あれは、大学1年の10月下旬。
世間は「やれ、前期試験だ!」「もうすぐ合宿だ!」と浮き足立っていた頃のこと。
大学から歩いて30分もかかる、独身のゴルフ狂のカエルおばさんのうちの2Fを間借りしていた私は、「もうがまんならん。こんな下宿でていってやる!」と息巻いていました。
あのころは、暇を見つけては不動産屋をまわり、手頃で条件のいいアパートを探してました。たぶん、8件くらいまわっただろうなぁ。
石橋はもとより、池田、蛍池、豊中、岡町あたりまでいい物件があると聞けば、電話してきいて、出かけていっては見せてもらってました。
その頃の私がアパートの次にほしくてほしくてたまらんかったのが、ちゃりんこ。
不動産やさんまわりのために、いちいち電車に乗るのもめんどくさかったし、第一定期を持ってない私には1日に何度も乗り降りするのはかなりの出費になるんです。
どうせ、阪急なんて駅と駅との間なんて最長でも石橋ー池田間(確か2.1kmだと火星人先輩が言っていた)。
で、クラブのボックスに行っては、「どっかにちゃりんこ転がってませんか〜」って聞いて回ってた気がします。
と、ある日、家具屋のお坊ちゃん・こえぴょん先輩が、「いらなくなった妹のちゃりんこがあるけど、ほしかったらやる!」っていうてくれはったんです。
きゃー!ラッキー!なんて幸せ者なんだ!Meg男ってば・・・。
願い続ければ望みって叶うのねぇ!ウルウルウル。ありがとう!こえぴょん先輩。
ということで、ちゃりんこを手に入れました。
いいねぇ。やっぱ。徒歩と比べるとなんて行動範囲が広がるんでしょう!
小回りは利くし、駐車料金はいらないし、地球も汚さないし。なんてすばらしい乗り物なのでしょう!と当時の私は思いました。
が、こんなちいさい私のしあわせも神様は奪ってしまわれました。
事故です。交通事故。
まさか自分が、事故にあうなんて思いもしませんでした。
そう、あれはクラブの部会が終わった土曜日の夜。みんなで晩御飯食べたあと、いつものように石橋小学校の前をだいたい8時過ぎくらいに通ってました。
いつもと違ったのは、私がちゃりんこに乗っていたことくらいか?
前から来たまぶしいライトに視界を遮られた私は、一瞬、目の前が真っ白になり、次の瞬間、
目から星がでたのはあとにもさきにもこのときくらい・・・。
なにが起こったのかわかりませんでした。
胸のあたりはむかむかするし、腕はしびれてるし、足は痛いし・・・。
頭はがんがんするし、せなかはずきずきするし、唇はきれてるし・・・。
あああ、体中が痛いよぉぉぉ。でも、私いったいどうしたんやろう???
なかなか状況が飲み込めなかったです。意識がもうろうとはこのことを言うんだろうなぁ状態。
目の前には白い車がありました・・・
「あ、私、車にぶつかったんやぁ。あれ?でも、だれも乗ってない????なんで???」
角の酒屋のおばさんは、まさか停まってる車にちゃりんこが体当たりしてくる人がいるなんて思ってもみなかったに違いない。
で、マイちゃりんこは・・・。もらってまだ1週間も乗ってないのにご愁傷様でした。
あとでこえぴょん先輩にこのことを話すと、「おまえには2度とちゃりんこやらん」と言われました。
気をつけましょう、前から来る阪急電車のライトには。
やめましょう、T字路に車を停めるのは・・・・。
後日、後ろのバンパーのへこんだ白い車が格納庫の前に止まっていたのはあれは本当に偶然だったのでしょうか?