No. タイトル システム 登録日 改稿日
0015 ローレライの歌声 TORG 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『TORG』の使用を想定して書かれた。
 しかし、汎用ファンタジーとして使用可能である。



登場NPCおよび重要事項

ローレライ 大河に住み、魔力のこもった歌声で行き来する船乗りを惑わせて難破させるモンスター。
海運業者 ローレライ退治計画立案者。
造船技術者 “鉄道計画”立案者。



事前状況

 舞台はアイルの辺境で、光の勢力も闇の勢力も力が及ばない中立地帯である。

 とある大河のとある場所は、ローレライの歌声のせいで船が通れず、運搬船はその場所を避けて陸揚げ・船換えをせざるを得ない。このコストが馬鹿にならず、この地方の物価に少なからず影響を与えていた。

 この現状の打破を狙った2人の男がいた。

 1人は代表的な海運業者、今まで不可能と言われていたローレライ退治を計画する。その為にロンドンまで行って高い金を払い、歌声を媒介にする魔法への抵抗力を増す耳栓型アイテムをレンタルしてきた。さらにストームナイトを雇ってこれを装備させれば、充分に抵抗可能だと考えたのだ。

 もう1人の男は造船技術者で、「船を直接、陸に上げて運搬する鉄道のような設備」を敷設する計画を立てていた。付近住民の中には「ローレライを倒す事など絶対にできる訳が無い」と考え、出資に応じる者も多かった。
 しかし、この“鉄道計画”は技術的には実現の可能性が低い。出資を募る行為は、詐欺に近いと言われても仕方が無い。実はこの造船技術者は、以前、難破したときにローレライに助けられた事があった。偶然にも歌声の魔力から脱した状態で会話を交わし、見目麗しい女性の姿をしているローレライが幼い子供のように無邪気な性格だが、自分でも「唄を歌う」という行為を止める事ができないと知った。生還した後、ローレライ退治の計画を聞きつけ、それを妨害する目的で“鉄道計画”を立ち上げたのだった。



導入

 PCは、海運業者の招きで舞台となる地にやって来る。魔法アイテムが届くのに少し間がある事もあって、到着当初は町を案内され、このとき、造船技術者の“鉄道計画”も知らされる。
 技術アクシオムの高いコズム出身のPCから見れば“鉄道計画”はいかにも胡散臭く、ローレライ退治に来たPCに対して敵意を隠せずにいる為、造船技術者は非常に胡乱に見える。



本編

 造船技術者は、輸送された魔法アイテムを偽物とすりかえる。
 PCが特に何もアクションを起こさない場合、この偽の魔法アイテムを装備し、小船に乗って上流からローレライの支配領域まで行く事になる。魔法の歌声は、ポシビリティーやカードを使用しても到底抵抗できない程に高い魔力(30以上)を持っていて、仮に耐えたPCがいたとしても戦闘には入らないように展開するだろう。水泳か操船で技能判定させ(ポシビリティーを使用すれば確実に成功する難易度にする)、生還した後で魔法アイテムが偽物と気付くようにする。
 調査すれば、すりかえられる人物はそう何人もおらず、その内の1人が造船技術者だと分かる。

 魔法アイテムのレンタル料は安くないので、海運業者は速やかな任務達成を望む。
 PCが造船技術者とコンタクトを取るならば、結果的に魔法アイテムをすりかえた事を認め、ローレライの話をして、彼女を救ってくれと頭を下げられる。



結末

 魔法アイテムを使用すれば歌声への抵抗にボーナス(+15程度)が与えられるので、ストームナイトならば充分に耐えられる。直接戦闘になればローレライは簡単に倒す事ができる。

 技術アクシオムの高いコズム出身者が協力するならば、“鉄道計画”は実現可能となる。その場合、出資者を納得させる為にも、「ローレライ退治は実現不可能だ」と示すパフォーマンスが必要となる。

 その他、プレイヤーから代案があるなら尊重する事。



さいごに

 テレビでドイツ特集を見ていたとき、思い付いた。勿論、ドナウ川の伝説は以前から知っていたが、改めて聞かされる事で新たに発想が湧く事もある。

 特に『TORG』を用いる必要も無かったのだが、たまたまそうなった。ソードワールドなどを用いる場合、“技術アクシオムの高いコズム出身者”を“ドワーフ”などに置き換えて整合性を出して欲しい。




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