人生処方詩集
訳:小松 太郎
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- 長いこと、ケストナーは児童文学作家かと思っていました。けれどユーモア小説やミステリーなども書く、幅の広い諷刺作家だったのです。そんなケストナーが人生の中でふと心に生じる病に対して用意した「叙情的家庭薬局」
- ドイツで「家庭薬局」といえば、家庭にあるくすり箱のこと。だから「薬局」といっても詰まっているのは119編の「詩」のみ。シチュエーション別の処方箋があり、使用法はただ読むだけ
- 児童文学からは想像つきませんが、あまりに諷刺に富んだケストナーの作品はナチスから「反体制」と批判され、発禁・焚書処分にされました。1936年に出版されたこの本は、戦時中に焚書された4冊の詩集から、国外で編纂されたアンソロジー
- この本のなかにあからさまな「反体制」詩はありません。が、身近な夫婦、人、個人などがテーマの詩が中心となっているため、ふっと心のひだに入り込んでくる詩に出会う確率は高いと思います
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