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▼『マイ・フレンド・フォーエバー』の作品データ▼
#17.くつ (2000.10)
 実りの季節+食欲の秋。食わず嫌いは損をする?題名だけ知っていて「まぁいいや、この次で」という映画作品はありませんか?私にはそれはもう、たくさん・たくさんございます。今回取り上げる作品も、題名だけで判断し食わず嫌い未見のものでした。

その映画名は『マイ・フレンド・フォーエバー』。
※蛇足ですが、この映画の原題は『THE CURE』。特効薬とか治療・治癒の意です。なのに、こ〜んな邦題つけられると受け手の印象が全然違ってしまうから心外。最近も「マイ・フレンド・なんたらかんたら〜」って映画があったような?※
『マイ・フレンド・フォーエバー』からの小道具は「くつ」。少年達のバスケットシューズ&黒革のローファーです。

□□□エリック(ブラッド・レンフロ)は12歳。 母親と二人暮らしの少年。学校にも近所にもエリックと親しい友達はいない。夏休みになったものの、母親は仕事に忙しく、帰宅は遅い。はなからエリックをかまう暇などなさそうだ。□□□

自宅の裏庭。毎日ひとり遊びで夏休み中の長い時間を潰していたエリックは、ある日垣根越しに隣の子供が咳込む声を聞きます。彼は「裏隣の家にHIV(エイズ)の子供がいる!」と知っていましたが、その子の声を耳にしたのは初めてのことでした。

□□□デクスター(ジョゼフ・マゼロ)は11歳。彼もやはり母親(アナベラ・シオラ)との二人暮らし。赤ちゃんの頃に受けた輸血が原因でHIV感染したのだ。幼い時から入院生活をしていて、学校には通っていない。□□□

垣根越しに会話をするようになった後、エリックは隣家との境である白い板塀を乗り越えてデクスターの庭へ遊びに行くようになります。年齢が近いこともあり、エリックとデクスターがうちとけあうのに時間はかかりませんでした。

□□□デクスターの母親は いつも明るくおおらかでエリックにも優しい。またデクスターと母親は友達同士のように仲の良い親子だった。HIVに感染していなければ、ごくごく普通の母と子供なのだ。しかしエリックは夜、隣家へ忘れ物を取りに行こうとした時、デクスターの母親が階段に座りひとりで泣いているのを見かけてしまう。□□□

□□□現代における不治の病にかかり、絶対的な治療法が発見されていない今、そう遠くない未来にデクスターとの別れが待っていることに気付いたエリックは 「なんとかしてデクスターを助けたい!」と考える。□□□

エリックとデクスターは野性の植物を採取して煎じて飲むという、自己流のHIV特効薬探しを続けていましたが、野草のひとつに毒があり、飲んだデクスターが 救急車で病院へかつぎ込まれる騒ぎが起こったため、エリックの母親はエリックとデクスターが親しい友達であることを知ります。

□□□驚き、怒り狂う母親はエリックに手をあげた。さらにはエリックを強制的にサマーキャンプへ参加させることに決める。どうしても離れたくないふたりは、HIVの特効薬発見というNEWSを信じ、またその行き先がエリックの父親が住む町に近いことを心の支えにして家出を決行するのだが・・・。□□□

※旅の道中は「そんな、無茶じゃないの?」と思う部分もかなり多かったのですが(苦笑)エリックとデクスターがテント内で眠るシーンは心に残りました。※

□□□ぐっしょり濡れた寝汗で目覚めた デクスターは 何かに怯え震えている。それは死への恐怖感。 ひとりで逝くことを想像し、恐がっていたのだ。□□□

□□□エリックは黒いバスケットシューズの片方をデクスターに手渡し「(お前は)ひとりじゃないし、こうして生きているさ。エリックの汚い靴を抱えてると思えばもう恐くないだろ!」と声をかけた。□□□

□□□バスケットシューズを胸に抱きしめたまま、デクスターは再び眠りに落ちる。とても安心した顔をして今度は朝までぐっすりと。□□□

結果的には特効薬など見つからず、エリックとデクスターの短い夏はデクスターの静かな死によって終わります。

□□□場面はデクスターの葬儀。スーツとネクタイ姿のエリックは相棒に無言で別れを告げデクスターの家を後にする。この時エリックの片足は、なぜか靴下のまま!□□□

・・・小さな棺に横たわるデクスターの胸には、エリックの黒いバスケットシューズが抱かれていました。一緒に旅をしたふたりだけに分かる「ひとりじゃないよ」のサイン。その後デクスターの履いていた黒革のローファーはエリックが二人で遊んだ川に流しました。

 題名から想像していたような「お涙ちょうだいモノ」ではなく、少年期の喧嘩やいたずらを含め、あまりクド過ぎない語り口に好感の持てる作品でした。ブラッド・レンフロとジョセフ・マゼロの近況はわからないのですけれど、少年期の彼等は可愛かったです!それからデクスターの母役=アナベラ・シオラが、とても良かったです。

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