No. タイトル システム 登録日 改稿日
0035 電気通信障害 BK 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『Bea−Kid’s』専用である。



登場NPCおよび重要事項

ベル 実業家。真言魔術師でもある。
グレー 真言魔術師。部下を使って、山岳地方の12ヶ所の聖域の謎を調査している。
山岳地方 人口千人の町を中心にして、複数の町や村からなる。町や村のそれぞれは徒歩で半日程度の距離があり、その道に沿って電信柱が立ち通信網を形成している。電信網は、網の目のように張り巡らされていて、素人目にも不合理さを感じる。道以外の場所を移動するには技能判定が必要。



事前状況

 レストリア大陸では、数百年前に大疫病が流行り、獣人族の中の幾つかの部族が滅亡してしまった。その最中、別の大陸から渡来した人間族移民のもたらした薬によって疫病は治まり、そのお礼に土地の一部が人間族移民に割譲された。
 とある山岳地方はそうやって人間族が住む事になった土地で、これまで人間族と獣人族の争いが起こった事もなかった。精霊(獣人の祖先霊)が宿る聖域(トーテムみたいなもの)だけは12ヶ所残っていたが、その地方の自治政府は「下手にいじって災害でも起きたら困るので不干渉政策」を取り、「されど聖域の存在を根拠にゴタゴタが起こるのは困るので、『獣人の聖域など存在しない』という公式見解」を貫いていた。

 ところでどういう作用なのか、この12ヶ所の聖域のせいで、この山岳地方では電信線を引いても信号が届かず、一切の電気通信が阻害されていた。人口密度が低い地方なので本気で原因究明を行おうという事業家もいなかったのだが、ベルという事業家が「通信事業によって山岳地方自体から得られる収益はしれているだろう。しかし、山岳地方によって遠距離電信が阻害されている東側地方と西側地方を結ぶ事ができれば、遠距離通信網により莫大な収益を生むに違いない」と思い付く。電信妨害の原因は精霊のせいと看破したベルは、電信網の配置自体を“精霊の活動を押え込む特殊な魔法陣の形”にする事で完成させた。
 一方、山岳地方に電信が通ったと聞いて怪しく思うグレーという1人の真言魔術師がいた。グレーは、山岳地方の歴史伝承について熟知していたので、すぐにベルのしている事に気付いた。そして「今までその正確な数も場所も特性も何にも分からなかった『生きている獣人がいないのに存在し続ける土地精霊というレアな存在』に関しての調査を行う絶好の機会だ」という事に気付く。山岳地方に広がる電信線ネットワークの任意の箇所を切断する事で生じる精霊力の増減を計測して聖域の位置を割り出し、実地に赴いて精霊の特性と力を調査し、できれば何かの役に立てようと考えてた。

 そういう訳で、山岳地方各地で電信線が切られるという連続事件が起こった。ベルは聖域の位置等の事は知らないし、知る必要があるとも思っていない。グレーの様な真言魔術師が調査活動を起こしている事も知らず、最初は「資本家である自分にやっかみを感じている地元民のイタズラ」と考えて大規模な監視隊を組織するが、犯人は見付からない。大人数を長期間雇う費用も馬鹿にならないので、仮想犯人を「商売敵に雇われたプロ」に絞り、捜査方法を賞金方式に切り替えた。



導入

 導入は3パターン設ける。
 いずれも、上記“事情説明”にある山岳地方の中心の町から始める。

@PCは事前に「山岳地方で高額の賞金の仕事がある」との噂を聞いてやって来る。

A真言魔術師PC向け。「山岳地方でソーサラーが何かしているらしい」と分かり、自発的または師匠に依頼されて調査する為にやって来る。

Bシャーマンないし獣人族PC向け。「山岳地方に古来から住まう精霊が苦しんでいるらしいと風の噂で聞いたので、様子を見てきて欲しい」との依頼を他のシャーマンから受けてやって来る。



本編

 序盤の内に、PC同士の繋がりを設定しておく事。

 山岳地方の中心の町には、“ベルの屋敷”、“電信会社の事業本部”、“保安官事務所”などがある。
 中心の町にある“電信会社の事業本部”は、数人の社員が働く大きめの家屋で、調べると防音設備のある秘密の地下室があり、隠れて何かやっていると分かる。真言魔術師PCが調べれば、何かの魔法陣の動作をチェックするシミュレーションをしていたらしいと分かるが、一般人に証明できる証拠は無い。

 中心の町を出てすぐの所の山道には、誰かが道を外れて崖下まで降りようとした跡が発見できる。その崖下の中ほどに聖域の1つがある。聖域のある辺りには死体(実はグレーの手下)が転がっている。死因は明らかに滑落死で、死体は怪しい民芸品(ビデオみたいに記録できる記石というマジックアイテム。真言魔術師ならば使い方がすぐ分かるし、教えれば一般人にも使用できる。真言魔術師だと証明する証拠になる)を持っている。記石には、数ヶ所の聖域の撮影映像が録画されている。
 この死体発見の報告を保安官にしても対応は冷淡である。保安官は、「“公式見解では存在しない聖地”に関係する話は無視する」という不文律に従っていて、そうなると滑落死体は「単に足を滑らせた旅行者」でしか無いからである。保安官自身には、それ以上の裏は無い。

 山岳地方全域を足で調べまわると、いずれグレーの部下と遭遇する。グレーの部下は、小人数グループに別れて行動していて、電信線を切る事で電波状態がどう変化するかを調べている。
 原則的にグレーの部下からPCに手出しをする事は無い。聖域の滑落死体の話をするならば、持物の返還を要求し、拒否されれば暴力に訴える。
 PC側から仕掛けた場合、グレーの部下はたいして強くなく、目撃者もいない。
 部下を拷問すれば、聖域を探っていた話と、ボスであるグレーの居所を吐く。

 記石の録画映像に入っていた背景を推理したり、道以外の場所に人が踏み入った跡を虱潰しに調べれば、グレーが発見した聖域を特定できる。シャーマンならば、それらの位置から他の聖域の場所を割り出す事ができる。

 グレーおよびベルは町に滞在している。2人とも(特に事業家であるベルは)人目に付かないように襲撃を行う事は難しい。
 部下から情報を得ていた場合、グレーとは交渉の余地がある。「真言魔術師だと訴えるぞ」と脅せば、これまでの研究成果を話すくらいの事はする。それによると、「山岳地方の獣人族は、数百年前に滅びたが、彼らの祖先霊は聖域にいる。この聖域の力が電気通信を妨害していた。ベルの電信網は一種の魔法陣になっていて、祖先霊の活動を押さえる事で電気通信を可能にした。自分は、これを逆用して、長年求めていた聖域の場所を特定しようとしていた」との事だった。



結末

 方法に問題があっても、グレーまたはベルが真言魔術師だと証明できれば、保安官が逮捕処刑を行ってくれる。

 ベルが逮捕された場合、遠からず電信通信網は取り壊される。ただし、ベルは自分が疑われると知った時点で、証拠となりそうな物全てを廃棄する。

 ベルに全てを報告する場合、ベルは真言魔術の証拠となりそうな物を廃棄して、グレーがいかなる自白をしても障害が無いように備える。PCには、色をつけて賞金が支払われる。グレーは、可能ならば逃亡を謀り、2度と山岳地方には戻らない。



さいごに

 プレイヤーが“真言魔術師狩り”にどれだけ拘るかで展開は変わるだろう。
 山岳地方のマップや敵データに関しては、セッション時間やプレイヤーの乗り具合と相談して決めて欲しい。




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