No. タイトル システム 登録日 改稿日
0074 マインド・サーカス N◎VA 00/04/22



はじめに

 このシナリオは、『トーキョーN◎VAレボリューション』の使用を想定して書かれた。
 しかし、他のサイバーパンクや他の類する世界背景のRPGでも使用可能である。

 このシナリオは引用率が特に高いので、以下の本文を読む前に“さいごに”で元ネタの確認をして欲しい。

 『トーキョーN◎VAレボリューション』を使用の場合、『グランド×クロス』P.135で提案されているPC同士の円構造コネを持ち合う事。



登場NPCおよび重要事項

社長一派 バーチャワールド社の経営陣。
グリーン 仮想世界から“脱皮”した来訪者。
管理者 PCたちの世界の矛盾を消す役割を担う来訪者。



事前状況

 ある組織が、トロン(コンピュータ)の中に完全な仮想世界を作った。
 そこには一切の戯画化が無く、リアルに細かいところまで再現されていて、電脳人格たちが「リアルな世界だ」と信じ込んだままで生活している。
 その仮想世界にアクセスする為には、ワイア&ワイアを使ってトロンと直結されなければならない。そうすると、仮想世界内の電脳人格を憑依する形で、その電脳人格として仮想世界を体感できる。ただしそういう“上位世界からの来訪者”と言えども、仮想世界の法則を捻じ曲げる事はできない。また、仮想世界内で死亡すると、実際の世界でも死んでしまう。

 その仮想世界は、“トーキョーN◎VA”と呼ばれる1つの都市を構成していた。都市の外は存在しておらず、よって「電脳人格がトーキョーの外へ出る」という事も絶対にできないのだが、住民は「トーキョーの中だけ暮らす事が普通である」と設定されているので、ほとんど矛盾は生じていなかった。
 “仮想都市トーキョー”に大きな矛盾が生じた場合、“管理者”が電脳人格に憑依して、事態の収拾に乗り出す。

 ここで、とある電脳人格たちが、「自分たちの生きている世界はトロンの中の仮想世界に過ぎない」という事に気付いた。彼らはショックを受け、嘆き悲しみ、創造主である“上位世界の人間”を恨んだ。その気持ちから、“上位世界”について、とにかく調べ始めた。
 最初は、ときどき訪れる“上位世界からの来訪者”を調べた。“矛盾”として消される仲間も出たが、成果もあった。そうして、「“上位世界からの来訪者”たちは、この仮想世界の管理の為に、電脳人格に憑依する形で来訪している。憑依せずに、神の視点で仮想世界の詳細な出来事を知ったり操作したりはできないらしい」「“上位世界からの来訪者”たちは、仮想世界の電脳人格に憑依した状態で死亡する事を恐れている。彼らの言動から察するに、仮想世界で死ぬと“上位世界”でも死んでしまうらしい」といった事が少しずつ判明していった。
 次に電脳人格たちは、自分たちも“トロンの中の仮想世界”を作ってみる事にした。その為に会社を設立し、ネットゲームと偽ってただひたすら“リアルな仮想世界”を創造した。

 以下に整理する。

上位世界  現実世界。
 トロンの中に仮想世界(=中位世界)を作った(理由目的は不明)。上位世界の人間は、トロンに直結する事で中位世界の電脳人格に憑依できる。神の視点で仮想世界の詳細な出来事を知ったり操作したりはできない。
 中位世界管理の為に憑依状態でいる者を“管理者”と呼称する。
 憑依中に死亡すると上位世界の肉体も死亡してしまう。
中位世界  トロン上の仮想世界。
 一般の人間はここが仮想世界だと気付いていない。トーキョーという限定的な空間しか存在していない。
 真相に気付いて下位世界を作った者たちを“社長一派”と呼称する。この会社の社名を、バーチャワールド社とする。
 バーチャワールド社は、下位世界をネットゲームとして公開している。ゲーム的な仕掛けが無いので人気は低いが、そのリアルさに惹かれるマニアも存在する。
 PC全員も“中位世界の住人”である。
下位世界  トロン上の仮想世界の中の、トロン上の仮想世界
 “社長一派”が中位世界上のトロンの中に作った仮想世界。敢えてトーキョーを模した世界にしている。
 後述するグリーン(真ニューロ)という男は、下位世界の人間である。

 “社長一派”の実験は進み、下位世界はアストラル空間までも備えた完璧な仮想世界として完成する。そこで、下位世界の電脳人格に憑依中に死亡すると、中位世界の方も脳死するという現象が確認された。
 ここで1つの仮説が立てられる。「憑依している者の心だけを壊して、憑依されている者を無傷でいさせれば、上位世界への逆憑依が可能なのではないか?」というものである。
 そうして、「中位世界から上位世界への逆憑依」の達成が“社長一派”の最終目標となった。そこでまず、「下位世界の電脳人格を、中位世界へ逆憑依させる」という実験を行う事になる。

 研究の為に、ドラッグからオカルトまであらゆるモノが調査された。そして「脳神経の組織成長を促すドラッグ」、通称“天才薬”に着目した。
 “天才薬”は上手に使えば記憶力の増大に役立つが、適量を見極めるのが難しく、使用を誤ると精神を破壊してしまう。また、大量に投与すれば脳神経のネットワークが新生児の状態に戻ってしまう。
 かつて北米連合が洗脳薬として使っていたが、成功率の低さに使用を中止したという過去がある(という設定になっている)。そんな危険性にも関わらず、受験生など闇で手に入れて使う者もいる。

 “社長一派”は、下位世界への憑依をネットゲームとして楽しんでいる中位世界人を実験台に使った。
 第1の実験の手順は以下の通りである。

@まず、中位世界人ゲーマーに提供したハードウェアに“天才薬”を仕込み、任意に注入できるようにする。

A彼らが下位世界人に憑依中に、下位世界にて心だけを壊す。仮説が正しければ、最初に中位世界人の心が壊れ、その一瞬後に下位世界人の心が眠りから覚める事になる。

B中位世界人の心が壊れるのに伴って、下位世界人の肉体に備わっている“心の入れ物”も破壊される。そのまま放っておけば、“入れ物”が無いので、眠りから覚めた下位世界人の心も壊れてしまう。

Cしかし、下位世界人の心が壊れる前に、中位世界人の肉体に備わっている“心の入れ物”をリセットして、そこに下位世界人の心がアップロードできるようにする。

 試行錯誤の末にこの実験は成功し、下位世界人の心を、中位世界の肉体に宿らせる事に成功した。
 しかし、そういった“逆憑依人”は、ロボトミー手術を受けたかのような不自然な人格に変質してしまっていた。どうやら、“天才薬”の急激な投与による副作用のようでこれでは意味が無い。
 それにどの道、上位世界人を逆憑依する為には、このような上位世界側からの援助は期待できないから、下位世界側からだけの働きかけで逆憑依する方法を確立しなければならなかった。

 上位世界にも、“天才薬”に似た薬が存在するだろうとの予測が立てられていた。
 “天才薬”を適量範囲内で使用している者ならば、「下位世界からの心のアップロードを受け入れる余地(隙)」があると共に、ロボトミー状態になってしまう副作用の心配も無いと思われた。
 その仮定の元に、“天才薬”の使用歴がある“管理者”を見抜き、憑依元の中位世界人を仲間に抱き込んだ上で、上位世界への先兵にする計画が立てられた。

 そして下位世界にて、第2の実験が行われる事になった。手順は以下の通りである。

@中位世界にて、適量範囲内で“天才薬”を使用している者を見付ける。そういった適量使用者を積極的に増やす為に、“天才薬”を流行させる。

A“天才薬”の適量使用者に、バーチャワールド社のネットゲームをプレイさせる。そうして下位世界人に憑依中に精神攻撃を仕掛けて心を壊す。

 “天才薬”を流行させる為に“社長一派”は、弱小ヤクザを仲介に立て、原価割れの安値で“天才薬”をバラまいた。実際には流行る程には広まらなかったが、それなりの人間が使用するようになった。
 第2の実験は、モルモットも集め難いし、なかなか成功例が出なかった。しかしあるとき、とうとう初成功例が出た。

 第2の実験の初成功によって中位世界人に逆憑依した、元・下位世界人は、グリーンという名のニューロだった。
 “社長一派”の計画では、成功例=グリーンの捕獲は速やかに行われるはずで、グリーンの体(脳、精神構造、アストラル体などなど)を調べる事で、「上位世界への侵攻」の先鞭が付けられるようになると計画していた。
 しかしグリーンは、下位世界人であるときに、トーキョーの端に行って「自分の所属する世界は仮想世界に過ぎない」と悟るという経験をしていた。そうして中位世界(さらに上位世界がある事までは知らないのだが)への大きな不信感を持っているときに、中位世界人に逆憑依させられてしまった訳である。
 中位世界人として意識を持ったグリーンは、真っ先に逃亡の道を選んだ。そうして、中位世界にあるバーチャワールド社を諸悪の根元と思い、社のメインフレームへのハッキングを試みた。
 バーチャワールド社のトロン本体は、通常規格と大きく外れた構造をしている為にハッキングは入口で失敗し、グリーンは2度目のハッキングに備えて準備に入った。

 一方、上位世界人の“管理者”も、遅れ馳せながら中位世界の不穏な空気に感付き始めた。事態を正確に認識している訳では無いが、「仮想世界の下位に、また仮想世界がある」という事実には気付き、危険を感じた。そこで、中位世界に“管理者”を派遣してバーチャワールド社を潰そうと考えた。
 当初“管理者”は、単純にバーチャワールド社屋に侵入してメインフレームを破壊しようと考えていた。しかし、“管理者”自身は荒事の専門家では無いし、憑依した中位世界人が<セキュリティ>技能を持っていなかった事もあって、ほんの入口で失敗してしまった。

 “社長一派”は、ハッキングや物理的侵入に危機感を抱いたが、下手に対応すると薮蛇と考え、敢えて何もしなかった。
 しかし、真実を知らないバーチャワールド社の管理部門の課長は、そんな上司に不信感を抱いて独自に人を雇った。



導入1:ハッカー対策

 上記“事前状況”のバーチャワールド社の管理部門の課長が、ハッキングおよび物理的侵入に対して護衛と犯人探しをPCに依頼する。報酬は課長のポケットマネーから払われるが、相場が提示される。以降、依頼を受けるものとして進める。



導入2:バイニン捜査

 “社長一派”がバラまいた“天才薬”の副作用で被害を受けた者も数多くいる。
 そんな「飲むと天才になって記憶力が増進される」として非合法に売られている薬(=天才薬)が引き起こす薬害に関する調査および解決を、被害者の父親がPCに依頼する。報酬は相場が提示される。以降、依頼を受けるものとして進める。



導入3:マルナゲ取材

 あるトーキー(記者)は、「最近、自分の恋人(or家族or親友)が別人になってしまった」と訴える人が同時多発的に出るという社会現象について長期取材を行っていた。しかし、下調べを終えた時点で外国に行かなくてはならなくなり、PCに取材の続きを依頼する。
 取材が実を結んだ場合に期待できる報酬は相場通りである。「別人になってしまった」と訴える人のリストは最初から持っている。以降、依頼を受けるものとして進める。



本編

 3つの導入は、必ず誰かに割り振る。それぞれの導入を紙に書いて渡し、登場判定不可の導入シーンとする事。
 リサーチフェイズに入った後は、円構造コネを合わせて、積極的に登場判定を許しても構わない。

 以下に、序盤のリサーチフェイズで調べる事ができる内容を導入別に記す。

導入1 @物理的侵入は素人の犯行だと分かる。
Aハッキングは、バーチャワールド社のシステムが異質だった故に失敗しただけで、犯人はなかなか優秀だったと分かる。PCのニューロがハッキングを試しても、「長期間、システム解析をして専用のソフトウェアを用意してからでないと不可能」と分かる。
Bネットゲームに入ってると、依頼人が説明した通り、「特定の仮想人格に憑依するだけでひたすらリアルさを追求していてゲーム性は無い」という事を追認するくらいしかできない。
導入2  売人を問い詰めるなどすると、以下の事柄が分かる。
@薬の供給は弱小ヤクザ組織から受けているが、そこも仲介に過ぎない。A真の供給元は、とにかくこの薬を流行らせたいらしく、原価割れの値段で売るように指示している。B薬を仲介している組織は、本当にただの弱小ヤクザ組織である。適当に脅せば、真の供給元がバーチャワールド社だと分かる。
導入3  「別人になった」とされる者の調査方法は、個別訪問しか無い。序盤段階では2〜3人しか調査できないが、そこで以下の共通した事柄が分かる。
@「別人になった」という日まで、バーチャワールド社のネットゲームにハマっていた。現在はゲームは止めている。
A別人になったという人物は、一応は社会生活を営んではいるが、人として言動が極めて不自然。応用が効かず、まるで「大昔のコンピュータゲームのNPCみたい」である。
B適当な技能判定に成功したならば、その人物が所有しているバーチャワールド社製のライフサポートシステムには、薬が仕掛けられている。さらに調べれば、“天才薬”という薬だと分かる。

 次に、中盤のリサーチフェイズで調べる事ができる内容をキーワード別に記す。この辺りでPCが合流するように誘導する事。

天才薬  適当な技能で判定する事で、薬効、副作用、背景などが分かる。
 弱小ヤクザに原価割れで卸していたのも、自社製のライフサポートシステムにこの薬を仕込んでいたのも、バーチャワールド社である。
バーチャワールド社  適当な社会技能やコネ判定に成功する事で、以下の内容が分かる。
 会社の事業内容が不透明で怪しい。ネットゲームは渋すぎる内容だし、メインフレームに使われている技術は高度な割に応用が利かない。業界の噂では、経営陣が他の事業で得た資金を投入しているとの事で、何故そこまでするのか理解できる者はいない。
グリーン  導入3のPCの所持するリストの人物への個別訪問も終わりに近づいている。ここまで、10人近くと会ったが、取材への反応はほとんど同じ内容の繰り返しである。しかし、とある人物の元に行ったときだけ反応が異なり、監視カメラでPCが来たのを見ると逃げようとする。この人物がグリーンである。
 グリーンはニューロであり、物理的に逃げたり、追跡を防ぐ為に痕跡を消すという技能を持っていない。
 グリーンを追い詰めて捕えるなどした後で、「事情を教えてくれたら、できる限りの協力をする」などと好意的に交渉するならば、告白を始める。
「自分は下位世界人である」
「下位世界で“果て”を見たとき、真に絶望した。自分のヒトとしての誇りを汚した創造主を恨みに思った」
「そんなとき、バーチャワールド社の実験によって中位世界に引き上げらた。創造主=バーチャワールド社と知り、復讐を固く決意した」
といった話をPCは聞く。
 グリーンは、取り敢えずバーチャワールド社のメインフレームにハッキングをかける事に没頭している。その後でどうするのかは、実はきちんと答えを出していない。
 孤高を気取っているグリーンだが、心の底では共に戦ってくれる仲間を欲している。その為、PCがよほど酷いロールプレイをしない限り、グリーンは知っている事を話す。PCが何らかの形で協力をしてくれるのではないかと期待しているのである。

 遅くともこの辺りで、全PCが合流しているものとする。

 グリーンの協力を得た後で下位世界のトーキョーに赴く場合、以下のような場所を“観光スポット”として紹介してくれる。

バーチャワールド社屋 @下位世界にバーチャワールド社は存在しない。その場所には、調査会社がある。
Aその調査会社は、最近の仕事で「導入3のPCのリストに載っていた人物が憑依していた仮想人格全員およびグリーンを含む、数十人の人間のアドレスを探って依頼人に報告する」という調査を行っていた。依頼人は、“社長一派”の1人が憑依している仮想人格である。
B試しに調査会社で調べられていた下位世界人に会おうとすると、既に全員が死亡している事が分かる。
世界の果て  房総南国際空港から旅客機に乗ろうとしても、欠航で叶わない。館山港では海外から物資の水揚げはされているが、よくよく調べると輸送船は全てロボット制御である。
 PCが自分で船などを使って海上に出ると、やがて“壁”が見える。それはオーロラのような外見で、触ろうとすると意識が薄れ、気が付くと“壁”から十分に離れた位置にいる。ロボット輸送船の類は、“壁”から生まれ、“壁”へ消えて行く。
 グリーンは、「偽りだらけのこの世界で、虚ろな街に心が負けてしまわないように、よく“壁”を見に来ていた」と述懐する。

 “社長一派”はPCの前に姿を現わさない。導入1の依頼人である課長は、「数日後に出社する筈なので、アポ無しの形になるがそのときに会えるようにセッティングする」という程度の約束はしてくれる。

 ここで、導入3のPCが所持するリストの人物の最期の1〜2人を訪問するという展開にする。
 この人物自体は、「“社長一派”の第1の実験の被験者」に過ぎないのだが、彼らは“管理者”によって見張られている。“管理者”は戦闘系の人格に憑依していて、PCの人数の2/3程度いるとする。
 適当な技能判定に成功すればPCは“管理者”に気付くし、そうでなくとも“管理者”は監視対象をPCに切り替えるのでいずれは気付くだろう。
 “管理者”とて、自分がトロンに繋がったままで憑依した人が死ねば死ぬ。しかし、この“管理者”は中位世界人を馬鹿にしていて、それ故に、「アウトロン(ログアウト)する間もなく殺されるなんてあり得ない」とさして根拠の無い自信を持っている。よって、“管理者”は些か好戦的に振る舞う。

 切っ掛けはともかく、戦闘になった末に“管理者”を捕えると、「強制アウトロン」と呟き、急に人格が変わる。人格変換後は、「最近の記憶が無い」と告白して、明らかにPCへの悪意が見られない。
 “管理者”を発狂させても、暫く後に中位世界人の心が眠りから覚めて、最近の記憶が無い事に悩み始める。



結末

 PCが、「自分がいる世界もまた偽りなのではないか?」と思い付かない限り、結末は迎えられない。一定期間後には、再び“管理者”が現れ、PCは危険仮想人格として暗殺される。

 真実に思い至った上で、中位世界でトーキョーの果てに向かえば、“壁”を目の当たりにする。

 結末について、以下に列挙する。

@“管理者”に協力する。
 “管理者”と会った折りに協力を申し出て、その証として“社長一派”の存在を注進して、攻撃に積極的に参加するならば、「生かしておいて」もらえる。また、PCの意見が割れた場合、“管理者”に味方するPCには、味方しないPCを殺す事が求められる。

A“社長一派”を直接問い質す。
 バーチャワールド管理部門課長の助けで、PCは“社長一派”と会見を果たす事ができる。
 真実を知ったPCに対して、“社長一派”は全ての経緯を語り、「グリーンを調べれば、上位世界への脱皮の重要な足掛かりになる。正直言って調査後はグリーンの命は持たないだろうが、やむを得ない。自分たちはグリーンの居所を掴めずにいるので、教えてくれるならば上位世界侵入の仲間に入れてやる」と言われる。
 “社長一派”は非戦闘系だが、複数人いるので、全員を抹殺して計画を止める為には、全PCの協力が必要である。
 PC間で意見が割れる場合は、まず、調整ないしPC間戦闘で意見を統一させる。
 “社長一派”を殺す事になった場合、計画は頓挫する。
 “社長一派”の味方をする事になった場合、グリーンの捕獲後、PCは逆憑依計画の中核メンバーに加わる。その後、PCがどうなったのか、中位世界人には窺い知る事はできない。そもそも、上異世界だって本当の“現実”なのかどうか、誰にも保証できないのである。



さいごに

 元ネタはダニエル.F.ガロイの『模造世界』である。『13F』というタイトルで映画化され、私はこちらを先に観た。
 最初にここを読んだ人で、私がここまで強調するからには何かあるのだろうと思って元ネタに興味を持ったならば、本屋かレンタルビデオ屋に行って先にこれらを味わって欲しい。




OK?

ネタバレは大丈夫?

OK?




 シナリオを読む気になったならば、“登場NPCおよび重要事項”に戻って欲しい。

 では、話を先に進める。



 「主人公の住む世界は、実は仮想世界だった」というプロットは、今やそれほど大した思い付きでも無い。ちょっと考えただけでも、『トゥルーマンショー』『ダークシティー』『マトリックス』『メガゾーン23』といったタイトルが思い付く。
 P.K.ディックや神林長平などには、さらに一歩踏み込んだ作品もあるが、しかし『13F』のコロンブスの卵的な思い付きは、シンプルさと相まって感心させられた。

 元ネタのコア部分を引用しているので、知っているプレイヤーがいる場合は、セッションが崩壊する可能性もある。ちなみに私が使用したときは、プレイヤーの誰もが『マトリックス』辺りが元ネタだろうと考えてくれた為にオチに引っ掛かってくれて、大変盛り上がった。それで、敢えてセッション終了後になっても元ネタについてプレイヤーに教えなかったくらいである。
 その辺り、プレイヤーに確認を取るか、敢えて黙したまま進めるか、マスターが判断して欲しい。




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