ワートリ 233、234話感想
ジャンプスクエア7月号、ワールドトリガー233、234話の感想、長文版です。
行動力の数値が低い弱点をつかれ、狙われ続ける千佳ちゃん!
古寺6番隊戦では千佳ちゃんが木虎ちゃんに撃破されて負け、歌川1番隊戦では千佳ちゃんが歌川&ゆまさんのアサシンコンビに撃破されて引き分け、若村11番隊戦では千佳ちゃんがヒュース&ろっくんのコンビにやられたっぽく、引き分け。まあ、ろっくんは相打ちになったのか、千佳ちゃんとともに安らかなやられが顔をさらしているのですが……
総じて、アタッカーやガンナーに距離を詰められてやられちゃっている感じですね。
10試合目は休みで、ずーんという効果音付きで落ち込んでいる千佳ちゃん。こんなわかりやすい落ち込み顔を見せるのは初めてですよね。
温かい飲み物を渡してくれる加賀美ん。さり気ないやさしさ……
ユズルくんは千佳ちゃんを気にかけつつも、ユニットの弱点には気づいていない様子。かける言葉も見つからない感じ。
うーん。ユズルくん、ここにきて未熟者であることをどんどん露呈してきていますね。ランク戦中の冷静さは、他のことには発揮できなようです。
しかし、心の中で思ってるだけじゃなくて、言葉にしないと好意は伝わらないぞ! 無言で見つめてるだけじゃダメだって!
落ち込む千佳ちゃんに、「ここまでで 何か気付いたことはあるか?」と問いかける二宮さん。
別に二宮さんは千佳ちゃんを責めてる訳じゃないと思うんですが、「わ…… わたしじゃどうにもできませんでした…… すみません……」と謝っちゃう千佳ちゃん。
「えー 雨取ちゃんのせいじゃないでしょー」と、フォローしてくれる加賀美ん。何とうか……この、適度にドライというか、しめっぽくない対応が、この状況ではとてもいいですよね。
ユズルくんはうんうんうなずくだけじゃダメだぞ。
二宮さんは、素が威圧的だから伝わらないだけで、言葉だけを素直に読めば、とても丁寧に語り掛けて導こうとしていると思うんですね。この試験を若手を鍛える場にしようと考えているだけのことはある。でも、伝わらないとな…… 通訳が必要。
二宮さんに、「責任は命令を下した隊長(おれ)にある」と言われ、同じようなこと(「指示を出したのはぼくだ ぼくのミスだ」)を修くんに言われたことを思い出しながら、「でも…… 自分の役目は自分で ちゃんとしたいんです……!」と、いつになく強い表情で言う千佳ちゃん。
登場当初はネイバーに狙われるか弱い少女のように見えていた千佳ちゃんですが、自分のことは自分で何とかしようという意思を持ち、闘う覚悟も決めた今は、もうか弱くは見えませんね。
やっぱり、千佳ちゃんは「ヒロイン」じゃなくて「主人公」なんだな!(そう考えると、ワートリって「ヒロイン」がいないマンガですよね。オペだって一緒に闘ってるもんな)
しかし、二宮さんに「……それが 今 できなかった って話じゃないのか?」と指摘され、うっと言葉に詰まる千佳ちゃん。
さらに二宮さんは教育的指導として、「自力で解決しようとするのはいい心がけだが 自分の手に余ると感じたなら 早めに誰かの手を借りるべきだ 事態が決定的に悪化する前に」と諭すのですが、「はい…… すみません……」と、千佳ちゃんは落ち込みを深めてしまいます。やっぱり通訳が必要!
ここで通訳を果たしてくれるのは東さん。「試験ってのは『現状何ができないのか』『どこに問題があるか』を知るためにあるんだ 今回 遠征に行く前にお前自身の問題点が1つ分かった だからこれでいい」と解説してくれます。そして、「お前がするべきことは落ち込むことじゃなくて 遠征までにこの問題点を改善することだ」と、今後の方向性も示してくれます。最後に、「……だな? 二宮」と、二宮さんに意思確認するフォローまで。完璧ですね。
二宮さん、しれっと「そういうことですとか言ってますが、ちゃんと後で東さんにフォローのお礼を言わなきゃいけないレベルですね。二宮さんだけに任せていたら、千佳ちゃんと落ち込ませて終わりだったよ。
ユズルくんは、「なら最初からそう言えよ……」と二宮さんをにらむばかりで、全然この場に関与できてないんですよね。それじゃあ、試験的にも、千佳ちゃんの好感度的にもダメダメなんだけど、自分がダメなことには気付けてないっぽいな……
加賀美んは、「んじゃ 戦闘シミュの話に戻るけど 雨取ちゃんは他の人にこう動いてほしいとか ある?」と、絶妙な質問をしてくれます。こういう訊き方をしてくれれば、千佳ちゃんも自分が言うことがチームへの貢献になるってわかりますもんね。「はい……! それなら……」と、前向きな表情で意見を言おうとする千佳ちゃん。現状の問題点把握から今後のチーム戦略の話し合いへ、いい感じに持っていけましたね。二宮8番隊のオペが加賀美んでほんとによかった!
さて、運営本部では戦闘シミュ3日目の結果報告。
何と、1位を獲ったのは諏訪7番隊! 6勝3敗1引き分け。1240点! 迅さんが言っていますが、配点の大きい3日目に照準を合わせて作戦を練った成果が見事に出ました。諏訪さん、有能!
そして、城戸司令が「三雲隊員の分析とアイデアも評価に値するだろう」と、珍しく修くんをほめました。ちょっと意外そうな忍田さんと、わかってる顔の迅さんが対照的。
さらに、鬼怒田さんは「『映像問題』の攻略」も評価。やっぱりあれは絡め手でやっていい問題だったんですね。
続いて、戦闘シミュ2位は北添4番隊! 5勝2敗3引き分けで1120点。華さんの作戦がバッチリ当たった成果ですね。しかも、作戦がシンプルで労力が少ないので、その分他の課題に時間を回せたという利点も。さすがです。
3位は同率で、歌川1番隊と古寺6番隊。4勝1敗5引き分けで1000点。諏訪7番隊と組んで情報共有をしたことで安定した結果を出せたようですね。
5位は王子2番隊で、4勝2敗4引き分け、960点。王子先輩の作戦はユニット交換。これはツイッターで予想されていた方がいたように記憶しています。ユニットを別人が使うことにより、相手が予想している動きとは異なる動きをすることになり、自然と裏がかけるという戦法。これも少ない労力で成果をあげる作戦ですね。面白さを優先して自分のユニットが落とされても気にしなかったイコさんに、オビ=ニャンのユニットを任せることにより、慎重な動きをさせるように促し、王子先輩はイコさん、オビ=ニャンは王子先輩のユニットを操作し、ここでも相手の予想外の動きをすることになります。この交換も必然ですが、王子先輩はきっとイコさんのユニット動かしたいって気持ちもあったんだろうな。生駒旋空やってみたいよね。
辻ちゃんのユニットは辻ちゃんのままですが、王子先輩に辻ちゃんは守りの要だし 辻ちゃんの動きは辻ちゃんにしかできないからね」と言われ、頬を紅潮させてうれしそうな辻ちゃんがかわいいですね。普段、二宮隊ではストレートなほめはないのかな? そして、ひかりちゃんに「代わりたいならアタシと交代するかぁ?」と言われ、うろたえる辻ちゃんもかわいいですね。
6位は来馬5番隊で、4勝5敗1引き分け、840点。7位は柿崎3番隊で、3勝4敗3引き分け、720点。8位が村上10番隊で、3勝5敗2引き分け、680点。きちんと対策をして正攻法でやってきたけど、3日目に奇策をぶつけてきたチームに対応できなかったということですね。
そして、城戸司令が注目していた二宮8番隊と水上9番隊の結果は……というところで、一区切りです。
ここからが234話ですね。
水上9番隊の方針は、「上位4部隊(チーム)に絞って対策する」というもの。上位4部隊とは、この時点では古寺6番隊、村上10番隊、二宮8番隊、来馬5番隊ですね。
2勝できたら80点、3勝できたら120点ということで、4戦全勝までは求めないということです。
なぜ上位4部隊に絞るかというと、「第1に勝ちやすさの問題」という水上解説です。つまり、下位部隊は点差を詰めようと戦い方をガラッと変えてくる可能性が高いけれど、上位部隊はこれまでの方針を真っ当に伸ばした戦術でくる可能性が高く、対策しやすいということですね。もう一つの理由は、荒船さんが「今は上位から獲る1勝のほうが価値が高いしな」と言ったとおり、上位部隊に追い抜かれる危険性をつぶすため。
ここまで聞いて、今ちゃんが「……思ったよりハードルが低くてちょっと安心したわ」と言っていますが、一から戦闘シミュのやり方を覚えなくちゃならないことを考えると十分大変だと思いますよ! 照屋ちゃんも「わたしはなんでもいけますよ!」と強気ですけど。
しかし、水上臨時隊長はさらに鬼畜なことに、戦闘シミュの予習は1時間だけだと言い出しました。14時までは分担課題の続きを進め、点数のリードを更に積み重ねるという方針。えげつない!
その理由としては、勝ち負けで0か100かの戦闘シミュと違って、分担課題はつぎ込んだ時間をそのまま点数に変換できること、最終的に分担課題の進み具合で勝負がつくと予想していることがあげられます。『賢さで勝つ』というコンセプトを徹底して貫く訳ですね。
水上臨時隊長は「この面子ならいけると思って作戦立ててる これで間に合わへんかったら計算ミスった俺の責任や」と、隊長らしいことを言ってますね。照屋ちゃんは「間に合わせてみせますよ!」とまたまた強気。達成困難な課題ほど燃えるタイプですよね。
結果、水上9番隊の成績は2勝7敗1引き分けで10位。最低及第点の勝ちは獲れた訳ですね。勝てたチームは、二宮8番隊と村上10番隊で、きっちり前日までの上位チームです。
さらに、水上臨時対等は下位部隊に上位部隊のユニット情報を流すという手を打っていたことが判明。……諏訪さんと修くんがやったのと同じような対策ですが、一方的に送るだけなので明確な共闘ではないという違いはありますが。
ここで、城戸司令に「こういう人材がいると楽なのではないかね? 忍田本部長」と話を振られ、「……時と場合による」と苦い表情で答える忍田さん。そこへ迅さんが、「あ それって林藤さんの話?」とツッコんでいます。旧ボーダーの頃の関係性がにおわされてますね。林藤支部長も曲者暗躍系なのかな……
そして、忍田さんは「似たようなことは古寺隊もやっていた」と指摘。しかも、古寺先輩は所見付きで送っていたということで、送られた隊はデータの使い道もわかってありがたいですよね。この辺に性格の違いが出てますね。
根付さんは「諏訪隊長の言葉が刺さったんですかねぇ」と、前日の諏訪さんのアオリの効果を指摘。
それに応えて鬼怒田さんは、「この素直さとプライドの低さは古寺の長所と言えるのう」と評価。「素直さとプライドの低さ」を「長所」と捉えてくれてるのが、何かいいですね。
忍田さんは、「古寺のプライドは『結果を出すこと』にあるからな」と指摘。こういうふうに、ちゃんと上司が見てくれているのがわかるのもいいですね。
さて、次は二宮8番隊。
城戸司令が懸念していたのは、千佳ちゃんが「遠征先でトラブルに遭った場合1人で抱え込む性格では問題がある」ということだったのですね。
まずは今回、千佳ちゃんは自分一人の力で何とかできない時は早めに人の手を借りた方がいいんだということを理解し、そうすることが結果的にチームのためにもなるということも学べたと思うので、一歩前進ですね。
千佳ちゃんはもう遠征に行くこと自体は決まっている訳だから、今回の試験ではいい成績を取ることよりも遠征に行っても困らないように経験を積むことが重要なので、「若手を鍛える」ことを目的としている二宮さんと、常日頃から先生的ポジションにいる東さんがいる隊に入るというのは最善の振り分けだったということになりますね。二宮さんがクジで一番を取ったら堂々と東さんを指名する性格なのが功を奏した訳か……
二宮8番隊の成績は9位で、2勝4敗4引き分けで560点。
根付さんがさらっと言っていますが、最後の試合に負けてたら最下位だったのか! ろっくんよりも下!
二宮さんは順位よりも「若手を鍛える」ことの方を優先しているから、戦闘シミュで最下位になってもメンタルに影響はなさそうですが、千佳ちゃんが辛いだろうから、最下位だけは免れてよかったですね。
そして、最下位は若村11番隊。1勝4敗5引き分けで400点。3日連続最下位か…… でも、水上9番隊には勝ってるんですね。
と思ったら、それはヒュースが指揮をした試合なんですね。5引き分けのうちの3もヒュースの指揮なのか。すると、ろっくんは実質1勝もできていないのか……
根付さんが、「これだけ成績が低迷しているのに ヒュース隊員がおとなしいというかなんというか…… 『我慢』が効いているのが意外ですねぇ」と指摘。
まあ、ヒュースは玉狛では自由に振る舞っているから忘れられがちですが、元々は職業軍人ですからねぇ。必要となれば自分を抑えるくらいはしますよね。今回は自分の立ち位置は一隊員で、隊長をそれなりに立てるべきだという前提で動いているのでしょう。
ヒュースがおとなしい理由は、迅さんが「ガツガツいって部隊(チーム)が揉めたら それを理由に遠征外されると思ってるんじゃない?」と指摘。
根付さんがそれも計算してろっくんを隊長にしたのかと勘ぐりますが、そこで忍田さんが「若村を臨時隊長に選出したのはボーダーという組織の将来を考えた上でのことだ それ以外の理由はない」ときっぱり否定してくれました。
ていうか、ろっくんが臨時隊長に指名されたのには、忍田さんのろっくんへの期待があったことが判明! わーっ、ろっくんに教えてあげたいね!
「ボーダーの将来」ということは、今後もっと隊員も増えて、部隊も増やしていくにあたって、葉子ちゃんのような天才型の隊長が引っ張るチームだけじゃなく、ろっくんのように堅実なタイプの隊長のチームを増やしていかなきゃならないってことですかね? ともあれ、ろっくん、期待に応えられるようにがんばれよ!
最後に、戦闘シミュの3日間累計の成績ですが、1位が歌川1番隊で1750点、2位が二宮8番隊で1660点、3位が古寺6番隊で1610点、4位が諏訪7番隊で1590点、5位が北添4番隊で1540点、6位が来馬5番隊で1490点、7位が水上9番隊で1420点、8位が王子2番隊で1390点、9位が村上10番隊で1260点、10位が柿崎3番隊で1170点、11位が若村11番隊で650点という結果でした。
何気にゆまさんがいる歌川1番隊が戦闘シミュ1位! ずっと安定して勝ち星をあげ、配点の大きい3日目にも勝ち越せた結果ですね。さすがです。
一番勝ち星をあげているのは2位の二宮8番隊ですが、配点の大きい3日目に成績が下がっているので2位に甘んじることになってしまいました。
逆に3日目に照準を合わせた諏訪7番隊はトータルでは4位という好成績! 迅さんが指摘していますが、16敗もしてるのに。負け数はろっくんのチームと同じなんですよ。
水上9番隊も3日目の成績を下げているので、トータルでは7位。でも、共通課題、分担課題で大きなリードを得ているので、ここはOKということなのでしょうね。
根付さんが、「……しかしこのスコアを 本日までの『総合順位』と見比べるとイメージがちがって不思議ですねぇ」と言っているし、忍田さんが「数字から各部隊(チーム)も弱点が見えてくるな」と言っているので、戦闘シミュの順位と総合順位とは結構違いがあるということですかね? 気になるところです。
そして、4日目の仕事時間が終了し、暫定順位の情報が臨時隊長のパソコンに送られてきました。「以下の情報を部隊で共有すること」という指示がありますので、全隊員にオープンにすることになりますね。
暫定順位を見て、修くんと隠岐先輩が驚いているのが気になりますね。諏訪さんの表情は明るいので、いい方向で意外だったと思いたいですが……
二宮さん、鋼くん、古寺先輩はフラットな落ち着いた表情ですが、ろっくんは相変わらず辛そう。若村11番隊には今のところ明るい要素がないからな……
そして、水上が「んー……? これ どういうことや……?」と意外そうにしていますから、何か計算違いのことがあったんでしょうね。
私は以前からA級評価が気になっていて、水上の計算が狂うとしたらそこではないかと思うのですが……どうでしょう?
というところで、以下次号です。
またしても続きが気になりますね!