複合動詞(2つの動詞がくっついたもの 飛び跳ねる、動き回る、もぎ取る、など)
・擬態語(へびがニョロニョロのニョロニョロなど)
・擬音語(車の音をブーブーと言葉に表すなど)
2、3歳の頃は擬態語、擬音語から始めて、子どもは模倣しながら少しずつ言語獲得していきました。その後少しずつ言葉が増えていきました。本当は二ヶ月ごとぐらいに語彙を数えて累計すると、語彙の伸び、漏れの傾向がわかるらしく、落ちているところを目標に言葉をかけていけます。しかし、私はこの語彙表をつけるのが大の苦手で、先生から催促されないとつけられませんでした。

<参考文献>
1.「ことば絵辞典」、今はいろいろな種類があります。
2.ことばがいっぱい言葉図鑑
@うごきのことば、偕成社五味太郎氏
Aようすのことば
このことばシリーズはIまでありますが@、Aを主に使いました。@、Aのことばをシラミつぶしに教えていました。

A2401(体験A3)
お勧めの訓練、おもちゃではないのですが 本を紹介します。

「人工内耳装用者と難聴児の学習」
家庭でできるドリルブック
国際医療福祉大学 城間将江
虎の門病院    氏田直子
大阪大学附属病院 井脇貴子
国際医療福祉大学 中村淳子 共著
発行所  株式会社 学苑社
定価  2500円

人工内耳友の会[ACITA]からすぐ取り寄せられます。ごっこ遊びのやり方や声のかけ方、発声・発音、なぞなぞ、クロスワードクイズなど、とても参考になりますよ。ちょっと高いなあと思いながら購入しましたが、いろいろヒントが載っているので重宝しました。年齢的には2、3歳から十分使えます。

A2401(専門A)
術後は、色々な音を聞き、それらが何の音か確認していくとよいでしょう。また色々な人と接し、たくさん会話をし、話を聞くことはとてもよい(リ)ハビリテーションになります。詳しくは病院や学校の先生にご相談ください。

Q2402(推奨のおもちゃ、あそび)
手術後の効果的な遊びやおもちゃ、言葉獲得に効果的だったおもちゃなどの例を教えて下さい。(例えば)押すと「あ」とか「い」とか声の出るキーボードのようなやつ・・は効果があるでしょうか?

A2402(体験A1)
手術の前で、小さいときに音に気付かせ、楽しませることにつかったのが、当時流行っていた音に反応して踊ったりゆれたりする鳥や花のおもちゃです。(名前はあるのでしょうか?)また私の反省からすると、息子は術年齢も高く、親の方に焦りがあったので、お尻をたたいて音を聴かせ、意識させて、発音もうるさく注意したように思います。そんなことから、これからの人には、じっくりお子さんをよく見て接してほしいと願います。どちらにしても、繰り返し・根気よく語りかけ、そして、子供にも声を出させ、話をさせるということではないでしょうか。

A2402(体験A2)
なるだけ近所の同級生と遊んで、会話ができるように工夫しました。そんな努力の結果、私が声をかけなくても毎日同級生が家にやってくるそんな家になりました。子どもが子ども同士学ぶことは大きいと思いました。人形遊びやおままごとなどをよくやっていたようです。

A2402(体験A3)
3歳〜5歳向けでは「ごっこあそび」かな?
遊びながら言葉を教えていくのにいいですよ。娘がやっていたのは「インデアンごっこ」や「お医者さんごっこ??」(このときに手術の話しをしました)などですが工夫すれはいろいろ出来ると思います。5歳〜小学生向けでは「なぞなぞ」がいいかも・・・


インデアンごっこ


おいしゃさんごっこ

A2402(体験A4)
今では、よく聞いて、よく話すこと「会話」かな!と思っています。おすすめがあったら私にも教えて下さーい。

A2402(体験A5)
絵カードで、「かるたとり」みたいなことをよくしました。絵を並べて、言葉を言い、カードの絵を取らせます。最初のうちは口を大きく開けて、はっきりと言葉をいいます。「○と○と○」みたいに、複数の言葉も聞き取らせます。カードにはないものを言って、ちょっとフェイントをかけたりもして、いろいろ工夫して言うのです。慣れてくると、「口を大きくはっきりと」から、だんだん「普通の口調」で言うようにし、時には早口で言ってみたりもします。読み手をお父さんや、お姉ちゃんや遊びに来たお友達にに替わってもらったりして、いろいろな人の声・言い方でわかるようにします。そして、「普通の口調」から今度は「口を隠して」いうようにします。日常生活の中でも、手をつないで前を見ながらおしゃべりしたり、自転車の荷台に子どもを乗せて、話し掛けてみたりすると、音だけでどれくらいの会話を理解できているかよくわかります。

A2402(体験A6)
最初の頃、家族で出席調べごっこをやりました。口をかくして、まず「ママ」・「○○(娘の名前)」と呼び合います。両方とも2音なので、なかなか弁別が難しかったです。娘は字が書けましたので、家族の呼び名を書いてもらい、うまく弁別できたら○をつけました。それを役割交代しながらやりました。娘だけがあまりに続けて失敗すると、怒ってやらなくなるので、私もわざと間違えて言いました。何度やっても同じ音数の言葉は間違いやすく、やる気をなくしてしまうので、「まま」を「おかあさん」に変えたりしました。二人で出来るようになったら、人数を増やしていきました。家族には、わざと間違ってもらい、娘に教えさせたりしました。毎日こつこつと続けることが大切で、出来る、出来ないにはこだわらないように努力しました。

A2402(体験A7)
私が実際にやったことではありませんが、ある講演をきいていてとてもためになる内容だったので紹介します。身に付けさせたい技能は、あくまでも参考として下さい。一人一人の歩みは違います。

1、人工内耳をつけてから最初の一年はとても大切である。
@最初の一年間が今後の「聞く」経験への道しるべとなるから
A聴覚学的にも、この一年が会話を身に付けるための「聞くこと」の能力の開発期間であることが証明されている。

2、最初の3ヶ月までに身につけさせたい技能
@音の存在を知り、知覚すること
A音を意識すること
B距離を変えて聞くこと
そのために効果的なトレーニング方法としては、
*多くの言葉かけ
*子どもとの行動を実況中継するように話し掛ける
*お母さんだけでなくお父さんも、もしいれば兄弟にも 話し掛けてもらう。

3、4〜6ヶ月までに身に付けさせたい技能
@この時期は「聞き分け」「聞き取り」に専念する
そのために効果的なトレーニング方法としては、
*いないいないばぁあ(交替しながら)
*おもちゃで一緒に遊ぶ際に、自分でやってやらせてみる(交替交替)
*子どもが何かしようとしている時に、じっくり待ってやらせてあげる。そして、できたときに多いに誉めてあげる(できるまで待つ事が大事)。
(上記2点は、単なる聞こえのトレーニングだけでなく、聞くための心構えを育てる意味や脳を活性化する意味でも重要)

4、7〜9ヶ月までに身に付けさせたい技能
@どこから聞こえてくるのかを見つける。
Aなんごを話し始める。
Bリピートをしようとする。
C音と者を一致できるようになり始める。
そのために効果的なトレーニング方法としては、
*犬と猫ネコのおもちゃを置いて、「ワンワン」と聞こえたら犬を、「ニャーニャー」と聞こえたら猫を取るように指導する。
*電話がなったときなどに、あ、なにか聞こえるね」と耳に手を当て、どこで何がなっているかを捜させる。
*何かを発声した時には、熱心に聞いてあげる。耳に手を当て、「聞こえたよ」と誉めてあげる。

5、10〜11ヶ月までに身に付けさせたい技能
@聞いたことを憶えるようになる
A簡単な行動をきいただけでできるようになる。
B誰が話しているのかわかるようになる。
Cリピートができるようになる。
そのために効果的なトレーニング方法としては、
*一日の中で一緒にする簡単な決め事を、子どもだけでするように言葉で伝え始める。
(例)ピアノを弾く→「ピアノを弾こうよ」と言葉で伝えて、ピアノのところに行くように指導する。(「ごちそうさま」でも「バイバイ」でも良いと思います)
*保育園や公園での遊びなどで、いろんなお友達の声を聞く

A2402(専門A)
音や声の出るおもちゃは効果的だと思います。その際に聞こえたことに注目させるとよいでしょう。詳しくは病院や学校の先生にご相談ください。



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