No. タイトル システム 登録日 改稿日
0098 風見鶏泥棒 GH 01/09/23



はじめに

 このシナリオは、『ゴーストハンター』の使用を想定して書かれた。
 しかし、様々なジャンルのRPG用への改造も可能である。



登場NPCおよび重要事項

老シャーマン 白人に恨みを持っていた19世紀末のインディアン。舞台となる町に呪いをかけようとしたが、未完成のまま死亡した。
若き魔術師 修行中の魔術師。ふとした事から“老シャーマン”が残した4つ目の呪いの風見鶏を手に入れ、未完成の呪いに気付く。
町の実力者 清廉潔白を装うが、裏では非道な行いもする資産家。実は魔術師でもある。“若き魔術師”から呪いの話を聞き、金儲けに利用しようと企む。



事前状況

 19世紀末のアメリカのとある地方に、白人に恨みを持つインディアンの“老シャーマン”がいた。“老シャーマン”は、白人に殺された同胞の怨念をエネルギーとして、この地方で最も大きい町に呪いを掛ける事を決意した。
 “老シャーマン”は、青銅製の風見鶏の形をした呪いのアイテムを4つ作成した。ターゲットの町は四隅にレンガ造りの塔があり、その上に風見鶏が置かれていたのだが、これを呪いのアイテムと置き換えれば、町は大災害に襲われるという仕組みになっていた。
 しかし結局、呪いが完成する事は無かった。“老シャーマン”は風見鶏を3つすり替えた時点で、死んでしまったのである。町には3つの呪いの風見鶏と、1つの普通の風見鶏が残された。

 数十年の時が流れた二十世紀前半、“若き魔術師”が、偶然から“老シャーマン”が残した4つ目の呪いの風見鶏を手に入れた。そして風見鶏を調査した末に、町にかけられた未完成の呪いに気が付いた。
 現在では町もその規模を大きくしていて、レンガ造りの4つの塔の外にも家並みが広がっている。魔術とは不安定なものだから、このまま3つの呪いの風見鶏を放置しておくのは望ましい事では無い。そこで“若き魔術師”は、“町の実力者”に掛け合って、呪いの風見鶏を撤去してもらおうと考えた。
 “若き魔術師”は、金も社会的な地位も無く、普通であれば呪いの話を信じてもらうのは勿論、“町の実力者”に面会する事すら難しい。しかし面会は叶い、“若き魔術師”は信じてもらう為に「魔術や呪いが実在する証明」から始まって「“老シャーマン”の呪いの仕組などの詳細の解説」まで行った。

 実は、“町の実力者”も魔術の心得があった。何も知らない振りをして“若き魔術師”から必要な情報を吸収して、「“老シャーマン”の呪いは本物だ」との確信と「4つ目の呪いの風見鶏」を手に入れた。そして、「思い通りの日時に町を壊滅させる事で金を儲ける計画」を立てた。保険や各種の相場取り引きを利用すれば、町の破壊も莫大な富に結び付く訳である。
 用済みになった“若き魔術師”は殺されそうになったが、何とか逃げ出した。“町の実力者”の企みを知り、頼る者も無い状況で、「風見鶏を盗む」事を決意する。

 “町の実力者”は、数人の部下以外には、計画について話していない。風見鶏を守る為に「古くから町にある塔の頂上に設置された青銅製の風見鶏を盗むという予告状が届いた」との方便を使い、大袈裟なくらいの人数の警備を付けた。町の人々は警備を行う事に疑問を抱いたが、実際に“若き魔術師”が盗みに現れ、不可思議な力(黒魔術の<恐怖>や<電撃>など、低レベルで多人数に効果がある魔術)を使った事から、「怪しげな魔法使いが、胡乱な目的の為に古い風見鶏を盗もうとしている」と納得した。



導入

 “若き魔術師”の盗みの最初の試みは失敗したが、魔術を使った事から、警備の指揮を執っていた保安官は「オカルト事件に通じた者の手助けが必要だ」と考える。
 PCたちは知り合い同士で、過去にも共にオカルト事件を解決した事がある。そちらの方面ではそこそこ名が知られていて、仲介者を通して保安官から仕事を依頼される。保安官は、「“町の実力者”の所に『風見鶏を盗む』という予告状が届き、半信半疑で塔を警備していると、怪しげな余所者が現れた。何とか追い払ったが、犯人は怪しげな魔法を使うので捕らえる事ができない。そこでオカルト事件に通じたPCに警護と犯人逮捕を依頼したい」と説明する。報酬はPCが満足する額が約束される。PCはこれを受けるものとして進める。



本編

 実際には、“若き魔術師”は盗みの予告状など出していない。盗みにしても、警備が厳重すぎてとても実行できず、たまたま最大効果で魔術がかかったお陰でなんとか逃げる事ができたという有り様だった。
 既に“町の実力者”の計画は後戻りのできない所まで進んでおり、風見鶏を1つでも奪われて町の破壊が起こらないようならば、逆に“町の実力者”は大損害を被る。故に不自然に見えても厳重な警備を敷いた訳である。しかし、魔術を理解する者には関わって欲しく無く、保安官が独断でPCを雇った事を苦々しく思っている。

 PCが“町の実力者”に会いに行くと、些か対応が冷ややかで、余り歓迎されていないと感じられる。予告状について聞くと「何時の間にか枕元にあった。気味が悪いから捨てた。しかしその後で気になったので、警備するように手配した」と答えるのみで、他には何も思い当たる事が無いと言う。保安官が同席していた場合、後で「“町の実力者”があんなふうに不快を隠さないのは珍しい。自分の独断でPCを雇った事が、そんなに気に入らないのだろうか?」と口にする。
 風見鶏を調べさせて欲しいという申し出は、理由に関わらず却下される。保安官を説得したり、塔の頂上に忍び込んだりすれば調べる事ができる。<魔術>や<霊能力>または心霊機械の<幽体探知>を使えば、4つの内の3つから魔力(死霊の呪い)を感じるが、具体的な効果などは分からない。

 以下にPCが取り得ると思われる行動と、それに続くセッション前半の展開を記す。

聞き込みをする  「怪しい風体の者を見掛けなかったか?」という類の事を聞き回っても、「この町は余所者の出入りも多いし、心当たりがあり過ぎる」と言われて成果は無い。魔術の使い手についての情報も無い。
 “町の実力者”の評判については、酒場などで適当なロールプレイを行えば、「表向きは清廉潔白を装っているが、裏では非道な振る舞いもしている。一種のマフィアの黒幕的な人物」という話を聞く事ができる。また、<交渉>の技能判定に成功すれば「最近、先物市場に派手に手を出しているらしい」「所有する不動産に高い保険を掛け直したそうだ」という情報が得られる。
 「“町の実力者”が、怪しい余所者と会っていなかったか?」という絞った質問を適切な場所で行ったならば、ロールプレイと技能判定次第では「余所者が何のアポも無く“町の実力者”に面会を求めに来た。最初は門前払いにされていたが、余所者が『呪いがどうしたこうした』と叫ぶと、“町の実力者”は面会を許した」という話を聞く事ができる。
問い詰める  “町の実力者”は、PCが面会した当初より挙動不審だが、具体的に問い詰める材料は無い。上段の聞き込みで「余所者と会っていた」と突き止めていても、「今回の件とは関係無い」と白を切られる。PCが暴言を吐くなどすれば、是幸いとPCを町から追い出す口実にしようとするが、実際に町を追い出されてしまってはセッションが行き詰まってしまうので、問題になる直前で保安官がフォローするなどの展開にする事。
 最終的に「“町の実力者”には怪しげな所があるが、今は様子を見るしかない」という線でまとめる。“町の実力者”の非協力的な態度にプレイヤーがやる気を削がれるようならば、保安官のロールプレイを通してケアする事。
見張りをする  4つの風見鶏は離れた場所にあるので、同時に警備する事はできない。呪いのかかった風見鶏のある塔には、NPCが三交代で一勤につき10人という体制で警備に就いている。残り1つには5人しかいない。このシフトの偏りについて聞くと、「“町の実力者”の指示だ」と教えられる。“町の実力者”に訳を聞いても最初は煩そうにして答えないが、PCがしつこく訊ねれば「実は、警備の薄い風見鶏は偽物なのだ」と答える。
 NPCのデータは、ルールブックP118の“人間”のものを流用する事。武器は22口径リボルバーを持っている。<運動>や<聞き耳>などの警備をする上で必要な技能は1レベル所持している。NPCが警備員としてどれだけ役に立つかプレイヤーが疑問に思った場合、これらのデータやルールブックP41の「競争ロール」を説明する事。
 PCが張り込みをするならば、場所と時間についてスケジュールを決めさせる事。分散しても構わない。徹夜をする場合などのペナルティについては、マスターが決定する。
 見張りを続けた場合については、下段に改めて記す。

 PCが聞き込みなどを済ませ、塔の見張りに加わって2日ほど後の夜、“若き魔術師”が再び現れる。狙う塔については、呪いのかかった3つからランダムに決定する。
 “若き魔術師”は少々の無理をして<空中浮遊>を使用して近くの建物の屋根から塔の上に移動する。その後、用意してきた工具で強引に風見鶏を取り外し、そのまま持ち去ろうとする。
 しかし、現場にPCがいるかいないかに関わらず、風見鶏の取り外しに手間取って盗みは失敗する。NPCしかいない場合、“若き魔術師”はそのまま逃亡してしまう。PCがいた場合は、捕まえるチャンスがある。PCの内の誰か1人が「−30%の難易度の<聞き耳>または適当な技能判定」に成功すれば、<空中浮遊>の効果時間が切れて着地した所を押さえる事ができる。<聞き耳>に失敗した場合は、3ラウンドだけ“若き魔術師”を攻撃する事ができ、その間に気絶させられれば捕える事ができる。
 ここで“若き魔術師”を捕える事ができなかった場合、翌日の夜に再び襲撃を受ける。今度は“若き魔術師”も手加減できないと腹を括り、師匠から受け継いだ怪物(NPC10人程度ならば皆殺しにできるが、PCならば苦戦の末に倒せるレベルの物を選択する)を使う。PCが現場にいなかった場合も、銃声を聞きつけてすぐに駆けつければ、NPCが全滅した頃に到着する事ができる。

 どういう展開になったにしろ、「PCは“若き魔術師”を捕え、独自に尋問ができる暇を持った」となる方向で誘導する事。
 “若き魔術師”は、観念するとPCに「あなたたちは、“町の実力者”の陰謀に荷担して恥ずかしくないのですか?」と叫ぶ。PCが宥めて事情を聞けば、「“老シャーマン”の呪いについて」や「呪いの話を“町の実力者”にしたら殺されかかった。どういう理由か、“町の実力者”は町を破壊したいらしい」という話を聞く事ができる。



結末

 4つ目の呪いの風見鶏を確実に据え付ける為に慎重に準備をしてきた“町の実力者”だが、“若き魔術師”の動向を鑑みて、実行を早める事にした。
 PCが“若き魔術師”の話を聞き、“町の実力者”の館に行くと不在で、家の者から「布に包まれた何かを抱えて(普通の風見鶏がある)塔に向かった」と聞く事ができる。
 既に呪いの風見鶏がある3つの塔には、“町の実力者”の命令で交代要員も警備に就き、それぞれ20人が見張っている。警備に就いているNPCたちを短時間で説得して風見鶏を外させる事はできない。
 残る1つの塔では、周囲を怪物に守らせて、“町の実力者”が儀式を執り行っている。

 PCの取り得る選択は、以下の3つしか無い。

@“町の実力者”を倒す。
 “町の実力者”は、なりふり構わずに呪文を唱え、怪物を従えているので、誰の目から見ても奇異に映る。NPCに証人になってもらった上で怪物と“町の実力者”を倒せば、町の壊滅を防ぎ、かつ後でPCの行動が咎められる事も無い。

A他の塔の風見鶏を取り外す。
 20人の警備員に気付かれず、こっそりと盗む事ができるならば町の壊滅は防げるし、後に問題になる事も無い。
 強引に盗んだり、その為に警備員を傷つければ、後に相応の罪を問われる。ただし、「町が壊滅すれば“町の実力者”は大儲けしていた」という証拠を(人脈を使うなどして)提示できれば、緊急避難という事で刑事罰は免れるかもしれないが、それでも民事で賠償請求をされたなどとして何らかのペナルティは与える事。
 また、どちらにしても、後で破産した“町の実力者”の復讐を受けるかもしれない。

B町を見捨てる。
 呪いによる大災害で町は壊滅する。



さいごに

 シャーロット・マクラウドの『風見大追跡』を読んで思い付いたシナリオだが、元の小説とはほとんど似ていない。
 前半は謎解き風に進め、“若き魔術師”から話を聞いた後は戦闘メインと割り切ってクライマックスを演出して欲しい。




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