弟に似たいぬのはなし

 いぬ好き。ねこも好き。実家にはいぬもねこもいる。にわとりも(食用じゃないよ)。

 今までもたくさん動物飼った。今までに飼った動物としては、インコ・ジュウシマツ・白鳩・うずら・にわとり・きじ・白うさぎ・パンダうさぎ・いぬ・ねこ等々。

 でも、だいたいがへびとか野犬とかいたちとか(う〜ん、田舎)にやられちまった。

 大学時代の友達のうっきーの実家には、「くじゃく」がつがいでいるらしい。負けた。

 ところで、私も動物好き。特にいぬとねこ。今までにいぬは3匹飼った。そのうち2匹は交通事故死、もしくはそれが原因で死んじゃった。ごめん。

 この話はしんみりするのでしたくない。

 ではもう1匹はというと・・・。

 ********************************  そいつの名は、『茶太郎』。一太郎とは親戚でもなんでもない。

 茶太郎は、一応、今村家の番犬だった。「だった」とは?恥ずかしながら、茶太郎は番犬のくせに盗まれたのである。

 ********************************  それは遠い昔のことじゃった(またしても、昔話口調)。

 今村家では夜になるといつも茶太郎の鎖をはずしていた。一応番犬ということで家の周りを見張る役。とられるものなどにわとりくらいだったが・・・(食用じゃないよ)。

 一応番犬なのに、茶太郎はいつもいつもいつもいつもその辺のたんぼを駆け回ったり、ガールフレンドいぬのところに遊びにいったりと、夜な夜な遊びほうけていた模様。

 でもちゃんと朝になってごはんの時間になると、ちゃっかり戻ってくるお利口さんないぬだった(どこが?)。

 そんな茶太郎が、ある日朝ごはんの時間になっても戻ってこんかった。不振に思った父親と母親はあたりを探したり、大声で「ちゃたろー!」と呼んでみたりもしたそうな。

 でも、でてこない。事故にでもあったんじゃないかと心配しながら、2日ほどすぎた。

 やっと茶太郎が帰ってきた。父親が仕事で外回りをしていたら、隣町の人んちの庭先にちょこんと座っていたそうな。茶太郎は父親を見て、うれしそうにすり寄ってきたらしい。

 で、父親はつれて帰ってきた。「まったくもう!人んちに入って悪い子や!」と言われつつ・・・。でも当の本人(本いぬ?)は全然悪びれた様子もなく、うれしそうに帰ってきた。ま、なにより無事でよかったよかった。が、もう二度と人んちに行かないようにと、その晩からは鎖をつけたまま寝かせることになった。

 なのに!次の日、朝ごはんをあげようといつものように「茶太郎」と呼ぶと、いない。いぬ小屋にもいぬ毛布にもいぬ段ボールにもいない。

 どして?ちゃんと鎖つけといたのに?なぜなぜ?どして?

 鎖はちゃんと外されていた。根本から。かみ切られたのではなく、ひっぱったのではなく、ちゃんと外されていたのだ。

 いくらお利口な茶太郎でも、鎖を外すのは一応いぬなのでできない。では、どうやっていなくなったのか?

 盗まれたのである。

 茶太郎は実は前日ちょこんと座っていた隣町の家にちゃんといたそうな。しかも今度はしっかり鎖につながれて・・・。

 さすがに「茶太郎盗られた!」と感じた父親と母親はそこの家に行って取り戻そうと思ったらしいが、そこんちが子供のいない老夫婦の家だったこと、茶太郎をむちゃくちゃかわいがっていることを知って、あきらめたそうな。

 ま、無事に生きていることだし、きっとうちよりいいごはん食べさせてもらっていることだし。よしとしよう。

 けどまあ、なんて役に立たない番犬なんだろう・・・。きっと弟に似たに違いない。

 終わり。