Bea−Kid’s

●Bea−Kid’sとは?
 情報企画から1997年春に発売された西部劇風ファンタジーRPG。ボックス形式で、イエローサブマリンなどのゲームショップで現在でも入手可能。
 書庫内のシナリオで『Bea−Kid’s』専用としてあるものもあるが、馴染まないようならばマスターの方で他のRPG(『ソードワールド』や『ギア・アンティーク〜ルネッサンス』など)用に手直して欲しい。その際には、このページの情報も参考になるだろう。

●世界設定について
 私は『Bea−Kid’s』をシリアスな西部劇RPGとして扱っており、一部、オフィシャルとは異なる世界設定を使用している。ルールブックのイラストからホンワカとした印象を受けて遊んでいる人には違和感を与えるかもしれないので、以下に注記する。

@種族について、原則的に以下のような存在として扱っている。
人間族  白人。WASP。
 元々住んでいた“遥か彼方の地”では幾つかの民族として区別されていたが、現在では血が混じり意識される事は無い。全員が統一国家“グーデリアン”の国民であるが、その統一前はどの国に所属していたかで幾らか区別される。古くからグーデリアンだった地方の者ほど文化人として見られる傾向が強い。また、最期になってグーデリアンに加わった“南部連合国”に属していた地域住民は、今でも“南部連合国民”としてのアイデンティティーを抱いている者も少なくない。
 一般的に、獣人族や亜獣人に対して根強い差別感情を抱いている。その他、性別、職業、出身階層による差別も小さくはない。
 大概の者はそれなりに乗馬や射撃の腕を持っている。武装は市民の重要な権利だとの考えが広まっている。
獣人族  インディアン。
 “獣人族”という呼称は、あくまで“人間族”が付けたものであり、獣人語でそれに相当する言葉はない。“狼族”“猫族”“狐族”“熊族”など幾つもの種族に分かれ、物の考え方もそれぞれ異なり、獣人語で全ての部族を統一して指す言葉は無い。人間語で“獣人族”と呼ばれる事は受け入れている。
 人間族による差別には腹を立てている。一部では積極的にテロ活動を行う者(人間族には“ドック・ソルジャー”と呼ばれる)や、逆に卑屈になって被差別民としての立場を甘受する者もいる。大部分は、昔ながらの生活を守ろうと努力しつつ、“人間族”という現実を受け入れて折り合いを付けている。
 人間族の町では、高級ホテルやレストランなどへの獣人族の立ち入りを禁じている事が多い。武器や不足している物資の販売もしてもらえない。しかし、雑貨屋で日用品を買ったり、安宿に泊まったりといった程度の事まで断る町もほとんど無い。
 獣人族の部落で、人間族は緊張感を持って迎えられる。「後で戦争の口実を与えないように」という考えから大切な客人として扱われるが、聖地や墓などへの立ち入りは絶対に許さない。また、時と場合によっては、謀殺して痕跡も残さないという方法が選ばれる場合もままある。
亜獣人  黒人。封印の解かれた亜獣人は逃亡奴隷として扱われる。
 かつて、人間族の真言魔術師が、対獣人族戦用に作り出した兵器である。通常でも夜目が利くなどの特殊能力を持ち、また、獣の姿に変身する事で強力な戦闘能力を発揮する。変身する獣には、狼、虎、豹、犬、サーベルタイガー、熊など様々なタイプが存在する。特に去勢されていない限り、子孫を残す事もできる。
 元々は、主人に対する絶対服従を精神に刷り込まれていたが、魔法の力の衰えに伴って、自由意志を獲得する者も出て来た。都市部では今でも奴隷として扱われ、高貴な身分の人間の所有物として相応しい扱われ方をする。主人を持たない、自由意志を獲得した亜獣人は、法律的には生存を許されていない。
 一般的には、人間族も獣人族も「亜獣人=恐ろしいモンスター兵器」と見做している。よって、自由意志を獲得した亜獣人は「コントロールされていない狂った兵器」と考えられ、信用される事はまず無い。存在が確認されれば、良くて追放である。
 特殊な遺失魔術でも使用しない限り、人間形態の亜獣人の正体を見抜く事はできない。獣形態の場合、亜獣人ならばそれが同胞であると分かる。賢すぎる獣に対して、人間族や獣人族が「あれは亜獣人の変身ではないか?」と思い付けるかどうかは、ケース・バイ・ケースである。
 なお、亜獣人PCは自由意志を獲得している。


A歴史について
太古の昔  科学文明が栄えたが、知性化機械の反乱で絶滅する。現在でも遺跡という形で戦闘ロボット、宇宙船、ネットワークなどが一部存在する
数千年前  “12人の魔女”の1人により、レストリア大陸に獣人族が現れる
数百年前  “遥か彼方の地”より海を越えて、レストリア大陸に人間族が渡来する。ちょうどその頃、獣人族の間で流行していた疫病を治す薬を人間族が持っていた事から、薬の礼として平和裏に人間族に土地が譲られる。人間族は、真言魔術師を支配階級とする複数の国を興し、国が安定すると「獣人族への侵略戦争」および「人間族国家の統一戦争」を起こす
100年前  人間族の科学技術が発達し、同時に魔法の力が衰える。支配者として好き勝手をやっていた真言魔術師たちが疎まれるようになり、人間族国家の1つ“グーデリアン”では革命が起きて、魔法が非合法化される
数年〜十数年前  人間族国家が“グーデリアン国”によって統一される。最期まで争っていた“南部連合国(真言魔術師を支配者として戴いていた国)”の残党がゲリラ化する。この頃から、一時期沈静化していた獣人族への侵略が再開される


B魔法について
 真言魔術師は存在自体が違法であり、真言魔術師だと証明できるならば、一方的に殺しても法律的に問題無い。
 善良な市民の真言魔術師への反応は、良くても「魔法を使って人助けをした場合、町から出て行くのを見逃してくれる。魔法で悪い事をすれば軽犯罪でも死刑にしようとする」というのが精一杯である。
 統一戦争末期まで“南部連合国”に属していた地域の一般市民に関しては、反応が幾らか柔らかだが、それでも魔法を用いた外道な行為には生理的嫌悪感を抱いている。
 “南部連合国”の残党には、真言魔術師をリーダーとする組織も多い。しかし、魔法を嫌う残党も少なくない。割合的には半々である。
 獣人族のシャーマンに関しても、人間族の町で魔法を使用すれば真言魔術師と同様に処罰される。しかし、誇り高い獣人族は自らの職業を隠すのを嫌う者が多く、人間族に対しても「自分はシャーマンだ」と名乗るが、その程度ならば咎め立てされる事はまず無い。“真言魔術師狩り”はあっても、“シャーマン狩り”は無い。弾圧されるときは獣人族全体が弾圧される。

C武装について
 ルールブックに載っているような銃器や爆弾は雑貨屋で売っていて、所持に制限は無い。迫撃砲やガトリングガンなどの軍用品は売買も所持も違法である。
 通常武器に関しても、持ち込みを禁止する町が希に存在するが、一般常識から見れば“奇妙な町”と映る。
 「銃を構えている者を殺しても罪にならない」という法律があるので、非戦闘時はホルスターに武器を収めておくのが普通。そんな法律がある事から、“早撃ち”という技能が有用となった。

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