田中 芳樹
Yoshiki Tanaka
灼熱の竜騎兵 −レッドホット・ドラグーン− PART1 惑星ザイオンの風
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- 月刊誌ドラゴンマガジンに連載されていた作品。読んだ当初かなり「青臭く」感じたので、てっきり『銀河英雄伝説』以前の作品かと思いきや、それよりも随分後に書かれたものでした
- 未来世界の架空歴史小説と言う形態で、モデルはラテンアメリカの独立闘争。田中作品には珍しく心理描写に割かれるページが少なく「田中節」が聞かれないので、地球対植民惑星と言う構図を取りながらも、『銀英伝』に比べスケールダウンした感が否めません
- 第1巻は地球寄りの独裁者に対する抵抗運動が、独裁者の突然の独立宣言により岐路に立たされるところから始まる。あくまで強大な力に任せ植民地自治を認めない地球政府と、限りなく微々たる兵力で抵抗するゲリラ達。果たして地球との「対等な関係」を主張する彼らに勝機はあるのか
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灼熱の竜騎兵 −レッドホット・ドラグーン− PART2 惑星ザイオンの嵐
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- 第2巻は題名通り、微々たる動きでしかなかった革命運動が、時勢に乗って大きなうねりとなる過程を描いています。この巻くらいから、徐々に田中節とも言うべき斜に構えた論調が増えてゆき、それと共に地球対植民惑星、保守派対急進派の対立が過去の例を取りながら浮彫になってゆく趣向
- これが書かれた頃は、旧ソ連でペレストロイカが進行し、中国では天安門事件が起ころうかと言う非常に緊迫した時期で、著者も意識はしていた様です。惜しむらくは月刊誌掲載のためか、かなり書き口が薄くその意識が形として見えないことではないでしょうか
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灼熱の竜騎兵 −レッドホット・ドラグーン− PART3 太陽系の風
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- 惑星ザイオンでの孤立した「革命運動」は、いつしか太陽系の各所に飛び火してゆく。対する地球政府内部では植民惑星側が想像もしなかった事態が発生する。一方の植民惑星でも保守派の陰謀と地球軍の思惑とが交錯し、ゲリラ達にはある意味有利な状況が展開する。最終的な勝利は誰の手に渡るのか
- 惑星で孤独な戦いを余儀なくされていた革命運動が、いよいよ他の植民惑星と連動しようかと言うところ。後への複線ばかりですが、6年経った今でも続刊は出ていません。順調ならばおそらく「PART4 太陽系の嵐」という題がついた本が出版されているはずなのですが・・・
- 2巻目までは月刊誌連載作品だったのが、この巻から書き下ろしの形態を取っており、それが遅筆家の作者に「悪影響」したものと思われます。別のシリーズが7年ぶりに再開された事でもあり、忘れた頃の出版を期待しましょう
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