さらば我が愛 覇王別姫
訳:田中 昌太郎
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- 1993年カンヌ映画祭パルムドール賞を獲得した陳凱歌監督の同名映画の原作。1929年から1980年代まで、激動する時代に翻弄された二人の役者、段小楼と程蝶衣の話
- 映画も見たけれど、かなり「ロマンス」に話を振っているので、原作を読んだ後では少々物足りない感じがした。逆に映画を見てから原作を読むと、政治色が強すぎる印象を受けるかもしれない
- 原作も映画も最後に蝶衣が死ぬのは一緒なのだが、その意味するところはあまりにかけ離れている気がする。陳監督自身ここのところ「ブエノスアイレス」などホモセクシャルテーマの作品を出しているように、映画では蝶衣の心理描写に重きが置かれている。原作では「政治」や「大衆心理」に踊らされる二人の心情を淡々と描いており、私には「覇王になりきれなかった役者」として生き続けねばならない小楼の、哀愁漂う無様さが印象強く感じられた
- とはいいつつも、映画は一見の価値あり。レスリー・チャン演じる、程蝶衣の「なよやかさ」はきれいだし、小楼の妻の菊仙を演じる鞏俐の演技もリアル
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