No. タイトル システム 登録日 改稿日
0078 けもの道 BK 00/07/16



はじめに

 このシナリオは、『Bea−Kid’s』の使用を想定して書かれた。
 しかし、様々なジャンルのRPG用への改造も可能である。

 PCの内、亜獣人がいる方が望ましい。医者や発明家は、いない方が望ましい。



登場NPCおよび重要事項

アムド  指揮官役として作られた高位タイプ亜獣人の1人。人間形態でいる亜獣人の正体を見抜いたり、限定的ながら心を読み取ったり、亜獣人の身ながら中級以下の真言魔術を使用するといった特殊能力を持つ。自由意志を獲得して以来、正体を隠してどんな組織にも属さず独力で生きて来たが、その生い立ちのせいか亜獣人に対して“責任感”を抱いている。その為に亜獣人の孤児を積極的に引き取るなどしていて、今では山間に亜獣人だけの村を作るまでになっている。
 現在は何人かの部下を率いてサーカス団を結成し、町々を巡り興行して金を稼ぐ生活に入っている。現金収入の無い村の運営を助ける為と、今でも希に産まれる亜獣人の子供を見付けて保護する為である。
 医学も修めており、最近、“人工保育器”を発明した。これが見世物としてウケると分かり、サーカスの出し物の1つにしている。以下に、データを示す。

体力 耐久力 敏捷力 知力 精神力
±0 +2 ±0 +4(+6) +4(+6)
IN値 6(特殊)
真言魔術 10(12)
魔力 7(8)
回避
肉体耐久値 7(特殊)
精神耐久値 9(11)

 アムドは、獣形態に変身しても人の姿のままでいる。一般の亜獣人から正体を隠す為に普段は非変身状態でいるが、身の危険を感じる状況では予め変身状態になる。括弧内は、変身時のデータである。
 変身状態では、常に亜獣人の特殊能力を使用して肉体耐久値を“+4”しているので、肉体耐久力が事実上“11”ある。また、戦闘の際は1ラウンド目に自分に“盾”の呪文を使うので、被るダメージは“−8”される。ほとんどの攻撃は通らないだろうから、神秘的な不可視の盾で防御している様子を演出する。
 IN値は亜獣人の特殊能力の副作用で、行動順番は常に最後になる。
 肉体・精神耐久値ランクとペナルティは、PCと同じである。2ラウンド目以降は、“力付与”などの精神ダメージを被らない呪文を中心に使う。
団員  アムドのサーカスに付き従う団員。全員が亜獣人だが、戦闘技能を持つ者は“PCの数の半数+1人”しかいない。複数種類タイプがいるが、戦闘時は以下の共通データを用いる。

体力 耐久力 敏捷力 知力 精神力
+2(+4) +2(+4) +2(+4) ±0 ±0
IN値 2(4/10)
戦闘系技能 5(7)
肉体耐久値 5(7)
変身時ダメージ 3D6
  軽傷 中傷 死亡
修正 ±0 −1

 括弧内は、変身時のデータである。原則的に変身しての戦闘を演出する事。
 IN値は、変身時にアムドからのテレパシーによる指揮を受ける事で、アムドの持つ<戦術>技能修正を加える事ができる。よって、アムドの指揮下で変身状態でいると、IN値は“10”になる。
ホーク  獣人族(狼族)のファイター。実は祖先に亜獣人(狼)がいて、本人も知らぬままその特質が先祖帰りで受け継がれ、“常態が獣人族”という珍しい種類の獣人族・亜獣人(狼)。青年に達したときに突発的に初めての変身を起こし、狂乱状態で家族を殺し、故郷から逃げ出した。事実を認められず、「事件のあった晩に故郷の村を訪れていたアムドのサーカス団が、家族を殺した」と思い込む事で正気を保っている。現在は、アムドのサーカス団を捜し求めて放浪の旅に出ている。
 旅の途中で手に入れた特殊なメリケンサックを所持している。5連装の銃が仕込んであり、サーベルガンと同様に、格闘命中時に無条件に弾丸1発を当てる事ができる。以下に武器データと本人のデータを記す。

名称 修正 ダメージ 特記
メリケン・ガン ±0 2D3  格闘攻撃が命中した際、同時に仕込まれた銃弾の1発を撃って“1D6+3”の追加ダメージを与える事ができる。ただし追加ダメージは1ラウンドにつき1発のみである。追加ダメージに、格闘攻撃ボーナスは付かない。戦闘中の弾装交換はできないが、5連装式で両手に装備した場合は10回使用できる

 変身するとメリケン・ガンは使用できなくなるが、狼形態でファイターの職業特技を使用する事ができる。

体力 耐久力 敏捷力 知力 精神力
+4(+6) +4(+6) +4(+6) −2 ±0
IN値 4(6)
白兵・戦闘技能 10(12)
気配探知
肉体耐久値 9(11)
通常時ダメージ 2D3+9+追加
変身時ダメージ 3D6+9

 括弧内は、変身時のデータである。獣人族状態ではメリケン・ガンを用いる。
 肉体・精神耐久値ランクとペナルティは、PCと同じである。重傷になると変身して、最初の一撃では亜獣人の特殊能力を用いてダメージに“+9”してくる(既に重傷を負っているので、それ以上のペナルティは無い)。2ラウンド目以降はマスター次第で決めて欲しい。
 知力が低いので、その手の技能は苦手だとロールプレイする。



事前状況

 亜獣人は元々、数百年前に真言魔術師たちが兵器として開発した種族である。世間ではあまり知られていないが、亜獣人の中には指揮官役として作られた高位タイプもいた。人間形態でいる亜獣人の正体を見抜いたり、限定的ながら心を読み取ったり、亜獣人の身ながら中級以下の真言魔術を使用するといった特殊能力を持つ。部下となる亜獣人をテレパシーで効率的に指揮しつつ、真言魔術でフォローする戦法が一般的だった。長命だが、流石に現存する個体はほとんどいない。
 アムドという男は、この高位指揮官タイプの亜獣人の1人だった。自由意志を獲得した後は、正体を隠してどんな組織にも属さず独力で生きて来たが、その生い立ちのせいか亜獣人に対して“責任感”を抱いている。その為にアムドは亜獣人の孤児を積極的に引き取るなどしていた。そうして過ごす内にアムドの下に集う亜獣人の数は増し、今では山間に亜獣人だけの村を作るまでになっていた。
 亜獣人の村が軌道に乗った頃、アムドは何人かの部下を率いてサーカス団を結成し、町々を巡り興行して金を稼ぐ生活に入った。目的は2つあった。1つは、現金収入の無い村の運営を助ける為。もう1つは、今でも希に産まれる亜獣人の子供を見付けて保護する為である。
 ところでアムドは医学を修めており、最近、“人工保育器”を発明した。亜獣人の赤ん坊は、捨てられたり親が貧しかったりで未熟児が多かった。そんな未熟児を救う方法は無いかと頭を捻った末に人工保育器を考案したのだが、あるとき、これが見世物としてうけると分かり、サーカスの出し物の1つにした。
 元々、サーカス団という存在自体が被差別対象であるが、アムドの一行はその中でもよりエキセントリックだった。そこへもって、「ガラス管の中で生きている“胎児”を見せる」という不気味な出し物を加えた事で、アムドのサーカス団は「異常に奇怪な連中」と見られる立場を確定してしまった。秘密を抱える集団にとってそれは望ましくない事態であったが、「興行収入の増加」と「より多くの赤ん坊を救える」というメリットをアムドは重視した。

 さて、とある獣人族の村にホークという若者がいた。実は祖先には亜獣人がいて、本人も知らぬままその特質が先祖帰りで受け継がれ、“常態が獣人族”という珍しい種類の獣人族・亜獣人であった。成年に達するまで一度も獣形態に変身する事など無かったのだが、アムドのサーカス団が村を訪れた日に、どうした切っ掛けかホークは変身してしまった。そして、正気を失い、自宅にて家族を皆殺しにしてしまった。
 サーカスの到来で村は騒がしく、ホークの凶行に気付く者はいなかった。正気に戻ったホークは記憶が混乱していた。血と死体に囲まれたまま何時間も呆然と過ごし、その間にサーカスは去り、そして流石に異変を察した隣人に見付かって騒ぎになり、ホークは逃亡した。
 ホークは、「自分が生来の亜獣人であり、変身して家族を手にかけた」などという真実は到底、受け入れる事ができなかった。そこで無意識の内に「サーカスの団員が亜獣人で、家族を殺して逃げた」というストーリーを作り上げ、信じ込む事によって精神の平安をようやっと保った。「誤解されかねない状況で村を飛び出したので、もう戻れない。独力でサーカス団を探し当て、復讐を遂げる」という動機を自らに与え、放浪の旅に出た。



導入

 とある宿場町にて、売春宿に所属する娼婦が赤ん坊を産んだ。娼婦は望んで子供を産み、育てたいと考えていた。しかし売春宿の経営者は、まだ年季が明けていない娼婦を自由にさせる気など無く、無理に堕胎させるのが危険だと医者が言うので出産を認めただけだった。産まれた嬰児は未熟児で、経営者にとって都合の良い事に、そう何日も長らえそうには無かった。
 その宿場町に、アムドのサーカス団が訪れた。実は産まれた子供は亜獣人であり、特殊能力によってそれを察知したアムドは、経営者に掛け合ってその子を引き取る事にした。アムドとて、亜獣人だというだけの理由で闇雲に親子を引き離す無体はしないが、状況から鑑みて連れて行くのがベストと考えたのだ。危険な状態だった赤ん坊はすぐに人工保育器に入れられ、アムドたちは宿場町を去った。
 自分の意向を無視して子供を奪われた娼婦は、嘆き悲しんだ。アムドが経営者に対して小額の心付けを渡していた事から、「我が子がサーカス団に売られた」と町中で訴えた。

 PCとホークは、たまたまこの宿場町を訪れ、娼婦が騒いでいる現場に出くわす。娼婦の訴えは断片的で要領を得ないが、ホークは彼女に近づいて落ち着かせ、「産まれたばかりの我が子を、売春宿の経営者が、サーカス団に売ってしまった」との事情を聞き出す事ができる。PCが積極的な行動を取るにしろ取らないにしろ、最低でもこの事情だけは耳にする事になる。
 サーカス団については、適当な難易度の知力判定に成功すれば、「不気味な見世物や芸を売り物にしていて、どこか近寄り難い雰囲気を纏った放浪集団」との噂を知っている事になる。
 ホークは“サーカス団”との言葉を耳にすると傍目にも明らかな程に感情を高ぶらせ、「奴等に違いない。とうとう見付けたぞ」などと呟いたりする。そして娼婦に「子供の事は任せろ」と言うと、サーカス団を追い掛けて宿場町を出て行く。

 ここでマスターは、PCが事件に絡むように誘導する。理由としては、以下の3つが挙げられるだろう。

@娼婦に同情して、子供を取り返そうとする。

Aホークに興味を持ち/危惧を抱き、見守る為に同道する。

B謎のサーカス団やホークの過剰反応に興味を持って/正義感をかき立てられて現場に立ち会いに行く。

 「PCは急ぎ旅では無く、元々サーカス団の向かった方向を目指していた」などとして、「大した理由はないが、たまたまホークと同じ旅程となった」というのでも良い。

 なお結局、娼婦は売春宿の用心棒によって連れ戻され、二度と町中で騒がないようにと軟禁される。PCのロールプレイ次第では、売春宿の経営者に報いを与えるといった展開を挟んでも良い。これにホークが協力して、PCと繋がりを持つようにするとなお良いだろう。
 用心棒たちは、PCが後れを取る事の無い雑魚に過ぎない。ちょっと暴れて、すぐに宿場町を脱出するならば、PCが不利益を被る事は無い。ただし、娼婦には旅に耐えられるだけの体力が無いので、連れ出したとしても次の町に置いて行かざるを得ないとする。PCが娼婦を独りにしておけないと感じるようならば、信頼できるNPCに預ける事ができたとする。



本編

 ホークは、PCの同道を特に嫌がりはしない。ホークは無用な揉め事を避ける為に、人間族の前ではフード付コートを着て、獣人族である事を隠している。しかしそれほど上手い変装でも無いし、僅かながら訛りのある人間語を使うので、暫く一緒にいれば獣人族である事が分かる。獣人族だろうと指摘すればあっさり認めてフードを取る。
 ホークは銃も剣も持っておらず、ガンベルトに奇妙な形のメリケンサック(=メリケン・ガン)を提げている。火薬を使う事を恥じているので、武器について問われるとホークは口ごもるが、強く問われれば説明する。
 道中、ホークがサーカス団と過去に何があったかについて「重い口を開いて、やっとPCに明かす」とのシーンを挿入する事。
 ホークは、「妹が、サーカス団に亜獣人がいるのを目撃して、恐くなって家に逃げ帰った。それを団員が尾行していたらしく、家族に事情を説明し終えた頃に、団長と部下数名が押し入り、獣形態に変身すると家にいた皆に襲い掛かった。外でショーを行っていた他のサーカス団員が起こす大きな音に紛れて、凶行に気付く村人はいなかった。自分は命は取り留めたが、1〜2日くらいは昏倒していたらしい。気が付いたら朝になっていて、既にサーカス団は撤収していた。その後、自分は復讐の旅に出た」と話す。
 これは作り話だが、ホーク自身も信じ切っているので嘘だと見抜く事はできない。「このときに負った傷」というのも、後に自分でつけたものだが、そういう都合の悪い記憶は無くなっている。PCが「傷はホーク自身でつけたものかもしれない」と疑いを持った上で調べ、<医学>や<格闘>などの適当な技能判定で成功しなければ分からない。

 サーカスは、町の広場で1日に2〜3回ほど大掛かりなショーを行い、それ以外の時間は幾つかの小さなテントの中で小規模な芸や見世物を行う。菓子や玩具なども売り、芸を見せるだけに留まらない“お祭り”を演出する。アムドたちは1つの町に一週間ほど滞在して、その内、興行を3日間行う。
 旅立って数日後にPCとホークは、サーカス団に追い付く。アムドたちは、町で興行を行っている真っ最中であり、幾らなんでも騒ぎを起こせる状況ではない。地元の保安官に訴えても、「サーカス団がテントを畳んで町を出た後で、“交渉”でも何でも勝手にやってくれ」と言うばかりで協力は得られない。
 PC到着時点で興行は最終日の夕方を迎えている。ショーや見世物は深夜まで続く。ホークは、1時間ほど見回って「あの日、故郷に来たサーカス団だ」と確信すると、その場は「決戦に備えて休息する」と言って宿に引っ込む。PCの内の少なくとも1人は、長時間サーカスを見て回るように誘導する。
 アムドのサーカス団は、噂通り異様な雰囲気を漂わせている。団員たちは、それぞれ人間離れした体格・能力・技量を持ち合わせている。
 町の広場での大掛かりなショーに登場する猛獣は、実は亜獣人の変身した姿なのだが、素人目にも獣らしからぬ頭の良さに違和感を抱く。亜獣人PCならば、亜獣人の変身だと言う事に気付く。
 そして、見世物小屋では「ガラス管の中で生きる胎児」を目にする事ができる。未熟児の痛々しさと、無機的な装置類の対比が見物人の興味を駆り立て、大変な盛況である。アムド自らが口上を述べているのだが、医者PCが聞けば「見世物にしているが、実は真面目な医療機器である」という事が理解できる。

 団員たちをこっそり見張るならば、対抗技能判定に勝てば「変身を解いて人間形態に戻る」いうような決定的な場面を目撃したり、他にも「あの子が元気に育って、早く役に立つ仲間になって欲しい。村に連れ帰ったら、○○(人名)を養親にしよう」などと意味有り気な会話を交わしているのを聞いたりする。
 翌日になると、アムドたちはテントを畳み撤収の準備を始める。アムドや団員たちと話をすると、「噂がどうであろうと自分たちは害の無いサーカス団に過ぎない」「赤ん坊が入れられているガラス管は医療器具であり、アムドの下でなければ生きていけない。あくまで善意で赤ん坊を引き取ったのである」と主張する。
 PCの行動次第では、アムドたちは逃亡を図る。必要ならばダミーとしてテントや馬車の1つや2つを残して囮にするくらいの作戦は立てる。

 原則的にホークは、アムドたちサーカス団を皆殺しにしようと考えている。正面から挑んで玉砕するような行動には出ないが、闇討ちしたり、PCを巻き込んだりする事で目的を果たそうとする。言わば「“手段”に関しては、冷静かつ現実的な思考をする。“目的”に対しては、盲目的で狂的な思考をする」という訳である。



結末

 PCの行動次第で結末へ至る展開も変わって来る。以下に考えられる3つのパターンについて示す。

@ホークに付き合ってサーカス団の皆殺しに手を貸す。
 ホークの殺意を察知している事もあり、アムドは襲撃に対する警戒をそれなりに行っている。周囲に「町からの撤収の準備に2日かかる」と吹聴しておいて、興行の終わった次の日の深夜に、囮としてテントや一部の馬車などを残して密かに町を去ろうとする。もしPCたちが、サーカス団が町にいる段階で襲撃をかけるならば、場合によっては保安官たちを敵に回したり、事後に指名手配を受けたりする事になる。
 適当な技能判定を駆使して追跡を行い、追い詰めて不意打ちを掛けて亜獣人数名と戦う事になる。

Aまずは、アムドたちから事情を聞こうとする。
 ホークにしてみれば、「町で興行しているサーカス団」と「“あの日”に故郷を訪れていたサーカス団」が同一だと判明した時点で調査は終了である。その旨を確認すると、PCにそれを告げ、「犬の絵の描かれたテントの内は、青空と鳥の絵が描かれている」といった事柄を言い当てる事を持って“証拠”だと主張する。アムドたちは家族の仇であり、死の制裁を加えなければならない。
 しかしPCたちが「それだけでクロと下すのは間違いだ」と考え、アムドと接触して事情を聞こうとするならば、裏切ないし敵対行動だとホークは受け取る。ホークはPCの行動指針に当初は不服を表明するが、受け入れられないようならば笑顔で「そこまで言うならば仕方が無い。上手く話を聞き出してくれ」などと納得したような返事をしつつ、腹の中では「PC=敵」と分類してしまう。
 原則的にアムドたちは、自分たちの正体を明かさない。「ショーで使っていた獣は、亜獣人の変身した姿だろう」と問い詰め、言い逃れができそうにないならば認めるが、そのときも「ごく一部の者が亜獣人」とした上で「彼らは世間で言われるようなモンスターでは無い。見逃してくれないか」などと言う。
 “胎児を収めたガラス管”に関しては、人工保育器という発明について何とか素人にも分かるように説明に努める。PCに医学の素養が無い場合、その説明が正しいのかどうかの判別はつかず、<交渉>などの技能で嘘をついている様子が無いか確かめるしかない。赤ん坊に関して、PCが母親(=娼婦)に対してフォローを約束して誠意を見せれば、容態が落ち着いた後での返還を認める。「人工保育器を見世物にするのは止めろ」と要求した場合も、PCのロールプレイ次第では受け入れる。
 ホークの主張する「獣人族一家皆殺し事件」に関しては、全く心当たりが無いと告げる。幾つかの獣人族の村で興行した事は認めるが、「その獣人族がどの部落の出身なのか知らないが、重大な誤解をしている」と言うばかりで困惑している。ホークがいない状況では、その誤解がどのようなものなのかは、推理する事すら叶わない。
 亜獣人PCが、他のPCがいない状況でアムドと面会した場合、アムドは正体を明かし協力を要請する。正体に関する情報などは、他のプレイヤーに知られないように筆談などで伝える事。この内容を他のPCに伝える場合、筆談の紙を読み上げるのでなく、プレイヤー自身の言葉で語らせると良いだろう。
 ホークに対して、調査結果を報告して「当時の詳しい事情を聞きたい」と申し出れば応じる。ホークは、「雲行きが怪しいので、殊勝に話し合いに応じる振りをして、とにかくリーダーであるアムドを殺して、そのまま逃亡しよう。残りの雑魚は、後日に回そう」と考えている。

B赤ん坊の救出に専心する。
 ホークに対して、ハッキリと「自分たちは赤ん坊の救出にしか興味が無い」と告げるならば、不満顔ながらも承知する。PCの立てた作戦にもよるが、ホークは「今回は赤ん坊奪回を優先して、雑魚の何人かを殺すだけで我慢する」という事態になっても納得して共闘する。
 しかし、アムドによる医療処置無しには、赤ん坊は長く持たない。赤ん坊の苦しみを察知したアムドは、PCの前に立ち塞がる。結局は、@またはAに準じる展開になる。

 結局、サーカス団かホークかどちらかと戦闘する結果になる。
 サーカス団と戦闘する場合、PCとホークが攻撃を受ける可能性は同じ確率にする。しかし、ホークが重傷を負って獣形態に変身した後は、PCを含めてランダムの相手に襲い掛かる。
 ホークは、PCとサーカス団員の両方を同時に敵に回すような真似はしない。ホークとの戦闘は、原則的にサーカス団のフォローが期待できない状況になるようにする。
 ホークを気絶させたとして、目を覚ましたときには変身していた記憶は残っていない。再び、仇と思い定めた者(サーカス団や、場合によってはPC)を求めて放浪の旅に出ようとする。ホークを止めるには、殺すか、保安官なり何なりに引き渡すか(結局は死刑になるだろうが)、思いを遂げさせてやる(サーカス団を殺す又は殺したと思い込ませるに十分なお芝居をする)かしか無い。



さいごに

 人工保育器は、1890年にアメリカのマーティン・コーニー博士によって発明された。しかし、どの医療機関も開発資金の援助を断ったので、コニーアイランドのフリークショー(奇形の人を見世物にするショー)に参加して、「普通なら生きている筈の無い未熟児」を見世物にして研究資金を稼いだ。
 このシナリオは、その実話から思い付いた。

 “指揮タイプ亜獣人”は高屋良樹のコミック『強殖装甲ガイバー』のゾアロードから、“メリケン・ガン”は技来静也のコミック『ブラス・ナックル』で主人公が使っていた武器から発想を借りた。




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