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0014 刑事の負債 N◎VA 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『トーキョーN◎VA 1st』の使用を想定して書かれた。
 『2nd』または『レボリューション』でも使用可能だが、『2nd』用シナリオ集『ブラックボックス』の事件が起こった後のトーキョーを背景世界とする場合は違和感が持たれる可能性もあるので、留意する事。



登場NPCおよび重要事項

退役軍人会 北米連合の退役軍人の互助組織。トーキョー内に小さな事務所を持ち、仕事の斡旋や情報の提供などを行う。概ね日本人には良い感情を抱いておらず、場合によっては所属するメンバーによる非合法活動も行う。華僑組織のようなものをイメージして欲しい。
新興組織 新興のヤクザ(または宗教)組織。新興勢力の為にシノギを(信者数を)大きくできない組織。方針も過激で、テロリスト予備軍のような存在。一応、トーキョー内に小さな事務所を持ち、看板も出している。
北米系企業 中小規模の北米系企業のトーキョー支部。反日感情の強い社風である。シナリオでは名前しか登場しない。
ベテラン警官 ブラックハウンドのベテラン警官。以前の仕事で偶然、「日本にダメージを与える情報と物的証拠」を手に入れてしまう。発表して無用の混乱を引き起こす気にはなれず、かといって廃棄する気にもなれずにいた。



事前状況

 世界をひっくり返す程の情報を秘匿していたブラックハウンドのベテラン刑事が死亡した。
 その情報とは“日本は事前に大災厄が起こる事を知っていた”“世界の覇権を握るために、米国で内戦が起こる様に日本が画策した”という内容で、それを裏付ける物的証拠(当時の日本政府要人の電子署名入議事録など。ちなみにコピー不可)も手に入れていた。
 ベテラン刑事は、みだりに公開して世間を混乱に陥れる気は無かったが、完全に闇に葬る気もなかった。いずれこの情報をしかるべき後継者に託すつもりだったが、万一、託す前に死んだときは自動的にファイルを暗号化した上で分割して、複数の組織に送り付ける様に手配していた。

 ベテラン刑事が殉職して、情報は「北米連合退役軍人会トーキョー支部」「新興系ヤクザ(または宗教)組織」「中小規模の北米系企業のトーキョー支部」の3つ宛てに送られた。それぞれ、“日本の強権力を快く思っていない組織”または“世界に混乱が起こった方が望ましいと思っている組織”であり、かつ、仲の良い組織でも無い。分割ファイルが破棄される心配も、逆に簡単に統合・復元される心配も無いだろうと読んでの手配だった。これら分割された情報の断片では内容を窺い知る事はできないが、付記情報を読む事によって、「発信したのがブラックハウンドのベテラン警官である」事と、「何か日本にダメージを与える情報であるらしい事」と、「ファイルが3つに分割された」事が分かる。

 しかし、「中小規模の北米系企業のトーキョー支部」に届く筈だったファイルは、宛先間違いで、PCの1人に届いてしまっていた。



導入

 PCを2組に分ける。

 1組目は、上記「事前状況」にある、ファイルを受け取った「新興系ヤクザ(または宗教)組織」に雇われる形で事件に絡む。
 「新興系ヤクザ(または宗教)組織」は、残り2つのファイルの行先を探って可能なら手に入れようと考えた。これが何かの陰謀である可能性も考慮して、組織内部の人間では無く、フリーランス(PC)を雇う事にした。
 PCには、「ベテラン警官が死に際して3つに分割して発信した。1つは確保したが、残り2つの情報を回収したい」と説明する。情報の内容を問われれば「組織の存亡に関わる内容」と答える。「回収が不可能ならば、所有する人間の特定だけでも良い」と言い、最後に「情報が失われるような事があってはならない」と念押しする。

 2組目は、上記「事前状況」にある、「中小規模の北米系企業のトーキョー支部」に届く筈だったファイルを宛先間違いで受け取ってしまう形で事件に絡む。受け取ったPC1人だけで無く、そのPCから相談を受けたという形で複数のPCを絡める事を推奨する。
 こちらは、ファイルの付記情報の内容と、誤配された事に気付く。



本編

 殉職したブラックハウンドのベテラン刑事について調査を進めれば、隠れ家の存在が明らかになる。
 また、ニューロが適切な技能判定で高達成値を出せば、配信されたファイルを逆に辿ってベテラン刑事の隠れ家が判明する。
 隠れ家のDAKを適当な技能で調べる事で、ファイルの発信先が分かる。

 この件に関しては当面、1組目のPCグループ、2組目のPCグループ、NPCグループ(「北米連合退役軍人会トーキョー支部」のエージェント)が別個に動く事になる。
 PCの行動と技能判定達成値次第で、誰が最初に隠れ家に到達するかなどを決める事。
 PCが他のNPCの力に頼ろうとしても、「日本にダメージを与える情報」というのが俄かには信じてもらえず、協力が取り付けられる頃には事件の大勢が決している事になる。プレイヤーが外部への協力要請に拘る場合、それを気付かせる事。

 ファイルを所持するNPCは、残り2つのファイルさえ確実に手に入るならば、自分のファイルを提供する事に関して柔軟な姿勢を示す。ファイルを所持するPCが金を要求する場合、常識の範囲内なら応じる。
 復元されたファイルには、物的証拠の存在と在処について書かれている。この物的証拠の所有に関して、NPCは譲る事は無い。物的証拠は市内から離れたとある場所に埋められており、ファイル内容を見たのが同時ならば、他を出し抜いて入手する事はできない。



結末

 NPC組織1つにつき、それぞれ全PCを合わせた戦闘力の7〜8割程度を有する。
 平和裏に進めるならば、物的証拠を巡って最終決戦が行われる事になる。

 PCが情報と物的証拠を得た場合、その扱い次第で大金を得る事もできるかもしれないし、強力な暗殺者が差し向けられるかもしれない。



さいごに

 シナリオ集『ブラックボックス』と同じオチだが、このシナリオを作った時期の方が先だった。『1st』のルールブックに書かれた世界設定を読めば誰にでも思い付きそうなネタだと思う。トーキョーN◎VAの世界の住人も、「そういう事もあったかもしれないな」と思っているのではないだろうか?

 シナリオ登録に当たって、『ブラックボックス』を読み返してみた。“押し”が強過ぎてRPGのシナリオとしては欠点も目立つが、商業品だけあって流石に仕掛けが細かい。未プレイならば、『ブラックボックス』の方を優先した方が良いとは思う。




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