No. | タイトル | システム | 登録日 | 改稿日 |
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0075 | こわれたこころ | GH | 00/05/03 | − |
X | : | ニューヨークにて、祝祭日に少年男娼を連続して殺している。周囲の人間を無意識の内に自分色に染める特殊能力を持つ。 |
市長 | : | Xの捜査の為に、汚職だらけの警官を使わず、“名物精神科医”を中心とする特別捜査組織を作った。 |
名物精神科医 | : | 今で言うところのプロファイリングを使用して、連続殺人犯を捕まえようとしている。 |
大手新聞記者 | : | 特別捜査組織の一員。最期には捜査先で行方不明になった。 |
@ | 犯行現場に残された文章や、被害者遺族に送られた挑戦状などに使用された書字法はパーマー方式だった。パーマー方式が初等教育で用いられていたのは1880〜1895年である。 初等教育の終了年齢は12〜15歳である事から考えて、Xの年齢は30歳以下である。 |
A | Xは従軍経験があると思われる。そして暴動鎮圧任務中の異常行為で陸軍を退役させられたと推察される。 陸軍はメンツを守る為に異常行為癖のある兵士の存在を認めず、記録も残さない。しかし、周囲の手に余る異常兵士は、例外無くワシントンDCの聖エリザベス病院(陸軍の精神病院)に送られる。 また、ワシントンDCには“精神病院への強制収容についての追加条項”という法令があり、「ワシントンDCの外で精神病の診断を受けた者は、人身保護令状を申請できる」となっている。よって、原隊で精神異常と診断された兵士は、ワシントンDCに送られた時点で自由の身になる。しかも記録には「ワシントンDCに任地変更の後、除隊した」としか残らない。 以上から、「元々の任地から、急にワシントンDCに配置転換になり、直後に除隊になった者」の中の1人がXである。 |
B | 被害者遺族に送られた挑戦状に、「(被害者の少年は)汚らしいレッド・インディアンよりも、もっと不潔だ」という文面がある。死体損壊の具合も、白人が言う“インディアンの残虐行為”を連想させる。しかし例えばスー族は、敵が死後の世界で力を持たないように死体を損壊させるのである。よって、「切り取った性器を口に突っ込む」などという“無意味”な真似はしないし、第一、女子供の死体には手を出さない(女子供の力を恐れるなどというのは名誉が傷つけられるので)。 よって、Xは中途半端にインディアンの死体損壊行為を知っている白人である。 時期から考えて、最期の対インディアン戦(虐殺)である1890年のウーンデッド・ニー・クリークの戦いに、Xは一兵卒として参加していた可能性が高いと推察される。 以上から、ウーンデッド・ニー・クリークに参戦した兵士の中の1人がXである。 |
C | 犯行日は、必ずキリスト教の暦で物日に当たる。 わざわざ祝祭日を犯行日に選ぶ事からして、Xの父親は神父か伝道師であり、一家の生活はキリスト教の暦に従って営まれていたのは間違いない。そして親から虐待を受けていたと推察される。Xは、「祝祭日には特別酷い虐待を受けていた」のか、或いは「日常的に虐待を受けていたが、祝祭日だけは楽しく過ごせていた」のか、そんなところだろうと思われる。 また、全ての祝祭日に犯行が行われている訳では無い。 そういった犯行日に選ばれる祝祭日から、Xが育った地を推理する事ができる。 例えば、2/20(主の五傷祭)は殺人は行われなかったのに、6月第4日曜日(洗礼者聖ヨハネの祝日)には行われているなどの差異がある。 カトリックでは、主の五傷祭はメジャーな物日だが、洗礼者ヨハネの祝日は超マイナーである。 しかし、ミネソタ州の一地方に移民したユグノー派(フランス系プロテスタント)の中に「主の五傷祭は祝わないが、洗礼者聖ヨハネの祝日には牧師が特別説教を行う」というものがある。また、一般に改革派は祝祭日に重きを置かないが、ここは例外である。 以上から、ミネソタ州がXの生地の候補として挙げられる。 |
D | Xは高層階の窓から被害者を連れ出し、殺人場所に空中庭園が選ばれる事もあった。よって高度な登山技術を持っている。この時代、スポーツ登山はマイナーな趣味である。犯人の住んでいた所の近くに適当な山があり、スイス・ドイツ系の移民から登山技術を教わったと考えられる。 |
E | 被害者を嬲り殺す手口から見て、高度な狩猟技術を身に付けている。これも、登山技術と共に学んだと考えられる。 |
F | 親の虐待以外にも、子供時代にイジメを受けていたと推察される。 |
@ | PCは警官または私立探偵で、自分の人脈から“名物精神科医”が助力者を求めている事を教えられ、特別捜査組織に雇われる。 |
A | マフィアや監督教会派(スラム地区に教区を持つ宗派)は、“大手新聞記者”が行った“あいまい宿”の調査が目に余るようになってきたと感じて、手下であるPCに「穏便な処置」を命じる。PCは特別捜査組織の存在を知り、その本部へ赴き“大手新聞記者”の所在を聞き出そうとするが、行方不明と聞かされ、探し出す近道だろうと思い“名物精神科医”に一時的に協力する事になる。 |
B | あるタブロイド紙では、「最近、“大手新聞記者”が通常業務を離れ、市長の密命で何かしているらしい」と知り、記者であるPCに調査を命じる。その結果、特別捜査組織の本部に行き、何だかんだで“名物精神科医”に協力する事になる。 |
C | PCと学生時代に同期だった男が行方不明になり、それを知らされた遠隔地に住む彼の親戚に依頼されて行方を捜す事になる。同期の男は特別捜査組織の一員であり、結局は“名物精神科医”に協力する事になる。 |
D | “名物精神科医”は捜査に当たり、それまで診ていた患者を他の医者に振り替えていた。その事に不満を持ったある患者の家族とPCは知り合いで、「仕事を休んで何をやっているのか調べて、不平を伝える」為に“名物精神科医”に会いに行き、そのまま助力者になる。 |
E | 特別捜査組織の登山担当の捜査員がPCの友人で、その友人が「特別捜査組織に協力する」と言い残したまま行方不明になったので、事情を聞きに来て、そのまま助力者になる。 |
第1段階 | キリスト教の暦に従って生活リズムを刻み、登山と狩猟を好意的に考えるようになる。暴力行為に幾らか寛容で、例えば「教育に体罰は必要だ」などの意見を持つようになる。 住民のほとんどはこのレベルである。 |
第2段階 | 日曜日以外にも機会があれば教会へ通い、登山、狩猟を嗜み始める。 狩猟において、密かに小動物の虐殺を楽しむようになる。 若い世代ではこのレベルに進む者が増え出している。症状としては、まだ異常とは見做せない。 |
第3段階 | 祝祭日の尊重の仕方が病的気質を帯び始める。登山と狩猟に関する技能を持つまでになる。 暴力行為を好む性癖が際立ち、切っ掛けがあれば殺人を犯しかねない程になっている。言動に注意を払えば、その異常さを察知できる。 Xが地元少年のヒーローだった時代の仲間たちの多くはこのレベルに進行している。第3段階の症状を持ち、現在も町に住んでいるのは、“宿屋の主人”と“教会の牧師”と“陸軍徴募センターの係員”の3人である。 |
第4段階 | Xのコピーに等しい性癖になる。殺人快楽症に陥り、積極的に“狩り”を始める。 今のところ、X自身しかこの段階には進行していない。 |