No. | タイトル | システム | 登録日 | 改稿日 |
---|---|---|---|---|
0088 | 殺ヴァンパイア事件 | VTM | 00/12/03 | − |
サベイジ | : | ホーントの子。本シナリオにおける殺害事件の被害者。氏族はPCが選択しなかったものから適当に決める事。幼童になりたてで、金もコネも無く、力も弱い。人間の友人と遊ぶのが好きな、喩えればフリーターのようなノリのヴァンパイアである。父ホーントの内に秘めた野望も知らず、最近になって父ホーントから“餌場船”の管理を任されて喜んでいた。 そして、船上で不審な死を迎える。 |
ホーント | : | サベイジの父。頭が良く、様々な訓えにも深く通じ、莫大な資産や人間社会の影響力も持つが、第十二世代でカマリリャの地位も低い。享楽的な性格を装っているが、内に大きな野望を秘めており、ついにメトセラの墓所の探索に乗り出した。最近、自らは失踪して、探索に子のサベイジを利用している。 |
餌場船 | : | ホーントが作り、後にサベイジが管理を任された船。タンカーを改造した巨大船で、無寄港で永久に大西洋を彷徨い、操船や整備は洗脳された人間が全て行う。表向きは「安全に食事が出来る狩り場」という事になっているが、実はメトセラの墓所を探る為の調査船である。 |
長老勢力 | : | ホーントの行動を些か胡散臭く思いつつもこれまでは見逃していた。しかし、ホーント本人が失踪して、子のサベイジが“餌場船”で不審な死を迎えた事を知り、PCたちを調査に向かわせた。 |
敵対勢力 | : | 魔狩人や魔術師など、ヴァンパイアに敵対する者たち。最近になってホーントの行動の真意を掴み、マークしていた。 |
場所 | 説明 | |
---|---|---|
1 | コンピュータ室 | メインフレーム・コンピュータ、端末、GPS、ネットワーク機器といった物がある。GPSで現在位置を確認して、コンピュータ制御による自動航行で船を動かす仕組みになっている。 「<知性>+<コンピュータ>」で難易度6に成功すると、「同じ機器が複数用意され、お互いをバックアップし合っている」「管理者はおらず、不具合が起こると自動的に問題のあるハードウェアを切り離す事で対応する」「セキュリティは非常に堅牢で、コンピュータやGPSをハッキングして狂わせるのは不可能」だといった事が分かる。 船の航行を奪うとか、日の出までの残り時間を示す電光掲示板を狂わすとかする為には、一部のハードウェアを取り換えるなどといった作業をしなければならないが、そんな事をした跡は見られない。プレイヤーが望むならば適当な難易度の「<知覚>+<調査>」判定などで追認させても良い。 また、「<機知>+<コンピュータ>」で難易度8に成功すると、航行記録を出力する事ができる。 |
2 | 通信室 | 複数の通信機があり、船内の電話を中継している。衛星回線経由でインターネットに繋がったパソコンもあり、人間の管理者がカルト教団の宣伝ホームページの更新をしたり、上記コンピュータ室をモニタしたりしている。 ここのパソコンならば外部からでも「<機知>+<コンピュータ>」で難易度8に成功すればハッキングできる。内部からならば、管理者を遠ざけた後で難易度5の判定に成功すればハッキングできる。ハッキングすると、“餌場船”の船内・外のあらゆる通信を傍受する事ができる事に気付く。 ちなみにここは元々、サベイジの動向を知る為の施設である。ちょっと注意していればサベイジが死んだ事は通信内容を聞くだけで分かるし、航行プログラムの中味をホーントは知っているので、それで必要な情報は全て得られる訳である。 |
3 | 機関室 | 船の推進機関や発電機がある。比較的大勢の人間が常駐して整備などをしている。機関出力をコンピュータでコントロールする仕掛けになっているが、「<敏捷>+<製作>」に難易度3で成功すれば、手動で操作する事もできる。隣接した場所に燃料タンクもあり、船の急所になっている。 |
4 | 人間の部屋 | 船内の人間の為の部屋。船内で実務を担当する者は四勤三交代で働いているので共同部屋には常に誰かがいる。調理場、食堂、医務室といった施設も一通り揃っている。 |
5 | 空き部屋 | ホーントが乗船していた頃は、太古の文献のコピーを納める資料室だった。サベイジに管理を任せるに当たって、ドラム缶を運び込んで室内にて全ての資料が焼却された。そのときの灰が入ったドラム缶や、たくさんの空の本棚が残されていて、些か奇妙な雰囲気を感じさせる。《先覚》の〔魂跡探査〕を使用してドラム缶の中の灰を調べる場合、難易度6で成功すれば、元は古文書のコピーであった事と「メトセラ」ないし「アンテデルヴィアン」に関係した内容が書かれていたと分かる。 現在、この部屋には異端審問官(ルールブックP303参照。<真の信仰>を3レベル持っている。人数は戦闘系PCよりも少ないものとする)が潜んでいる。PCが眠っている間に侵入したが、成果が上がる前に日が沈んでしまったのでここで隠れる事にした訳である。 異端審問官は、扉にワイヤーを使った警報が鳴る罠を仕掛けて襲撃に備えている。<真の信仰>も持っているので、不意討ちは不可能である。彼らは、PCの乗ったヘリコプターを追って“餌場船”に辿り着き、“餌場船”の航行記録とサベイジが滅んだ正確な日(まだ2日と経っていないのだが、それを知らない)を知ろうとしている。PCが戦闘を仕掛けないならば、逃げようとする。 異端審問官はノートパソコンと特別なハッキング・ツールの入った記録媒体(MOとかDVDとか)を持っていて、これらを使えばコンピュータ室で「<知性>+<コンピュータ>」で難易度3に成功するだけで航行記録を出力できる。また、同様にして通信室のパソコンから通信記録を読み出して、サベイジの死亡日を知る事も可能である。この事は、<コンピュータ>技能を持っている者が調べれば分かる。 |
6 | 主人の部屋 | PCたちが寝床としてあてがわれた部屋。中世風の豪華な装飾が施され、非常に広く、シャワーなども完備している。頑丈な内鍵もあり、万一の襲撃に備える造りになっている。元々はホーントやサベイジらが使っていたが、掃除が行き届いているのでそうと感じさせられる遺留品などは無い。 |
7 | エレベータ | 船内と甲板を移動する際に使用する。その他に階段もあるが、どちらにしてもそこから陽光が入る事がないように設計されている。 |
8 | 甲板 | エレベータ甲板上では、日の入りから日の出までの間、器である見目の良い人間たちがマス・ゲームのようなダンスを続けている。主人であるPCが命じれば、可能な限りの余興を提供してくれるが、やはり接吻だけは拒む。 時間を掛け、<共感>や《威厳》などを使用すれば、以前の主人の話をしてくれる。最初の主人はホーントであり、失踪直前に「接吻は日の出5分前」という新しいルールを作ったのだと分かる。2番目の主人が死んだサベイジなのだが、最期の朝については「接吻の儀式の前後の記憶が曖昧で、よく覚えていない」と明かす。詳しく追求すれば、どうやら日の出直後は意識が朦朧となるように精神操作を受けているらしいと分かる。 |
長老に真実を報告する | 長老たちは当初は懐疑的で、PCに様々な質問を浴びせるが、やがて納得すると「この秘密を広めてはいけない」と考える。ホーントは「サベイジ殺しの下手人」として咎人狩り(処刑)が宣言される。 PCも口封じの対象にされる可能性がある。背景として強力な<導師>を持っているとか、生かしておいた方が得だと思わせる適切なアピールを行うなどしなければ、処刑されてしまう。 PCに対する長老の判決がどう下ったかまでをロールプレイして、結果に応じたエンディングにする。 |
口をつぐむ | 「異端審問官や魔術師の襲撃を受けて、何も分からない内に船内を破壊されてしまった」などと報告するならば、無能と思われるものの身の安全は確保される。ただし、このままホーントを放置しておけば、いずれ不味い立場になる可能性がある。仮にホーントがメトセラの力を手に入れたとしたら、PCが所属する領土は戦国時代に突入するだろう。失敗して全てが判明してしまった場合は、PCは責任を追及されるかもしれない。 後顧の憂いを断とうとホーントの殺害を計画するにしても、細心の注意を払わなければ、血族殺しの罪に問われる事になる。 PCには、ホーントをどうするかを決めるところ(殺害する場合は、戦闘が終わるところ)までをロールプレイして、その後の起こりうる未来を語ってエンディングとする。 |
ホーントに味方する | PCが真相を探り当てた手腕をアピールするなどして売り込めば、ホーントの仲間にしてもらう事も可能である。ホーントにしてもヴァンパイアの仲間は欲しいので、比較的簡単に受け入れてもらえる。ただし気を付けないと、いつの間にか《支配》を受けたり、ホーントの血を飲まされたり、或いは隙を見て暗殺されるという事もあり得る。ホーントと良い関係を築けたとしても、メトセラの墓所探索の段階で敵対勢力に襲われたり、メトセラその人の攻撃を受けてしまう事もあり得る。 PCがホーントとどのような関係を築けたかまでロールプレイして、その後の起こりうる未来を語ってエンディングとする。 |
仲間割れする | 別にPCが一枚岩で活動してエンディングを迎えなければならない訳では無い。意見が一致しないとか、自分の氏族の長老にだけ真実を報告したいなどというときは、PC同士での戦闘になるだろう。戦闘を船上で行えば、後々、血族殺しの罪を追求される心配も少なくなる。 PC同士の戦闘の白黒が付くところまでセッションを行い、その後の起こりうる未来(上段3つの何れかに準じたものになるだろう)を語ってエンディングとする。 |