2009年 アフタヌーン感想 後半




 

2009年12月号

今月のひと言。出たっ、タイトルテーマ!

さて、ARCの勝利に終わった準決勝第二試合。(花井母と水谷母も観戦していたんですね〜)
早速帰って練習の西浦メンバーですが、榛名と話したい三橋は何とが頑張って監督にお願いしようとしますが……「カ カッ キャントク」ってかんじゃった。かわいー…… そしてモモカンは冷静に「呼んだ!? 何!?」 おっとこまえ〜
うまくしゃべれない三橋を見かねて、阿部が「武蔵野の榛名さんがシニアの先輩なんで あいさつしてきてもいいですか!?」と助け舟を。しかし、阿部が「榛名さん」とか言っちゃうとすげー違和感ですね。

場面変わって、インタビューを受けているARCの塩入くん。記者の「榛名君はスタミナ切れしてたと思う?」という質問に、「いえ 4打席目より速かったです 140後半出てたと思います」と答えるシオくん。勝っても緩みがないところが男前ですな。その一方で、一般の観客らしき方々の評価は「榛名はちょっと期待はずれ」「粘りがない」「9回であんなガタガタになっちゃねェ」…… うーん。榛名に足りなかったのは投げる力ではなく、もっと別のところだった気がしますが、はたから見ると結果が全てなんでしょうね。
そして、観客の方々も「なんでムサシノ」と言ってますし、ARCの監督も「ウチに来てくれりゃあ」と思ってますが、榛名は榛名で理由があって武蔵野を選んだんだし、今回負けても、武蔵野を選んだことで榛名が後悔することはいっこもないでしょう。

試合後、泣いている武蔵野メンバーの中で、かたい表情で立っていた榛名。
それが、大河キャプや加具山先輩の言葉に涙して、「限界だったのはオレっす あんたらは 負けてねェ…………っ」と言う榛名を見て、この子は今のチームをホントに好きになったんだなぁとしみじみ思いました。榛名自身が自分の限界を感じたというところは確かにあるでしょうが、「あんたらは負けてねェ」って言えるのは、みんなを信頼して、それにみんなが応えてくれてるって実感があるからですよね。
武蔵野には榛名頼みの危うさがあると思っていましたが、逆に榛名が武蔵野のみんなに支えられて思いっきり投げることができたっていうところもあったんだなと思いました。

一方、榛名に会いに向かう西浦バッテリー。阿部はこの時点では「オレは何もしゃべる必要ねーだろ」とか思ってますが……
応援してくれた人たちに挨拶した後、榛名と秋丸、三橋と阿部が対面。人の顔を覚えるのが苦手らしき榛名、三橋のことを全然覚えていません。桐青戦のとき、既にぼや〜っとしか覚えてなかったですもんね。でも秋丸は覚えてて、「西浦のピッチャーの人」と。抽選会のトイレでぶつかったことを言われ、ようやく思い出した榛名、それで次にはいきなり「そーいやお前桐青に勝ったって!?」ですよ。相変わらずわが道を行く人だなぁ。三橋は「し しってる のか」とうれしそうですが、榛名は「はー 世の中何が起こるかわかんねェな」って、結構失礼な言い草ですな。
で、阿部の怪我に気づいて、なぜか阿部自身にではなく、三橋に「どうしたん?」と聞く榛名。で、三橋の答えが「あのっ ぶつかっ て ホームで ヒザッ」。秋丸は?を飛ばしてますが、榛名にはすぐに通じました。田島並みの翻訳力? 野球の天才同士、何か通じるものがあるのかしら…… しかし、怪我した人に向かって「ダッセ! クロスプレーでヒザやったンかよっ」って、何気にひでえなぁ。全然悪気はないようですが。
ですが、阿部はひとまず大人な対応。(「通じてる」ってことに気を取られて怒る気にもなってないようですし。……それとも、榛名の傍若無人ぶりには慣れてるから?) 「……えーと 今日は残念でした」と、無難に。それから「全力投球ですか 今日の球」と聞きます。で、榛名に「そーだけど それが何か?」と答えられ、一瞬黙った後、ふうっと息をつく阿部。この辺で、”言ったろう!”って決意を固めたのかしら? 次の阿部の顔が、すっげえイヤミ! 言うことも、「最後の球が今日1番速かったと思います 中学ン時ならあそこで全力はなかったっスよね」と、ほめてるよーでほめてない!
でも、榛名には全然通じてなくて、「はァ? なんで? 中学だろが なんだろが あそこは全力だろ」と、しれっと。
阿部はこれでプチ切れしてしまった様子。んで、「イヤイヤ成長したんスよ だってあんたは負け試合と判断したら1球だって全力じゃ投げねっつー人間でしたよ」と、もうオブラートに包むのは一切止めて言っちゃってます。
榛名はちょっとズレてて、「何言ってんの? 中学でオリャがんばりすぎて半月版――……」と言いかけて、「ああ! 何! シニアン時のことかよ!」と言っちゃって、「ったりめーでしょーが!!」と、阿部をマジ切れさせました。
ここで、阿部はいったん我に返り(その後ろでビクビクしてる三橋が……)、「別にンな昔のことムシ返して文句言いてんじゃなくて」と気を取り直し、「今はちゃんとチームのために投げられてて 良かったなってそんだけすよ」と、イヤミモードに戻ってみたり。
榛名もそこはわかって、「ホントはもっと昔のこと文句つけてんだろ 本心と違うこと言っててキモチワリ」とストレートに言っちまいます。確かに本心と違うんですが、阿部の怒りが再燃しちゃってます。
で、秋丸にシニアで同じことしてんじゃんと言われ、てめーと一緒にすんなと激昂している榛名に、更に阿部が切れて、「常にってこたないでしょ 関東の試合放り出したこともあったのに」と、とうとう例の核心の話を持ち出してきちゃいます。(その後ろで真っ青になっている三橋が……)
ここからの、阿部と榛名の会話がすごかった。阿部、結果的に、言いたかったことを全部さらけ出しちゃったカンジですね。榛名に会う前は、そんなことする気は全然なかったのに。

「エースが全力でチーム引っぱってくれりゃあ 流れなんか変えられます」

これ。これが、阿部の一番言いたかったことですよね。榛名は阿部にとって、チームにとってエースだったのに、榛名はエースのやるべきことを果たしてくれなかった。
榛名は、中学の時は”エースとはそういうもんだ”っていうことはわかっていたんだろうと思います。でも、シニアにいた頃の榛名は、エースであってエースじゃなかったんですね。そのことを、当時の榛名はわかってなかったんでしょうね。

榛名は阿部の一番言いたかったことを聞いて、最初はきょとんとして、「お前 それをずーっと怒ってんのか?」とか言っちゃって、「成長したとかチームのために投げてんならとか言っちゃって! ほんとはずーっと怒ってんだ! 2年も前の話だぞ!」とか言っちゃいますが……(しかし阿部、「ほとんど忘れてましたよ!」ってのはウソだよね?)
でも、「もしかして ”最低”扱いもそれで?」と気づく榛名。
そして、「あン頃 オレ 性格悪かったんだよ」と言った時の榛名の表情。今なら、榛名はシニアの時の自分がどうだったのか、客観的に考えられるようになっているんでしょうね。阿部も、「それは 今なら 少しわかる」と思ってますが、それはやっぱり自分が怪我をしたからなのでしょうね。
榛名は「いろんな人にあン頃のこと今だに怒らえっからさ きっとオレがわりーんだ」と言って、それから、「おめーにも悪かったな」と……榛名が! 榛名が謝った!
驚く阿部。声も出ない秋丸と三橋。
でも、でもですよ。
「でーもーさーっ」から始まって、「全力の球ァ使わなかったけど コントロール気ィつけたし オレ あの日投げた中じゃ 一番長く投げたうえに一番点取られてねんだけど!」「負け試合で故障とかぜってーやだし 80球だって中坊にとっちゃ当然の制限だしなぁ」「あやまるとしたらさんざんボールぶっけてやったことか?」「でも捕れねーのはオレのせーじゃねーしーっ」と、榛名はやっぱり榛名でした。謝ったんだから、こっちも言いたいこと言ってやんぞーって感じですかね?
阿部ぼーぜん。怒り再燃でフルフルしてます。
しかし榛名、その後、阿部が一番言ってほしかったことを言ってくれます。

「1人でもぜってー立ち直ったけど おめーが捕ったり取れなかったりしてくれたおかげで イヤな時間が1年で済んだっつーかな」

この言葉で、阿部はかなり救われたのではないでしょうか。
自分がしてきたことが相手にいくらかでも受け止められていたんだと思えた瞬間でしょう。

この後の阿部、全然感じが違いますもんね。

三橋に、「聞きてーこと聞けば」と声をかける阿部。いつも通りの態度に見えますが、何か一区切りつけたって感じです。
で、三橋が榛名に何を聞くのかと思ったら……
「あ あの あ きっ きっ 筋肉 さわっ 触っても いーですか」
い、意外! そうくるとは思わなかった!
榛名も意外に気軽に「いーけど あんま強くすんなよ」と応じてくれました。やっぱり投手同士だからでしょうか? なんだか申し訳ないキモチになってる阿部がかわいい。
触ったら、ふわっとやわらかいんですね! 榛名、「これがいー筋肉なんだぞ!」と得意気。そして、三橋の肩を触って、「お前は? 何コレ 骨? これで9回もつか?」と、やっぱりストレートに失礼です。これが榛名か……
もっかい触らせてもらって、「ス ス スゴイイィ」と言っている三橋と、「これつくんの大変なんだホント」と自慢げな榛名。投手同士、やっぱり通じ合うものがあるのでしょうか。意外に気があっている? 阿部は「えーと なんだコレ」と、理解不能なようですが。

そこへ、戸田北の監督が登場! やっぱり、榛名も監督には礼儀正しいのですね。ちゃんと帽子をとってます。「みっともねーとこ見せて スンマセン」と、しおらしい態度です。
阿部と三橋が戻った後、秋丸も追い払う榛名。(シッシッて、犬扱いですか! でも、秋丸も気にしていないみたいですね)
榛名は阿部の言葉を思い出し、監督にも「あの頃はホント勝手して……」と謝ろうとしますが、監督は「それ承知で引き受けてんだから そんなのはお前の気にすることじゃないんだよ」と言ってくれます。
監督が言いたかったことは、榛名の実力は球の速さだけではなく、あの頃からエースを背負えるだけの力があったんだってこと、でしょうか? その期待に榛名は十分に応えられたとは言えなかったと思いますが、その頃投げられる場所があったから今の榛名がある訳で、必要なことだったのでしょう。

一方、榛名に追い払われた秋丸は、先輩たちから指導(?)を受けていました。
ここの加具山さんの言葉がすごくいいですね。(かわいいし!)
「お前 自分に夢見てっか?」「オレは 榛名といたら 自分の夢がスゲーでかくなったよ」「オレが3回抑える! 榛名があと7回! それならオレ どこまで行けちゃうんだろうって」「スゲエ妄想した」(ここでフクちゃんが「わかるわかる」と)「妄想すっと 案外 行動がついてくんだよ」「夢は叶わなかったし 最後の試合は投げらんなかったけど オレ 今の自分をいいなァって思う」
これ! 榛名にも聞かせてやりたいね! 榛名がいたことで武蔵野チームにもたらされたプラスの効果って、すごい大きかったんだな!
大河キャプの、「自信があるって スゲェいいよ」「しらんうちに顔が上向く マジで」「知ってっか? 自分のための練習は ちっとも辛くねーんだぞ!」もよかったです。だからこそ、春日部に勝てたし、ARCに対しても「勝てる!」って思いで挑めたんでしょうね。
なのにイマイチ秋丸には伝わっていないようで……
でも、榛名が「オリャ ホンキで反省しました」「あとはオレがなんとかします!」と言ってるし。阿部や戸田北の監督と話して、榛名もいろいろと思うところがあったのでしょうね。
負けた後の武蔵野がすごく雰囲気がよくて、次に期待が持てるなと思いました。(でも、春には加具山先輩たちはいないんだよね……それは悲しい)

そして、三橋と阿部。
三橋が聞きたかったことは「速い球の秘密」だったそうで。阿部は「それ聞いてないじゃん!」と言ってますが、筋肉触らせてもらったことで三橋には答えがわかったんでしょうね。
阿部は「イミわかんねェなァ」と思いつつ、「で 教えてくれたのか?」と問いますが、三橋はいろいろふっ飛ばして、

「だから オレ 阿部君 オレは 振りかぶって投げる!」

出ました、タイトルテーマ! そういうことだったのね!

まあ、これだけじゃ読者も阿部もわかんなくて、阿部は「イヤちょっとさ 何がどーしたのか さっぱりわかんなくて イラッとすんだけど!」と叫ぶことになるのですな。
三橋の答えは、「は 榛名さん スゴイから 筋肉 オレ ふりかぶる…」で、阿部の翻訳は「振りかぶって 筋肉ない分 少しでも補おってことか?」。
翻訳正解で、阿部、ちょっとうれしそうです。よっしゃって感じ?
阿部は、「お前の目指す方向考えたら オレもそれがいいと思うよ」と、三橋の考えを肯定します。
ここで三橋が見せた笑顔が! 「一緒に強くなろう」のときの笑顔と同じくらい全開の笑顔ですよ! しかもセリフが、「阿部君 あっ ありがとうっ」ですよ!
このセリフ、桐青戦の途中で言って阿部を泣かせたセリフと一緒ですが、あの時は自信なさげに言ってた言葉を、こんな笑顔を浮かべて言えるようになるなんて……感無量ですな!
なのに、阿部はあの時みたいにびっくりしたりしないで、「別に当たり前のことしか言ってないし」とかつれないですが、三橋は「あたり前」もうれしいみたいなのでいいか。
そして、阿部も「やってみてーことがあんだけど」。ここで、三橋が「おおっ な なんだっ」と言ってますが、これって言葉が途切れたんじゃなくて、阿部に対する口調がくだけてきたってことなのかしら……? この試合の途中から、三橋の口調がちょっと変わってきた気がします。阿部に対して遠慮が少なくなってきたような……まだまだ対等とまではいきませんけどね。
阿部の「やってみてーこと」とは、三橋の「4つ目の変化球をモノにする」こと。
おおっ! 1巻からずっと気になってたんですが、三橋の4つ目の変化球ってちゃんと伏線になってたのね! 
どんな球なのか、次回が楽しみですな。

そして、バスに乗って帰る武蔵野メンバー。
「おつかれさま」と言う涼音ちゃんに、「お前もな」と答える大河キャプ。「負けちってゴメンな 今まで ずっとあんがとう」
涼音ちゃん、感動して大河キャプに抱きつき。こういうことをちゃんと言ってくれる大河キャプの人柄に涼音ちゃんはホレたんですかね。
ショックを受けているらしい榛名。まだ未練があったか!? 

ラストは、ランニングで戻る西浦っこたち。
三橋は「オレは 榛名さんにも 誰にも 負けない!」と決意。
榛名のすごさ、自分との違いを認識したうえでの三橋の決意。これは強いです。
三橋はすごく精神的に成長したという気がしますね。
それに釣りあうような成長を、阿部ができるかどうか……
榛名と話したことで、阿部は一山越えたとは思うのですが、まだ完全に過去を吹っ切れた訳ではないと思います。阿部にはまだ、榛名という最高の投手と出会ったのに最低の終わり方しかできなかったという悔いが残っているのですから。それを、じゃあ今度は三橋といいバッテリーになっていけばいいんだと、うまく切り替えられるのかどうか。まだまだ阿部は榛名を引きずるだろうという気がします。今回理解できてしまったことで、余計に引きずるかもしれない。でも、過去には戻れない。あの頃のことを自分の中で整理をつけて、新しい道に進んでいければいいのですが……
まだ阿部は、過去を乗り越えるためのスタートラインにつけたに過ぎないという気がします。本当に、阿部があの時の「一緒に強くなろう」という言葉に見合うような自分になれるのかどうかが、これから問われてくるのだと思います。

ともあれ、ここは大きなターニングポイントなのでしょうね。
しかし……だからと言って、こんなに盛り上がったところで休載というのは悲しい! 単行本の作業のためなら仕方がないけど……
来月はアフタを買おうかどうか迷っています。(まあ、他にも気になる連載があるので買っちゃいそうですが。他のは単行本になっても買わない場合が多いからねー) 



2009年11月号

今月のひと言。か、加具山せんぱい〜〜(泣)

8回の裏、ARCの攻撃。先頭打者デッドボールでランナー1塁からでしたが、続く6番にも連続デッドボール!
三橋は「疲れた?」と思い、阿部は「もう100球超えた 今までサボってたツケが回ってきてる」と思ってますが……榛名はサボってた訳じゃないぞ。これだけは弁護したい。まあ、1試合で80球までしか投げないってのが、ある意味「サボリ」なのかもしれないけど。試合で投げきる経験を積んでなきゃ、パワー配分できませんもんね。
7番には、まずストレートですかね? 見送ってボール。2球目はスライダーで、空振りでカウント1−1。ここで、町田さんはスライダー狙いを疑いますが、榛名はストレートを投げさせるための空振りを読みます。それで、カウントを有利にするためにもう1球スライダーを投げますが、それは引っ掛けてピッチャーゴロ。榛名の捕球が早かったので、町田さんは3塁フォースアウトが可能と見て3塁に投げさせますが、送球がそれて3塁セーフ! てことは……ノーアウト満塁ですよ!
三橋が「ランナー 全部 榛名さんのミス だ!」とモノローグしてますが、これは投手としては相当つらい展開ですね。特に、3塁に間に合わなかったことは……
町田さんがマウンドに行って声かけ。やっぱり、「100球でどーにかなるよーな鍛え方してねーよな!?」って言ってますよ! 阿部に聞かせてやりたいね!
次の8番は今日はノーヒットで打ったライトフライも浅いので、ここでも浅いフライを打たせるというのが町田さんの指示。1球目はカウントを有利にするためか、内角低目のスライダー。それはちゃんと入って、カウント1−1。次で打ち上げさせるため、町田さんは高目の速球を要求。で、ここで、榛名は「町田さんのカオ狙ってえ…っ」ってモノローグしてますが……をい。人に当てるイメージしなきゃコントロールつかんのか、おまえは!? そういや、「秋丸の右肩ぶち抜くイメージで」ってのもやってたね。秋丸だからそんな狙い方するのかと思ったら、誰でもそうだったのね……
で、高目の速球を投げますが、相手は打ち上げず、ヒットになって7点目! 4対7で3点差になってしまいます。しかも、まだノーアウト満塁!
ここで、大河キャプが最後のタイムを使って内野陣を集めます。3点差ならまだいけると発破をかけます。「どんな打球もぜってぇぜってぇ止めんぞ!」という大河キャプの言葉に、内野陣は明るい表情で応えていますが、榛名は厳しい顔のまま。やっぱり自分の責任だと感じてるのかな?
続くバッターは9番、ピッチャーの太田川くん。ベンチの涼音ちゃんはスクイズがあるかもと思い、「バント 気をつけて!」と声をかけます。でも、ARC監督のサインは外野フライで犠牲フライ狙いのよう。町田さんは低目でゴロを打たせる指示。ですが、打った打球がピッチャー横を抜けちゃいます!
ヒットになるか!?……と思いましたが、ショートが間に合って、そのまま2塁ベースをタッチしてアウト! 更にファーストに送って2アウト! ダブルプレーを決めますが、その間にサードランナーが還って8点目が入ってしまいました。ノーアウト満塁からにしては上出来な展開ですが、ここで4点差はキツイ……(ところで、ショートって私の好きな福ちゃんなんですよね! 好きな選手が活躍するとやっぱりうれしいな〜)
さて、ツーアウトまで来ましたが、まだランナーは3塁にいます。(セカンドでアウトになったのはファーストランナー、ファーストでアウトになったのは打者、サードランナーはホームインして1点で、残るセカンドランナーがサードに到達している訳ですね) 打順は1番に戻って北川さん。ヒットを打たれている相手です。1球目はまだ打たれていないスライダーを外低目に入れますが、それをバントされ、3塁ランナーがホームイン。1番は足が速く、1塁もセーフになり、9点目が入ってしまいます。
榛名、悔しそう。町田さんもしばし呆然としてしまいますが、気を取り直してマウンドに向かい、榛名に盗塁警戒を指示。ここで、「――オイ 変なコト考えてねーだろうな?」と町田さんが榛名に訊きますが……これは負けること考えてねーだろな?ってことですかね? それとも、自分のせいだとか思ってねーだろな?ってことでしょうか? 榛名の返事は、少しの沈黙の後、「勝つことだけ考えてます!」 こういうやり取りができるあたり、榛名と町田さんもなかなかよいバッテリーだなーと思いますね。
三橋は死球2つとエラー1つを出してしまった榛名の気持ちに思いをめぐらせていますが……三橋だったらまだ、榛名みたいに「勝つことだけ考えてます!」とは言えないでしょうね。性格の違いもあるでしょうが、チームにおける自分の立ち位置の自覚の違いかな? 榛名は自分がチームの柱だってことを、嫌ってほど自覚しているでしょうからね。
ファーストランナーの北川さんは、榛名の表情から投球に入ることを判断してスタートし、2盗成功。「眼光鋭いヤツのがわかりやすいんだよね」、だそうです。
3盗も警戒してますが、1回牽制してバッター勝負に切り替え、3盗も成功されてしまいます。
町田さんはまたマウンドに寄って行って、榛名に声かけ。このやり取りがまたいい感じですね。二人で小芝居って感じで。
三橋はそれを見て、「大丈夫 だ! 榛名さん 声 かけて もらってる!」と、無理矢理自分を安心させようとしているような顔。たぶん、自分が榛名の立場で、5点差背負ったうえに2死球だしてエラーも出してたら……って、リアルに考えちゃってたんでしょうねぇ。
次の2番は内角狙いの選手だというデータで、見せ球のスライダーを外角へ投げますが……ここは相手がスライダーを狙っていたので、うまく合わされてヒットになってしまいます。
これで10点目……さすがに声が出なくなる武蔵野ベンチ。
それもそのはず。これで6点差。後1点入ったら7点差で、高校野球ではコールド負けになってしまうのです。
再び声を張り上げて声援を送る武蔵野ベンチ。ずっと声が出ていなかった秋丸も、「榛名 がんばれ!! 打たれんな――!!」と……秋丸の「場違い?」もちょっとは変わってきたかな?
次のバッターは3番、期待の1年生、塩入くん。
1球目は、空ぶっている内角スライダーを入れますが、ファーストランナーに走られてツーアウト2塁に。カウントは1−0。もう1球スライダーを続けますが、これはボール。3球目もスライダーで、ファウルになってカウント2−1。
ここで決め球、全速力のストレートを要求しますが……それを塩入くんに思いっきり打たれ、ライトまで運ばれてしまいます。
フェンスに当たって跳ね返ったボールをライトの加具山さんがつかみ、投げようとしますが……既にセカンドランナーがホームインし、コールド負けが決まってしまっていました……
ここの加具山さんの表情が! しばし呆然として、うつむいて、それから整列のために走り出すところが……つ、つらい!
たぶん、加具山さんのせいとかじゃなくて、あそこまで大きな当たりだと、バックホームは間に合わなかっただろうと思うけど……でも、投げることすらできなかったんだもんなぁ。痛々しいです!


ああ、でも。武蔵野はこれから、榛名に頼りきりだった自分達のことを反省することになるのかなぁ。勝つためには他に選択肢がない状況下でのことでしたが……
準決勝でコールドってのも、高校野球ならなくないけど、痛いよな……


試合が終わった後、三橋と阿部はしばらく動けずにいたのでしょうか。他の観戦者はどんどん球場を後にしていく中、二人はまだ座っていました。
ここで、三橋が意外な発言を! 「あ のさ 阿部君 はるっ 榛名さん あいさつ行く?」と! おお! まさか三橋から言い出すとは思わなかった!
しかも、阿部が乗り気じゃなさそうなのに、「行こお!」といつになく積極性を見せております! さすが、強くなる決意をした三橋は今までとは一味違いますな!
次号では、三橋と榛名がどんな会話を交わすことになるのか……楽しみです!

(しかし、三橋がどもって意味不明で、榛名がイラついて会話成立せず……とかにならないことを祈ろう。田島がいれば通訳してくれるけど、ここで田島を絡ませる訳にはいきませんもんね)


2009年10月号

今月のひと言。いろいろあったけど……やっぱり西浦が出てこないと盛り上がらないな〜

まずは表紙! 榛名と三橋のピッチャー対決! この二人の表情の違いがいいですね。榛名は闘志を見せつつ余裕あり気で、三橋はいっぱいいっぱいっぽいけど、それでも立ち向かっていく表情で。いつかこの二人の試合での勝負が見たいですね〜

さて、試合は8回へ。2対6でARCリード。武蔵野の攻撃です。
なのですが……榛名はベンチ裏に引っ込み、縛ったタオルを壁に向かって全力投球! 秋丸のミスのせいで点を取られてしまった苛立ちをぶつけている訳ですね……
榛名を追ってきた秋丸は、それを見て「オレが怒られて済むなら そのーがいーか」と思い、榛名に「えーと… なぐられても文句言いません」とか言っちゃいます。余計榛名は怒りますって!
この辺の榛名と秋丸の会話が、幼馴染バッテリーならではという感じですね。小学校5年生のときのことまで持ち出し、中学のときのグァム家族旅行や塾通いのことまで責められ……秋丸もちゃんと覚えてるし。でも、「だから お前は違うってわかったから お前のことは放置しただろ!」って、そこまで言うことないでしょうに! (それにしても、榛名は秋丸に何にも言っていないと思っていたのですが、小中学生の頃はがんばって秋丸を引き上げようとしていたのね。それが「放置」という結論に達するには何かキッカケがあったのかしら? それとも、小さいことの積み重ねだったのかしら……)
しかも、「オレみたいのがイヤなら 強いとこ行けばよかったじゃん」という秋丸の言葉には、「オレを追ってきたのはオメーだろ?」と返す。うわー、ひでえよ榛名。
でも、「じゃーなに オレ 先輩と同じ練習 こなしてんじゃん」という秋丸の言葉に対して、榛名ががっくりしている様子なのも、何となくわかる。やっぱり同じ練習こなすにしても、意識や目標をどこに持つのかによって全然違うのでしょうし、秋丸が捕手としてランクアップしていくためには”みんなと同じ”じゃ駄目なんでしょーしね。
だからと言って、「スキなだけ補欠やってろ」って、こんな言い方されたら秋丸だって怒るでしょ! むしろ、ここまでキレずに保った秋丸はえらいと思う。私だったら「放置」でもうキレたね。
秋丸としちゃ、榛名にガキの頃、「おまえキャッチャーな」と言われたあの時から、ずーっと自然に榛名に引っぱられ続けてきた訳ですからね。榛名がピッチャーとしてすごかったからってこともあるでしょうけど、ガキ大将と子分の関係がピッチャーとキャッチャーの関係に転化されてしまって、そのまま継続してしまったって感じなのかなぁ? そういう意識で野球をしてきてしまった秋丸だから、榛名に合わせるという気持ちでしか野球に向き合えなかったのかもしれない。でも、それは秋丸を諦めようと思っても諦めきれていない榛名にとっても、自分の野球部における価値を榛名の「カベ」としてしか考えられない秋丸にとっても、双方に不幸なことではないかという気がしますね。特に秋丸は、どこかで榛名から離れて自立しなきゃいけないのではないかと思います。いっそのこと、野球以外に自分の打ち込めるものを見つけるって道もあるんですからね。「武蔵野に来たってしょーがないだろが!」と秋丸が言ってしまうのもしょーがないとは思うのですが、いつまでもそこに留まっていてはならないのではないでしょうか。
榛名は「口先じゃかなわねんだ 相手にすんな イライラしちゃダメだ あいつには期待しない…」と自分に言い聞かせています。そう自分に言い聞かせなきゃならないってことは、本当はまだ期待しちゃってるんでしょうね。榛名については、来年のことを考えるなら、何が何でも秋丸を変えることに腹をくくるか、本当に諦めて別のキャッチャーを探すか、どちらかを選ばないといけないでしょうね。

さて、ベンチに戻ってみると、武蔵野のトップバッターの福ちゃんがツーベースを打っていました! きゃーっ、福ちゃんかっこいい!
ARCは、1年生ピッチャーの太田川くんを育てるという意味もあって、太田川くん続投です。8回に来て、太田川くんは変化球が甘くなっているようですが、コントロールはいいようです。
2番バッターの戸塚さんは、打球を詰まらせてファーストゴロにしてしまうものの、ベースカバーに入ったピッチャーとセカンド(だよね?)が交錯してしまい、ファーストが投げられずにセーフ。その間のセカンドランナーも3塁に進み、ノーアウト1、3塁となります。次は3番の町田さん。1球めファールでカウント1−0となったところ、2球目で戸塚さんが盗塁を決め、ノーアウト2、3塁となります。町田さんが3球目のカーブを打って外野まで運び、犠牲フライで3点目。これで3対6となります。
「3点差!」と身を乗り出す榛名。壁にタオルをぶつけていた時とは別人のような表情ですね。
続いて、4番の大河キャプ。「ワンヒットで2点差だ 大河さん!」と祈る榛名。(ますます別人だって)
大河キャプは1球目のカーブをファーストゴロにしてしまいますが、補球して直接タッチしようとしたのをうまく交わしてセーフ。これで1死1、3塁です。
続く5番の中山さんは、カーブがくると予想していましたが、吉田捕手の配球はストレート。当ててしまってショートゴロ、ゲッツーコースでしたが、セカンドがアウトを取った後、ファーストランナーが突っ込んできたのでぐらついてしまったため、すぐに投げられなくて打者はセーフ。その間にサードランナーがホームインして4点目です。
吉田捕手は、太田川くんに「この回のヒットははじめの一本だけだ ホントなら1点も入ってねェ」と言って落ち着かせます。太田川くんも、「はい! 大丈夫です!」と、よいお返事。まだ2点差ありますしね。
それにしても、1ヒットで、相手側の野手のミスが続いて2得点……高校野球ならありえなくもない展開ですが、ちょっと出来すぎ? ここまで武蔵野に流れがくるような展開じゃなかったですからねぇ。前の回、町田さんの好返球で6点目を防いでのチェンジだったら、いい流れで得点というにも納得できますけど。
ここで、アウトになって戻ってきた大河キャプを榛名が呼んで、キャッチャー交替についての相談。「秋丸の正体 完全にバレたんで 町田さん戻ってもらった方がいいと思うんスけどね」と。秋丸、気になっている表情で二人を見ていますが、自分から何か言おうとはしないんですね。
大河キャプは、「だけどオメーの全力投球ナシで打たれたら 町田はスゲー後悔すんぞ」と指摘しますが、榛名は「ンなの 秋丸のミスで負けたら誰も納得しねっすよ」と返す。おまえ、もうちょっと言い方ってもんが……
そこへ町田さんが割り込み、「ランナー出たあとはオレが捕る― んでいんじゃねーか?」と提案。そして、榛名の全力投球についても、「とにかく後ろへはやんないから 手とどく範囲に投げろ!」で、ツーシームは「体はって前へおとす!」と。(あ、榛名の新しい変化球って、ツーシームだったんですね) 町田さんは、自分が足りない部分を懸命に補おうと考えているのが伝わります。
ここでようやく秋丸が話しに入ってきますが、「…あんの〜〜 とりあえずオレ まだマスクですかね?」と、ゆるい! 大河キャプが「お前が最後まで座っていられたら1番いんだけどな」と言ってますが、これは秋丸は榛名の全力投球が捕れるからってことで、深い意味はないのでしょう。町田さんもその点では秋丸を認めてるみたいだし。
秋丸は、「こんだけ お前中心の世界にいて オレが子分以外の何になれるってのよ」とモノローグしてますが…… そうかもしれないけど、これはちょっとイライラするな。人間、そんなに割り切っていつまでも誰かの付属物でいられる訳ないんだから、付属物が嫌ならもっと野球で努力するか、野球に思い入れがないなら他の道を探すべきではないでしょうか? 榛名だって、いつまでも秋丸が後ろからついて来てくれてちゃうから期待もしちゃうんだし。どっかできっちり決着つけないとダメですよね〜
そして、武蔵野が三振でアウトになってチェンジ。大河キャプが「カグヤン ライト準備しといて!」と声を掛けて守備に出て行きます。(思えば、この後の9回表の攻撃は、武蔵野は下位打線から。攻撃力のことを考えても、秋丸を出しておく訳にはいかないですね。9回で逆転できなきゃ負けな訳ですから)
8回裏のARC攻撃は5番の増田さんから。榛名は1球目のストレートで、いきなりデッドボールでランナーを出してしまいました! この「しまった!」という表情を見ると、まさかわざとではないのでしょうが、打ち合わせどおり選手交代です。町田さんも防具をつけに行きがてら「オイオイ わざとか?」と聞いてますが、「なわけねっしょっ」と怒ってますしね。
ここで、ライトに入る加具山さんが走ってくるのですが……この「すったかたーっ」って擬音がかわいい…… んで、榛名の背中にどかっと体当たりを食らわし、「ガンバレよ!」と声をかけ、また「たったかたーっ」とライトへ走っていきます。きゃー、加具山先輩かわいー! 今月号で一番テンションが上がったのがこの場面でした!
町田さんが防具をつけるのを手伝いながら、秋丸は榛名の現在の状態を伝えます。この辺はちゃんと捕手の役割果たしているよなーと思うのですがね。榛名の投球に関することだけは秋丸は平均以上な訳か……
秋丸は、榛名にとっての自分が、「ただ球を捕って投げ返す道具としては便利なやつ でもそれ以外の機能はなーんも期待されてない」と思っている。どなたがか感想で書いていらっしゃいましたが、これって阿部が榛名にとっての自分が何だったのかってことで今辿り着いている結論と同じですね。二人の捕手にそう思わせてしまう榛名にも何かしら問題があるんでしょうが、阿部と秋丸とでは原因が違うかなぁ。阿部の場合は、7対3くらいで榛名の方が悪かったと思うのですが、秋丸の場合は五分五分という気がします。
秋丸は「オレいつから 榛名にあきらめられてんだろう……」とモノローグしてます。これ、切ない気持ちがして秋丸に同情しそうになるんですが……でも、秋丸はまだ榛名とやり直すことができる可能性があるんですよ! それをしないで、自分から榛名に見切りをつけることもしないで、榛名はオレを道具扱いしてるって言ってるだけじゃダメでしょう! あきらめられて、それでいいって思うんなら道具に徹すればいいし、それじゃ嫌なら野球で努力すればいい。野球で努力する気にもなれないなら、秋丸はもう思い切って榛名から離れるしかないでしょう。いつまでも幼馴染を引きずってはいられないんだから。


さて。キャッチャー交代が武蔵野にとって吉と出るか凶と出るか……
とりあえず、来月号はこのキャッチャー交代を阿部がどう考えたのかが知りたいですね、ぜひとも!



2009年9月号

今月のひと言。やっと花井キャプが出てきたーっ!

さて、准決勝7回裏。ARCの攻撃です。最初はモモカンの分析から。(ちなみに同じコマに花井と田島がいる! キャーッ、久し振りのツーショット! 真剣な顔の花井とわくわくしつつ真剣な顔の田島がかわいいです) 
武蔵野はARCの1年生投手から2点しか取れなかった訳で、もし打ち崩せたとしても次にもっといい投手が控えている。それに対して、武蔵野は榛名が駄目なら後は加具山さんしかいない。モモカンはそこまで言ってませんが、言い換えれば、加具山さんは残念ながら投手としては榛名よりは落ちるので、榛名が駄目ならもう勝てないってーことになりますね。
モモカンはARCの榛名攻略法を参考にする構えのようです。ARCの攻略法が西浦に出来るかどうかは別問題でしょうが…… まあ、最初から選手達にも自分達が試合するとして勝てる方法を考えながら観るように言ってますしね。
前回、先輩達から後2点絶対取ってやると言われて気持ちを切り換えた榛名。榛名の野球に対する姿勢を見て武蔵野の他の選手達が変わってきたってこともあるんでしょうけど、自分のがんばりに答えてくれる周りを見て榛名の気持ちも変わってきたんでしょうね。最初は「それでもいいと思ってた」訳で。それが今は、チームのエースとしての自覚が出てきた感じ。ここで、「町田さん 準決は 満足しねェって言った わかってますって」と、正捕手の町田さんの名前が出てくるのがちょっとうれしいですね。(榛名……冷静なときはちゃんと先輩は先輩扱いなの? 『マッチン』とか言ってたのはどこのどいつだ?)
ARCの打者は、7番の松原君から。ARCは太田川くんが2〜3点とられるのは予想の内で、ARCの得点予想は7〜8点。榛名からそんなに取れると! 選手をその気にさせるためってこともあるのかもしれませんけど、王者の余裕ってのもありますかね? そして、その気になった松原君は初球を打ってヒット!
ここで、久々ににしうらーぜの会話が! 「7番にも打たれたか やはしARCなんかな」と、花井。栄口くんが「2三振なのに初球から振ってくるのがいいよね」と言ったら、「そんくらいはオレだってできンぞ」と、久々に強気発言の花井キャプです。「3打席目だし、慣れもあるよ」とは、冷静な巣山の言。「え あの球3打席で慣れんの?」は栄口くんかな? その横で田島が「榛名 球威落ちたかな?」と思いながら、榛名の投球に集中。しかし、花井と田島は隣同士に座ってるのに全然会話しませんね……
ノーアウトでランナーを背負った榛名、1回牽制をしてから、8番の坂巻君に1球目。バントで榛名が補球して1塁に投げようとしますが、既に投球動作に入っているところで秋丸が「2つ!!」(2塁へ投げろってことですね) 既に1塁へ投げようとしてたところに、無理な体勢で2塁に投げなおしたので、ボールがややそれて2塁はセーフ。当然、バントした打者も1塁セーフで、ノーアウトでランナー1、2塁となってしまいます。……そりゃあ、2塁に投げるのが間に合って、ワンナウトランナー1塁になった方がいいんですけどね。間に合わなかったら仕様が無いですね。
当然榛名は「言うのおせえ!」と秋丸とにらみつけます。秋丸はわかってるのかいないのか、「ドンマイ! 切りかえてこー!」と……ARCにナメられないためには仕方ないですが、榛名としては収まりつかないですね。榛名は「チッ」と舌打ちし、バックを振り返ってから「スンマセン!」。
次のバッターは9番の太田川くん。武蔵野は極端な前進守備。「この守備でもバントすっかね」の花井の顔がかわいー。「榛名さん投げてると 武蔵野はよくこのシフトするんだよ」とは、しのーか情報。田島も感心してる表情。三橋は「榛名さん 信頼 されてる」と、みんなのように打者目線では見られない様子。投手としての目線で見てますね。
榛名はストレート高目で打ち上げさせようとしますが、太田川くんはそれをうまくピッチャー前に転がし、榛名が取って1塁へ送球。バッターアウトで、ワンナウト2、3塁。にしうらーぜは「うめえーっ」(花井、栄口くん)、「1年なのに!」(田島)、「榛名の球なのに!」(水谷)、「バントシフト意味ねーっ」(泉)と大盛り上がり。
他校の会話のようですが、「キャッチャー指示遅いよね」「さっきそれ思った」という会話が、阿部と三橋の後ろで交わされています。阿部の後ろで……
三橋はやっぱり投手の気持ちで、「点 とってくれた すぐ後 だ 抑えたい だろうな…」と見ています。
武蔵野の監督は打者の記録を確認し、1番の満塁策を指示。
阿部、「埋めんのか 3人もランナー背おって 大丈夫なのか」「……大丈夫じゃなくたって それがあいつの実力だろ」とかモノローグしてますが……榛名の側に立って試合を見ているのがバレバレです。打者として榛名をどうやって攻略するのかとは、欠片も考えてませんね。「それがあいつの実力だろ」って、一番”榛名の実力はそんなもんじゃない”と思ってるのは阿部自身でしょうに。
ARCの次の打者は2番の小杉君。今日はこれまで内野フライ2つと三振ということですが、他の試合のデータはどうなんだろう? 武蔵野は前進守備ですが、打者自身は「おいし〜〜 外野こえれば3打点じゃん!」って、打つ気満々ですね。
榛名は、「秋丸の右肩 ぶちぬくイメージで」って……言葉だけ見るとひでーですが、それだけ思い切って投げられるというのはそれだけ信頼してるということ……だよね? 秋丸の肩ならぶちぬいていいとか思ってる訳じゃないよね?
で、思い切って投げた球を小杉君は打ち上げてしまい、インフィールドフライでアウト。これは8巻の巻末にルールの説明がありますね。
にしうらーぜは、「オイオイ打たされちゃったんじゃねーの?」(花井)、「2番 やっちゃったなー」(田島)、「ここ切りぬけたら武蔵野がひょっとしたりして…」(巣山)
三橋は内心、「満塁だけど 2死だ! 榛名さん がん…っ」と応援しかけて、横の阿部を気にして思考停止しています。阿部、先月号で「どーだっていー」とか言ってましたが、それが本心でなかったことは三橋にもバレバレ?
まだ満塁のまま、次のバッターは1年生のホープ、塩入君。「先輩 どしたんだべ 内野フライだば どおもなねぴょん」は「先輩 どうしたんだろう 内野フライじゃ どうにもならないじゃん」って感じでしょうか? 「こいだばわが やねばまねべえ!」は「これはオレがやんなきゃな!」だそうですね。気合入ってます!(このくらいの津軽弁だったら、十分連想で補えますよね? 私は方言使用肯定派です)
塩入君の今日の成績は、阿部のモノローグによりますと「1打席目スライダーを2遊間ヒット 2打席目スライダーで三振 3打席目四球」だそうです。「90球超えてここらが一番キツイとこだ」「しっかり気持ち入れてかなきゃ打たれるぞ!」って……あなた、何処まで榛名よりなんですか。
三橋の方が余程冷静な見方。1球目は8分目で投げてボールになったのを見て、「抜いてきた 1球目 ボールなのは よくない けど 多分…次を 生かす のが 目的だから いーんだ!」と。
実際、榛名の2球目は思いっきり投げた速球で、見逃しでストライク。にしうらーぜは、「はええっ」と花井。他のメンバーもびっくりしてる感じ。田島は「まだ力あんな!」と、何だかうれしそう。
阿部は一人で、「見逃してもらえて ラッキーだ 速い球狙いだったら 今のコース 持ってかれてたぞ!」と、必要以上に緊張しているのが伝わってきますね。阿部は秋丸よりずっと”榛名の捕手”の気持ちで試合を見てるんじゃないでしょうか?
3球目は2球目と同じ球で、ファウルながらかなり飛ばされます。ここで秋丸のモノローグが! 「榛名球威落ちてるし なんか打たれそうなカンジする けど オレなんもできないな〜 ここで球捕るくらいしか!」って、これ阿部に知られたら、秋丸はたぶんシメられますね。これじゃあ、榛名が一人で投げるようなもんだよ。
4球目も速球でボール。これでカウントは2−2です。5球目もボールで、カウントは2−3。
ここの阿部の顔がもー…… 「なんで自分から苦しいカウントにすんだよ さっきもそれで四球やってんじゃねーか」って…… 阿部、あんたが西浦のユニフォーム着てる意味あんの!?
三橋は「榛名さん コントロール 苦労してる のか それとも か かわそうとしてる?」。うーん、これは、かわそうとしてるが正解なのかな? 「バッター1年なのに あんな球 速いのに」と、球の遅さにコンプレックスを持ってる三橋は思ってますが、速くっても打てる奴は打つってことでしょうか。塩入君はそれだけの打者ってことですかね。
その塩入君は、「榛名みたいな速球で生きてきたやつは ここぞってところは速球に頼りたがる」と読んで、速球狙い。
榛名はやっぱり速球勝負で、外角ストレート高目を狙い、たぶん打ち上げさせようとしたんでしょうが、塩入君にジャストミートされてしまって長打! 4点目、5点目が続いて入ってしまいます。
ライトを守っていた町田さんが渾身の力でバックホームして、ダイレクトでキャッチャーに返球! 1塁ランナーが走りこんで来て、タイミング的には十分アウトにできるところだったのですが……秋丸がランナーをブロックした時ボールを落としてしまい、6点目が入ってしまいます。(このシーン、にしうらーぜも大興奮! でも、阿部の表情はありませんね……)
ベースカバーに入っていて、ボールを拾った榛名が秋丸を見ますが、先に「ごっ ごめん!」と謝られ、何も言わずにマウンドに戻ってしまいます。これは……せめて6点目を防げれば、まだ武蔵野にも可能性はあると思えるのに……
ここで、武蔵野の監督がタイムのサイン。マウンドに集まったところで秋丸が「スンマセン!」と謝ったら、さっき抑えた榛名の怒りが再燃! 気持ちはよくわかる! だって、町田さんの返球すごくよかったもん。秋丸がそれなりのキャッチャーだったらアウトにできたかもしれない。流れ的にも、点は取られても、いいプレーでこの回を締められればまだ取り返せるって気持ちになれる。それが台無しになったんだもんな。しょーがねーとはなかなか思えないでしょう。
でも、ここで伝令に来た加具山さんが雰囲気を変えてくれました! さすが加具山さんの和みパワー。「カントクなんか言ってた?」「なんも! とにかくなんかしたかったみてーよ」って、加具山さんが言うといいな〜って気分になるもんね。「オレらがんばってっから さすがのテラダーも何かしたくなったんじゃねーの?」「今頃!?」「おっせ!」って、いい雰囲気になってきました。今日たまたま観ていた県予選のテレビ放映で、伝令に誰を送るかも重要だって話をしていましたが、ここはやっぱり加具山さんですよね。
で、榛名の気持ちを切り替えさせるための小芝居で、「なんならオレ投げてもいーんだけど」「イヤイヤ! ガクヤンはホラ!」「いざって時のためにとっとかないと!」「そー?」「じゃー榛名 いざって時はオレがいっから安心して投げな!」とやるんですが、それに対して榛名が「オリャこの大会は ずっとそのつもりっす」と直球で返す! 加具山さん真っ赤! いやー、本人小芝居のつもりで言ってて、本気で返されちゃったら照れるよね。(腐目線では、「榛名、ナニ加具山さん口説いてんの!」ってとこです)
何はともあれ、武蔵野ナインの気持ちはすっかり切り替わり、「ツーアウトだ! 次で切ンぞ!」と引き締まりました。
秋丸は、「先輩達びっくりしてたけど 榛名はホントにずっとああ思ってるよな 後ろがいなきゃあいつ全力投球しないもん」と思ってますが……これは、榛名はちゃんと今のチームメイトを信頼してるってことかな? そして、それだけ勝つことに「ホンキ」だってことですよね。自分の力出し切って、駄目になるギリギリまで投げても構わないってことなのでしょう。
で、秋丸は「もしかして オレ スゲー 場違い……?」って思ってますが…… ここ、最初読んだ時にすごくがくっときました。あんたがそんなんじゃ、いくらなんでも榛名がかわいそうだよっ!と。……でも、秋丸がどういう気持ちで武蔵野の野球部に入ったのかまだわかんないし、榛名も秋丸に自分が何を求めているのかってことをちゃんと話したことがある訳じゃないと思うので、秋丸ばかりを責められませんかね。
阿部は、もう拳握っちゃってます。「5点返すのはどー考えても無理だ あいつならそう考える」(あいつ、に傍点)。阿部の知る、シニア時代の榛名なら、この時点でもう全力投球するのはやめるはず。
でも、今の榛名は「ホンキ」なんです。打者は4番の吉田さん。思い切った速球でストライク。その間に、2塁にいたシオくんには走られて3盗されちゃってますが、バッター勝負ですからここはよしかな?
榛名は「2死で3盗か 秋丸完全にナメられたな」と思ってますが、確かに。2死だったら、よっぽど確実じゃないと3盗はしませんよね。
「本塁上のタッチプレー 4番打者 バッテリーエラー ライトの守備 足し引きして まだ秋丸でいいのか!?」と、一人悩む榛名。秋丸がこういう時に頼りなる捕手ではありませんからね…… 4番打者相手なら全力投球できなきゃ抑えられないと思うけど、 確実な守備が求められる場面で秋丸で大丈夫かという不安もあるけど、後のことを考えると秋丸を下げるのもまずいから、ライトの守備の問題も…… こういうことは全部榛名が一人で今まで考えてきた訳ですよね。かわいそうだけど、一人でやってきたツケが今回ってきてるのかな。榛名はもっと秋丸と話すべきだったんじゃないかという気はするな……
榛名の吉田さんへの1球目を見て、阿部は「吉田用に球速残しといたんだ…! でも、今のは盗塁待った見送りだぞ!」と、真剣な表情。あー、もー、完全に榛名のことしか頭に無いですね。
吉田さんは榛名は速球で来ると読み、速球狙い。が、榛名は新しく覚えたらしい変化球で、吉田さんを打ち取りました。これでやっとスリーアウト。
三橋は榛名の新しい球が気になるようですが、阿部は全然それどころじゃありません。
「榛名が ちゃんと野球を好きならそのほうがいい だけど それじゃ シニアのてめえはなんだったんだよ!」
……やっと阿部の本音が出たって感じですかね。
確かに、阿部はある意味、今の榛名が勝とうが負けようがどうでもいいのかもしれない。ただ、シニアの頃の自分のことを、榛名が今どう思っているのか、その答えがほしいんじゃないでしょうか。と言うか、シニアの時に全力投球しなかった榛名は、シニアのチームメイトたちにひどいことをしたんだって認めてほしいのかな……
でも、たぶんそれは叶わないことですよね。榛名にとってはシニア時代っていうのはもう終わってしまったことですから。あの時はあの時で、自分としては仕方がなかったんだって思ってるでしょうに。榛名にとっては、別にシニアのチームを特別嫌いだった訳じゃなく、ただ中学のチームでの傷を引きずっていたからシニアのチームでは「ホンキ」になれなかっただけ。それがなかったら、シニアのチームでだって「ホンキ」になったかもしれない。まあ、中学でのことがなければそもそもシニアには行ってないんですが…… ただ、どうしようもなくタイミングが悪い時期に阿部は榛名と出会ってしまって、榛名の傷をそのまま背負わされてしまったようなものですね。
これはもうどうにもならないことなのだから、阿部が自分で折り合いをつけて自分で立ち直るしかない。そのためにはいつまでも榛名ばっかり見ていないで、自分が今一緒に闘っていくのは誰なのかってことを思い出してほしいです。早い話が、早く三橋が隣にいることに気づけってことです! あんたは今は西浦の捕手で、三橋の捕手なんだから、三橋と一緒に強くなっていくことで立ち直っていくしかないんですよ。榛名のことはもう取り返しがつかない過去。これから一緒に闘っていく相手の方が大事! そういうことに気づいてほしいんですけど、言うのは簡単でも実際には難しいんだろうな……
このことは、阿部の怪我というファクターも大きいかな、という気がしています。三橋はもう「一緒に強くなる」ために走り出してるけど、阿部は怪我のせいで足踏み状態ですからね。「一緒に強くなろう」って決意したのは一緒でも、そのために実際に体を動かせるのと動かせないのはとでは大きく違う。阿部も練習に打ち込める状況なら、こんなに榛名のことばっかり考えなくても済んだのかもしれないな。後、やっぱり試合をやらなきゃ駄目かな。試合してれば、阿部はちゃんと三橋と向き合えますからね。この二人は、やっぱり投げて受けてってことをやらないと通じ合えないような気がします。
ところで、残念だったのは、ここの阿部の表情が見えないことですね。ここの阿部の表情はじっくり描いてほしかった気がします。

次号で試合の決着はつ……かないかな? 



2009年8月号

今月のひと言。阿部……嘘ついたね?

さて、今月も引き続き武蔵野対ARC。7回表の武蔵野の攻撃から。太田川くんの投球数は56球。かなり節約ピッチングのようです。吉田さんは明日の千朶戦でリリーフできるように、太田川くんに余力を残しておきたいようです。そこまで考えるんですね。さすがキャプテン。
太田川くん自身も、自分の球威が衰えていないことに自信を持っている様子。でも……先頭打者の3番町田さんに対して、初球ストライクの後は連続ボールで四球を出してしまいました。吉田さん曰く、「体力疲労と精神的疲労は別モン」。コントロールを保つには精神力が必要ということですね。(三橋だって、美丞戦では一時コントロールが乱れたもんな)
続いて4番の大河キャプテン。「うおおっ」と叫んで気合を入れます。吉田さんはくさいところをついてボール球を打たせようと、1球目はストレートのボールを要求。それは狙い通りの球だった訳ですが、大河さんは「オレの気迫勝ってる!?」と解釈。こういう認識のズレが、この試合は多いような気がします。武蔵野がそれだけ”読み”ができるチームじゃないってことなのかな? でも、それはいい方へ作用しているように思えます。打てる!と核心して次の球を打った大河さんは、三塁線へのツーベースを打ちました。1塁ランナーの町田さんは3塁でストップ。無死2、3塁です。
続く5番の中山さんも「おお!!」と気合を入れます。ちょっと武蔵野へ流れが来てる感じ?

ここで、観戦中の西浦バッテリーの会話。三橋、スクイズなしを予想。阿部も7回で3点差だから打ってくるだろうと同意見のようです。
5番中山さんは、1球目のストライクを見逃し。これは打っとく球だったようです。阿部、「今の逃しちゃマジーなァ」と言ってます。何となく、武蔵野寄りの心情?(こんなところまで突っ込んだら悪いか)
次は振る!と決めた中山さん、2球目のカーブを打ち、打ち取ったかと思いきやARCのセカンドが追いつけず、町田さんがホームインして1点目! これで1対3です。しかも、まだ無死で1、3塁。
6番の佐々木さんは、1球目のストライクは見送り。吉田さんは狙い球を変えてきたかと疑い、もう1球ストレートを要求。しかし、低目を要求したのに高目にきてしまい、1塁線へのヒットになり、2点目! しかも、ここでもまだ無死1、3塁です。盛り上がる武蔵野ベンチ!(ここで、今月唯一の加具山先輩の登場コマが……もっと彼の心情も知りたいのだけどなぁ)
すかさずタイムを取るARC。伝令くんが、「ヨシ! 監督がイカッてんぞ! オータが約に立たねーのはヨシのせいだからな!」と怒鳴ります。慌てて「ちがっ ちがっ」と、三橋のようにどもる太田川くん。更に伝令くんに「ちがわねー! 終盤入って 球バラけはじめたら それなりのリードしなきゃなんだ!」とビシッと言われます。悔しさにギュリギュリと唇を噛む太田川くんが……すごい顔なんですが、この子、何かかわーですね。
吉田さんはそんな太田川くんの背中をポンと叩き、「オレの汚名 返上してくれ」 かっこいー! しびれる先輩ぶりですな。太田川くんも、気合の入った「はいっ!」という返事を。
ここで次々に噴き出す、吉田さんと太田川くん以外のARCメンバー。「あーだめだー」「ヨシのコシバイがー」って、ウケてますね。下のコマでは、吉田さんも一緒になって笑ってる? 目はあんまり笑ってるふうに見えないけど。 
これで一気に気持ちが切り替わったARC。「しめんぞ!」と吉田キャプテンが仕切りなおしの声出し。やっぱり、場数を踏んできた底力ですかね?

次の打者は榛名。「笑ってられんのも今のうち!」と強気ですが、表情にはあまり余裕はありませんね。
「まだ無死だ フライでも内野ゴロでもとにかく打つ!」と決めて、まずは1球目はファウル。結構大きかったみたい。2球目は見送りのストライク。これはストレートでしょうか。カウント2−0です。
3球目はいい球が来たようで、これも榛名は手を出せず、見逃し三振となってしまいます。
ここで、西浦バッテリーの会話。太田川くんの投球に、「よ み がえった! タイムで 笑ってた ね!」と三橋。それから、ちょっと恐る恐るの感じで、「で も 1点差だから わからない…ね?」と言うと、阿部の返答は「どーだかなァ」と、ちょっと気のない感じ? 
三橋は更にがんばって聞きました。「………ムサシノ 負けたら… スカッと… する?」
それに対する阿部の答えが! 「あんなァ 榛名勝ってて 面白くねーっての 半分冗談だぞ?」(嘘つき)
で、更に。「うち以外の どこが勝とーが負けよーが 言っちゃえばどーだっていーんだよ!」(嘘つき)
三橋は「そうなのか――」と納得しているふう?ですが、その前の阿部の必要以上に力の入った横顔と、次のコマの明らかに誤魔化せてホッとしているような顔が全てを物語っていますね。
あんた、「どーだっていー」なんてちっとも思ってないくせに! でも、武蔵野が負けてスカッとするかと言えば、そうではないのでしょうね。榛名は、阿部が拘って拘って拘り抜いている投手なので、簡単に負けてもほしくない。でも、自分が捕手でないところで勝ち続けているのも心穏やかじゃない。勝っても負けても、たぶん阿部は悔しい。まだまだ、阿部は榛名を「過去」にできていない。下手な嘘をついている暇があったら、そういった自分と正面から向き合わないと駄目でしょう! いつまでも三橋だって誤魔化されてはくれないぞ。

試合の方は、8番の相馬さんはアウトになったのでしょうか。9番の秋丸は当然凡打でアウト。で、3連続アウトとなってチェンジです。榛名、「くっそ〜〜 なんで見逃したんだっ こんなチャンス…もう……!」と悔しそう。
でも、チェンジになって「切りかえ!」と息をついたところで。
まずは大河キャプテンが「あと2点 ぜってーとってやるから!」。「おお とるさ!」は、たぶんフクちゃん。「次1番からだぞ!」「流れ こっちきてるし!」「もう太田川とらえたから!」と、先輩たちの声が続きます。
「ぜったいスよ〜〜〜!」と言ってる榛名、ちょっと感涙? 結構かわいいところあるんだよね、コイツも。

チェンジで吉田さんは、「2点でおさまったとはいえ あれだけ扱いやすい太田川を御せねェとは」と反省してますが、コントロールのズレを計算して配球組み立てるって大変でしょうから…… 「あのタイムがなかったら 逆転は充分ありえた やっぱ監督はすげえ……!」って思ってますが、実際それを受けて太田川くんを復活させた吉田さんも充分すごいと思いますけどね。惚れ惚れする先輩ぶりでしたよ。
そして、7回裏のARCの攻撃は……ううーん、ヨシアキくんって7番かな? 打率が昨日まで3割8分って、すごく打ってるってことじゃないですか? そして、今日は2三振。そろそろ出る頃って……来月、とうとう全力投球の榛名が打たれてしまうのでしょうか!? 
今月号は武蔵野が得点した割には、結構淡々とした展開に思えましたが、来月号は決定的な何かがあるかもしれませんね。

今月号が淡々としているように感じた理由は、先月号のようにギリギリするような阿部と三橋のやり取りがなかったせいでしょうね。気持ち的には1回休みという感じでした。
その分、来月号はまたギリギリする展開があるのではないかと思います。そこも気になりますね!


2009年7月号


今月のひと言。阿部くん、ちょっとそこ座りなさい! 違う、正座!

今月はいきなり子ども時代の榛名から。小1くらいかしら? 乳歯が1本欠けているのが悪ガキらしさをかもし出してますね。
「カベ」っていうのは、ピッチング練習の相手をするキャッチャーのことでしたっけ? やっぱり榛名と秋丸ってバリバリ幼馴染だったんですねぇ。構想時の「おおふり」の主役は秋丸だったそうですから(3巻参照)、天才の幼馴染とのすれ違いと葛藤みたいな話だったのかしら……と、ちょっと夢想してみてしまいました。何かそれも痛そうでセツナめでいいな。
榛名が動くと何も言われなくてもわかっちゃうところに年季を感じますね。でも、意識の面ではかなりのズレが…… 榛名はもっと秋丸に上を目指してほしいんでしょうけどねぇ。

試合の方は、4回、5回ともに両校無得点。特に榛名は4、5回を3人で切って取ります。
三橋は阿部と榛名の投球について話したそうですが、まだ阿部はどよどよと黒いオーラを出して……ダメじゃん、阿部! おまえの投手が隣にいるんだぜ!?(この辺で、怒りゲージ30%)
5回と6回のグラウンド整備中に、武蔵野は太田川攻略の作戦会議。ここで、今日はベンチの加具山先輩がいーこと言ってます! 「それでなくても榛名見慣れて速球には強くなってんだ 太田川は平均130なんだから もっとためていいと思う!」 ベンチでもくさらずに、ちゃんと見てたんだ! 加具山先輩、えらい! かっこいい!(そしてかわいい!)
そんで、「エースがんばってんだ 点入れてやろーぜ!!」「おおっ」ってのがいーですねぇ! 高校野球だな〜
そして6回表の攻撃は、8番の相馬さんから。太田川くんの球は「一呼吸ってか 0.3呼吸くらいためてもいーかも」ということで、ストレート待ちでカウント0−3になったところ、デッドボールでノーアウト1塁です。
ここですかさずピッチャーに声をかけに行く吉田捕手がさすがですね。「ノースリーだからこそ向かってったんだろ わかってるよ」と言われ、太田川くんは素直にカンゲキ。すぐに戻った吉田捕手は冷静に「次はあの捕手だ」 秋丸、下手なのバレバレですよ〜
”あの捕手”呼ばわりの秋丸は、バントができずに三振して1アウト。打順が1番の福ちゃんに戻り、ここはあっさり送りバント成功で、2アウト2塁。
三橋、「バントが上手なのか ARCが 1死だから進塁よかアウト優先した………とか?」とちゃんと自分で考えて、「聞きたい な」と阿部に視線を送ってますが……阿部のヤツ、気づきゃーしねえ!(この辺で、怒りゲージ60%)
2番の戸塚さんは2球見てカウント1−1で、タイミングをつかんだっぽかったですが、吉田さんがためした高めを打ってファウル。飛んだのでいけるかと思いきや、吉田さんにストレート狙いがばれてしまい、次は空ぶって三振してしまいました。うーん、ここはやっぱり吉田さんが上手ですね。
榛名、「てめーがバント失敗すっからリズム崩れただろ!」と、また傍若無人に秋丸をはたいてます。……もしかしてこれは、榛名なりに秋丸を奮起させようとしてるのかしら!?……違うか。
町田さんは悔しいですね。「リードだのバッティングだのどんだけがんばったって 捕れなきゃ捕手やれねーっつの!」がね…… リードもバッティングもフィールディングも町田さんの方が上なんだろうけど、ただ捕るということが下なだけで、榛名は秋丸を選らばざるを得ないんだもんね。勝つためには。つらいね。
でも、榛名、町田さんの練習に嫌な顔せずに付き合ってたのね。結構かわいいとこあるよね……
苦悩の後、町田さんは「にしても秋丸って変なヤツだよな 赤ンボの頃から一緒にいたら もーちっと榛名に触発されねーもんかね?」と、ちょっと軽い疑問を。うーん。そこで触発されないところが秋丸の秋丸たる所以なのかなぁ。そしたら、葛藤するのは榛名の方だったのかもなぁ……

で、6回裏のARCの攻撃。榛名、先頭打者のシオくんを四球で出塁させちゃいます! 次は4番なのに!
三橋としてもここはどうすればいいと思うか阿部に聞きたい場面。でも阿部ったら、さっきに増してどよどよと黒いオーラを出してます。捕手だから、四球が一番イヤなのはわかるけどさぁ、いー加減にしろよ、阿部!(この辺で、怒りゲージ90%)
でも、ここの三橋はえらかった! 勇気を振り絞って阿部に話かけます。
「あ べくんっ ここは さっ 前の打席 で ね 初球打たれた から ボ ボ ボールで 入る?」
三橋、がんばった!
で、阿部の返事はあっさりと、「お前が 投げてんならな(いつでもストライクとれっから)」 「うおっ」っと三橋はうれしそう。でも、阿部は褒めた自覚ないんだろーな。
「でも榛名だし 1人目は四球で 出したから 気持ち的には ストライク入れてーな」
と言ったところ、4番の吉田さんは1球目をファウル。ストライクぽかったようです。
ここで阿部、牽制が多いことに気づきます。吉田さんもそのことに気づいていて、秋丸のフィールディング能力に疑問を持ったようです。そして、ユニフォームの襟ぐりを引っ張って合図。これが盗塁のサインなのかな?
次に榛名がモーションに入ったところ、ダッと走り出すシオくん。気がついた榛名は、咄嗟の判断でボールをワンバウンドさせます。これなら2塁には間に合わないから、投げなかったことを誤魔化せる訳ですね!
阿部はそんなこと知らないですから(吉田さんみたいに秋丸の送球を気にするような余裕もないみたいだし)、「あいかわらずスキカッテ投げてるよ」と榛名にムカついています。そうじゃないんだけどね…… 榛名も榛名で、与えられた条件の中で、勝ちを目指して最大限に考えて投げてるんですけどね…… まあ、この場面で気づけと言う方が無理でしょうが。
ここで、榛名は外野に下がるようにサインを出します。三橋が「吉田 さん ゴロない から 榛名さんの 球なら 高目も あり?」と予想して、阿部の答えは「アホッ ここまでツーベース2本だぞ ランナーいて ンなおっかねーことしねー……」でしたが、ここは三橋の予想の方が勝ち。
榛名は全力投球で力勝負! それに吉田さんが応じて打って、壁際まで飛ばしたけれど外野フライで1アウト。力と力のぶつかり合い。これはシビレる場面ですな!
沖くんと泉くんも「いーもんみたー」と言い合ってます。(今月、バッテリー以外のにしうらーぜのセリフはこれだけ。田島なら、さぞかし目を輝かせて観てたでしょうになぁ……)
次は5番。ランナーはまだセカンドにいます。
三橋は、「5番の 人は センター前打った けど キャッチャー替わる前 だったんだ」「から ね わかんない けど 秋丸さん は 榛名さん 投げ やすい のかな?」「速い球 とかっ」と、がんばって話してます。
なのに阿部ったら! また榛名がワンバンさせたことに腹立てて、「チッ」とか言って聞いちゃーいません! 挙句の果てに三橋に誤解させてるし!(この辺で、怒りゲージMAX!)
でも、三橋が小声で「オレ しゃべりすぎ だから ごめんなさい」と言ったら、やっと気づいて「は!? なんだって!? もっかい言ってくれ!?」と言い出しました。フン、とりあえず今回は見逃してやるぜ。(怒りゲージリセット)
「え と さ」「おおっ いーコース! だ けど」「アレじゃ なくて」
と、三橋は町田さんが捕手だと榛名は全力投球できないけど、秋丸が捕手なら全力投球できることに気づいたようです。
事投球に関する事だと、三橋の方が阿部よりも鋭いってこと、間々ありますよね。発想が柔軟なのかも。
でも、阿部が三橋の言っていることの意味をわからずにいる間に、榛名は5番打者を内野フライに打ち取って2アウト。
今までの榛名にはなかった変化球を投げるのを見て、三橋は素直に「榛名さん スゴイねっ」と言いますが、阿部は無言…… コラア! また読者を怒らせたいのか!?
三橋は「……スゴイはスゴイで いいんじゃないのか」と思ってますが、これは阿部への肯定になるのか、否定になるのか、微妙なところだと思います。
いつまでも阿部が榛名のことを吹っ切れないなら、三橋はどうするか…… 三橋が阿部に愛想をつかすことはないだろうけど、阿部を諦めてしまうことはあり得ると思うぞ。そうなってから後悔したって遅いんだぜ!? 早く目を覚ませ阿部ーっ! 一緒に強くなろうって約束はどうなっちゃったんだよーっ!? 
 
という訳で、今回は阿部に説教したくて堪らなくなる回でした。
ホントもう、そろそろ何とかしてほしい……



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