毒婦四千年
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- 柴田錬三郎といえば、日本の時代小説が得意かと思っていたら、あにはからんや中国物を書いていたとは。骨太の文章は、予想に反して引っかかりなく読める
- 毒婦四千年とあるが、これは巻頭のエッセイの題名。小説は則天武后と西太后の他、隋の煬帝に関する2編、隋の滅亡を描いた1編、日露戦争に関する1編、魯迅幼年期の計7編
- 内容を一読すると、必ずしも『毒婦』というテーマにそぐわない作品もあるが「単行本未収録」の中国物ということで収められたもよう。解説によれば『魯迅幼年期』は柴田錬三郎の処女作というべきものとのこと
- 読後感としては、やはり「男性の書いた」悪女というか、女性像だと言うこと。引っかかりなく読めてしまう分、逆に「ステレオタイプ」な部分が際立つ結果となっている。それもほとんどの作品が昭和40年以前の初出と聞けば仕方のないところだろう
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