2019年 アフタヌーン感想 
 



 

2019年12月号

今月のひと言。花井のモチベーションはそこか……

1ヶ月の休載(単行本作業のためですね)を挟み、花井キャプの自宅シーンから。
「勝ちたい気持ちって なんだ?」と考える花井。(この横顔がキレイ……さすが、作者に一番顔が整っていると言われるだけのことはある)
三橋、田島、阿部、と思い出していき、それから監督。「オレらがモモカンの野望を果たせなければ 次は後輩達がモモカンの想いを託される」。そして、「オレらにはできなかった モモカンがやりたかったことを 他の誰かがやる」と、そこまで考えたところで身を起こし、「それは いやだ」と思う花井。うーん、やっぱり花井にとって西浦での野球はモモカンありきなのか? モモカンに出会ってなかったら、野球部入ってなかったかもしれないしねぇ。
しかし、それはどうなのか。
次のページで、田島が「試験前で練習休みになったらスカウト行こーぜ」と言い出しているのと対照的……
まあ、田島は田島で、「全国せーははオレらでやれるし」と言い切っているので、後輩に思いを託すつもりはさらさらないんでしょうけどね。
そこは、花井も田島も同じ。問題は、まだ花井が「やれる」と思えるところまではいってないところかな〜

田島がスカウトに行こうと言っている理由は、単純にいざという時の控えが必要ということのようです。
しかし、大学進学の人脈もまるでない西浦に誘っていいのかと躊躇う浜田さんに対し、上記のセリフの後、「人脈は オレらが大人んなっていろんなとこで野球してだんだんできてくもんだろ」と言い切る田島。その眩しさに浜田さんは「いつまでも慣れねェ」ようです。
田島は控えが必要と真剣に考えていて、同学年で野球をしていた男子を探したようですがまるで見つからず、「多分西浦の1年には 中学で野球やってた男はオレらしかいない」という状況のようです。泉くんは、「ムシロよく1人残らず入ったな 1人欠けたらだいぶ運命ちがってたぞ」と感心。いやー、それもモモカンの力ですかね!
浜田さんによると、2年はもっと少ないそう。中学の時の部活のデータがあるそうで、浜田さんを含めて4人だけということ。おととしサッカー部がインターハイに行ったので、元サッカー部が多くなっているらしいです。
「そう聞くとホント危機感あるな」と真剣な顔になる泉くん。田島は、「新入部員ゼロだってありえない話はないぞ」と更に危機的な予想を述べますが……三橋はあんまり興味なさそうね。三星に勧誘に行くのは難しいとはいえ……
働きアリの話は置いといて……浜田さんが、「5万4千8百円稼いだからって5万4千8百円使っちゃうと 何かあった時どーにもなんねんだ 貯金(よりょく)がねーとダメだな!」と、やけに具体的な例をあげての賛同。あわわ、それって1ヶ月のバイト代!? 家賃がどうなってるかわからないけど、それで1ヶ月は苦しいぞ! 田島にも「浜田だいじょぶか」と心配されちゃってます。死活問題ですから!

さて。練習後のミーティング中か、暗くなっている中でスカウトのことが話題になります。モモカンも行くつもりだったとのことで、それぞれの出身チームの監督に連絡をとって回ることになりました。声を掛ける選手の基準は、「基本的には来る者は拒まず」、「去る者は逃がさない」。さすがモモカン。
ですが、西浦は実はそこそこの進学校。受験で合格しないと入れないのです。「でも西浦を受験するかしないかは本人の判断だから 誘って受験して落ちたらどうしようってとこに責任感じることはないと思う 偏差値足りない子がウチ目指して勉強するのは悪いことじゃないしね」と」と、選手たちの気持ちを軽くしてくれるモモカン。
でも、この時期は志望校はほぼ決まっているので、狙うのは「西浦も候補の1つだけど 何かの理由で決めかねてる子!」と限定することに。夏に1年だけでベスト16に入ったというのは結構インパクトがあるので、選択肢に考えた子はいると思われるのですが、残念ながら後輩から連絡をもらった選手はいないようでした。
西浦のモデルになった高校は、県立高校でありながら自由な校風で生徒の自主性を尊重しており、私服通学ということで有名で、だから憧れるという中学生も結構いると思うのですが、親にとってはむしろマイナスイメージで、私服が嫌という子も無きにしも非ずでしょう。男子なら、面倒くさいと思うかも。
そういうことがあるにせよ、「そういうとこで迷ってる子を見付け出して いっしょにやろうって声かけよう!」と発破をかけるモモカン。選手たちも「はいっ」といい返事。
でも、練習が休みなのは試験があるからなので、しがぽからの無言のプレッシャーで、「試験勉強もしっかりやるよ!」と付け加えるモモカンでした。

そして、モモカン父が指導に来て、「春までの目標はどうする?」とバッテリーに尋ねると、「球速10キロアップしたいです!」と答える阿部。三橋はびっくりしているので、二人で確認はしてなかったのか? それとも、声の大きさに驚いただけか?
すると、「10キロでいいんだ?」とあおるモモカン父。「あの… どういう方法ですか?」と、慎重派な阿部。方法「フォーム改造」。かかる期間は、「人によっては2ヵ月かかるし 早けりゃ1週間だ」と言われ、顔を見合わせてうなずき合う阿部と三橋。うん、これを見ると、一応球速アップの合意はできてたみたいね。「よろしくお願いします!」と声もそろっているし。

ここまでで、以下次号。

来月はスカウト回になるのか、フォーム改造回になるのか……
どちらにせよ、阿部と三橋の関係がもっと対等なものになっていってくれるといいんですけどね。3歩進んで2歩下がるだからなぁ。



2019年10月号

今月のひと言。阿部が不憫……

さて、崎玉との試合が終わった翌日。崎玉とARCの試合を見に行く西浦っこたち。「有志(といっても全員)」ってところがかわいいですね。
ARCの情報は、相変わらず千代ちゃんが完璧に解説。しかも、オペラグラスで背番号をチェックし、更に情報収集。さすが千代ちゃん!
試合は1回裏にARCが4、5番の連打で1点を先取するも、その後は両者凡打の山の投手戦に。結局、0対1でARCの勝利となりました。
「すごいじゃん崎玉! 沢村さん全然卑下することねェ!」と、崎玉キャプテンに肩入れしちゃってる花井がかわいいですね。
そして、崎玉にあいさつしに行こうとする西浦っこたちですが、立ち上がろうとしない三橋。阿部が「行かねーの?」と声を掛けますが、顔を青くして挙動不審。「イミフメー 説明してみ」と促されるも何も言えず、最終的には阿部に「まーいーや とにかく行くぞ」と引っ張られていきました。
花井、顔を真っ赤にして「いい試合でした!」と沢村さんに声掛け。こうやって、試合した相手と仲良くなるのって、微笑ましくていいですね。
沢村さんは、「最後9回に投げた鳥海ね 速くて打てる気しなかったスよ」と言いながらも、「でもいい負けでした 次にやることがわかった ARCは2軍でしょうけど それでも去年のオレらじゃ考えらんない試合できましたから」と前向き。「みんなどうか知らんスけど オレはもうがんばることに決めました このあとの半年を力抜くなんてわけわかんないっす」と沢村さんが言うと、花井も「オ オレらもがんばります!」と返し、「そっすよ! がんばりましょ!」と沢村さん。キャプテン同士、通じ合ってていいっすね!
一方、田島は石浪君と打者の会話。相手投手についての分析です。話題の鳥海君は、「…速かった 高林からの交代で出て来られると目が慣れる前に試合が終わる」という評価。「今年のARCはこの流れでくっかもしんねーか」と田島が言うと、「抑えに速球派はARCのお家芸だけど 甲子園行きゃあ打たれてる 何か手があるはず」と石浪君が返し。「おし 年末バイトで会うまでに何か考えよ!」、「おう いいね」と、こちらも意気投合。
大地君は三橋をつかまえて、「応援ありがとなーっ 負けちったよーっ」と、一方的に盛り上がり、「でも惜しかったろ? オレらダトー西浦でいーっぱい練習したから成果出たんだ」とか、一方的に話し続けて三橋を圧倒し、終始三橋は白目のままでした。
それを無表情で見ていた阿部は、帰りがけに「あんないい試合見たあとで何か言ってやりたくなったりしねーの?」と話しかけます。三橋は白目のままビクッとしてます。「ナイバッチでもナイピッチでも言ってやりゃいーのに」と言われ、「そ そ そうか〜〜〜」と青ざめる三橋。「何だそれ 思い付かねーよーなセリフじゃねーぞ」と阿部が返すと、「う うん ごめん」、「ごめんじゃねーよ 会話を切んじゃねー」で、再び青ざめる三橋。「じゃー ごめんでいーよ ググっとなんなよ ググっとー」と、相変わらずガサツが阿部。根はやさしい子なのにね…… こんな言い方したら、絶対三橋はしゃべれなくなっちゃうんですけどね。三橋は「オレ 気が利かない」とため息をつきますが、阿部が振り返って「何?」と聞いても、首を横にブンブン振って何も言えませんでした。ここの、振り返った阿部の顔が恐いんですが、前を向いてため息ついてる顔はかわいいんだけどね……
ここで、久しぶりにオオフリ名物のモノローグが来た!となったのですが…… 「オレと話すの つかれる よな…」となってしまい、「マウンドなら 話さなくてもいいのに 試合してれば 投げたり捕ったり練習の通りにやるだけで 阿部君の考えてることわからなくても大丈夫 だし オレのアホな考えも言わなくていい」となってしまっているんですよ…… 違う、違うんだよ、三橋ーっ! 試合こそ、阿部の考えてることがわかってほしいところなんだよ!
この二人のすれ違いは、いつか解消することがあるのでしょうか…… 三橋がまた阿部にまともな笑顔を見せてくれるのはいつの日かな……

さて、西浦はミーティング。試験前に体力強化、試験休みの間も筋トレメニューはやるそうで、「何するにも集中しよう!」とのモモカンの指示です。
阿部は、ミーティング後に三橋と配球確認をするつもりでしたが、「あれ今日ウチ来んだよな?」と田島。「はあ? 今日やるつったよな!」と、相変わらず阿部恐い…… 三橋は「あのっ おわっ おわっ」と、まともな言葉を発することができず、田島が「終わったら来るかんじ?」と翻訳。そして、「うちでやれば? タカヤの組み立てオレも勉強したい」と言い出す田島。あ、ここは名前呼びが定着してるー。阿部も三橋のことを「レン」と呼んではいますが。
そして、「…コースケも声かけっか あいつさみしがりなんかな」と、巻き込まれる泉。
で、田島家に行き、田島の部屋が片付いていることに驚く泉ですが、たぶんお母さんか義姉さんが片付けてくれたのでしょう。
阿部は全く動じず、「おし 始めんぞ」と配球の記録を取り出します。「えっ それもー篠岡が?」と泉が聞くと、「これはオレ 時間たつと忘れっかもしんねーから書いた」と答える阿部。
田島は「データ化できそうな」と記録をのぞき込み、阿部が「何度も当たんねーからあんまイミねーだろ」と返すと、「イヤ リードのさ」と田島。「オレ? そうな オレのパターンは出せるか」 ……でも、田島ができるの、データ化とか?
阿部は、「さ やんぞ 1回表 1番杉田 1球目」と言い、泉は「えっ その密度!?」と驚きますが、三橋は「えと…えと 外へカーブ ボール」と答えます。あれですね、囲碁とか将棋とか、ちゃんとやっている人は最初から差した順番を全部覚えていますが、それと同じようなものですかね。
それにしても、三橋がこの時点で荷物を背負ったまま立っているのが気になる…… 田島の家ではもう緊張しないと思うので、阿部がプレッシャーを与えているせいですかね? 本人は自覚なしで、呑気にお菓子を食べてますが。
泉が阿部や三橋が細かく配球を覚えていることに驚いていると、「コースケ君 ちょっと静かに」と田島に言われてしまいました。田島に! 「ついてけねー」と、どら焼きをかじる泉。次のページで寝ちゃってました。
そして、8回で田島もうとうとし、7点目まできたところで沈没。
阿部と三橋は全く眠そうな様子はなく、「で 原田だ」と、核心に至ります。「オレのサイン覚えてっか?」と尋ねる阿部に、「シュート ボール球」と答える三橋。「で オメーが首振った なんで振ったんだ?」と追及する阿部。
三橋がダラダラと冷や汗をかいて答えられずにいると、阿部は「ふつーに答えろ 教えて欲しーんだよ」と、彼としては穏やかに話します。三橋は「…前の…同じ…シュートのボール球… 打…」と、何とか話そうとしますが、通訳がいないと阿部にはわからないようです。阿部は、「よしまず オレの考えを言おう」と切り出します。そして、裏をかくつもりであえてシュートにしたと説明。納得する三橋に対して、阿部は「オメーは?」と聞きますが、三橋は打たれそうなよかんがしたとしか説明できず、「よかんだあ?」と声が大きくなって三橋を怯えさせてしまう阿部。どうにも進歩がない2人です。
三橋は丸まって、「振らなきゃよかった…っ」となってしまいますが、これは首を振らなきゃよかったってことですよね?
阿部は、原田選手はバットを1回止めて打ち直したことを指摘し、ヤマを外したけれど打たれたので、球種のせいじゃないと説明します。
で、三橋はちょっと振り返って、「でも 次 の 打者は 打たれなかった オレの考えと違うリード…」と言い、阿部は「ほう どこが違う?」と聞きます。三橋はボールを続けてカウントが悪くなるのは自分の考えとは違うという主旨のことを何とか言い、3球目は真ん中にいってしまうスライダーを投げたのに空振りになったのがフシギと伝えると、阿部は「不思議じゃねーよ ありゃ空振り狙いのリードだ」と返します。
次の打者についても阿部がリードの意味を説明すると、三橋は「…俺が役に立てる ことは ない」とがっくりしてしまいます。訳がわからず、「なんのガックリだよ!?」と突っ込む阿部。
三橋は、「…オ オレの違和感 なんか ジャマなだけ やっぱオレ 阿部君の言うとおりに 投げたい」と言い出します。
ああ、また振り出しに戻るか……と思いきや、今回は阿部は、「それがオメーも投げたい球なら それでいんだぞ?」と、今までとちょっと違うことを言い出します。
「首振る根拠は”予感”でいーよ ただ オレがどーいう意図でサイン出してっかふまえて打たれそうとか思ってくれっといいかな」と言うのは、つまり、阿部のリードを説明されなくても理解できるようになってくれってことですよね?
三橋は、「…………………ム……」で、阿部はここは通訳なしでもわかって、「ムリじゃねェからっ」と言い返します。
今月はここまで。

うーむ。この回のまとめがここまで長くなるとは。ストーリー的にはあんまり動いてないのに、オオフリは会話が重要なマンガだからなぁ。
夏大で負けて、二人で一緒に強くなろうと約束した三橋と阿部ですが、三橋の自己評価の低さはなかなか治りませんね。配球を全部覚えているあたり、三橋も阿部のリードを理解できる素養はあると思うのですが……
そして、会話がなかなか成り立たないという点でも進歩がない二人。阿部、めげずにガンバレ!



2019年9月号

今月のひと言。まったく田島はよ〜(←嫉妬)


さて、西浦っこたちはまだ崎玉っこたちとファミレスです。
だいたい食べ終わってくつろいでいるところ、話題は明日の試合に。崎玉は、埼玉県内で一番強いARCという高校と対戦するのですが、ARCは関西の強豪校との練習試合のために監督が不在なのだそうです。高野連が12月1日から3月7日までの間は対外試合を禁止しているので、その前に遠征するのだということです。ARCにとって今回の大会、四市大会は「公式戦出られない選手の発表会」のような位置づけだそうで、1軍はエースを除いて遠征の方に行ってしまうとか……まあ、県内だけの大会だからってことなのでしょうね。でも、真の目的は、他県の強豪にエースを見せないことだそうで、それだけ県内では勝ち抜ける自信があるってことなんでしょうね。
ARCは他県にも広くスカウトを行なっているそうで……やっぱり、どこの高校がモデルなのか気になるところです。
そして、千代ちゃんの声掛けでランチ終了。花井が指示して、お皿をまとめだす西浦っこたち。ちょっと雑然としている崎玉っこたちのテーブルとの対比が。
会計を終えた後、崎玉の新キャプテン(沢田くんだったかな?)が花井キャプに「西浦さんは…… ARCと同じとこ目指してますよね?」と聞いたところ、花井が返事をする前に「はい!」と先に返事をする田島……
「見てるとうちとは違うなって思いますよ それに夏大の大地全打席敬遠 アレは衝撃でした」と崎玉のキャプテンに言われ、さらに、「つまりですね 夏の大会のあの気迫は今回は感じませんでした」と指摘され、「チャンスはあと3回ですよ あ 神宮入れれば5回ですけど 夏だけならあと2回っ 一冬超えると実感しますけど ホンット短いっすよ もっとがんばんないと!」と、叱咤激励。いい人だな〜、崎玉キャプテン。タイさんといい、新キャプテンといい、崎玉っこたちは性格いいですよね。
花井は、「それは…考えてます 今日は崎玉のホンキさに負けたんだと思ってて…… うちには勝ちに対する執念みたいなもんがなかった」と答えます。……これって、夏大で負けた時と同じ結論ですよね? 田島は言うに及ばず、阿部や三橋も高校野球は短いって自覚してるけど、他の子たちはまだまだその実感が足りないのかな。
そして、「あの 今日はありがとうございました 明日がんばってください!」、「西浦もがんばって下さい! ありがとうございました!」とエール交換。いいですねぇ、高校生。

自転車で西浦のグラウンドに戻る間、四市大会のことを振り返る花井キャプ。崎玉のキャプテンに言われた「短いっすよ」という言葉も思い出しますが、「やっと入試が終わって 高校生活はじまったばっかだと思ってたのに」と考えている花井。もうっ! 高校生活なんて短いんだってば! 花井はどうすればもっと自覚してくれるのかな〜
先に戻っていたモモカンは、崎玉と一緒にお昼を食べて来たことについて、「何か収穫はあった?」、「石浪君とはなしたんでしょうね!?」と、目をキラキラさせて花井に詰め寄ります。石浪君とは話していなかった花井がたじろいでいると、田島が「オレ話しました!」と割り込みます(まったく田島は〜)。「コツとかじゃないスけど彼も背が低いんで バッティングの自信をもらいました!」、「いいねェ」と、目をギラギラさせている田島とモモカン。ついて行けてない花井……
でも、崎玉に冬休みの郵便局バイトに誘われたことを報告。「練習あるならやんないスけど 崎玉はバイト代を部費の足しにしてるそうで うちもできたら…と」と花井に言われ、一瞬心を動かされたモモカンですが、「……あ いやでも」と、否定的なことを言いそうな気配に。
ここでまた田島が割り込み、「あと オレの兄がアマチュアの審判をやってまして 頼むと審判講習会を開いてくれるんで崎玉といっしょにやってもらおうかと」と報告すると、モモカンは「それはいいね」と承諾(まったく田島め……)。
バイトについては、「私の蓄えもあるし その時間練習したり勉強したりした方が有意義じゃないかな」と言われてしまいます。かわいそうな花井……
で、「そだよ オレらの時間確保するために大人達はがんばってくれてる でもそんなに監督にオンブに抱っこでいいのか?」と、やっぱりすっきりしない花井。
ここでの花井の妄想はおいといて……
バイトをしたい理由について、栄口くんは「親の負担が大きいので…」と意見を述べます。モモカンは「その気持ちは理解するよ」と言いつつも、「でも大人ってあなたたちが思うより力があるんだ」、「お金の心配してバイトすること 親御さんは喜ぶかな?」と説得。でも、決めるのは父母会を開いて意見を聞いてからということになりました。そして、選手たちにもどうしてバイトしたいのか、本当に必要かを話し合うように指示。
ここで、思い切ってモモカンに給料の額を聞く花井。モモカンは「手取りでだいたい200万 その中から150万くらいを使いました」と答えました。つまり、収入の4分の3を野球部につぎ込んでいるってこと! モモカンが実家住まいだからできることであって、一人暮らしだったら絶対無理ですね。

着替えながら、「バイトしたかったね」と話す花井キャプと栄口くん。栄口くんは「5万あれば年間の電車代ほとんどカバーできる アンダーも手袋も消耗品だし」と、親の負担を軽くしたいという考え。花井は部に入れたいという考えで、「ボールとかバットとかも消耗品じゃん?」と言いつつも、「……でも それは監督の力でまかなえる オレがするべきなのは野球がんばること……」と思い直します。
さて、試合を想定した練習で、牽制球を投げる三橋。ランナー役は泉くん。これはアウトのタイミングかな? 
モモカンが「泉君 阿部君のサインわかった?」と尋ねると、「わかんないっす つかスンマセン ちょっと暗くて細かい動きが確認できないっス」と答える泉くん。日が落ちてしまったので、ノックをやって練習を終わりにすることに。
花井は「まだ4時半 冬は暗くなんの早ェなァ まァ寒いとノックは痛いからあんまやりたくないけど ベーランすんのだって真っ暗じゃ怖ェし」と、辺りを見回します。野球部は第2グラウンドを使っているので、第1グラウンドにはある照明がないのですね。「冬だけじゃねェよな 9月10月だって日の入りは6時だ 7・8月だって熱い中での昼間の練習も必要だけど 日が落ちて気温下がってからティーでもできれば…」とか考えていたところに、「ライト!」とノックの球が飛んで来て、慌ててキャッチ。そしてまた、「外野ノックは無理でも ちょっと明るけりゃできることはイロイロある」と考える花井。
素振りをしながらも、「素振りすんのだって少しは明かりがほしいし ライトがあればなァ」と考えて、はたと、「ん? ライトっていくらだ?」と思い当たる花井。
そして、最後にモモカンに「花井君 何かある?」と聞かれ、「あ アルバイトですが バイト代 裏グラにライトを建てたいです」と提案する花井。
「それは すごくいい!」と、真っ先に反応する田島。花井は、「あ ホント? ごめん 話し合いしてねーのに」と自信なさげですが、栄口くんも「いやいい考え! あったら絶対いい!」と賛同。「うんっ ライトほしい!」と泉くん。うなずく沖くん。「マジでほしい!」と水谷くん。モモカンも、「たしかに欲しいね!」と賛同。
そして、モモカンが志賀先生に確認すると、「聞いてみるけど あってジャマになるもんじゃないし 問題ないと思うよ 言われて電気代かな」とのこと。
そこで、明日開く父母会でライトを建てることを提案することに。
以下、次号です。


田島がいちいち花井を差し置くのが気に食わない私ですが、花井は田島にコンプレックスがある割にはそういうとこ気にしないんだよな〜 もっと対抗意識を燃やしてほしい!
そうならないのが花井のいいところかもしれませんが……

そう言えば、31巻の表紙が阿部と田島の捕手コンビでしたね。最初、しゅんくんかと思ったよ。身長差が……



2019年8月号

今月のひと言。千代ちゃんは有能!

さて。ファミレスでの西浦と崎玉の交流の続きです。
審判の微妙な判断が試合の勝ち負けを左右したことがわかり、何となく気まずく黙り込んでしまう両校の中で、ただ一人平然としている阿部さん…… やはりこいつは自由過ぎる。
そんな中、口火を切ったのは田島でした。審判をしているお兄さんが、「ストライクゾーンてどこだー」って人に聞くのが好きだという話。100人以上聞いて、正解したのは1人だけとのこと。
「花井言える?」と聞かれて、「横は だから ベースの幅だろ? 縦は打者が構えたカッコの時の… ベルトと肩の真ん中が上限で 下限がヒザの …んーと… ヒザ頭の下…?」と一生懸命説明する花井キャプですが、あっさり田島に「もはん的なハズレ!」と言われてしまいます。真っ赤になって「えっ ちがう!?」という花井がかわいい。(つーか、花井に対する時の田島って……)
正解したのは少年野球チームの4年制で、ベースのうしろに立って「この辺」と、体の前で手をくるっとさせたそうです。阿部以外の全員が「はえ?」となってます。
花井が「それが正解? そんなフワッと楕円形なん?」と、みんなの疑問を代弁します。
阿部はしれっと、「前から見たら四角で 形としては五角柱 で間違ってないけどな」と言います。お前は審判か!?
石浪君も同類で、「でも実際は フワッと楕円が正解でしょうね」とさらっと言ってくれます。もーっ、こいつらは頭にルールブックのコピーが入っているのか!?
そこへ料理が到着し、「ひとまずメシ!」となります。当然ですね。
みんながライスを取りに行ってしまったところ、千代ちゃんが残って店員さんからメニューを聞いて、どれをどこに置くかを指示してくれます。それを見ていた崎玉の子たちが、「スゲェ」、「けしてうわついた気持ちではなく 女子マネ羨ましい」と思っているのがかわいいですね。でも、女子マネだからやってくれるのではなく、千代ちゃんだから出来るのですよ! 千代ちゃんは有能!
この辺の会話もかわいいですね。花井が田島に「こぼす ンな限界まで盛るなよ」と世話焼きを発揮し、田島が「何回も往復すんのメンドイもん」と言ってるのと、泉くんが栄口くんに「ゆーと 1巡目から甘いもん?」と言って、栄口くんが「うっ いっこだけっ」と答えてるとこが特にかわしい。名前呼び、定着しつつあるんですね。花井以外は……
そして、全員がそろうまで待っている西浦っこたち。崎玉のキャプテンが「あ どーぞ! 食べ始めて下さい!」と言ってくださり、花井が「そすか? スンマセン」と答えて、いつもの「うまそお!!」「うまそおっ!」とやって、「いただきます!」と声をそろえ、あまりの大声に崎玉っこたちがびっくりしてました。ここで、千代ちゃんもがっつり参加しているのがかわいい…… 食べている顔が、みんなとってもおいしそう。

さて。食べ始めて落ち着いたところで、再びストライクゾーンの話です。
田島が石浪君に、「スゲー山なりのボールってあんじゃん レンの投げてるやつ レンてミハシレンね レンのあの球はまずボール判定なんだけど ストライクゾーンが五角柱にしろ楕円形にしろ ゾーン通ってんだろって時あんだよねね」と話しかけます。それに対して石浪君は、「わかる ワンバンするような球だろ?」と返し、田島が「そー!」と同意します。
ここで花井も「え? 何?」と入って来て、他の子たちも関心を見せているので、田島は絵を描いて説明を始めます。まず、大地君が投げているフォークを例にして、フォークのようにそれなりにスピードがあって落ちる球は、ワンバンするとストライクゾーンの下を通るのですが、三橋の投げる”まっすぐ”はスピードがなくてもっと上から落ちるので、落ちながらストライクゾーンを通る軌道になるそうです。……田島、すごく絵がわかりやすい。これも才能なのか?
でも、ストライクゾーンを通ってもストライクを取ってもらえたことがないそうで、阿部が「アレなんでだ? 兄ちゃんに聞いたことある?」と田島に尋ねますが、田島の返事は「雰囲気とか言ってたよ」というものでした。
「つってもタカヤもアレがストライクと思って組み立ててないだろ?」と、田島はあっさりタカヤ呼びです。その向こうで、食べるのに夢中で全然話を聞いていない三橋…… 名前呼びは当分無理そうだな。
それはさておき、阿部は、「取ってもらえねーからな」と、特に不満はなさげです。石浪君は、「ストライクを取る審判はゼロじゃないだろうけど これは取れないだろうな」と言います。それに対して阿部は、「さっきの理屈で言えばストライクは”打て”ってコールだから こんな球にストライクとは言えないわけだ」と応じます。この二人、放っておいたら延々と野球談議をしそうですね。
石浪君は、「これ”打て”って言われたら困る……つか ふっ こーゆー球投げるやつばっかになって それを飛ばす練習始めたら もう野球じゃないよなっ」と笑ってました。田島は「うけたー」とうれしげ。うーん、こんな話題でウケてくれるのは、きっと石浪君くらい野球の知識がある人だけでしょうね。(そして、阿部は野球の知識があっても笑わない……)
そこで、田島は「兄ちゃんに頼んで審判講習会やってもらおうか!」と提案。「審判て試合中でなくてもなーんか近よりがたいスよね アレ わざとそうしてるとこもあんだって だけど素はみんな野球スゲエ好きなオジサン達で 球児のこともスゲエ好きなんスよ アメリカ仕込みの人とかいるし 最新情報も持ってるし 審判のやること知ってると ぜったいタメになるスよ!」と説明し、崎玉のキャプテンも同意してくれます。
そして、崎玉のキャプテンの方からは、「郵便局のバイトやりますか?」と提案。年末年始の年賀状の仕分けで、新都心(さいたま新都心駅前の郵便局ってことでしょう)でやるそうです。伝統的に野球部やソフトボール部がやっているそうで、部費や遠征費の足しになるとのこと。花井はそれを聞いて、「それ いいスね!」と食いつきます。モモカンの助けになれるというのが、花井らしい動機。
バイト代は1日だいたい5000円、10日やって5万円。西浦は11人いるので、合計55万円! これはでかいですね。

西浦っこたちの目が「¥」になっているところで、場面転換。
モモカン父が、私立斉徳高等学校というとkろを訪ねています。監督がお知り合いのようで、練習を見てからご挨拶へ。
ボール球を打つ練習をしていたと告げると、監督は「ボール球打たねェともう打つ球放ってもらえないんだよ まともに正面からぶつかり合うような勝負はなかなかないねェ」と……渋いっすね、監督!
モモカン父が、「でも基本は ストライクを撃てればいんじゃないンスか?」と尋ねると、「最後の1球は 外にはずれてても審判取るだろ? ボールだからと見逃した球が 甲子園決勝の最後の1球だったらどうする? その1球のために そこを打てるようにしとく必要があるんだよ」と答えます。まさに、今回の西浦と崎玉の試合の最後の1球ですね。
「かなり仕上がってますね」と言われ、監督は「なわけなだろー やること山積みだよ お前らン時みたいに日が昇る前から終電ギリギリまでやれりゃあいいけど 今そんなことやったら誰もついて来ないんだよ」と答えました。どうやら、モモカン父の選手時代の恩師ということのようですね。
そして、監督が怒鳴るのを聞いて、モモカン父は「言い方 やわらかいですねェ」と言います。「そうだよ 父母会からすぐクレームくんだから コトバに気を付けなきゃなんだよ」と監督は答えます。
で、話題はモモカンのことに。「創部1年目 1年しかいないチームで埼玉のベスト16だろ? スゲーじゃん」と言われ、モモカン父は「いやいや全然」と答えます。「……… もっち上を目指してるってことか?」と聞かれ、「当然です」と答えるモモカン父。そして、「ふうん 練習試合 組んでやれないこともないと思うけど 来年の秋以降だぞ」「ありがとうございます!」とのやり取り。なるほど、練習試合のお願いだったのですね。……来年の秋以降って、1年先じゃないですか!? そんなに待たせるのか〜

というとことで、以下次号です。
次は審判講習会が見られるのかな? それとも練習回かな? 郵便局のバイトはまだまだ先ですよね。
西浦でどれだけ名前呼びが浸透しているのかも気になるところです。



2019年6月号

今月のひと言。阿部が自由過ぎる……

さて、微妙な感じで終わった先月号でしたが。
キャッチャー石浪君が立ち上がり、崎玉の選手たちが駆け寄って来て、西浦の子たちも並んで、審判の「ゲーム!」の声の後、一礼。試合終了です。
その後、運営に参加していた崎玉3年生のタイさんは審判さんに質問をしに行きます。
「最後のボールは ストライク でしたか?」と、遠慮がちに聞くタイさん。
ズバリと、「荊木さん(主審さん?)がボール球を誤審してストライクと言ったんじゃないかってこと?」と言われ、焦るタイさん。「いやあのっ 三塁側からはよく見えなくてですねっ フルカウントですし捕手はあそこはアウトローギリギリに捕らえてたと思うんですけどミットが外に動いたように見えたので」と、いつになく饒舌です。

ここで場面転換。反省会をする西浦っこたち。
「今回と夏大で何が違うのか考えたら」と、敗因について語るモモカン。「石浪君の力はあるよね」 ここで、真剣にメモを取ってる千代ちゃんがカワイイ。「それに一人一人も随分パワーが増してた」 うつむく西広君と三橋。「でも何より 彼らは”西浦(うち)に勝つこと”を目標にしてた」 そして、崎玉が徹底して西浦に標準を合わせ、情報を隠してここまで来たことを指摘するモモカン。
「ARCと手合わせできなかったのは残念だけど でも正直 今回は 崎玉の執念に感心してしまったんだよね」 ここ、重要ですね。夏大の後も出て来た。”勝ちたい”という動機が西浦には足りないということ。
「私は戦力的にうちが崎玉に劣っているとは思わない でも”絶対に勝ちたい”という想いが彼らを勝たせたんだと思う」 それはたぶん、タイさんへの思いがかなりの部分を占めてるんだろうな……
「勝つことへの執念 こだわり これはうちに欠けてるものだと思う! 今日を最後に春まで試合はないからね 冬の間に勝つことについて考えていこう!」
ここで、みんな「はいっ」とよい返事。もう下を向いている子はおらず、みんな力のこもった表情をしています。ひとまず、負けからの立て直しはできたでしょうか。

そして、お昼ご飯を食べてから午後の練習となるようですが……
「な 今日ステーキガストだろ?」と、花井に話し掛ける田島。「何? 財布忘れた?」というのが花井の返しなのが何とも言えん…… よく忘れるのか、田島よ……
すると、田島の次の言葉は、「あのさー 崎玉も誘ってもいー?」 花井でなくても「はあ?」ですよ。
その後ろで、ほとんど人外の顔で「イヤダ」となっている三橋。
「でもさあ 石浪って158cmだぞ?」と、田島。(あ、ワートリの風間さんと同じ身長だ!)
「それであのバッティングだぞ 花井きいてみたくねェ?」と、三橋に詰め寄る田島。思い切り「イヤダー」と拒否られていますが。
「いや〜 そういうのは推してくれっかな? 弁当だって持ってきてっかもしんねーし」と、花井がしごく常識的な意見を述べると、「弁当はオヤツにたべればいーじゃない」と答える田島。マリー・アントワネットか!?
「聞くだけ聞いてくる!」と走り出そうとする田島を、「待て待て!」と止める花井……きっと、いつも苦労させられているのね。
すると、思わぬ伏兵が「…………オレも 一緒に た た 食べたいな」と、どよどよと暗いものを背負いながらも口にする沖くん。背後で泉君がびっくり。
「沖!? なんで!?」と驚いてたら、「花井はちょっと人見知りなとこあるぞ 2回も試合してんだからもーメシくらい行こうーぜ」と、言いながら、花井の腕をねじって抜け出す田島。地味にひどい。
「イヤイヤオレ人見知りじゃねーしっ 人見知りだからってわけでもない!」と反論している間に、「そうだな」と歩き出す阿部。「聞くだけ聞いてくるわ」と、さっさと行ってしまいます。
「ひとりで行かすなっ 栄口! イヤ オレも行く!」と、結局阿部を追って行く花井。ホントに苦労させられているね、キャプ……
その背後で、うれしげに手を振る田島。青ざめている沖と三橋。びっくりしたまま見送る栄口くんと泉くん。
そして、「オッケーだって! すぐ着がえて出発!」と戻って来る花井。はっきりうれしげな田島。結構うれしそうな泉くん。実はうれしそうな巣山くん。微妙な顔の沖くん。よろめく三橋……それぞれの反応がおもしろいです。
有能なマネの千代ちゃんは、「22人で順番待ち受け付けしたけど 待ち時間0分だから一応電話もして 私先行っとくね! 着替えたらすぐきて!」と走って行きます。ホントによく働く子だよ〜
そして、ステーキガストへ。マンガでそのまんまのお店の名前を出すのはいいのか?(これはどの辺のかな〜と考察したくなる埼玉県民の性)
最初はどう座ろうかとおずおずしていますが、千代ちゃんに「迷惑になるから座ろ」と言われ、座る指示をするそれぞれのキャプテン。
田島、ちゃっかり石浪君の隣をゲットしています。その隣が花井。後、さり気にまた水谷は千代ちゃんの隣をキープしてるぞ!
千代ちゃんが、「注文決めて下さい はい1分スタート!」と号令をかけ、ばっとメニューを開く西浦っこたち。こうして時間を区切って選択をするのも訓練の一環なんですね。
1分経って、みんなの注文をメモする千代ちゃん。有能。「女子マネってこんなことまでしてくれんですねェ……」と、崎玉のキャプテンに感心されてます。
そして、いよいよ石浪君に話し掛ける田島。(その向かいで注文に迷う大地くん)
「石浪君 あのさ 高校通算でホームラン何本打った?」
「練習試合込みなら今日ので8本になった」
「スゲェッ なにそれ!」と、身を乗り出す田島。
「オレも打てるかな?」という田島の問いに、「打てないってことはないだろ」と返す石浪君。
「−高校でってこと?」「うん 高校で」
「いつも狙ってくようなバッティングするつもりはない そもそも何本も打てると思わないし けど 打ってみたいよ」
「大地の方がオレとり打ってるけど」
「佐倉は背ェあるじゃん」 田島…… やっぱり成長には思うところがあるんだね。
すると、石浪君は意外にも、「手足が短い方が バッティングには有利だとオレは思っている」と。珍しく、虚を突かれた顔をする田島。
「ミートするにも飛ばすにも 手足…特に腕が長い方がコントロールが難しい 背の高いやつはみんな腕たたむのに苦労しているじゃないか」
「……ほ ほんとだ うん オレも そう思う」と、感動しているような表情の田島。これもレア。
さらに、「目指すならいいけど いつの間にか夢に縛られないように気を付けた方がいい」とアドバイスをしてくれる石浪君。
「な…っ んでそんな地に足ついてんの?」 ここで、ようやく花井が二人の会話を気にしている描写が入りました。花井! 田島をライバルだと思うなら、もっとこの会話には聞き耳立てなきゃ駄目じゃん!
「でも オレ 今はがんばりたいんだ」と田島が言うと、「オレもだよ」と返す石浪君。
田島、滅茶苦茶感動したようです。「抱きついていい?」と聞いて、「店出てからなら」と返されていました。おいおい。

ここで、タイさんが合流。立ち上がって挨拶する崎玉の子たち。西浦っこたちも立ち上がって挨拶して、タイさんが「いいからっ 座って座ってっ」と焦っていました。ホントいい人。
そして、タイさんは「今年度はこれで一勝一敗ですね」と花井に話し掛け、それから石浪君に向かって、「最後の球さ」と話しを振り(ここで、沖君が反応)、「あれ……ストライクだったよな?」と言い、石浪君が「はい」と答えた後、「でも 枠には入ってなかったよな?」と尋ねます。石浪君は、「ベースの上を通ったかってことなら オレの感覚では2cm外れてました」と答える石浪君。
「でも ストライクでいいわけ?」と聞くと、「はい あれはストライクです」ときっぱり答える石浪君。「”打て”という意味で?」「そうです」 このやり取りの後、「そうなんだ〜〜」とテーブルに突っ伏すタイさん。
それから、顔を上げて改めて「西浦のみなさん オレ 主審に聞いたんす」と話し始めるタイさん。「外れたとかボール球だったとは言われませんでしたが 見逃がし三振の最後の1球は ”打て”という意味でのストライクだそうです」
タイさん、誠実な人だよな……
石浪君は、「「ストライク」は”打て”って命令形ですから あの球だけじゃなく 全部のストライクが打てという意味でのストライクです」と説明。
「そりゃ気持ちの上ではそうかもだけど本来はベースに少しもかすってなきゃボールだろ?」とタイさんが尋ねると、「ルールブック的には違います」と答える石浪君。
花井が、「あの〜 話がイマイチ見えないんですが…」と口を挟むと、タイさんはピッチャーの市原君に、「イッチャン 最後の球はベースの上を通ってなかった」と言います。そして、沖君に、「沖君 ラストバッターだったよね あの球はボール球だから見逃したんだろ?」と尋ねます。迷った後、沖君は「はいっ」と答えました。
「……大前提として審判は完全に公正だよ もっと正確言えば 完全に構成であろうとしてる」と話し出すタイさん。ここはかなり複雑になってくるので省略すると、投低打高の流れが高校野球でも顕著になってきているので、ストライクゾーンを広めに取るようになってきているということのようですね。
「納得 できないスか?」とタイさんに問われ、花井が言葉に詰まっていると、
「納得しますよ 審判がストライクっつってんですからあれはストライクです」と言い切る阿部。自由なヤツめ……
そして、今度は阿部がウンチク。「ストライクゾーンは原書では”オーバー ホームプレート”でそれ訳した公認野球規則では”本塁上の空間”ですから ルール上は「ベースの上あたり」くらいの決まりしかないんすよ つか横幅ばっか気にしてますけど 縦の範囲のがもっと審判の裁量次第なんじゃないすか?」 ガンガン自説を述べる阿部に対し、「言い方っ 気をつけろよっ」と冷や汗をかいている花井…… ホント、苦労させられるよね〜
「そこまでの流れだってあるし 最後の1球で崎玉の勝利にケチがつくことはないですよ 今日はウチの完全な負けです」と阿部が言ったところで、以下次号。


いやあ、試合の後に対戦チームとご飯食べに行くというのもリアルな高校野球という感じですが、そこで野球談議になるというのがさすがオオフリですね。
こういうウンチク、阿部と石浪君なら何時間でもやりそうだわ〜 気が合うがどうかはともかく。
次号でどんな話になるか楽しみです。




2019年5月号

今月のひと言。え……試合終了?

1点差となって、1アウト二、三塁。バッターは9番の三橋ですが、ランナーが2人帰って逆転されることを防ぐため、外野の守備が下がったようです。スクイズはやりやすくなったかな?
崎玉バッテリーはスクイズ警戒。高目の速球を投げますが、三橋は何とか当てます。三塁ランナーの水谷君がホームへと走り、崎玉の内野手も前へ。でも、打球をキャッチしたのはピッチャーの大地君で、すばやくキャッチャーの石浪君へグラブトス! 水谷はキャッチャーの背後からホームを突こうとしますが、キャッチャーのタッチの方が早く、アウトになってしまいます。
阿部は三塁へ、三橋は一塁に残りますが、これで2アウトです。
アウトになってしまった水谷は、すぐに一塁コーチャーボックスに走ってコーチャーを交替し、「まだまだ! こっからよー!」と声出し。いいね! メンタルトレーニングの成果が出てるかな? 三橋もつられて「こっ こっからー!!」と声出し。三橋はネガティブだけど、メンタルは実は強いよね。
一方、2アウトで盛り上がる崎玉っこたち。
次のバッターは1番に戻って泉君。サードランナーの阿部は、「守備戻ったぞ 打てよ!」と念を送ります。顔が恐いって、阿部さん……
まあ、泉パイセンは「内野抜けば同点!」と気合入ってますんで、問題ないですけどね。
2番の沖君は、「泉がアウトになればゲームセット 打って1点 入れば同点延長 四死球で歩くと オレが…」と青ざめちゃってます。そこをぐっとこらえて、「泉! つなげー!」と声掛け。
泉君は気合の入ったいい顔で、「打てない球じゃない 内野を抜けばいいんだ」と打ち気です。でも、1球目は外に来ると予想していましたが内で、見送りでストライクになってしまいます。次は落ちる球。後逸で1点もあり得るのに、大胆ですね。ワンバウンドになってしまいますが、石浪君は体でボールを止めました。その間に、三橋は二塁へ。
ここで一塁が空いたので、崎玉監督は1番よりも2番と勝負することを選択。敬遠して塁を埋めます。これは……データから沖君との方が勝負しやすいと思ったのか、それとも満塁策かな?
そして、四球で泉君へ一塁へ。次のバッターは沖君です。「走った三橋は間違ってない 埋めた崎玉も 間違ってんのは 満塁のチャンスで回ってきたのに ビビッてるオレだ!」と気合を入れようとしますが……顔色が悪くなっちゃってるよ〜
ここで、大地君が妙なジェスチャーを見せ、石浪君がタイムとを取ります。何かと思ったら、「市原さんと代わりたい」と大地君が。「あの人が投げるのが 勝つためには1番だと思うんだ」。
大地君は感覚派ですが、頭脳派の石浪君も、「コントロールか球威かつう話でもあり 気持ちの面の話でもある 市原さんにエースの自覚を持たせるのにも いい経験になるか」との結論に。うーん、先輩に対する考え方じゃないなぁ。
そして、監督にも身振りで許可を取り、外野にいた市原先輩をマウンドに呼びます。
「あとアウト1つなのに なんでオレ?」と本人は思ってますが、大地君は「あとはたのんます!」といい笑顔。こういう顔されると代わる方は代わりやすいですよね。
沖君は「佐倉より オレにとっては打ちやすい!」とプラスにとらようとします。しかし、阿部に「沖! サードランナー!」と怒鳴られ、かえって緊張しちゃいます。やっぱり阿部は顔が恐いって……
崎玉の野手たちはピッチャー市原君に声掛け。
観客席では母たちが西浦の応援。三橋母が「がんばれー!」と普通なのに対して、阿部母の「沖君! 一番おいしいとこきたよー!」と、花井母の「ころがせばいいから! たたけ!!」が玄人っぽい応援ですね。
1球目はカーブでストライク。石浪君の配球は「カーブを打った打者にはカーブから」だそうです。1球目からは手を出さないと踏んでのことなのでしょうか? 沖君は「あえてのカーブなのか ならカーブは続けない 次はストレート」と読み、見送ってボール。これでカウントは1−1です。
次は「打たせて捕るのも策だが イレギュラーな捕逸でも負けは負け」と、「三振狙いの振らせない配球」で、内に入って来る変化球でボールに。
ボール先行になりますが、沖君は「選んだって同点だ 逆転するんだ!」と打つ構え。次の球には当てますが、ファールになってしまいました。これで2−2です。バッターの方が追い込まれてしまった状況です。
沖君は「振ってかなきゃ 何がきても!」と気合を入れますが、次の球は全力投球で思いっ切り外れ、ボールに。
振れなかったけどフルカウントになったので結果オーライですが、「次も今の球なら確実に同点 でも 振らなきゃ」と、余計に沖君にはプレッシャーがかかってしまった感じです。
「歩くより 打ってアウトになる…それで いいんだっけ?」と監督の方を見ると、モモカンはグッと拳を握ってそれでいいというジェスチャー。
沖君は「打つんだ 振るんだ!」と自分を奮い立たせようとします。
次の球は、力のこもったいい球ですが、沖君はボールになると思ったのか、見送ってしまいます。外に外れたように見えましたが……主審の判断はストライク。
沖君が「えっ」となったところで、以下次号。

このままの判定なら、見送り三振でゲームセットと、沖君にとっては最悪の展開ですね。
わざわざここでぶった切られると、次号でもう一波乱あるのかと思ってしまいますが……この作者だと、そういうのはなさそうですよね。高校野球ではまだビデオ判定導入していないだろうし。
次号は反省会になるのかな……



2019年4月号

今月のひと言。阿部って……あんまり打ってなくない?

さて、四球狙いっぽいフミキですが。
崎玉のキャッチャー石浪君は、大地君に「7番は歩かせるぞ」と指示。大地君は、意外そうな顔をしつつも、「それがベストならそうする」と答え、石浪君は「ベストだ」と言い切ります。やっぱりキャッチャーにはこういうどっしりした感じが必要なんですかねぇ。
フミキは「何 話したんだ コントロール気を付けろとかか?」とボケたことを言っていますが、キャッチャーが枠を外して構えたのを見て、「お?」と真剣な顔に。そして、ボールを投げさせたのを見て、「おっしゃあ!」とバットを握り直してしまいます。四球狙いがバレバレだぜ!
とは言え、これで同点のランナーが出て、次のバッターは8番の阿部です。
観客席にお母様方は、花井母「いけっタカヤっ」、阿部母「うちなさいよー!」、三橋母「アベくんたのむよー!」と盛り上がってます。しっかし、ここの阿部、ふてぶてしい顔してるなぁ。
石浪君は、「四球は避けたい 手を出させる」と、ストレートを指示したようです。で、1球目は空振り。
阿部は「はええな」と思いつつも、「今の空振りでストレートで押せると考えるだろう 11打席で2四球のノーコンだ 満塁にすれば更に窮屈な投球になる ストレートで押せるなら押したいだろ」と、ストレート狙いの構えです。
崎玉バッテリーも内角のストレートを選択したようですが、大地君のコントロールが悪かったのか、内に寄り過ぎたようで阿部はまた空ぶってしまいます。
「−っぶねっ 次来たら当たってやンぞ」と、物騒なモノローグをする阿部。でも、カウントは2ストライクで追い込まれてしまいました。
次は落ちる球で振らせるだろうと1球待ち、1ボール2ストライクとなります。
阿部は「次はストレートだ 投手有利のこのカウントで決めたいはず」と読み、「このコントロールじゃコースを読んでもムダだ 打ち上げずに内野を抜けばいい」と判断して打ちにいこうとしますが、結局デッドボールになってテイクワンベース。
「って〜」と、大げさに痛がる阿部。無表情で「スンマセン」と謝る石浪君に対して、ちゃんと帽子を脱いで「スンマセン!」と本気で謝る大地君が対象的ですね。
またわざとらしく足を引きずりながら1塁ベースに向かう阿部。花井君がコールドスプレーをかけてあげて、「大丈夫か? 走れっか?」と言っているのに、「おお なんとか…」と答える阿部ですが……その後にすぐ、「痛いのは演技だろ さーどういう守備でくっかな」と策士の顔になっております。
ここで、タイムを取る崎玉。
石浪君が大地君に「行けるか?」と聞きますが、大地君は「へ? なに?」とあっけらかんとした様子。この子は全然引きずらないね〜
崎玉は、西浦がスクイズを仕掛けてくるだろうと読み、ゲッツーを取ろうとします。石浪君は、延長に入ると自分たちの攻撃は6番からだと指摘。下位打線で点を取るのは難しいので、この回で終わらせたいと思う崎玉。
守備は大きく飛ぶことはないと踏んで、外野も前に出てヒッティングにも対応するシフトをとることにします。
そして、石浪君がさらっと、「あ 一走が足ひきずってんのは演技です 油断しないように」と指摘。大地君は「えっマジで! 抜け目な〜っ」とびっくりしていますが、他の崎玉っ子たちもだまされていたようです。
崎玉の極端に前寄りなシフトを見て、「ほー」と感心してるっぽい田島と、「そうきたか」と仏頂面の阿部。
モモカンは「四死球続けていてこのシフト わざわざスクイズしなくても点もらえるんじゃないの?」と考えますが、三橋にはスクイズの指示を出したのかな? 三橋の表情からは読めない!
この前進シフトの意味は、ゲッツーくらいたくなければ外野を越すしかなくて、四死球かワイルドピッチ、野手のエラーなどがなければ、ゲッツーでスリーアウトになって試合終了、ということのようです。満塁なので、どの塁でもアウトを取れますからね。
1球目、三橋はバントの構えですが、さっとバットを引き、ストライクに。3塁ランナーの田島は「はっええ」と目をハートにしていますが、はっとして頭を振り、「レン、サードランナー!」と三橋に声掛けします。
モモカンはもう1球見るように指示。このシフトで三橋がゲッツーをくらわないためには、歩くか三振しかないってことで、できれば三振よりも歩ける可能性を狙いたいということでしょうね。
三橋は「さっ こい!」と打つ気を見せていますが、これは演技ですよね。でも、石浪君は「”フォークはない” ”ストレートに絞れば打てる”か?」と読んで、1球フォークを入れます。おかげで、1ボールがもらえます。
モモカンのサインがいちいち違うのでわからないのだけど、やっぱりもう1球見るように指示が出たのかな? 三橋は「オレが打てれば…」とモノローグしてますし。でも、「おおおっ」と打ち気を演出する三橋。
打者を気にするキャッチャー石浪君を、冷静に見ているのがサードランナーの田島。
「そらせば1点の状況で よくフォーク投げさすよ あんたはキャッチングに自信アリなんだろうけど 投げる佐倉はどうなんだ? 1B1S ホラ 投手がランナーを 見てねぇぞ!」
と、ここで単独スチールを決行! コーチャーの西広君まで「え!?」と驚いていますので、完全に自分だけの判断ですね。
キャッチャー石浪君は「早く投げろ!!」と指示し、佐倉君は焦った顔で慌てて投げますが、ボールが高目に浮いてしまいます。
田島は「レンどけー!!」と怒鳴ってホームへ突進。ホームスチール成功です! 7点目が入り、これで1点差です。
そして、ランナーもそれぞれ進み、2、3塁に。
ベンチでは、栄口君が「ナイラン!!」と田島を出迎えて、ヘルメットをかぶった頭をバシバシ叩き、巣山と沖君は「なんなの!? スターなの!?」と大興奮。モモカンもくうっと震えています。
しかも、田島はホームスチールは人生4度目なんだそうです。くそっ、天才め!
崎玉は、キャプテンが「切りかえ! 次防ぐぞ!」と声掛けし、立て直します。大地君は全然堪えていなさそうな表情。さすが鉄壁のメンタル。
そして、これで満塁ではなくなったので、ゲッツーされずにスクイズを成功させられる可能性が高くなったのかな?
サードランナーはフミキ。「三橋!! 同点にするぞ!!」と声を掛けます。「おお!」と答える三橋。
というところで、以下次号です。

さて、スクイズが決まっても同点ですんで、勝つためにはもう1点取らないといけないんですよね。
延長になれば花井が活躍できる可能性も出て来るけど……やっぱりこの回で決着がつくのかなぁ。そうなると、またヒーローは田島ですね(←嫉妬)。




2019年3月号


今月のひと言。そこまで釣りかよ!?

9回裏、西浦の攻撃。
西広先生が気付いた大地君のクセは、ストレートを投げる時は声が出て、落ちる球だと声が出ない、ということ。
沖君も声が出ていることを指摘され、「え〜 言ってくれよ〜」と真っ赤になってしまいました。
西広先生が「佐倉も自分じゃ出してないつもりでも出ちゃうんじゃないかな」と指摘すると、阿部が「ダメ投手だな」と、すごく偉そう。
今度は「うう… 気を付ける……」と涙目になっちゃう沖君。「沖のことじゃないよ 多分」と慰めてあげる水谷はいい子ですね。
最初のバッターは田島です。西広先生に「ストレートで声の出ないことはなかった?」と聞いて、西広先生は自身を持って「なかった!」と答えます。最初に声がなかったのは田島への落ちる球で、その他に変化球は泉と花井に投げた1球ずつだけということまで覚えている西広先生。さすがです!
モモカンも「西広君 よく見てたね!」とほめ、「この情報は使っていこう!」と指示します。落ちる球はボール球だから捨てていき、打つのはストレートでボールには手を出さないことを注意します。
西浦が勝利するにはこの回で3点を取る必要があります。「3点取るよ!」と気合を入れるモモカン。

守る崎玉は、引き続き大地君が投げます。石浪君は、「四球気にしないで勢いある球投げろよ」と指示。「2点はセーフティリードじゃない 油断はするな」と注意しつつも、「リベンジの仕上げだ がんばろう!」と大地君をノせるのも忘れない。いい捕手ですね!
さて、バッターボックスには5番田島。観客席からは母たちの応援の声が飛びます。そこで、三橋母が「がんばれ ゆうくーん!」と声出しし、阿部母と花井母が「え ゆうくん?」と気が付きます。「うん そうそう このごろゆうくんみたい」と答える三橋母。阿部母が、「そうだよね それで”レン”になってる!?」と返しますが、「あ そうかも ゆうくんがレンって呼んでたような…… でも阿部君は阿部君だな」 うう、阿部が不憫! 阿部母は、「うちはレンになってるよ! 遠慮しないでタカヤって呼んでね!」と言っていますが、三橋の性格から言ってまだまだでしょうね。花井母は、「うちは………ないだろうなァ」とため息をついています。いや、それが花井だからいいのさ!

石浪君は、「7回は田島以降で3点取られてる こいつはなんとしてもアウトにする」と、何やらサインを送ります。
そして、大地君は「ふん!」と声を出しながら投げますが、それは落ちる球で、ストレートだと思って振った田島はファウルしてしまいます。
「えっ」とびっくりする西広君と、「落ちたけど!?」と表情を変える田島。
つまり、これも崎玉の仕掛けだったってことですね! 「大地の声に気付いてくれたようだ これで考え出すぞ 勝ちが見えた!」と、勝利を確信する石浪君。
次の球は「ふん!」と言いながら投げてストレート。田島は見送り、これで2ストライクです。
田島は「…っのやろ!」と悔しがりつつも、「9裏だ もう全部手の内見せただろうな」と、不敵に笑ってみせます。
石浪君は「追い込めたぞ あと3球の余裕がある!」と、次のサインを出します。
田島は「声出して球種を知らせてたのを 9裏で違うことをする なんで? 迷わせたいからだ 球種は2つ 落ちる球ならついてってカットできる ストレート!」と、ストレートにヤマを張ります。ですが、、次の球は落ちる球! それでも田島は追いついて当ててきます。打球はレフト前に落ち、田島は2塁でストップ。何だかんだで、ここは田島の勝ち。
タイムを取り、田島は西広君に「声なしだ 山はって打つしかない」と伝えます。西広君は責任を感じてしまって、「うんっ 打ってくれてありがとうっ ごめんっ」と謝りますが、そんな彼の背中を叩き、「やるべきことやってンだけだ!」と励ます田島。……悔しいけど男前だよな!
そこで、西広君は巣山君に、「声なしだ 山はって打ってくれ」と伝えます。(ここ、レガースを渡しているようですね。数が少ないから、共有してるのかな?)
西広君、「じゃあコレもウチに勝つためにはじめから計画してたことなのか? オレがあんなこと言わなきゃ みんな声なんか気にしないで打てたのか… やるべきことやっただけ なのに…っ クソーッ ひっかかってしまったー!!」と悔しそう。頭のいい西広君だけに、こういう仕掛けにかかってしまったのには堪らないものがあるでしょうね。でも、頭のいい西広君だからこそ引っ掛かったとも言えるな……
巣山君は、次の打者の栄口君に伝言を伝えます。栄口君は「そうなの? 3点取んなきゃなのに」とちょっと不安そうな表情を浮かべますが、巣山が「山はって打てって田島が」と伝えると、「まどわされずにってことね わかった!」と気持ちを切り替えます。
栄口君は「オレにはストレートしか投げてないし ベルト高に絞って振り切る!」と気合の入った表情。
石浪君は「ノーアウト2点差 ここは送らずに打ってくる」と読み、「右に打てば田島は帰ってくる 打ちたいのは当然 外だ」と、アウトコースを指示したよう。
栄口君はストレートと読みつつも、声なしを気にしてしまって見送り、ボールに。「声のことは忘れて」と自分に言い聞かせますが、次の声なしの球が落ちる球で、それを空ぶってしまいます。これで1ボール1ストライクです。
1球牽制を入れますが、田島は当然戻ります。「1回スゴイの見せられているからな 三盗はさすがにキチィか」と冷静。
次も落ちる球が来ますが、今度は振らずに見送って2ボールに。
しかし、これで石浪君にはストレート狙いがバレてしまい、空振りさせるために高目のストレートを指示。栄口君は案の定空ぶってしまい、しかも速さに驚いている顔。
これで2ボール2ストライクになってしまい、栄口君は「決め球が来る」と緊張感をみなぎらせます。ストレートか、落ちる球か……で、ストレートだと山をはりますが、落ちる球で空ぶってしまい、振り逃げもならず、1アウトとなってしまいました。
そして、次は7番水谷君! やるときゃやる男、フミキです!
1球目は見送ってボール。水谷、「おし この1球目が大事よ とにかく出ること なまじ打てっから打とうとすんだ」と、ちょっと成長を感じさせる冷静さを見せます。
石浪君は、「内は振る気なし 外を待ってんのか? なら振らせる」と、今度は落ちる球。水谷は振りかけてバットと止めます。石浪君は次は外にストレートを投げさせたかったようですが、真ん中に入ってしまい、ストライク。水谷は振らずに見送りです。大地君、「うひゃあっ」と、失投だとわかる顔をしちゃってますよ。
水谷はベースを外れ、1回素振り。自分を落ち着かせようとしている感じですね。
大地君は「真ン中打たれなくてよかった 空振りでカウント戻す!」と気を散り直して投げますが、水谷はまた見送ってボールとなり、スリーボールとなります。ここで石浪君がタイムを要求。
どうやら、水谷は四球狙い? 「思い入れが強いってことはプレッシャーも強いんだ オレが出れば同点のランナーだもんね 焦ってちょーだいよ」と、企んでいる顔に。
ここで、以下次号。

水谷が四球で出たら、8番は阿部なので長打で2点取れる可能性もありますね。9番は三橋ですが、1アウトのままで2点取れればバントもあり得るし。これは、勝てる可能性が見えてきたかも!?



 

2019年2月号


今月のひと言。……あれ? 石浪君ってノーヒットだっけ?

さて、9回の表の崎玉の攻撃。1アウトで次のバッターは沢村君です。結構ヒットを打っている打者なので、安倍は「ファウルでカウントかせぐぞ」と内角低目を指示。でも、相手に見送られてボールに。
相手も既に三橋の投球の基本はわかっているので、簡単にボール球には釣られないんですね。
次に、外角高目に速い球を投げますが、やはり見送られてボールに。3ボールにするのはまずいので、次は”まっすぐ”でストライクになる球を投げますが、それを打たれてしまいます。これで沢村君はヒット3本なんですね!
ここで阿部がマウンドに駆け寄り、「まっすぐ打たれたらしゃーねェな 切りかえろよ 9回は田島からだし 2点ならなんとかなる! あいつら抑えりゃ勝ち目あるぞ!」と声掛け。やっぱり田島なのか……くぅっ(←花井びいきなので悔しい)。
次は4番の大地君! 一番怖い打者であるうえ、「もう1本打つ!」と気合も入ってます。
阿部は「佐倉はここまで外を打ってる 打ったのと近いとこ投げて ファール打たす」と、外角高目を選択。三橋は「外 高目…は まずく ないかな」と迷っていますが、そのまま投げて打たれてしまいます。でも、打球はファウルに。
三橋、すごい顔で息をついてます。顔も真っ青。
そこで、阿部は1球牽制を指示。ランナーを刺すためではなく、落ち着かせるためのもので、すぐに次の投球モーションに入ったところ、ランナーに走られて盗塁を許してしまいます。三橋の投球がワンバンになってしまったので、阿部は二塁には投げられませんでした。投げてもセーフのタイミングだったと思いますが。
大地君は空振ってしまい、「ワンバンめずらしい」と思ってますが、その後、「あせってんのか? わかるよー! オレも今 投げってから ワンバンして苦笑いする気持ちわかるー!」と、ちょっと明後日な感想をモノローグ。でも、それから「がんばっていい球投げろよ オレも全力で打つ!」となるのが、スペシャルポジティブシンキングな大地君なんですよね〜
これで2ストライクですが2塁にランナーがいるので、打たれないことを優先した変化球でボールに。大地君は「そうか ストレートはもう来ないかもだ 変化球にタイミング合わせなきゃ」と、成長したところを見せています。
石浪君はネクストバッターズサークルから、「1ボール2ストライクだ 決め球は進塁打嫌って内だぞ 狙えよ!」と念を送っています。
次の球は、大地君の予想に反して”まっすぐ”だったのですが、内角というところは読まれていて打たれてしまい、サードの頭上を越えるヒットに。でも、二塁ランナーは進めず、ランナー一、二塁となります。
大地君は「打たされた〜っっ」とへこんでしまいました。「気持ちよく打たしてもらえない このバッテリーから頭使わないでホームランなんか二度と打てない」ということですよ! やっぱり阿部の配球は効いているのですね。
次は6番の石浪君。この人はある意味大地君よりも怖いバッターだと思っていたのですが、犠打1でヒットなしだったのですね。三橋のモノローグによると。阿部は「結果埋めることになってもいい だけど 気持ちは向かってけよ!」と、コントロール重視の配球のようです。「1球目ストライクから入るのは怖いが 考えて打つ相手にはカウント整えることが重要だ」ということですよ!
1球目はきわどいところでストライクだったようです。球種は変化球のようですが、どれかはわかりませんでした。そして、阿部は同じコースにもう1球と指示。三橋は「同じとこに 投げられるかな だいじょぶ はずれも1−1」と思って投げますが、うまく同じコースに行ってストライクに。これで2ストライクで追い込みました。
石浪君は「まずった 術中にはまっちまった 追い込んでから遊び球のないパターンも多い クサイ珠はカットだ」と対応しようとします。
阿部は同じところから少しズラしてボールになる球を投げれば手を出してくれるだろうとサインを出しますが、三橋は「…ど ど どーしよう でも… 2球見せた コントロールミスすれば打たれる」と迷ってしまい、ものすごーく迷った後で、下を向いて小さく首フリ。
阿部は「そうくるか」と渋い顔をしますが、「この球でなら空振りがとれるのに いいよ 尊重してやる」とサインを替えます。三橋は「う でも 外か もっかい首振るのは ムリだっ」と青い顔をしていますが、「でも 投げられない球にうなずくのは怖い ”まっすぐ”は前の打席でファールしてた」と思い直します。
石浪君は、「阿部のリードはここ一番では強気だ 内はない」と、外にくるのは見抜いちゃってます!
三橋は「打ち上げさせれば オレたちの勝ち!」と投球に入りますが、球が指に引っ掛かり過ぎたようで、やばい!という顔になっちゃってます。
それを石浪君に打たれてしまいますが、打った後、何やら意外そうな顔? 阿部の「よし こねた!」は、どういう意味なのかよくわからないのですが……
打球の勢いはありましたが、セカンドの栄口君はキャッチ! 三橋が泣きながら「ナイキャ!!」と叫んでます。
巣山君がベースカバーに入り、まずはセカンドで大地君がアウトに。次に巣山君がファーストに投げますが、これは間に合わずにセーフ! その間にセカンドランナーの沢村君がホームに向かっており、阿部が「沖 4つ!!」と指示します。4つ、つまり、ホームベースですね。
ここでクロスプレーになりますが。阿部のタッチが早く、沢村君はアウトに。
観客席で、阿部母が「おっしゃああ ナイス連係!!」、花井母が「あぶなっかしかったけど 結果オーライよ!!」と叫んでおり、玄人観客っぷりを発揮しています。その横で、三橋母が「3アウトよね? ね?」と、素人っぽい発言。
もちろん、これで3アウトチェンジな訳ですが、ベンチに戻りながらドバドバと泣き出す三橋。首振って打たれちゃったからかな?
気付いた阿部が、「うぜえ!! 結果0点なんだからいんだよ!!」と怒鳴ってしまい、そばにいた水谷をぎょっとさせてます。
阿部は「ホッとしたのもあり思わず思ったとおりにどなってしまった」と我に返り、一息ついて「おちついて」と自分に言い聞かせてから、「明日ミーティングの日だかんな どーいうつもりだったのか そん時キッチリ聞かしてもらう」と言うんですが……本人笑顔のつもりなのでしょうが、顔が怖すぎですよ、阿部さん! 泉に「何を? そして今のは笑顔か?」とツッコまれ、三橋にはカキンと凍りつかれ、田島が「解けろ! 試合中だぞ!」と三橋を揺さぶっています。何気に9組3人のなかよしぶりがかわいい。
そして、次は西浦の9回裏の攻撃の訳ですが……頼れるベンチワーカー、西広先生が大地君の球種に関して何か気付いたようです。
というところで、以下次号!

これは……また田島が活躍しちゃう流れかな? もう9回裏だから、花井には絶対打順が回ることはないので、また差がついちゃうなぁ。
花井びいきの私としては、そろそろ試合で活躍する花井が見たいです! 




2019年1月号


今月のひと言。この試合が始まって1年以上ですねぇ……

8回表、崎玉の攻撃。2点リードされた状態で、1アウト3塁。スクイズを警戒して1ボールとしたところからです。
ランナーは動きなし。阿部は次もボール球を要求し、崎玉のバッターが振りに出て止めたので、阿部はスイングを主張しますが、スイングなしで2ボールになりました。
阿部はスクイズはないとみて、次は空振りさせようと今度はスライダーを要求。前の球はシュートで、同じ軌道にするとスライダーは真ん中に入って来てしまうということですが、バッターは同じ球だと思って振るので空振ってしまうことになり、2ボール1ストライクに。次は打たせようと、また同じ軌道でカーブを要求。バッターは追い込まれる前に打たなければと振りに出て打ちそこない、サードゴロに。ランナーは動けず、1塁に投げて2アウトとなりました。
これで打ち取れてしまったので、せっかく先月に阿部が三橋との関係を立て直そうと思っているのに、また三橋は「やっぱり 阿部君は スゴイ わけわからなく ても 言う通りに 投げる」になってしまうんですよね。
阿部は「レンは投球に全く影響なし あいつにメンタルトレーニングは必要ねんじゃねーのか 自己評価1だけど」とかのんきに考えています。それどころじゃないぞ!
さて、次のバッターは1番サード、杉田君。1球目は内角へのシュートで、ボールになる予定だったようですが、バッターが振ってしまったのでストライクに。それならまた振らせようとしてか、真ん中からボールになるカーブでもう1つ空振り。追い込んだところで外角に投げさせ、明らかにボール球だけど振ってしまって3つめのストライクを取り、3アウトとなりました。

さて、西浦の8回裏の攻撃は、2番の沖君から。
その間、阿部は三橋に「首振れよ 気にするな」と言いますが、三橋は「サ サイン うん」とわかっていないので、阿部は更に「首振るサインじゃねェ お前がなんか違うと思ったら首振るんだ」と言いますが、たった今三橋は阿部君スゴイ、言う通りに投げようと思ってしまったところなので、タイミングが悪過ぎますね。
その間に、沖君はフライを打たされてアウト。次は3番の巣山君。
しかし、攻撃は丸無視で阿部の話は続きます。三橋は呆然としていますが、阿部は「なんもなくきゃいーけど なんかあん時はさ お前だって 田島に首振ってよかったって ”オレを頼れ”って言っただろ」と言います。
ここで、あの感動シーンがリフレイン! 夏大で美丞戦に負けた直後のあのシーンですね。三橋がニカって笑った時のあれですね。
しかし、あの時から1ミリも成長していないどころかむしろ後退してしまったようで、三橋は「で…すぎた こと 反省… ムリだっ」と言い出してしまいます。
阿部はイライラしつつ、「お前がちがうかもって思いながら投げてんのかもって考えると オレがキモチワリーんだよ!」と言いますが、三橋はブンブン首を横に振り、「おっ おもっ ないっ ぜんぜん」と、全くダメな感じです。
阿部はうーむ…っと考えてから、「田島には首振れて オレには振れねーのはなんでだ?」と聞きますが、三橋は「ア アベ君は スゴイ スゴイからだ」と言い出します。阿部は「おー きたな ほめ殺し」とは思ってますが、そんなこと考えている場合じゃないぞ! 
そうこうしている間に、巣山君もゴロでアウトになってしまい、4番の花井キャプに打順が回ります。次の打者は5番の田島です。ここで何とかしなきゃまずいぞ!
花井は「今日は四球で出ただけだ 同点にしたのにすぐまたひっくり返されて 3人で終わったらいよいよ流れがあっちに行っちまう」と気負います。
そんな花井の狙い球を絞るため、崎玉のキャッチャー石浪君は、外高目のボールを踏み込んで見送った花井を見て、外待ちと判断。そして、次は内角を要求し、花井を空振らせます。ニヤアッと笑う大地君に対し、石浪君は「お いい顔だ」と評価。花井はニヤリと笑い返しますが、ちょっとひきつってますね。負けてるぞ〜
花井は外内ときたから次は外かと思いますが、逆をつかれたようで打ち損じてしまい、外野フライでアウト。3アウトチェンジとなってしまいました。まずい流れですよ!
しかし、やっぱり阿部は攻撃は丸無視で、「ミーティングのみの日にオレのリード解説すっから」と言い出します。三橋は青くなって「うひっ」と悲鳴をあげますが、阿部は「うひじゃねーよ お前はそん時思ったこと言え オレも気付くことがあるはずなんだよ 2人でやっていいんだから 2人ぶんの力合わせた方がいいに決まってんだ 今 できねェなら できる方法考えるんだ」と言い切ります。ここの阿部、ものすごく男前です! これは……成長? オレ様阿部は確実に成長しているのか!?
そして、「おし この回は佐倉で切るぞ!」、「うんっ」と、グラウンドに出て行く西浦バッテリー。
マウンドに向かいながら、三橋はボロボロと泣き出します。……うれしかったのかな、これは……
ぎょっとした田島と巣山が、巣山「ダイジョブかな?」、田島「みたいだな」と目で会話してるところがかわいい。

9回の表、崎玉高校の攻撃も2番から。前打席でセーフティバントをした上村君なので、阿部は内野陣にバント警戒を支持。三橋は「この人は 早いカウントでも 打ってくる から きっちり!」と、サイン通りに真ん中から外へ曲がるカーブを打たせ、ファーストゴロで1アウトに。
そして、次のバッターは3番の沢村君。この次が4番の大地君なので、このバッターを塁に出さないことが重要になります。
一方、沢村君は大地君の前に塁に出ようと気合十分です。


と、いうところで、以下次号です。
試合にはもちろん勝ってほしいですが、それよりも阿部と三橋のバッテリーがどうなっていくかの方が気になりますね。腐的な意味じゃなくても。






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