No. タイトル システム 登録日 改稿日
0040 迷宮探検競技 BK 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『Bea−Kid’s』専用である。
 ダンジョンがメインのシナリオであるので、『セブン=フォートレス・アドバンスド』用などへの改造も容易である。



登場NPCおよび重要事項

炭坑初代経営者 若い頃はいわゆる冒険者で、“地下迷宮都市”を発見した。その封印も兼ねて上に炭坑を作った。
2代目経営者 経営が破綻した会社への支援を中央政府に拒否された事を恨んで、迷宮探検競技会を開いた。
地下迷宮都市 太古の超科学文明の遺産。精霊力を消費する霊力炉で動く迷宮。このせいで周辺は死の荒野と化していたが、炭坑初代経営者により、最近まで魔術封印が施されていた。



事前状況

 とある地にグランドキャニオンみたいな大峡谷があった。
 その下には、超古代文明の遺産が眠っていた。その遺産とは、都市防衛機構として働く“動く迷路”で、迷路は“霊力”を吸って半永久的に動くエネルギ炉を備えていた。
 時代が下り、大陸に獣人族が住む時代になったとき、既に迷路都市は地下に沈んでその姿を消していたが、霊力炉は機能していた。霊力炉は精霊も燃料として吸い取ってしまうのでこの地には精霊が存在できず、獣人族には“呪われた地”として恐れられ、立ち入る者もいなかった。
 やがて大陸に人間族が入植して来て、大峡谷にも“冒険者”が入るに至った。幾つものパーティーが全滅したが、30年前、とうとうこの“地下迷路都市”の探索に成功した者がいた。その地には炭鉱があった事から、危険な“地下迷路都市”の入口に魔術封印(違法)を施し、さらに炭坑とその管理会社を築いて、物理的にも法律的にも中に人が入れない様にした。

 今から数年前、大峡谷の炭坑の初代経営者が死に、2代目が跡を継いだ。しかし2代目は無能で、短い期間で会社を潰してしまった。2代目は、“地下迷宮都市”の危険性を訴え、「この管理は慣れた我々にしかできない」と主張して中央政府に援助を要請した。
 しかし中央政府は援助要請を拒絶した。会社の債権を買って、国有企業にするつもりだったのだ。2代目は腹いせに、その妨害に走った。
 まず2代目は、会社の資産を個別に売却する事で債権者への返済に充てる方針を取った。そして予め大峡谷の地下迷宮都市の情報をリークした上で“地下迷宮探検競技会開催”を提案した。参加料を払った者に地下を探索する権利を与え、発見した者が隠された財宝を所有する権利を得るという内容で、炭坑を普通に売却するより金になるため、債権者たちにも了承した。

 そうして30年振りに“地下迷宮都市”は起動した。



導入

 導入は、便宜的に2つ設ける。

@冒険者的な動機で動くPC用。迷宮探検競技の参加者から代理人になる事を依頼される。参加費用は依頼人が払ってくれる代わりに、発見した財宝の一定割合を引き渡すという契約となる。

A冒険者的な動機で動かないPC(主に獣人族)用。“地下迷宮都市”の魔術封印が解かれた事で、今まで抑えられていた“精霊エネルギの給排気”が再開され、周辺は異常な精霊状態を示すようになった。自発的に、または誰かに依頼されて、この件を調査する為に町を訪れる。精霊力を探れば(シャーマンがいない場合は、適当なアイテムを設定して貸与する事)、原因が“地下迷宮都市”その物にあり、競技に参加せずに中に入る事はほとんど不可能だと分かる。

 メインは@だが、この導入では動機にならないというPCの為にAも用意した。AのPCも、結果的に@と合流するように誘導する事。



本編

 ダンジョンは“ダイス・クエスト方式”で行う。
 六面体サイコロを1つ振り、以下の目が出たら方眼紙にその通りに書き込む。

直進
小部屋(直進)
大部屋(十字路)
行き止まり

 小部屋または大部屋に入ったら、イベントを決定する為に再び六面体サイコロを1つ振る。

1,2  モンスターまたは敵対的な遭遇者の出現。適当な相手と戦闘になる。
3,4  トラップ。適当な技能判定を要求し、失敗したらダメージを1段階与える。
 アイテム入手。適当なアイテムをPCに与える。
 特殊イベント(後述)。

 原則的に一度行った場所では何も起こらないが、それでは不自然だと言う場合には、マスターがイベントを起こす事。

 一定時間おきに“地下迷宮都市”の全体が動き、迷路は完全にリセットされた状態になる。それまで書き込んだマップを廃棄して、新たにマップを作り直す。動くタイミングについては以下の“特殊イベント”を参照。

●特殊イベント……振ったのが何回目かによって、以下のイベントを起こす。

1回目  “地下迷宮都市”が動き、マップがリセットされる。マップからPCがいる区画以外の記載を消す。
2回目  遭難している中央政府のエージェントと出会う。エージェントは体を動かす事ができず、上記“事前状況”の話や霊力炉についての説明を行い、その永久停止作業を依頼する。手順に関してはレクチャーする。
3回目  “地下迷宮都市”が動き、マップがリセットされる。マップからPCがいる区画以外の記載を消す。
4回目  霊力炉のある部屋に辿り着く。
5回目  外への出口に辿り着く。

 次の特殊イベントが起こる前に迷宮が閉ざされてしまった場合、マップのリセットを行う事。

 霊力炉のある部屋には、バーサーカー(戦闘用ロボット)がいて、入ってきた者を無差別に襲う。出て行った者は追い掛けないが、自己修復機能があるので、PCが回復した頃には、バーサーカーも直っている。



結末

 バーサーカーを倒して霊力炉を壊せば解決となる。“地下迷宮都市”は自己崩壊する。自己崩壊まで時間が無いとしてPCの危機感を煽っても良いが、そのときは迷宮の形状を決定するダイスのキーポイントによる振り直しを認めた方が良いだろう。

 PCが敢えて霊力炉のある部屋を無視して宝捜しを続けるようならば、程度にもよるがバットエンドにする事。
 足手まといになるのを承知で、中央政府のエージェントを助けていたならば、その取り計らいで十分な礼がもらえる。



さいごに

 2代目が迷宮探検競技を開く導入に関しては、笹本祐一の『彗星狩り 前編』から思い付いた。もっとも、ここで書いた通りの話では無いし、導入なので読んでいた人がプレイヤーにいても問題にならない。

 ダイス・クエスト式の迷宮ゲームがメインなので、プレイヤーを選ぶと思う。問題がありそうなら、マスターの方で修正して欲しい。




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