二条大橋

二条大橋

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京の夏の風物詩である鴨川の納涼床。その始まりは江戸時代にさかのぼります。当初は裕福な商人などが中洲や浅瀬に床机を置き、趣味趣向として遠来の客をもてなしていたようです。それが後の寛文年間に治水工事が行われ、東西両岸に石積みの護岸ができたことから、茶店や物売りの屋台が出現。営業目的とした形態が始まります。『ところてん』に『西瓜の切り売り』『豆腐田楽』、さらには『びいどろ』や『のぞきからくり』『手品』『綱渡り』などなど、鴨川畔は毎日が縁日のよう。さぞかし賑やかであったことでしょう。

納涼床の発展の背景には、冬の底冷えと好対照をなす、京都盆地の夏の暑さがあります。三方を山に囲まれて風が通らず、空気に水滴を感じるほどの高湿度。宝暦6年(1756)に来京した本居宣長の日記にも、都の残暑は「いとしのぎがたし」と綴られています。そんな中、川のせせらぎ、水面を渡る風、冴えた月明かりは、心にも響く涼しさであったことでしょう。

また、市街地をまっすぐに流れる鴨川の美しさも、納涼床の魅力。春は堤の桜並木、秋は紅葉、冬はシベリアから飛来するユリカモメ…。そして夏は、山々を借景とした水辺の風景が人々の目を爽やかに潤してくれます。そうした自然との調和は料理においても表現され、粋人の感性はますます磨かれてきました。結果、ひとつの文化として確立するに至り、見事に継承されてきたのです。
 

現在、納涼床の期間は5月1日~9月30日。二条大橋より五条大橋の辺りまでずらりと連なります。その一軒一軒に、大らかで粋な町衆文化のひとときが、今もしっかりと受け継がれております。

 

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