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なりゆきの「サイト紹介」





   掲示板への書き込みを戴いたことで、出版業界紙である「新文化」という週刊新聞に『帯キャプションのなりゆき』が紹介されていることを知りました。出版元の新文化通信社に問い合わせ、記事をFAXして頂いたところ、トップページ全部のサムネイルとURLとともに、「過分」ともいえる紹介を戴いておりました。
   特に、皆様から推薦頂いたキャプションが引用され、まさに「華」を添えて下さっています。感謝の意味を込めて全文を紹介することに致します。(出版社の許可済です。快諾頂きました新文化通信社様に改めてお礼申し上げます。)

−−引用開始−

織金智子のちょっと気になるサイト探訪

本がまとうきらびやかな装飾「帯」をめぐって

   「買う前にはいちばん重要で、お金を払ったとたんゴミになるものなーんだ」。なぞなぞ、ではなくて購入したばかりの本を開くときに決まって頭に浮かぶフレーズだ。
   答えは「帯」。書店で本を選ぶときには、装丁に負けないぐらい、あるいは装丁以上に決め手になる。競い合うように平積みされている本の中に、「凄い!凄い!凄すぎる!」(『クリスタル・サイレンス』朝日ソノラマ文庫  藤崎慎吾)などと書かれた帯をつけたものがあれば、ふだんは読まないジャンルのものであっても、装丁が好みでなくても、思わず手がのびる。
   そんな帯キャプションを一覧にしたのが、「みと」さんの読書歴からなりゆきで出来上がった本棚を紹介するサイト「なりゆきの本棚〜帯キャプションのなりゆき」だ。
   書名を五十音順にならべ、文庫名、キャプション、推薦者と星の評価をリストにしただけのいたってシンプルなものだが、それだけに短い、気のきいたフレーズがひかる。
   「宴の支度が整いました」(『塗仏の宴 宴の支度』講談社  京極夏彦)と誘われれば、どれどれと腰を上げて宴に向かいたい。「今から100年前、日本は、もっと大変だった!! 外圧・リストラ・構造改革・・・そして戦争!!」(『日露戦争物語』小学館  江川達也)にはげまされるのは、世のお父さん方だけではないだろう。もっとも帯だけでここまで元気付けられると、本書は読まないかもしれない。
   先にあげた「凄い!〜」には「秀逸」の評価、三ツ星がつけられている。今度は星の数から見ていくと、『ベストキャプション』の五つ星が目に付く。『火星転移  上』(ハヤカワ文庫SF)の「驚・天・動・火、塵ひとつのふるえが、惑星ごと吹きはらう嵐になる時」と、同じく『下』の「転・移・夢・方  衝撃の『女王天使』と背景宇宙を共有するSF超大作登場!」だ。ハリウッド映画も真っ青なスケールの大きさで、SFファンならずとも興味が湧く。
   やたらと星の大盤振り舞いをしていないところがいい。「みと」さんの個人的趣味であっても、厳選していることがうかがえる。今後このリストが、ジャンルを問わずもっと増えていってくれることを期待したい。これだけでひとつの読み物になる。書店行く前のいい下調べになる。平積みから棚に移され、埋もれている本の帯のキャプションまで読めるとあればなおさらだ。
   これほどまでにワクワクさせてくれる帯だが、選び出し、支払いを済ませたとたん、不要になる。読むときに本から浮いてじゃまになるし、たいてい派手な色の紙を使っているので、本棚に並べるにはやや趣味に合わない。たいてい本からはずす。
   もし本と話すことができれば、ぜひ聞いてみたい。「帯を解かれた今の気持ちは?」と。彼らの答えは、「飾りがなくなったら、自信ないなぁ。おれ中身からっぽだし」か、あるいは「外見なんかどうでもいい、中身で勝負するぞ!」か・・・。

(週刊「新文化」2002年9月12日号より)

−−引用終了−

   帯への着目は五つ星にあげている「火星転移」の帯に出会ったことがきっかけです。その後TV番組「出張!なんでも鑑定団」で『装丁版の本の査定には「帯」が重要である』と聞きました。愛好する文庫本の価値に「帯」は関係ないと思うものの、装丁版よりよほど幅の限られた文庫本のキャプションは、きっとよく考え抜かれたに違いないと考えたのです。
   以来「栞の代わり」も兼ねて本の帯を保存し始めました。そうする内に言い回しは古いですが「帯も本の一部」に見え始め、そしてその「考え抜かれた惹句」を紹介しない手はないと考えた訳です。このページはそうして開設されました。幸いに皆様のご協力を得られ、想像以上に幅広いジャンルの帯を載せることができ、biglobe文化祭でも「ノミネート賞」を受賞、そして今回のサイト紹介・・・。あまりの幸運に心底驚いています。
   ですが、私だけの力では到底「ジャンルを問わない」ページにはなりません。皆様には心から感謝致します。実はなかなか更新できずにいるのですが、これからは「旬」のキャプションを掲載するよう今以上に精進致します。




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