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0022 不死蟲を追って 天羅万象 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『天羅万象』専用である。



登場NPCおよび重要事項

ミカゲ 性別は男女どちらでも可。年齢は十代半ば。基本的な能力・技能はテンプレートの蟲使いと同じだが、体に特殊な蟲を寄生させているので戦闘能力はPCレベルより上。特殊な蟲の能力はマスターが設定する事。
領主 10年前まで、城付き蟲使いに“不死蟲”の安全な寄生方法の研究を命じていた。その蟲使いに逃亡されたが、つい最近になって辺境の森で生きているとの噂を聞き、PCに討伐を命じる。
辺境の村人 面倒事を嫌う小市民。故に過去の事件(後述)については知らない振りをする。全能力値は3、技能は初級として扱う。



事前状況

 10年前、とある領主の命で、城付きの蟲使いが“不死蟲”の研究をしていた。“不死蟲”は人間を不死身にするが、多くの場合、憑り付かれた人間は心を失い化物となってしまう。そこで安全に“不死蟲”を寄生させる方法を求めていたのだ。それが分かれば領主自身が不死になるも良し、或いは無敵の軍隊を作のも良しと考えていた。
 研究は人体実験も含んでいたが、被験体は全て「打ち首が決まっている敵兵の捕虜などの死刑囚」だとされていた。蟲使いはそれを信じていたし、彼の倫理観からすれば死刑囚を使った人体実験は許容範囲内だった。だが実は、被験体には少なからず無辜の人民も混ざっていた。研究自体が機密だったこともあり、蟲使いは、そういった罪の無い人間が被験体にいる事を知らなかった。

 あるとき、領主が思い付きで、被験体として年端も無い子供を送り込んだ。領主は遅々として進まない研究に苛立ち、「思春期前の子供から良い結果を引き出せないか?」との素人考えを試させたくなったのだ。しかし、子供を被験体としろとの命令に、流石に蟲使いも疑問を抱いた。蟲使いは密かに調べを進め、被験体とされた人間の中に死刑囚では無い者も含まれている事を知った。
 蟲使いの緩い倫理観でも、流石にこれはNGだった。離反を決意した蟲使いは、地下牢に捕らえていた“不死蟲に寄生されて化物となった被験体”たちを解き放ち、その混乱を利用して逃亡した。

 逃亡に際して、蟲使いは被験体に供された子供(ミカゲ)も一緒に連れて行った。医者とその子供という触れ込みで寒村に入り込み、蟲使いはそこで周囲の村人を診療しつつ、ミカゲに蟲使いの技を仕込んだ。最初の何年かは上手く行ったが、あるとき、蟲使いが「領主を裏切って逃げた大悪人」だと村人に知られた。村人は面倒を恐れ、御上に届ける事もせず、蟲使いを謀殺した。
 しかし、ミカゲは生き残り森の奥深くに逃げた。養父と一緒に過ごした数年間で、自分も蟲使いとしての技能を学んでいた事もあり、何とか生き延びる事ができた。

 そして現在、ミカゲは世間に復讐を誓って準備を始めた。養父の研究結果を引き継いで、動物や誘拐した村人に「寄生主を命令に忠実な兵士に変える蟲」を憑り付かせて軍隊を作り、行く行くは領主の城まで攻め上るつもりでいた。



導入

 PCは、領主の部下か、ある程度の信頼を得ている者だとする。領主は、PCに以下の依頼をする。

 「以前、こっそりと“不死蟲”の研究をしていた城付きの蟲使いがいた。10年前、その蟲使いが城内の研究室で捕えていた“不死蟲に寄生されて化物となった被験体”が逃げ出して、城内に大損害を与えた。混乱が収まると蟲使いの姿は無く、その後の捜索の網にも引っ掛からなかったので、死んだか遠国に逃げたものと思っていた。しかし、実は領内辺境の森に潜んで生き延び、怪しげな研究を続けているとの噂が最近になって聞かれた。噂を確かめる為にシノビを派遣したが戻って来ない。そこで噂を確かめ、真実ならば葬って欲しい」

 10年前の事件について、「城付きの蟲使いが独力で行うには規模が大きく、城内の誰かと組んで横領をしていたと予想されるが、“不死蟲に寄生されて化物となった被験体”が暴れたときの混乱で死亡した者も多く、既に共犯探しは不可能となっている。ただし、今現在、辺境の森に資金を送っているような不届き者はいない」と説明される。
 元城付き蟲使いの研究室跡などは見せてもらえるが、当時の出火の跡も生々しく、特に何も分からない。

 依頼は秘密裏に行う事も求められている。領主は、PCに無理難題を吹っかけるつもりは無いので、プレイヤーの要望には常識の範囲内で答える事。以降、PCが依頼を受けたものとして進める。



本編

 辺境の村の民は、余所者であるPCに対してよそよそしい態度を取る。領主の部下である事を明らかにすれば、衣食住は提供するが、基本的に何も話さない。
 拷問などをする場合は、「数年前、身分を偽って村に住み着いていた蟲使いを追い出した事がある」と言う。ここで交渉系の技能判定を行い、PCが勝ったならば嘘を見抜き、追及すれば「本人を殺し、その子供だけが森の奥に逃げた」と打ち明ける。シノビに関しては、本当に何も知らない。

 村人から何も聞き出せなかったとしても、シノビが消息を絶った森については領主から聞いていて、だいたい分かる。
 森に入って何時間かした辺りで、適当な技能判定に成功したならば、領主の配下だったシノビの死体を発見する。シノビはまず森に入った所を、ミカゲの兵士と出会い殺された。死体は獣にやられたように見える。
 それより先に進むと、ミカゲの“兵士”と遭遇する可能性がある。適当な技能判定を行い、失敗したならば戦闘となる。PCの行動次第で難易度を変える事。“兵士”は、妖のデータから弱めなものを流用する事。

 さらに森の奥に進むと、ミカゲの基地を発見する。ここには、数百体の雑兵レベルの“兵士”と、何体かの手強い“兵士”がいる。正面から行動を取る場合、これら全てを相手にする事になる。やはり妖のデータを流用する事。基本的にPCが勝つのは無理なレベルにする。逃げ出すならば、追い掛けられない(そういうプログラムがされていないので)。
 隠密行動を取る場合、PCでは分からない新種の蟲の培養所を発見する。その栽培所の近くにミカゲが寝泊まりしている。PCの存在がバレていない場合、護衛はいない。バレている場合は、マスターが適当に護衛の数を設定する事。
 培養所近くでミカゲと遭遇した場合、ミカゲはPCを「お前たちも、あのクサレ領主の手下なのか」と汚い言葉でなじる。PCが何か事情がおかしいと悟り、話を聞く様子を見せるならば、領主の悪行と村人の非情な振る舞いを聞かせる。



結末

 結末は、PC次第である。ミカゲに対して同情する雰囲気が無いようならば、戦闘でオチを付けるしかない。司令官であるミカゲさえ倒せば、“兵士”は同士討ちを始めて滅ぶ。

 ミカゲを説得する場合、「戦いを起こせば、お前と同じ不幸な者が生まれる。そんな事を養父が望むと思うか?」といった言葉をかけ、養父の名誉回復を約束すれば、PCに下る。

 養父の名誉回復の手段として、領主暗殺にPCが手を貸すならば、ミカゲは完全に満足する。

 或いは、非公式にでも領主から謝罪の言葉がかけられるならば、一定の満足は見せる。
 この場合、口封じされないような工作をした上でPCが領主に会見を求め、真実を知っていると仄めかし、ミカゲに謝罪する席をセッティングしなければならない。勿論、領主としてもPCに隙があればミカゲもろとも殺そうとするので、その辺りの駆け引きを演出して欲しい。



さいごに

 特に元ネタはないが、ミカゲとその兵士が『もののけ姫』に似てしまった。似た方が好ましいと思うならば、ミカゲを女性とすると良いだろう。




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