[The弾幕M@STER-アイドルを探せ!-]

「時代は! 今! アイドルを求めてるぅ!!」
「は?」
「何言ってるんだ香霖? 暑さでついにやられたか」
 昼下がりの博麗神社。のんびりとお茶を楽しんでいた霊夢と魔理沙はこの突然の霖之助
の乱入に目を白黒させていた。
「だぁかぁらぁ、アイドルだよアイドル。この幻想郷には今アイドル分が不足してるんだ!」
「ねぇ魔理沙。霖之助さんまた何か見つけたの?」
「あぁ、どうやらそうらしいな。多分この間行ったときに『外から面白いからくり箱が落
ちてきたんだ』とか何とか言ってたからなぁ」
 二人の小言の会話を全く聞かずに霖之助は話を続ける。
「そこで! この僕が君達をプロデュースしてみたいと思うんだが、どうだね?」
「いやいやいや」
「ちょっと待て」
 二人の突っ込みも霖之助は意に介さない。
「ノンノンノン。いきなりアイドルになれといわれて戸惑う気持ちも分かる。だが安心した
まえ。既に敏腕プロデューサーとなった僕なら君達2人ならまだプロデュース可能なのだよ」
 もう何もいえなかった。
「まずは霊夢。そうだね、君はパラメーター的には最強のものを持っている。まさに天才肌
といえるだろうね。だが、君はレッスンをサボりまくる傾向にある。コミュニケーションパ
ートも飄々としたものばかりで掴み所が無い。だがそんなものは君が小さい時から知ってる
僕からすればなんのことはない!!」
「ねぇ、魔理沙。霖之助さんは何を言っているのかしら」
「神社の掃除をもっとちゃんとしろ、ということじゃないか?」
「そして魔理沙! 君はいい。実に努力家だね。初期ステータスも悪くない上にその向上心。
素晴らしいよ。まぁ惜しむらくはその気まぐれさゆえにテンション管理が難しいといったと
ころか。だがそれも君のことを小さい時から以下略」
「なぁ霊夢」
「なに魔理沙」
「今、こいつ以下略って口に出して言ったよな」
「そうね、言った気がするわね」
 そこまでまくし立てて、霖之助は一息入れた。
「ふぅ、どうだい? 僕に任せれば全て安心だと分かったろう?」
「いや全然」
「まったく意味不明だな」
 それを聞いた霖之助はがっくりとうなだれる。
「何ということだ! 確かに初見コミュはパフェが取りづらいとはいえ、二人揃ってBADとは!  
この霖之助一生の不覚……」
 しかし、次の瞬間には立ち直っていた。
「ははは、まぁ君達の不安を完全には取り除けなかったようだね。さもありなん。実際、僕が
どういうことをしているのか見せてないのだから」
 すちゃ、と大仰に眼鏡をかけなおす仕草。
「だったら、見せてあげよう! 僕の育てたCランクユニット! その名も『虹川三姉妹』!!」
「って」
「まさか」
 霖之助の叫びに応じて、空から何かが降ってきた。それはまごうことなきプリズムリバー三
姉妹だった。
「あー、巫女と白黒だ」
 そう言って指差したのはリリカだった。メルランは何も言わず面白そうに二人を眺めている。
長女のルナサは、
「……テンションが下がる」
 眠そうだった。
「おお、ルナサ君のテンション下降が激しい! うーっむ、ここは1週休みを入れたいところ
だが、そろそろリミットも近いしねぇ。しょうがない、ここは一発オーディションでテンショ
ン回復を図ろう!!」
「ねぇ魔理沙」
「なんだ」
「おーでぃしょん、って何かしら」
「大地震を言い損ねたんじゃないか?」
「じゃあ、てんしょんは?」
「変身するんじゃないか? バッタとか」
 二人のやり取りは霖之助には聞こえていない。
「さぁ、行くよ虹川三姉妹の諸君! 今回は初めての特別オーディションだ。獲得ファン数は
残念ながら二人だけだが、君達の魅力を知ってもらうためのいい機会だ、頑張りたまえ!!」
「ねぇルナサ姉さん。いつまでこの人に付き合うつもり?」
 リリカが不服そうに抗議する。
「ん……」
 姉はそれ以上何も答えようとしない。
「さぁ、では行こうか! 今日のために用意した新曲を披露してあげなさい!」
「まぁ、いいじゃない。私達に演奏の機会をくれてるんだしさ」
「メルラン姉さんがそう言うならいいけど……」
「……行くよ、二人とも」
 そして、三姉妹の激しい音楽が神社にこだました。
「さぁ、見せてあげるのだ『歌符 特撮』を!」
 今回はどうやらキーボード兼ボーカルであるらしいリリカがその霖之助の言葉を聞いて口を
開いた。
「神社をインドに!」
「しーてしま」
 それに残りの姉妹が続こうとした時。
「ジャアアアァァァァアアアッァッスラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
ァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッックゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
 魔理沙の手から放たれたマスタースパークが霖之助とプリズムリバー三姉妹を空の彼方へ吹
き飛ばしていた。
「ねぇ魔理沙」
「なんだ霊夢」
 マスタースパークで息の上がった魔理沙に霊夢が尋ねる。
「あれ、特撮じゃなくて筋少って符じゃなかったっけ?」
「……どうだったかな」
 ―結局、博麗神社はいつも通りの午後を迎えることになった。

最終評価 
プロデューサー名 
森近霖之助
霊夢からの評価:Fマイナス
魔理沙からの評価:Fマイナス
育成ユニット「虹川三姉妹」
ランクアップ失敗!
評価 Fマイナス


GAME OVER
今週はファンからの弾幕はありません。
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