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0006 落武者の祟り 戦国霊異伝 00/04/01



はじめに

 このシナリオは、『戦国霊異伝』の使用を想定して書かれた。
 しかし、『天羅万象』などの和風伝奇RPGならばそのままで使用可能である。また、改造すれば汎用ファンタジーとしても使用可能だろう。



登場NPCおよび重要事項

落武者 数年前に滅亡した国の落武者。村人に殺されたが納得ずくで恨みは抱いていない。しかし、狂った仙弧の影響で成仏できず、霊体の状態で村人を心配している。
仙弧 “なりたて”の土地神の一種。村人の発する負の感情の波動を受けて狂い、本来ならば守るべき存在の村人を襲い始めた。
村人 数年前の戦争で領主が変わった開拓村に住む。新領主による処罰を恐れて、一旦は匿った落武者を謀殺した。



事前状況

 数年前、とある国が隣国に攻められて滅亡して、落武者の1人が開拓村に逃れた。落武者も以降は開拓農民として生きる決意で、村人も当初はそんな彼を快く受け入れていた。しかし暫くして新領主が落武者狩りを始め、「匿った者も厳しく処罰される」と聞いて村人は心変わりした。
 そしてある晩、村人は落武者を殺し、山中深くに埋めた。

 ところで、落武者を埋めた山には、たまたま、“なりたて”の仙弧がいた。“なりたて”故に周囲の人間の感情に影響され易く、落武者を殺したときの村人の負の感情の波動を受けて狂った。狂った仙弧は暴れ回り、やがて村人を虐殺し始めた。

 村人は仙弧の存在を知らず、全ては落武者の怨霊のせいだと思い込んだ。

 一方、落武者は、村人を恨んではいなかった。本来ならば自分の君主と共に死んでいるべき身であるし、また、村人が災厄を恐れて自分を排斥する気持ちも理解できた。殺される直前、村人の様子がおかしいと感付いていたが、そういう次第なので敢えて唯々諾々と死を受け入れた。
 霊魂となった落武者は、狂った仙弧の影響で土地に縛られ、成仏できなくなってしまった。
 落武者の幽霊は、事情を知り、村人に「あなたたちが今現在も抱き続ける不信感や罪悪感が仙弧を狂わせ続けているのだ」と教えようとした。しかし、訴えが村人に伝わる事も無く、むしろ落武者が霊体を晒した事でますます「元凶は落武者の怨霊」と信じ込んでしまった。



導入

 PC一行は、たまたま立ち寄った山中の寒村で村人の相談を受ける。
 村人は、「数年前に滅んだ国の落武者の怨霊が今になって出て、村人を殺している。見ればPC一行には密法僧や巫女がいるようなので、祓って欲しい」と言う。
 落武者が数年の間を置いて怨霊化した理由をPCが聞いても、村人は知らない分からないの一点張りを通す。
 以降、PCは依頼を受けるものとして進める。



本編

 村の外の、怨霊の被害が出易いという場所で待ち伏せすれば、夜になって仙弧の襲撃を受ける。
 PCが戦いを始めようとすると、落武者の霊体が現れて何か訴えようとする。どうやら、仙弧を攻撃せずに撤退して欲しいと言っているらしいと分かる。

 助言に従うなら、落ち着いた場所まで逃げた所で再び落武者の霊体が現れる。霊体と話をする心得のある者が耳を傾けると、落武者が殺された経緯や、仙弧が狂った訳が説明される。
 落武者の霊体は、「仙弧に罪は無く、滅ぼすのは可哀相だ」「仙弧は土地神の一種であり、無下に滅ぼせば災厄の原因になる」と告げる。そして仙弧を鎮める方法として、「村人たちが仙弧の前で自らの行いを悔いている事を念じれば良いと思う」と言う。



結末

 村人たちはいかにも矮小で卑怯に振る舞う。PCが事件の真相を語っても「嘘だ」と突っぱねるし、とても悔いる様子はない。
 そうこうする内に狂った仙弧によって子供が重傷を負う事件が発生する。子供たちも落武者の事件の真相には薄々気が付いていて、うわ言で「お兄ちゃん、ゴメンなさい」と落武者への詫びを口にしたりする。そのようなイベントを通して、PCが村人を改心させるという展開を、マスターは演出する事。

 村人を説得する事に成功したら、狂った仙弧から村人を数ラウンド守る事で、祈りが通じて鎮まる事になる。


 なお、PCが仙弧を倒してしまったり、「義憤から村人を説得する」といったロールプレイに乗り気になれなかったりするようならば、バットエンドとなる。この場合、村人は相変わらず矮小なままで、後にPCは「飢饉で村が滅んだ」と風の噂を耳にする。



さいごに

 『戦国霊異伝』は日本語でプレイできた初めての伝奇物RPGで、このジャンルに適合するネタを抱えていた者に取っては、それを消化する良いチャンスだった。
 今では『天羅万象』などの和風RPGも存在するが、正統的な伝奇物というと『戦国霊異伝』(それと、発禁になった『Land of NINJA』)くらいしか存在しないので、手に入る機会がある人は試してみて欲しい。




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