ワートリ 248話感想



ジャンプスクエア1月号、ワールドトリガー248話の感想です。
ちなみに本号には付録でワートリのカレンダーがついているため、電子版と紙を両方購入しました。紙の方は出遅れてなかなか見つからなくて、3軒目でやっと見つけましたよ……
でも、探し回った価値あり! たしかなまんぞくの逸品です。

さて、248ワはヒュースのきつい指摘を受けた後のろっくんは……
寝室の割り振りは二人部屋で、半崎くんと一緒。あの後にこの状況では気をつかうよね、半崎くん。「……あんま気にしすぎないほうがいいっすよ 麓郎(ろくろー)さん」と、声をかけてあげるの、やさしいね。
そして、話は荒船隊での指導の話に。先輩たちが定期的に訓練メニューをつくってくれるとは言いますが、『狙撃訓練1時間コース』を終えた半崎くんが荒船さんに「今回の1時間半かかったっすよ 1時間じゃ絶対終わんないっす」と報告すると、『1時間コース』を『2時間コース』に書き直し、「おつかれさん またよろしくな」と言う荒船さん……ちょっと! それって、半崎くんをパーフェクトオールラウンダー育成計画の実験台にしてるでしょ! しかし、1時間半とするのではなく2時間としたのは、大雑把なのか、うちの半崎が1時間半なら普通は2時間だなという認識なのか……だとしても、お試しさせてるのに変わりはないでしょ!
半崎くんも、「……あれ? うちの先輩もけっこうろくでもないな……?」と気付き……隊に戻ったらちょっと反抗してみてもいいんじゃない?
「教えるのを引き受けたからには ちゃんとわかるまで教えるのが筋ってもんでしょ」と言う半崎くんに対し、ろっくんは、「……いや いろんなことがわかったよ 技術とか知識とかとは別の 根本的なことに気付かせたもらった」と応じ、「あとは オレ自身が決めることだ」と言い切りました。ここ、いい表情してますね! これなら今後に期待できそう!
半崎くんは「……ならいいっすけど あんま思い詰めないでくださいよ 臨時隊長だったちゃんとやってんだから」と言ってくれました。ホントやさしい子だね、君は。
ろっくんは「オレのリーダーぶりには不満があると思ってたよ」と言いますが、半崎くんは全然そんなつもりはなく、ちょっと考えて「ダルい」と繰り返していたことが気にされていたということに思い当たり、慌てて取りなそうとするのがかわいいですね。そして、「うわ〜〜〜 死にてぇ〜〜」とまで落ち込む半崎くんを、逆にろっくんが「大丈夫だって 気にしすぎるなよ な?」と慰める流れに。
ここ、半崎くんには作為的なものはなかったんでしょうが、結果的にろっくんが完全に立ち直るきっかけになっている感じですね。半崎くん、グッジョブです。

一方、ヒュースと日佐人くんはまだ共有スペースにいて、「もし麓郎(ロクロー)が明日になっても落ち込んだままなら 日佐人と真織が頼りだ」と言うヒュース。
マリオちゃんはともかく、日佐人くんへの評価も相当高いんだね。
「麓郎のフォローは頼むぞ」と言うヒュースに対し、「大丈夫だと思うけど……わかった」と応じる日佐人くん。この安定感、ホント頼りになりますね。
ここで、「…ヒュースは 麓郎さんが臨時隊長に選ばれたのはなんでだと思う?」と切り込む日佐人くん。
日佐人くんが思い浮かべていると思しき臨時隊長に「選ばれそうな人」の中には、現隊長なのに臨時隊長には選ばれていない東さん、弓場さん、荒船さん、イコさんと、副官的な立場にいる堤ん、蔵っち、犬飼先輩、優秀なオペの今ちゃん、A級部隊のエースの木虎ちゃんがいますね。彼ら彼女らではなく、ろっくんを臨時隊長に選んだ上層部の意図は何なのか……
私は以前、ろっくんは隊長が単独で遠征部隊に選ばれた場合に残った隊をまとめる隊長候補なのではないかという説を考えましたが、ヒュースの見解は全然違いました。
ヒュースいわく、「オレには 教官候補の1人として選ばれたように思える」とのこと。
前提として、ボーダーは「正隊員に対して訓練生の数が多すぎる」ため、「全体の8割が戦力としては遊んで言える状態」であり、「将来的にはC級で躓いているトリオン能力者をどれだけ正隊員に引き上げられるかが組織の大きな課題になるのはまちがいない」と指摘。
確かに、ボーダーの育成は基礎的な訓練以外は「できるヤツが上がってくればいい」的な放置っぽいイメージですよね。修くんもそれで足踏みしてたっぽいですし……まあ、彼の場合は特殊な事情があるのかもしれませんが……とは言え、スナイパー以外は体系的な育成の仕組みがなく、個人で動いて師匠を見つけないと上がっていけない感じですよね。組織として、それでは安定的に戦力を確保していくことはできない訳で、育成の仕組みづくりは最大の課題だと思われます。
そうした状況を踏まえて、「戦力の底上げのための『教官』」が必要になる訳ですね。
教官候補としては、ヒュースは「香取のような直感タイプに教官は難しい」、「修も少々特殊すぎる」と指摘。対してろっくんについては、「未熟ゆえに麓郎がこの先 自分の力で壁を越える経験を積んでいけたとしたら 同じように小さなステップを必要としている隊員たちの 力になれるかもしれない」と評しました。それを聞いて、うれしそうな顔をする日佐人くん。君もいい子だね!
さらにヒュースは、「400人以上いるC級隊員の何割かでも正隊員に育成できれば 組織としてはかなり大きな強化になる そう考えれば教官が果たす役割は大きい」と言っていますが……ふと気が付いたのですが、ヒュース、捕虜なのにボーダーの内情を知り過ぎでは……
それはさておき、「個人戦だと苦戦してても チーム戦では活躍するやつの出てくるだろうしな 三雲みたいに」と言ってくれる日佐人くん。まあ、修くんは遊真さんのおかげでB級に上がれたんですけどね……
ヒュースは「だがこれはあくまでオレの想像だ 上層部の実際の思惑はわからないし 今は未来よりも目の前の課題に向き合うべきだろう」と言っていますが、忍田さんの考えとは合っているような気がしますね。ろっくんの人柄こみでの選出なんだろうし。
「いずれにしろ今回の選抜試験が麓郎の1つの転機になるはずだ」と締めくくるヒュース。ろっくんの今後に期待ですね!
日佐人くんはそんなヒュースを、「ヒュースって淡々としてるように見えて けっこうチームメイトの事考えてるよな」と評し、ヒュースは「当然だ オレの目的も遠征だからな 目的のために最善を尽くす 当たり前のことだ」と返しますが……遠征入りのことだけを考えるなら、ろっくんにあんなに親身な助言をする必要はなかったはずなので、やっぱりヒュースの人柄の表れなんでしょうね。求められたことには真摯に対応するというのは。その辺を感じ取ったのか、日佐人くんの笑顔も何だか訳知り顔っぽいですね。

一夜明け、騒然とするモニタールーム。
作業時間後の各隊の様子も当然A級が審査していて、ヒュースとろっくんにコメントがいっぱい付いていたんですね〜! そう言えばそうでした。
きびしいと評する結束ちゃんや綾辻さんに対して、「いいこと言うじゃんヒュース 麓郎(ろくろう)さんには基礎が全然足りてないんだよな 対人選なんて裏のかきあいなんだから 表を知らずに裏をかけるわけないんだよ」と評する天羽くん。君……そこまで言うほどろっくんと接点あるの? そういや、佐鳥も「麓郎さん」呼びだし……ろっくん、謎の浸透力がある?
そして、閉鎖環境試験に入って初めて、風間さんがつけたポイントが公開されました! ヒュースに対して+1で、「指摘が具体的でいい。もう少し厳しくてもよかった。」とコメント。さすが、趣味は鍛錬の風間さんですね!
「これより厳しくって……」とおののく桃園くんに対して、「さすが風間さんだな」と平常心の嵐山さん。嵐山さんもワーカホリックの人だからな……
しかし、ヒュースの指摘は厳しいけど、それに対するアフターケアはすごく手厚くしているし、厳しいなりに言葉を選んでいるのも感じるし、何よりわかりやすいから、助言としては加点の評価になるのは納得です。
嵐山さんの「ヒュースは 若村なら立ち上がれると信じてるんじゃないか?」という言葉には、ヒュースが云々というよりも嵐山さん自身の善性を感じますね。
ろっくんに対する評価は、差し引きではマイナスの方が大きそう。真木さんは「意志薄弱で自分に甘い。人にアドバイスしてもらうことを「努力」とカウントしてそう。」とマイナス2をつけていますが、これは遠征試験の評価としてはフェアじゃない気がしますね。この試験に臨む前のろっくんのイメージを元に今回の行動をマイナスに評価している訳ですから。次の、「無料で他人の時間を使っておいて、身に付いてないんだから余計にマイナス」とマイナス2をつけているのも、試験中ではなく試験前の問題に対して点をつけているのでおかしい。厳しいか厳しくないかという以前の問題で、試験官としてはマイナス評価になるんじゃないですかね。その意味で、佐伯先輩がプラスをつけているのはそれを打ち消す効果があるので調整になっているのですが、佐伯先輩も未来のことでプラス2をつけているから、試験官として問題なくはないんですよね。みかみかのプラス1は理性的なやさしさだからいいのでは?
風間さんのマイナス1は、「「持ってる」とか「持ってない」とか言い出すのが早い。できることはまだ無数にある。」は、今に対する評価だから妥当だと思うんですよね。
雷蔵さんととっきーが一緒に審査しているというのは意外ですね。何つながりなんだろう? 単に雷蔵さんが凄腕エンジニアだから、A級隊員とはみんなトリガー開発で関わっているということかな?
里見先輩、宇野先輩、クローニンチーフがプラス評価をつけているのを見て、「麓郎応援勢もいるな」と評する雷蔵さんに、「自分も応援勢です」と言うとっきー。
「時枝(とっきー)なら麓郎にどんな助言(アドバイス)する?」と問われ、「うーん……難しいですけど……」と前置きしてから、とっきーの過去エピソードが語られ始めました!
最初の近界民侵攻からしばらく「変に無気力な感じ」になっていたとっきーにご両親が言ったアドバイスが、「ゴールじゃなくてベストスコアを目指せ」という言葉。
ゴールとは、『叶えたい夢』や『なりたい自分』のことで、それは『進む方角』を決めるためにあって、必ずしも到着しなきゃいけないわけじゃなく、ゴールは途中で変わってもいいし、道もいろいろあっていい。スタート地点からどれだけゴールに近付けたか、自分の意志でどれだけ進めたかを、人生の楽しみにしろという……
これは、まとめのために時系列と逆に書いたのですが、とっきーはご両親の言葉とその説明を先に言って、そうした言葉をご両親がとっきーに言った理由は、無気力になっていたとっきーに『叶わないかもしれないならもう何も目指さない』となってほしくなかったのだと思うと話すとっきー。いつも物腰柔らかで、さり気なくみんなをサポートしてくれているイメージがあるとっきーが、そんなに無気力になっていた時期があったとは……
そして、ご両親の気持ちを語るとっきーの言葉の背景は、鉄条網の向こうに広がる瓦礫の町を見つめる小さいとっきーの後姿なんですよね。
SNSで指摘している方もいらっしゃいましたが、この姿は震災に遭った子どもたちの姿を彷彿とさせましたね。日本では戦争よりも震災の方が身近だし、それまでの日常がいきなり断ち切られるという意味では同じだからでしょうか。
「そっか そりゃそうだよな」と言った雷蔵さんの表情は、そうした子どもの気持ちも親御さんの気持ちも両方わかるからのものでしょうか。
そして、「麓郎にもそれ教えてあげなよ」と言う雷蔵さんに対し、「助言を求められたら言いますよ」と返すとっきー。甘過ぎないスタンスがいいですね。
A級コメントの締めくくりは真衣さん。プラス2を付けて、「失敗から来る、焦り 不安 つらさ くやしさ はずかしさ。これらは、同じような失敗を無限に繰り返させないための、脳みその機能の一種でしかない。下手に避けたり、噛みしめたりせずに、本来の役目通り、学習と改善のきっかけとして付き合うのが吉。ろくろーは 強く生きよ。」とのこと。これが一番しみるアドバイスかもしれないですね。いい言葉だ。
これを読んだ迅さんが、「『自分を鍛える理由』にできるなら 負の感情も役に立つ」と述べ、その隣のコマには三輪くんの姿が……彼がまさしくそうだということなのでしょうね。

さて、古寺6番隊では、木虎ちゃんが諏訪7番隊が強かった理由を見抜いていました。朝食をサンドイッチにして、食べながら作業しているところみたいですね。
木虎ちゃんの考えはユニットの弾数を削ったというもので、ピタリ正解ですね。さすがです。しかも、この考えにたどり着けたのは、諏訪7番隊の狙撃ユニットを倒してコストの数値を把握しておいたからだということですから、先見の明もあったということですね!
更に、「……問題なのは このトリックを解いた部隊(チーム)は今日 諏訪7番隊と同じようなことができるということです」と指摘する木虎ちゃん。
そこで、射程攻撃に対する対策を考え始める古寺6番隊ですが、その過程で古寺先輩が一昨日の戦闘シミュで「諏訪隊の連携が異常に冴えてた理由」が、「連携用に予め『混成』したユニット」を使う、つまり、チームメンバーがそれぞれ自分用の部隊をつくってそれを一人で動かしていたということに気が付きました。その言葉を聞いて、一瞬でどういうことか理解したっぽい木虎ちゃんと、わかっていなさそうな六田さん、「どういうこと?」とすぐ訊くミューラーと、自分で考えてみる奥寺くんが、それぞれ対比になっていますね。
奥寺くんは少し考えて、「6番隊(うち)みたいに自分の駒を自分で使うんじゃなくて 誰の駒とか関係なく 連携しやすい形に組んで使ってたってことか」と気が付きました。
それを聞いて、ミューラーも「あっ……そうか! それだと他の人とタイミング合わせなくていいから……」と気が付き、木虎ちゃんが「『連携スキル』が無駄なく正確に発動できますね……」とポイントをついて引き継ぎ。みんなこれでさくっと理解していますから、やっぱり6番隊も頭のいいチームですね。
さらに、「……今思えば ヘルプユニットの存在は運営からのヒントだったのかも……」とつぶやき、気が付かなかったことを悔しがる木虎ちゃん。全部顔に出てしまっているのがかわいいですね。
古寺先輩は、何やら満足げな顔。その理由は、「おれはこういう『閃き』が強いほうじゃないので2日遅れでも気付けたことが嬉しいです」とのこと。そして、「先を行く人たちの足跡を踏めた時 自分も進歩してるって実感できる」というのもいい言葉ですね。確実に前に進む努力をしている古寺先輩らしい言葉です。部隊の雰囲気もいい感じになってます。
そして、「特殊シミュも重要だけど 目標はあくまで最終総合1位だ」と言い切る古寺先輩。これは……ひょっとすると?と思わせますね!

若村11番隊では、マリオちゃんが分担課題の問題を読み上げ、それにヒュースが解答するという形で進めています。ヒュースの解答が滅茶苦茶早いので、「これが私(ウチ)の…になんの怖いわ〜」と言うマリオちゃん。ヒュースは平然と、「このやり方が一番早いと思うが?」とか言ってます。さすがエリート軍人。
ろっくんはトリガー関連の問題はマリオちゃんとヒュースに任せ、それ以外の一般問題を他のメンバーでやることを決め、13時までは課題優先、その後は特殊シミュの作戦会議と指示。ちゃんと隊長の役目を果たせているし、チームメンバーの応答もしっかりしてて、いい感じに動けてますね。
「麓郎さん引きずってないっぽいな よかったよかった」と、ほっとした顔をする佐鳥くんと、「おし 加点しとこ」となる雪丸くん。どっちもいい子だね。
天羽くんは、「いやまだわかんないよ 内心うじうじしてんじゃないの?」と辛口ですが……どう見てもろっくんのことを気にかけ過ぎですよね。ホント、どういう接点が……?
まあ、ろっくんはヒュースの指摘にはショックを受けましたが納得していますし、それを受けてどうするかは自分が決めることだと腹決めていましたから、うじうじしてはいないですよね。ヒュースが誠実に対応してくれたこともわかっているでしょうから、感謝こそすれ、感情的なわだかまりはないでしょうし。そうしたろっくんの姿を見て、半崎くんや日佐人くんはろっくんを支えようという気持ちになっていると思います。若村11番隊の巻き返しに期待です!

次は諏訪7番隊。
諏訪さんに「シミュの予習時間はどんくらいいる?」と問われ、「そうですね 30分もあれば」と答える修くん。
「そんだけで大丈夫なの?」と葉子ちゃんにつっこまれ、「そんなに複雑な作戦じゃないですし ユニットの数値はもう決めてあるので……」と応じる修くん。また私たちの虚を突くような作戦を思いついていそうですね。
諏訪さんの指示で、2時半までは分担課題に集中することに。既に残業で解いた分もあるということですが、諏訪7番隊も古寺6番隊と競えそうなところまで進めているのでしょうか? そして、古寺6番隊は分担課題の入力は最終日まで取っておいていますが、諏訪7番隊は打ち込んでしまう方針ですね。とすると、古寺6番隊の方が上を行っているのか……
描写の少ない隊の動向も気になりますし、最終結果がどうなるのか、まだまだ読めませんね!

というところで以下次号ですが……2月号は休載とのことですね。
今回は単行本作業のための休載とのことなのでほっとしました。普段は電子書籍で買っているので最終ページの作者コメントは読めないんですが、今回は紙で買ったので読めたのですよ。
厚めの新刊、楽しみです!