No. タイトル システム 登録日 改稿日
0095 ソウルメイツ XENO 01/05/08



はじめに

 このシナリオは、『輪廻戦記ゼノスケープ』専用である。



登場NPCおよび重要事項

添乗員 孤島ツアーの添乗員。実は、古代文明の魔神の“影”で、PCの前世に干渉する為に、現世に現れた。



アイズ:前世

 PCたちの前世は、超古代文明の英雄である。いわゆる“冒険者パーティー”のような数人の集団を組み、一騎当千の遊撃隊として、魔王的な敵と戦っていた。大局的な行動指針は直属の上官が与えてくれるが、解決方法に関しては完全な自由裁量が与えられていた。例えてみれば、『ロードス島戦記』における「カシュー王の命令で冒険に出るパーン一行」というような感じだった訳である。
 PCの選んだピースとアスペクトを参考にして、アイズのタイプを決める。例えば、ナイトやルークのピースを選んだPCは「前世において戦士だった」という事になる。

 現世とリンクしている時代において、PCのアイズたちは、魔王軍の主力部隊を避けて道なき道を進み、戦を勝利に導く鍵となるアイテムを探す旅に出ている。



導入:はじまりの夢

 現世にて、PCたちは何らかの深刻な悩みを抱えている。
 例えば、金に困っていたり、職場での人間関係が上手くいってなかったり、ストーカーに付きまとわれていたり、犯罪者として追われていたりする。具体的な設定は、担当プレイヤーに決めさせる事。
 そんなPCたちの心の隙間を突くように、最近、心地好い夢を見るようになる。夢の中のPCはファンタジー冒険活劇の英雄そのもので、憂鬱で情けない現実の自分の日常と比べると、実に生き生きとしているように感じてしまう。PCのある者は「自分は現実逃避の末に気が狂い始めている」と思い、またある者は「せめて夢の中くらいで楽しい思いをして何を恥じる事がある」と思い、極端な性格の者なら「夢の中の自分こそが本当の自分だ」などと思ったりする。どう思うにしろ、PCは夢を無視できなくなってくる。

 そんなとき、1枚のポスターがPCの目に入る。ポスターは小さな旅行代理店のパックツアーの宣伝広告で、「孤島にて、自分を見つめ直す癒しの旅に出てみませんか?」などと書かれている。不思議とPCはその旅行に参加したくなり、代理店に入って申し込みをする。
 PCが孤島へのツアー旅行に参加する事は、強制イベントである。「金がない」とか「休暇が取れない」などの設定のPCの場合は、偶然から障害となる事態が取り除かれる。その他、プレイヤーが難色を示すようなら、納得のいくように細かい設定などを変更しても構わない。



本編:ミドルゲーム

 スケープカードを以下のように並べる。プレイヤーの駒は「@道」に置く。イベントが終了すると先のスケープに進めるが、後戻りはできない。

@道
(彗星)

A海
(海王星)

孤島
B果て
(深宇宙)

古代文明
C旧跡
(土星)

遭難
D劇場
(金星)

Eダンジョン
(竜の星)

決着

  スケープ 場所  イベント
@  旅行当日、PCたちは集合場所の港に集まる。添乗員はエキセントリックな雰囲気の中年男性で、意味ありげな視線でPC一同を射抜く。漁船のような船に乗せられると、PCは孤島を目指す。
A 孤島  目的地の孤島には、かつて人が住んでいたが、今は無人島になっている。何軒か廃屋があり、その内の1軒(一応の清掃はしてある)にPCは泊まることになる。一週間分の真水や食料が運び込まれ、船は6日後に迎えに来るという事で帰って行く。孤島に電気はなく、携帯も通じない。
 PCたちが帰りたくても帰れない状態になると、添乗員はニンマリと笑い、こう言い放つ。

「今、皆さんは病んでいる。体は健康かもしれないが、心に大きな闇を抱えていて、癒されたいと思っている。それでこの孤島ツアーに参加した。悩みの原因はズバリ孤独です。これまで、皆さんの周りには真の友人がいなかった。だから癒されなかった。しかし、これからは違います。何故ならば、皆さんは共通の前世を持つソウルメイトだからです。皆さんは覚醒する……前世の記憶を取り戻す事を“覚醒”と呼びます……事で真の友であるソウルメイトを得て、癒されるのです」

 以上のセリフは、胡散臭いセミナー講師風に述べる事。PCの反応は様々だろうが、この時点では特技も秘技も使えない。
B 果て 古代文明  このスケープはゼノスケープである。手札が配られ、特技や秘技を使用することができる。
 夜眠ると、PCたちは夢を見る。古代文明の英雄となっているいつもの夢だが、今夜の夢はやけにリアルで描写も細部に至っている。ここで、適当な敵と戦闘を行わせる。勝利した瞬間、「この仲間たちは、現世(来世)で一緒に孤島ツアーに参加している奴らなんだな」との確信を抱くと、そこで意識が途切れる。
C 旧跡 遭難  PCが目を覚ますと、先ほどのリアルな夢の印象が生々しく蘇る。「前世で英雄だったときの仲間は、目の前にいるPCたちなのだ」という事をハッキリと思い出すが、ここでは特技や秘技を使用する事ができない。
 PCが特にアクションを起こさない場合、毎夜、古代文明の夢を見る。内容的には「B果て」と同じだが、特に戦闘は行わなくても良い。やがて帰りの日になるが迎えの船は来ず、食料も尽きる。
 添乗員に説明を求めると、「この島は現世と前世を繋ぐ扉です。皆さん全員が真に覚醒しない限り、現世からの干渉(迎えの船)はありません」などと意味不明な答え方をする。
 泳いで島から逃げようとしても、潮流が速く、島に押し戻されてしまう。サバイバル技術がある訳でも無いから、いずれ体が参ってしまう。添乗員を暴力で脅しても進展はない。
 PCが「古代文明の夢を見る」と打ち明けた上で、「覚醒するにはどうすれば良いか?」と尋ねると、「私の前世セラピーを受けて下さい」と答える。
 以上の展開は強制イベントのようなものである。選択の余地が無いのでプレイヤーは不満を抱くかもしれないが、色々な行動を試させた後で、マスターとして「他にシーンを進める手段はないよ」と言ってしまう事。
D 劇場  別室にて、PCは個別に前世セラピーを受ける事になる。
 添乗員は“前世セラピー”と称しているが、要は催眠術である。添乗員は、PCを催眠状態にして「前世にて、仲間の1人が実は裏切り者だった」という記憶を植え付けようとする。
 催眠術にかかった者は、「PC(の前世)の1人が敵と内通していて、そのせいでパーティーが全滅する」という夢を見る。裏切り者は、最も戦闘力の高いPCで、そのPC自身は「自分こそが裏切り者だった」という内容の夢を見る。
 【地位】の1C判定に成功すれば「催眠術に抵抗して、かかった振りをする」という事ができる。
 或いは、【知覚】または【運動】の1C判定に成功すれば、「他のPCが“前世セラピー”を受けている様子を盗み聞きする」という事ができる。
 何れの場合でも、添乗員が催眠術でPCに「前世にて、仲間の1人が実は裏切り者だった」という記憶を植え付けようとしていると推理できる。
E ダンジョン 決着  このスケープはゼノスケープである。手札が配られ、特技や秘技を使用することができる。
 全員の前世セラピーが終わった後、いつの間にかPCは「古代文明の英雄だった夢」を見ている。PC(の前世)たちは睨み合い、「明らかに何者かがPCの行動について情報をリークしている。ここでハッキリさせないと、魔王が勝利してしまう」と言い合っている。
 プレイヤーが、「PC以外にも、PCの行動について知っている者はいないか?」と訊くならば、「指導者ならば知っている」と教える事。PCたちが指導者の前に行くと、ただならぬ雰囲気を感じて指導者は人払いをする。PCが指導者を糾弾すると、「確かに、私か、お前たちの中の誰かが裏切り者なのは間違いない。だが、指導者たる私を疑うと言うのか?」と詰め寄る。
 指導者またはPCの誰かを裏切り者と決めて決着を付けない限り、このスケープは終わらない。



結末

 裏切り者として指導者を選び、襲い掛かると、正体を現す。実は指導者はとうに暗殺されていて、変身能力を持つ魔神が入れ替わっていたのである。魔神のデータは適当なものを使用する事。

 指導者と入れ替わっていた魔神が、英雄の来世(PCの現世)へと干渉して、「指導者が裏切り者かもしれないという考えから注意を逸らそう」と考えて今回の事件を企んだ。つまり、必ずしも「前世→現世→来世」と一本道に物事が進んでいるとは限らず、来世の選択が前世に影響を及ぼす事もある訳だ。
 この辺りのオチの説明は、魔神の口を借りてプレイヤーに行う事。

 指導者(魔神)またはPCの内の誰かを倒せば、PCは夢から覚める。
 指導者(魔神)を倒した場合、現世に戻ると、添乗員が事故死しているのに気付く。迎えの船もすぐに来て、PCは警察から簡単な事情聴取を受けるくらいで解放される。以降は夢を見る事も無く、PCは何だかスッキリとする。
 PCを倒した場合、現世でもそのPCは死んでおり、「極限状態下でパニックに陥ったPCたちが殺し合いを演じた」という事になっている。心神喪失と言う事で罪には問われないが、以後の日常はますます憂鬱になる。



さいごに

 元ネタはNHKの『ドラマDモード』枠で2000年後半に放映された『深く潜れ〜八犬伝2001〜』である。怪演を見せたテリー伊藤を始めキャスティングも良く、鈴木あみはこれが引退作となってしまった事が惜しまれる。

 前世をネタに扱った作品と言えば、ほぼ全て「前世は実在して、それが現世に影響を与えている」という話か、さもなくば「ありもしない“前世”の存在を信じ込む人々の狂気を描く」という話になっている。しかし、『深く潜れ〜八犬伝2001〜』は「ありもしない“前世”の存在を信じ込む人々」の悩みを真剣に捉え、ポジティブに描いていた点が興味深かった。
 これをRPGのシナリオにできないかと色々と考えたのだが、やはり難しく、このような形となった。
 実際のところ、「ピースだのアスペクトだのアイズだのというモノは存在しません。あなた方を繋げる為の“必要な嘘”だったのです」「前世なんて利用すればいい。全ての答えはあなたの中にあります」なんてセリフでオトすシナリオが実現できたら凄いだろうが……。




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