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0036 狙われた女子大学院生 BK 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『Bea−Kid’s』専用である。



登場NPCおよび重要事項

ジュディー 考古学部に所属する女子大学院生。真言魔術を少しかじっている。民間人立ち入り禁止措置が解除される予定の地域へ許可をもらって調査に赴くが、後になってペンネームで危険思想の本を出していた事が軍部に知られ、狙われる。キャラ・イメージは映画『ペリカン文書』のジュリア・ロバーツ。



事前状況

 30年前、人間族国家統一前のとある戦争で、ほんの100人余の守備隊しかいなかった砦が数千人の敵部隊を長期間足止めした末に全滅した。しかし敵部隊がもたもたしている間にクーデリアン政府の軍隊は陣容を整える事ができ、おかげで勝利した。後年、砦の守備隊員たちは、国民性に影響を与える程に、英雄視された。
 しかしたった100人余の守備隊が数十倍の敵軍を抑える事ができたのには秘密があった。実は守備隊長は真言魔術師で、古の真言魔術を戦いに用いていたのだった。
 クーデリアン政府は後にこの秘密を知ったが、今更、「英雄たちは実は呪われたおぞましき真言魔術を使っていました」などと言う訳にはいかない。そこで事実を隠蔽し、真言魔術師だった守備隊長に関しては「戦闘の直前に逃亡し、指揮は副官が執った」と記録を書き換えた。
 さらに、「戦略重要拠点なので」という理由で砦跡を民間人立入り禁止にして、調査すらできない様にした。

 だが、それから30年が過ぎ、かつてここで魔術戦が行われたと思える様子も見取れなくなり、いつまでも立入り禁止地域にしたままでおくのも色々と都合が悪くなってきた(費用もかかるし、却って怪しまれる原因にもなるので)。そこで試験的に幾人かの民間人研究者に砦跡の調査を許可してみて、それで問題が起こらない事を確認した上で、立入り禁止処置を解こうと言う事になった。
 栄えある民間人研究者第一号として、考古学を専攻するジュディーという名の1人の女子大学院生が選ばれた。ジュディーを選別した軍関係者にしてみれば「研究者第一号には余り血の巡りの良くない者を選びたい。腰掛けで大学に残っている様なお嬢様ならば打ってつけだ」と考えたのだが、それは間違いだった。
 ジュディーが正式な立入り許可書を持って旅立った後になって、彼女がペンネームを使って出版した書籍(小説とも研究書ともつかない内容)が発見されたのだが、その中に「砦守備隊の真実」が仮説として書かれていたのだ。
 彼女に謀られたと気付いた軍関係者は、どんな汚れ仕事でも秘密裏に処理する特務部隊を派遣し、彼女の暗殺を命じた。

 ジュディーは守備隊長の実の孫で、真言魔術師でもある。祖父の汚名をそそぎ、「魔術によってとても良い事が行われた」という歴史を消された事に不満を持っていて、真実を探り、証拠を集め、できればそれを世間に公表したいと願っている。



導入

 ジュディーは、自分に対して暗殺部隊が派遣された事は知らないが、漠然とした身の危険の予想はしている。そこで、自費でボディーガードを雇おうとする。PCは、ジュディーに雇われるか、それとも最初の襲撃現場にたまたま出くわす事で事件に関わるとする。



本編

 道中、ジュディー一行は、ライフルで武装した獣人族に襲われる。彼らは、酒やギャンブルに溺れ自堕落に暮らす“堕落した獣人”で、人間族(実は特務部隊員)に雇われて襲撃をかけたと分かる。この最初の戦闘で、全PCを集結させる事。

 目的地までの途中に幾つか町があり、それぞれに特務部隊員が待機している。軍部の仕業と見抜かれたくないので、その地のチンピラ・ゴロツキを雇ってはジュディー一行を襲わせる作戦でいる。
 最初の襲撃の次に立ち寄った町では、親切な宿屋の親父から、「明らかに“民間人に変装した軍人”が数日前から逗留している。金払いが良く、チンピラたちを手懐けて荒事に使おうとしているらしい。何度も電信を使っていて、友人の電信技士の話では、誰か旅人を狙っているらしい。最近来た旅人と言えばPCたちだけで、余計なお世話かもしれないが気を付けた方が良い」と忠告される。
 PCが積極的に動き、罠を張れば、この特務部隊員を捕まえる事ができる。尋問で高い達成値を出せば、自分は特務部隊員で、軍の仕業だと思われない方法でジュディーを暗殺しようとした事を話す。

 ジュディーは、祖父に関する事については一切、話さない。

 無事に目的地に近づくと、特務部隊本隊に監視されているのに気付く。
 目的地に着くと、砦跡と周辺数kmが有刺鉄線付の柵で囲まれていて、一般兵が警備している。ジュディーが許可書を見せれば中に入れてもらえる。宿泊は柵の中でテントを張って行う事になる。
 PCと前後して、特務部隊本隊も柵の中に入り、野営の準備をする。PCに何を質問されても答えない。

 初日は、ジュディーは無難な調査活動のみ行う。夜になると、ジュディーはテントを抜け出して、砦跡のある場所へ行き、祖父から聞かされていた隠し金庫を見付け、呪文を唱えて開けると中味を取り出す。中には、祖父の日誌、戦闘記録、記石(ビデオカメラのような魔法アイテム)が入っている。



結末

 PCの干渉が無いならば、基本的に特務部隊本隊は、夜のジュディーの行動を見張っていて、金庫から中味を出して吟味しているところを拘束しようとする。また、結局はPCにも投降するように呼び掛けられる。
 特務部隊本隊は、PCと同等の戦力とする。派手に撃ち合いを行えば、10〜20分(60〜120ラウンド)で一般兵が駆け付け、特務部隊に加勢する。こうなってはPCに勝ち目は無い。その前に戦闘を終わらせ、柵を壊し、荒野に向かえば逃れる事ができる。

 こうなっては、ジュディーはPCに全てを話す。その処置はPC次第である。



さいごに

 NHKの海外ドラマ『ヤングライダーズ』のエピソードの1つに、「実は、全滅したはずのアラモ砦の守備隊には密かに生き残りがいた。それから数十年経った南北戦争終結記念日前夜に、その生き残りが次々と殺さる」というのがあり、それが発想の大元になった。
 これに、ジョン・グリシャムの『ペリカン文書』(ジュリア・ロバーツとデンゼル・ワシントン主演で映画化された)の要素を加えて仕上げた。
 元ネタの形状は余り残っていないので、雰囲気から割れても問題にはならないと思う。




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