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0025 ボスの秘密 BK 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『Bea−Kid’s』の使用を想定して書かれた。
 しかし、他の西部劇物として使用可能である。



登場NPCおよび重要事項

ボス とある地方(統一戦争末期まで南部連合国に属していた)をシマとするギャングのボス。元南部連合国の勇士であり、地元民の受けが良い。父親が行った改造で狼男に変身できるが、それを恥じている。最近、父親の実験の他の被験体が生き残っていると知り、権威を守る為に暗殺を決意する。
少年 赤ん坊の頃に生体改造された。14歳。精神が緊張し高ぶると、亜獣人が変形後に獲得するのと同様の能力を、ヒトの形を保ったままで得る事ができる。セッション最初に狙撃され死亡する。
少女 少年と一緒に育ち、一緒に孤児院を脱走し、浮浪児として同じ廃屋に住んでいた。少年と同様の特殊能力を持つ。
新聞記者 ギャングに反感を抱く正義漢。ボスが子供に暗殺指令を発したのを知り、何かあると踏んで調査を開始する。目標となった子供も守りたいが、ボスの過去を調べるには別の町へ行かなければならないので、PCに護衛を依頼する。
保安官 舞台となる町の保安官。実はボスの手下。



事前状況

 統一戦争末期まで南部連合国に属していたある地方に、かつて元南部連合国の勇士として名を馳せ、今でも地元民の受けが良いギャングのボスがいた。

 ところで実は、ボスの父親は魔法研究家で、人間を改造して「獣形態に変身せずとも特殊能力を持つ強化人間の研究」を行っていた。
 当初は独力で研究していて、被験体に自分の息子(=ボス)を使ったが、二足歩行形態は保てるものの容貌は獣化してしまうという不完全なものだった。後に南部連合国軍で研究をするようになり、赤ん坊を使って満足の行く成果を得るが、実戦投入する間もなく終戦。被験体の子供は戦犯容疑を逃れる為の証拠隠滅として殺された筈だった。
 そんなとき、ボスの父親が改造した赤子の内の男女2人が、今は14才に成長して生存している事が判明した。父親が人体改造などを行っていて、自分自身も被験体の1人だと知れれば、幾ら“元南部連合国地域”とは言え、ボスの失脚は免れない。バレる可能性は芽の内に摘み取っておこうと、ボスは決意した。
 幸か不幸か被験体の子供だった2人は、ボスの組織がシマにしている町で浮浪児として暮らしていた。ボスは配下の者に(理由は述べずに)少年少女の殺害を命じた。

 一方、ギャングに反感を抱くある新聞記者が、このボスの動きを察知した。何でもない子供を秘密裏に消そうとするからには何かあると思って調査を進め、なおかつ正義感から子供たちを守ろうとも考えた。しかし、ボスの過去の調査の為に町を離れざるを得ず、PCに子供の護衛を依頼する。



導入

 上記の“事前状況”にある通り、新聞記者はPCに“子供の護衛”を依頼する。以降、この依頼を受けたものとして進める。

 PCが町に到着すると新聞記者が待ち受けていて、子供の名前、人相風体、住処、よくいる場所などを教えると、「ボスの過去を調べる為に一刻も早く別のある町に行かなければならない」と言って町を去ってしまう。新聞記者は子供と接触済で、「自分の名を出せば信用する筈だ」とも言う。
 PCが、子供たちが日銭稼ぎをしているという場所に着き、少年を探し始めたそのとき、1発の銃声が響く。1人の少年が遠距離から狙撃されていて、眉間に命中したにも関わらず倒れず獣のような唸り声をあげる。そしてPCが駆け寄る間もなく2発目が心臓部に命中し、少年は絶命する。死体は銃創以外は特に変わった点は無いが、亜獣人のPCは、この少年は同じ亜獣人ではないかと思う。

 PCが望むならば、「たまたまこの少年の知り合いだった」とか「たまたま狙撃現場に居合わせて義憤にかられた」などの複数の導入を用いても良い。



1日目

 銃声を頼りに狙撃者を捕まえようとする場合、高難易度の知覚と、普通の難易度の隠密に成功すれば可能だとする。勝てそうになければ、狙撃者は戦わずに投降する。この町の保安官にはボスの息がかかっていて、狙撃者もそれを知っている。「どうせ保安官に引き渡されるから」と思っているので、尋問しても口を割らない。荒野に連れ出して激しい拷問を行うなどすれば、ボスの依頼で狙撃された事、理由は知らされていない事を白状する。
 狙撃者を保安官に引き渡すとき、交渉や演技等の技能対決に勝てば、2人が馴れ合った視線を交わしていて、「グルなのではないか?」と分かる。

 少年の死体は誰も引き取り手が無い。PCが望めば始末を任されるし、そうでなければ共同墓地に適当に埋められる。医者のPCがいる場合、少年の死体を解剖すれば、亜獣人に近い新種族だとの所見を得る。

 この町で銃声は必ずしも珍しくないので、少女は普段通りの生活を続けており、PCがすぐに接触を持とうとすれば少女と会う事ができる。夜以降になると、少女は異変を悟って身を潜めてしまう。身を潜めた場合は、聞き込みや適当な技能判定とロールプレイを行えば見付ける事ができる。
 少年の死を知った少女は脅え、PCの保護を受け入れる。

 夕方以降は、保安官は臨時の助手を使って町の出入りを全てチェックして、少女とその協力者(またはそうではないかと疑える者)を足止めする。PC側から仕掛けない限り、戦闘にはならない。
 少女は戦闘に巻き込まれると、プレッシャーから“戦闘モード”になってしまい、近くにいる者(PC)に襲い掛かる。敵を全て倒した後で、少女を落ち着かせる適切なロールプレイを行えば、元の状態に戻る。
 夜陰に乗じるならば、徒歩でこっそりと町を出る事も可能である。隠密でNPCとの修正無しの対抗判定に成功すれば気付かれない。しかし、馬なしでは次の町まで辿り着けないし、少女も忍び足は得意では無い。「隠密が得意なPCがちょっと抜け出す」というくらいならばともかく、馬を引いて全員で町を脱出するのは不可能である。PCが単純に脱出しようとする場合、明らかに不可能な難易度の判定を複数回要求して、諦めるように誘導する。



2日目

 2日目の朝、PC宛てに新聞記者から電報が届く。それによると、「ボスが部下を集めてPCのいる町に来ようとしている。今日中に用意を終えて出発し、あさって(4日目)の昼には到着するだろう」とある。
 保安官は、ボスが来るまで無理に戦闘を仕掛けるつもりは無い。
 原則的に少女の精神はだんだん追い詰められて、遠からず暴走するか分からないように見える。



3日目

 基本的に2日目と同じ。
 夜になって新聞記者から電報が届き、「ボスの父親が、南部連合国で人体実験をしていたらしい。物証は無いが、少女がいればボスを失脚させる事も可能だ」と伝えて来る。



4日目

 4日目朝(昼より早く)に、ボスと部下が到着する。
 最初に、ボスの代理人がPCに対して「“彼女”を引き渡せば身の安全を約束し、金を払う」と申し出る。受け渡し方法に関しては相談に応じるとする。しかし、ボスは最初からPCを裏切るつもりである。



結末

 経過がどうあれ、最終的には戦闘になるだろう。敵データはルールブックにある雑魚キャラのものを流用する事。敵の人数はPCの3倍以上はいるが、PCは遮蔽物を使ったり、各個撃破を狙ったりできるように戦闘を演出する事。

 「ボスとの交渉で上手く引っ掛けて誘き出す」とか「全面対決の末、ボスの部下の大半を倒す」などの展開になった場合、やむなくボスは変身して戦う。データ的には変身後の亜獣人と同じだが、その状態で銃を使う。

 ボスは、自分の変身後の姿を見た者は部下であろうと殺すつもりである。生き残りの部下の行動次第で戦闘の難易度が変わるので、PCの言動を参考にしてどうするか決めて欲しい。



さいごに

 “南軍”、“魔法実験”、“強化兵士”をキーワードに幾つかシナリオを作ったのだが、そのうちの1つである。
 PCは基本的に調査行動を取る余地が無く、NPCである新聞記者から電報で少しずつ情報が送られて来るというテクニックを思い付いて織り込んだが、マスターが気に入らないようならば、町での聞き込みという形に変更して欲しい。




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