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SF小説
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A&B・ストルガツキー
Arkady & Boris Strugatsky
ストーカー

訳:深見 弾

  • このところ話題の「ストーカー」だが、それとは意味が違う。ここでは「密猟者」という本来の意味で使われている。この本の「ストーカー」とは、突如地球に出現した異星の超文明の痕跡「ゾーン」に不法侵入し、様々な物品を命がけで持ち出す者のこと
  • 原題はロシア語で“ПИКНИК НА ОБОЧИНЕ”、「路傍のピクニック」もしくは「道端のキャンプ」の意味。タルコフスキー監督により映画化されており、その時のタイトルが訳題に使われている(後書によると、映像作品として大変高度なものだが、内容的にはほとんど共通性がないとのこと)
  • 作者は「ピクニックで道端に捨てられたゴミは、野の虫たちにとってどんな意味があるのか」というところから、この作品を書いている。つまり、ゾーンにある物品=ゴミであり、野の虫=人間なのである。確かに訳の分からない不思議な地帯や物品をめぐり右往左往する様は、食べられない飴の包み紙を取り巻いている蟻にそっくりである。この本を薦められて読んだ時、この考えに愕然としたのを良く覚えている
  • 私にはラストで主人公が叫ぶ言葉「すべてのものに幸福を分けてやるぞ、無料で。だから、誰も不幸なままで帰しゃしないぞ!」が印象的である。作中でも「家族愛」や「幸せ」について端々で取り上げられている。が、これほど「幸せ」について、独り善がりな言葉もないだろう。「幸せ」の意味について、考えさせられる読後感である
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