コメディーを書いてみたい・・・・。

 ある日突然、僕の脳裏にふとよぎりました。それが、すべての始まりだったのです。

 ファンタジーを書き始めてからちょうど一年ぐらいが経ち、ちょっとした倦怠期に入っていました。ちょっと刺激が欲しい。そう思って、新しいジャンルの作品を書こうと思ったのです。

 ではいったい何を書くか。漂流しながら思いついた先は、結局まわりの人が書いているジャンルでした。

 あまり他の人が書いてなくて、そして刺激的なジャンル・・・・。

 ありました。大海の中に浮かぶ、”コメディー”という島が。それが”エルドラン”という島との出会いでした。
 


 この物語の主人公、ナユタ。

 彼はすごい才能の持ち主です。作者が与えたフリを、ものの見事なボケで返してくれる。決して本人は狙っているわけじゃないのに。

 まさに天然のボケキャラです。底が見えません。まるでブラックホールのように、すべてを飲み込んでボケてくれます。

 人気はナインテールに奪われ、主役の座さえも危ういというこの有様。どこまでも不運なキャラですが、この物語の中心が彼であることは変わりません。

 彼がすごいボケをすればするほど、作者は彼を不運にしたくなります。次はどんなボケを見せてくれるのかと。



 押しも押されもせぬ人気NO.1キャラ、ナインテール。

 彼のキャラクターは、執筆直前まで決まりませんでした。

 彼のキャラクターを決定づけた瞬間、それは、ナユタとの出会いの場面でした。元気を取り戻すなりナユタを殴りつけたあのシーン。あの場面が、ナインテールのキャラクターを決定づけたと言ってもいいでしょう。

 態度はでかくて口は悪いが憎めないやつ。そんな役回りを、彼は見事に演じてくれました。そして見事、ダントツの人気を博してしまいました。これは作者も予想外の展開です。

 ナユタとの絶妙なコンビネーション。これからも見せてくれるでしょう。



 ヒロイン役、サヤカ。

 彼女には、ちょっと申し訳ないですね。

 ナユタのヒロインとして考えていたんですが、ナインテールという強力なキャラクターの前に、その存在がどうも弱くなってしまいました。

 ただ彼女のような普通のキャラも、この物語には必ず必要だと思っています。ナユタ達が巻き起こす激流を、清流に変えるような存在が。



 熱血漢、クリス。

 ナユタをからかうことに命を燃やす、素晴らしい若者です。ナユタの素晴らしいボケを引き出すのも、彼の鋭いフリがあってこそです。

 ナユタがドジで頼りないぶん、格好いい役回りは彼に任せようと思ってます。この短編でも、シャドウ相手に見事な戦いを演じてくれましたね。

 これからも、ナユタのボケを引き出してもらいたいです。



 お嬢様、エレウシア。

 君の屋敷をメチャメチャにしてゴメンね。作者もあそこまでナユタが暴れるとは思わなかった。

 ナインテールを高飛車なキャラにしてしまったため、キャラが被ってしまう格好になりました。ちょっと高飛車で男勝りな性格で、クリス同様なユタのボケを引き出してくれることを期待してます。

 お金持ちってことで、これからもナユタがお世話になるかも知れないけど。



 ミステリアスな天才少女、レア。

 シャドウとの頭脳戦を見せてくれた天才少女。物語を引き締めるには、彼女は欠かせません。

 君の口が開くとき、すごいアイデアが出てきそうな気がする。



 その島の住民は、かくも素晴らしい人々でした。そしてまだまだ、魅力的なキャラ達が山ほど埋もれているに違いありません。何せ、作者さえも一キャラとなってしまう世界なのですから。

 ”エルドラン”とは、そんな宝の島のような意味も含んでいます。



 新しい作品を世に送り出す瞬間、それは、子供を授かったような気持ちに似ているかも知れません。少なくとも、僕にはそんな感じがしました。

 僕の心の中に生まれたキャラ達。彼らはこの短編を通してすくすくと育ち、少しずつ個性が見えてきました。あまつさえ成長しすぎたのか、作者に反抗してくるキャラまで。

 なかなかもって手にかかりそうな子供達ですが、あまり縛り付けず、彼らの自由に任せていきたいと思います。

 彼らがこれからどのように成長しくのか。父親として、そして作者として、楽しみでありちょっぴり不安でもあります。



 これが失敗したら、二度とコメディーは書かない。

 そんな決意を胸に、僕はこの作品を執筆し始めました。敢えて短編としてスタートを切ったのも、そのためです。
 
 でも僕の中にあった不安は、すぐに消えました。皆さんから、作者の予想を超える反響があったからです。

 これからもこの作品を執筆できるのも、魅力に溢れた素晴らしいキャラ達と、何よりも皆さんからの声援のおかげです。本当に感謝の言葉もありません。

 エルドランという島が僕の心の中にある限り、皆さんにこの物語をお届けすることを約束します。


作者より