No. タイトル システム 登録日 改稿日
0041 3つの世界 N◎VA 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『トーキョーN◎VAレボリューション』の使用を想定して書かれた。
 しかし、『シャドウラン』など魔法が存在する他のサイバーパンクでも使用可能である。



登場NPCおよび重要事項
リーン
理音 謎の少女。現実世界とリンクする電脳世界を作るが、後に危険視されN◎VA軍に拘束される。逮捕時に肉体・電脳人格・アストラル体の3つに分離して、助けを求めようとした。
子供たち “理音の電脳世界”の愛国者。大人からみれば、正にフェア・チャイルドである。
校長 子供たちの影響で半ば狂ってしまった大人。その言動からN◎VA軍に事態の黒幕と勘違いされ、暗殺される。
トーキー N◎VA軍が理音拘束に動いたのを、ただのセックス・スキャンダルと勘違いした事から、危険な取材に臨んでしまった。



事前状況

 謎の少女がいた。
 少女(理音)は、そう生まれ付いたのか、それともどこかの研究所で作られた存在なのかは分からないが、特殊な能力を持っていた。その能力とは、電脳ネット上に構築されたバーチャル世界を現実世界に具現させたり、或いは逆に現実世界で起こった出来事を何の入力デバイスも経ずにバーチャル世界に反映させたりできるという能力だった。
 理音は超常能力(マヤカシ)の能力も持っていて、親しい“上位精神存在”の助力で特殊なアストラル空間を構築し、それを媒介にする事で、現実世界(の一部)と電脳世界(の一部)をリンクさせていた。
 一般人から見れば、この“理音の作ったネット世界”は“ただのネットゲームの舞台”と認識されていたが、一部のニューロ・キッズ……ほとんどが第二次性徴前の小学生……は本能的に事実を知っていて、“現実よりリアルな現実”と捉えられていた。
 小学生たちは王国の愛国者であり、理音を女神と崇めた。現実世界の出来事と“理音の電脳世界”の出来事には相関関係があるが、起こる時刻にはタイムラグがあるし、100%そのままに再現される訳でも無かった。まだ片方の世界では再現されていない出来事を小学生たちは“預言”と呼び、ときには実力で無理矢理、再現させたりもした。例えば、電脳世界で特定の玩具が「持っていると死んでしまうアイテム」という事になったとする。しかし現実世界ではそこまで再現されなかったとする。そうすると、その玩具を持つ小学生は「自分は死の呪いを受けたアイテムを所有するのだから死ななければならない」と思い、自殺してしまう……という具合に。
 やがて、世間はその“理音の電脳世界”を“危険なゲーム”として禁止するが、しかしアンダーグラウンド化しただけで、無くなりはしなかった。

 そしてとうとう、政府(N◎VA軍)も、遅れ馳せながら事実に気付いた。
 当初、政府は「ネット上にN◎VAの詳細な地図が載っている。土地勘レベルの情報までリアルタイムに再現されているので、軍事上、問題がある」という程度の認識しかなかった。しかし調査を進める内に、現実世界と“理音の電脳世界”に対応関係が生じている事実と、キー人物である理音の存在に気付いた。政府は理音を拘束したが、彼女の肉体からアストラル体と電脳人格が遊離し、それぞれの世界に逃亡してしまった。政府は事態を重く見て、事実関係を調査し、最終的には全ての関係者や関係ネットワークの物理的消去を行う準備を始めた。

 理音の電脳人格、理音のアストラル体、理音の守護神、小学生たちは、それぞれ別個に事態の解決に臨んだ。それぞれは完全には連絡を取る事ができず、意図も微妙に異なるが、僅かなシンパシーを有していて、それで互いの存在や何をしているかについて漠然と分かっている。



導入1:ニューロPC用

 理音の電脳人格は、援助者としてPCを選び、事態の解決を依頼する。PCに適当なトロン・オプションを依頼料代わりに送った上で、「理音の肉体を解放してくれ」と伝える。
 “理音”という言葉をキーに検索をかける事で、PCは“理音の電脳世界”を知る。そこのユーザーからPCは勇者扱いされた上に、ある病院のトロンのアドレスを教えられる。病院のトロンをハッキングして入院患者について調べると、空き病室記録上は患者がいない事になっている特別室において、植物状態の患者に対する治療機器が運び込まれている事に気付く。その他、警備状況なども調べる事ができる。



導入2:戦闘系PC用

 小学生たちの大部分は同じ学校の生徒なのだが、その小学校の校長は真実を知ってしまい、錯乱していた。錯乱したまま子供たちに協力していた校長は、小学生に“国王”として扱われていた。N◎VA軍は、この校長が電脳世界に協力している事を知るが、そこから先の調査が進まない事もあって、暗殺してしまう事にする。
 小学生たちは、既に電脳世界で“国王”が凶弾に倒れた事から、死が免れない事を知っている。小学校には異様な雰囲気が漂っていて、それを嗅ぎ取ったNPC巡査は「地上げヤクザか何かに脅されているのでは」と思って、PCに「相談に乗ってやってくれ」と頼む。
 しかし、PCの目の前で校長は狙撃されて死ぬ。小学生たちは、校長の死も、これからPCが事件を解決してくれる事も“知って”いて、それ故に異様な振る舞いと言動を見せる。



導入3:トーキーPC用

 とあるNPCトーキーは、N◎VA軍が14才の少女を軟禁している情報を掴むが、それをセックス・スキャンダルと勘違いして、突撃取材を敢行する。念の為、自分のサイバー目とサイバー耳からの情報を電波で流し、それをモニターして危険が及びそうになったら警察に連絡して欲しい……という依頼をPCに行う。N◎VA軍は、真実を広めたくないので、大物自らが動く。トーキーは曖昧な物言いで取材した為、大物はトーキーが真実を知っていると勘違いし、その場で抹殺する。それをPCは聞いてしまう。



導入4:マヤカシ・バサラPC用

 理音のアストラル体/守護神は、適当な人物を、件の特異なアストラル空間に誘い込み、事態の解決を依頼しようとする。
 PCは、スラム街の路地裏に“空間の裂け目”を見付ける。自発的に中に入るまたは強制的に引き込まれるように展開させる。
 アストラル体/守護神は言葉で無く、誘い込んだ人間に暗示的なモノを見せる事で意志をPCに伝えようとしていた。「N◎VAの一部と重なって存在し、人がおらず、ただ、物(人が動かしている最中の物も含む)だけが在る、奇妙なまでに現実世界を模したアストラル世界」の存在をPCは知る。



本編

 4つの導入は、誰かしらに必ず振り分ける。
 PCは、それぞれお互いにコネを持ち合っている知り合い同士だとする。別のPCのシーンに積極的に登場して事件に関わるように誘導する事。

 適当な頃合いになったら、PCの前に“勇者の助太刀”を自称する小学生が現れ、病院の地下通路の存在を教える。関わり合いになっていないPCがいる場合、この小学生が仲介する。

 「理音の病室の前の部屋に、理音に化けたカゲムシャがいる」などの罠が張ってあるのだが、ニューロPCが協力すれば回避できる。

 理音を病室から連れ出せば、流石にバレてN◎VA軍の追跡を受ける事になる。
 理音の電脳人格は、肉体とワイア&ワイアで繋ぐ事を要求する。その上で「まだ1つ足りない」とメッセージを送る。
 マヤカシ・バサラPCが“空間の裂け目”があった場所の事を思い出し、そこへ理音の肉体(トロンに接続した状態で)を連れて行けば、3つの存在は1つに戻り、理音は“女神”として復活する。

 “空間の裂け目”に到達するまでに、適当に障害となる戦闘やチェイスのシーンを入れる事。



結末

 女神に戻った理音は、その力でPCにN◎VA軍の手が及ばないように“操作”する。
 “理音の世界”は、元通りになる。

 PCがその状態を危険だと判断するならば、理音を女神に戻さないようにしなければならない。確実なのは、肉体を殺す事である。
 その後のN◎VA軍の追求は、PCが自力でかわさなければならない。



さいごに

 元ネタは、“いとうせいこう”の『ノーライフキング』である。ただし、これだけではシナリオ化し難いと思って長年お蔵入りにしていたところ、アニメ『lain』を観て、この主人公の玲音をプロットに入れる事で形にした。

 『lain』自体は元ネタで無いし、雰囲気としてプレイヤーが連想してくれる事はむしろプラスに働くと思い、謎の少女の名前を“理音”などとした。いっそ“玲音”とそのままの名にしても、逆に全く異なる名にしても良いと思う。
 『ノーライフキング』に関しても、校長狙撃の時点で気付くプレイヤーはいると思うが、だからといって事件解決の方針(攻略方法)が分かる訳では無いので問題にはならないだろう。




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