• シリーズにも関わらず、様々な雑誌やアンソロジーに別々に収録された作品を集めた短編集。そのため第１話から最終話まで、実に１５年もの歳月が掛かっています

• 妖精族の血をひくディルヴィシュは、邪悪な魔法使いジェレラクにより肉体を石にされ魂を地獄に堕とされる。自らの力で地獄から舞い戻った彼はジェレラクに復讐を誓う。宿敵を追い求め、鋼の馬ブラックと共に諸国を旅する行く手に待ち受けるものは？

• という具合に展開する話にも多少の矛盾や齟齬があるのですが、１５年と言う時間を考えるとご愛嬌の一部です。それより「面白い作品は時間が経っても面白い」ことを楽しむ事をお薦めします。剣と魔法、騎士と乙女、神と悪魔など古典的なアイテムが魅力的に構成されています。キャラクターとしては「鋼の馬ブラック」が私のイチオシです

• ジェレラクの７つの砦の１つ、変幻の地に聳える『超時間城』を付き止めたディルヴィシュは、仇の姿を求めて危険な荒野に踏み出す。が、姦計によりブラックを失い、かつてない困難に陥るディルヴィシュ。復讐を果たす事は出来るのか？

• シリーズのクライマックスは長編です。世界設定としてクトゥルー神話や多次元世界など、あまりファンタジーにはない要素が盛り込まれており、ファンタジーを敬遠される方にも取り付きやすい作品でしょう。過去の名作のもじりが複数見られるそうなので、詳しくは解説をどうぞ

• 私の読後感は「もう少し細部のエピソードが詳しかったらもっと面白い」です。名作のもじりとはいえ、元ネタが分からないと楽しめないのが惜しいところでしょう