もののけづくし
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- 劇作家でありエッセイストでもある別役氏の「妖怪学」によるもののけ解説。名前を聞くだに懐かしい妖怪から近頃発生した妖怪までを「関係性」に重点をおいて考察している
- この作品のユニークな点は決して『妖怪』それ自体を問題としないことである。社会的状況や対人間との関係において「近代科学」的に分析する事が本書の目的のようにも思える。したがって一般的な「もののけ」本を読むように「ぞっ」とする事もなければ、読後に眠れなくなる事もない
- 解説でも述べられているのだか、氏は「近代化学」という一見非常に明確なツールを用いる事により、そもそも曖昧模糊とした『もののけ』を曖昧なまま捉える事に成功したといえる
- 是非とも注目して頂きたいのは、人間関係に寄生する妖怪「どうも」や経済変動で成長する「もったい」、「りしょく」である。特に「どうも」についての分析は、劇作家の氏ならではの切り口で秀逸である
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